汚い餓鬼を拾ったので虐待することにした 作:クーネル・アソーブ
汚い餓鬼を拾ったので虐待することにした。
他人の目に触れるとまずいので家に連れ帰ることにする。
嫌がって暴れる餓鬼を逃がさないために足を地面から離して運ぶ。
家に連れ帰ったら嫌がる餓鬼を風呂場に連れ込みお湯攻め。
十分にお湯を掛けた後は薬品を体中に塗りたくりゴシゴシする。
薬品で体中が汚染されたことを確認し、再びお湯攻め。
その後、嫌がる餓鬼を黙らせるために薬品を頭に塗りたくり染み込ませる。
十分に染み込んだことを確認したら、再びお湯攻め。
お湯攻めの後は布でゴシゴシと体をこする。
その後、肩まで熱湯に浸す。肌が赤みを帯びたことを確認し、熱湯から出す。
風呂場での攻めの後は、全身にくまなく熱風をかける。
その後に、べちょべちょした味気なさそうなものを食わせることにする。よほどまずいのだろう、餓鬼は泣きながら早く食べ終わろうととかきこんでいる
そして私はとてもじゃないが飲めない白い飲み物に粘り気のある黄色い液体と白い粉を混ぜ飲ませる。
もちろん、温めた後にわざと冷やしてぬるくなったものをだ。
その後は体力が消耗した餓鬼に嫌がらせのためにちかちかする画面を見せることにする。見せるのは弱肉強食の自然を描いたもので、餓鬼に厳しさを教えてやった。
ぐったりとした餓鬼を安物のマットに敷物を敷いただけの質素なところに放り込み逃げ出さないように手を拘束しながら寝るまで監視。餓鬼が何か文句を言っていたが知ったことではない。関係ないと告げ、逃がすつもりはないと言うと、餓鬼は泣き出した。そのことに満足しながら手を握っているといつのまにか寝ていたのでそのまま就寝。
明日からどんな風に虐待するか考えなるととても楽しく思う。
side響
私は呪われている。
以前だったら最後のほうに「かも」がついていたのだが、いまでははっきりと断言できる。
私は呪われている。
始まりは一年前のツヴァイウィングのコンサートだった。
幼馴染の未来から一緒にコンサートに行こうと誘われて、わくわくしながら当日行ってみたら、肝心の未来は家の都合でこれないと言われた。
仕方ないから私だけでもコンサートに行って、後で感想を聞かせてあげようと思ったら、会場にノイズが現れて大パニックになった。
そのことも驚くことだったけど、それ以上に驚くことはツヴァイウィングの二人がニチアサのアニメよろしく変身してノイズを倒していくのにもっと驚かされた。
逃げることも忘れて彼女たちを見ていたバツだろうか、私はノイズの攻撃で吹き飛ばされた何かが体を貫いたことで重傷を負った。
死んじゃうのかな、と思っているとツヴァイウィングの片割れの奏さんに
「生きるのをあきらめるな!」
と叱咤され、死んでなるモノかと奮起した。
そのおかげか、私は心臓付近にダメージを負ったのに生きることができた。
でも、本当に生きのこってよかったのだろうか?
病院で目覚めた私はリハビリを始めた。奏さんが私に与えてくれた命を無駄にしないためにも、私は早く元気になろうと頑張ったのだ。
「なんでうちの子が死んだのにあんたは生きてるの!」
だからリハビリの最中、知らない人に言われた時とても恐ろしかった。
もしかしたら、私が生き残ったのは間違いだったのでは、そんな風にさえ考えた。
それでも、家族のため、心配してくれる未来のためにリハビリを頑張った。
「ごめん、ごめんねぇ…!」
私が生きたいと思う理由は呆気なく去ってしまった。
家の都合での引っ越しなら仕方ないと思った。そう思っていた。でも、本当は分かっていた。私が生きていたことを祝福してくれたのは未来であって、未来の家族はそのことで未来が危険な目にあわないようにするために、私と未来を引き離したんだって。
でも、それで未来が不幸にならないなら仕方がない。
私は自分で納得して笑顔で未来を送り出した。
学校に復帰してからは地獄だった。
「人を殺しておいてよくのうのうとしてられるな」
「税金ドロボー」
「返してよ!友達を返してよ!」
「人殺し!」
何一つ覚えのない文句が四六時中私の身に降りかかった。
学校での時間は私の心身を鑢のように削っていった。
それは家でも同じだった。
家には石が投げ込まれ、酷い言葉の張り紙があちこちに張られていた。
「お帰り」といってくれる家族は何時も疲れた顔をしていて、私がそんな顔にさせている原因だと思うと申し訳ない気持ちで胸が張り裂けそうだった。
私の家族は破裂寸前の風船だった。
そして家族の崩壊は父からだった。
父が失踪した。なんでも私が生き残ったことで、同じコンサートで娘をなくした取引先の社長の不興を買ったらしい。
その結果、父は職場にいられなくなり、行先も告げずにいなくなった。
父がいなくなった日、母と祖母が暗い顔で向かい合っていたのをよく覚えている。
次の崩壊は家そのものだった。
ある日帰ると、家が燃えていたのだ。私は呆然と燃え上る家を眺めているだけだった。
あとから調べると私の家を燃やしたのは義憤に燃えた人だったらしい。
私は何の関係もない人に、家を燃やされるほどの悪役だったらしい。
最後に崩壊したのは母と祖母だった。
全焼した家の前で呆然としていると警官の人に避難した母と祖母のもとへ連れていかれた。
なんて言おうかと思いながら二人にあった時、私は言葉を忘れた。
二人の私を見る目は家族を見る目ではなくなっていた。
『なんでこんな目に』
『おまえのせいだ』
『お前が生き残ったから』
『お前なんて生き残らなけばよかった』
目は口程に物を言う、なんて言葉があるがその通りだった。
私は引き止める警官の人を振り切って逃げだした。
もう、私には世界全てが私の死を望んでいるようにしか思えなかったのだ。
私は走った。走って走って走って、私のことを知る人がいない所へ逃げ出そうとした。
『次のニュースです。ノイズ襲撃事件のことで――』
『解説!あの日、あの場で何があったのか!』
『殺された人!仕方なかったのか?』
しかし、逃げる場所はどこにもなかった。どこもかしこもコンサートのことを取り上げて、誰もが生き残った人に対して厳しかった。
私は財布の中のお金を少しづつ使いひたすら移動した。
その場に留まると私の素性がばれるのではないか?そんな考えが常に頭の中を巡り、止まることができなかったのだ。
しかし、そんな無茶を15歳の子供がして耐えられるものではない。
ある日私は路地裏で倒れ込んでしまった。その時の私は見るに堪えないものだった。
何日も風呂に入っていない汚い体も。着替えないことでボロボロになった服も。空腹でこけた頬も。なにより疲れ切った眼も。
(ここで…死ぬのかな…)
それもいいかなと思った。もう疲れたのだ。ここで死んだら迷惑をかけると思うが、もう移動する力さえも残っていなかったのだ。
(おやすみ…)
だから私は目を閉じて眠ろうとした。最後に未来に会いたかったなぁとぼんやりと思いながら。
「おい!大丈夫か!」
だから、私を心配する声が聞こえてきたとき、嘘だと思った。
だって、いままで何度も助けてほしいと思った。初めて神様に真剣に願った。だけど、誰も助けてくれなかったのだ。
「息はあるな。それなら救急車を」
「…いらない」
だから、いまさら助けなんていらなかった。ここで朽ち果てたいとさえ思ったのだ。放ってほしかった。ましてや救急車なんて、私が助けられていい人間みたいじゃないか。
「…わかった」
だからその人に救急車を呼ばないでほしいと頼み、ついでに放っておいてほしいというと納得してくれたようだった。
私は安堵すると同時に悲しいと思ったことに腹を立てた。何が悲しいと思ったなんて、わたしは助けられないことに悲しいと思ったのだ。
私には助けられる資格なんてないのに。
「救急車を呼ばない代わりにあんたを私の家に連れて帰る」
「…へ?」
そういってその人は私をおぶさり連れて行った。
私は混乱しながらも拒否していたことだけは覚えている。
しかし、その人は細身のくせに私を軽々と背負い私に負担がかからないように運んでくれてた。
まるで幼いころのお父さんに背負われた時のような安息感があった。
それから私はシャワーを浴びせられ、さっぱりとした後におかゆを食べさせてもらった。
味の薄いはずのそれは五臓六腑に染み込んで、お母さんの料理を思い出し、私はひどい顔でおかゆをかきこんだ。
おかゆを食べた後用意されたミルクを飲むと、はちみつと砂糖の甘さがちょうどいい温度でまた泣きそうになった。
それから私はフカフカのソファーに座らされ、テレビを見ることになった。映っているのは動物の自然の生活を記録したもので、私は何度もハラハラして何度も涙した。
いい時間になると私はベッドに運ばれた。ベッドは負担をかけないようにするためだろう、下にも布団などが重ねられてフカフカだった。
その人は私をベッドに横にすると、私が眠るまで手を握ってくれた。握られた手は温かく、こんなに幸せを感じていいのだろうかと不安になった。
黙っていることに耐えられなかったのだ。
私は拒絶されても仕方ないと思いながら自分の身の上をその人に話した。
ここで罵倒されても仕方がないと思いながらも、私は拒絶されるのが怖かった。
「関係ないね。私はしたいことをしているだけさ」
だから、その人が私を罵倒しなかったことに嬉しさのあまり涙があふれた。
私はここにいても良いのだとその人は言ってくれたのだ。嬉しかった。今日だけで私は一生分の涙を流したかもしれない。
私は呪われている。そんなふうに思っていたのだが、こんなに暖かいのなら呪われていてもいいかもしれない。
そんな風に思いながら私の意識は落ちた。
おやすみなさい。