汚い餓鬼を拾ったので虐待することにした 作:クーネル・アソーブ
依存って、依存先がいないと成り立たないんですよね
汚い餓鬼を見つけたので、虐待するため拾ってきてから一週間が過ぎた。
その間、一日一回は薬品を体中に塗りたくり熱湯攻めをしたり、白いベチョベチョしたものと、私の嫌いな白い飲み物に混ぜたものを、たっぷりと食べさせた。
だいぶ効いているようだ、抵抗の意思を見せなくなり『えへへ』と声を漏らすようになった。
覚悟しろよ!これからもこの攻撃は続けていくぜ。
拾った餓鬼にやる食い物が無くなったので買い物に行こうとする。
だが、こいつは逃げるタイミングを狙っていたのだろう、私が部屋を出ようとするとダッシュをしてきた。
ドアのノブに手をかけると、腰に巻き付いて離れない、さらに頭を傾けて背中に擦り付けてくる。
邪魔者にはお仕置きが必要だ、私はヒョイと持ち上げて、ベッドに置いて全身をくすぐり続けた。
「なにをする!止めろ」とでもいっているのか『うひゃ、うひゃひゃひゃ!!』と鳴いているがやめてやらない。
それを10分ほどしていると、ぐたっとして私のベッドでダウンした。いい気味だ。
ダウンして立とうとしたときに最後の抵抗か?私の服を掴んで離そうとしなかったが、私にはまったく効かないので好きにさせてやる。
だが、抵抗は無意味だと教えてやるために、帰ったらスポンジを食わせようと言うと、恐れをなしたのか手を離した。
帰ってきて早速、四角い入れ物から取り出したスポンジを食わせる。
余程、腹ペコだったのだろう、凄い勢いで食べ始める。
馬鹿な餓鬼だ。「顎が弱くなるぞ、高級品で軟らかいからな」
そろそろ寝ようかと、電気を消して布団に入るとあろうことか、先に潜り込んでいやがった。
追い出してベッドに放り込もうとしたが、体が温かいことに気づく。
最近寒くなってきたところだ。今日からは一緒に眠ることにしよう。
side響
私がこの人に拾われてから三日がたった。
この人はこの三日間食事からお風呂までなんでも手伝ってくれた。一緒にお風呂に入るのは同性とはいえ気恥ずかしさを覚えたが、頭を洗ってもらうのは気持ちがよく、なされるがままになってしまう。
私のことを気遣ってか、出される食事はお粥のように消化のいいものばっかりだったけど、少しづつ具が増えてきている。早く料理を食べてみたいなぁ。
眠る前にはいっぱいのミルクを作ってくれた。ホッとするそれは飲みやすい温度ですぐになくなってしまい、残念だと思う。
こんな生活が続いていったらいいのにと思っていたある日、食べるものが心もとなくなってきたということで買い出しに行ってくると言われた。
行ってらっしゃいと口に出そうな瞬間、その背中を見て居なくなったお父さんを思い出して思わず抱き着いてしまった。
いきなり飛びつかれたことに驚いたようで、どうしたの?と聞かれるが私は答えられずただ顔を擦りつけている。
困ったように私を見て居たけれど、その人は抱き着いたままの私をひょいと持ち上げてベッドの上に置いて、いきなりくすぐりだした。
「うひゃ、うひゃひゃひゃ!!」
くすぐったさの余り、手を離してしまったが、関係ねぇ!とくすぐりが続けられること約十分、そこには笑いすぎて息も絶え絶えな私があった。
正直笑いすぎて体に力が入らなかったのだが、背中を向ける姿に寂しいと思い、服を掴んでしまう。違うとわかっているのだが、急にいなくなったお父さんの影が頭をよぎって不安だったのだ。
そんな私の心情を知ってか知らないか、
「ケーキを買ってきてあげるから待っててな」
と、頭を撫でながら言われて手を離した。この人は黙ったまま消えてなくならない。
そう思った私は安心して出ていくのを見送った。
とはいえ、特にすることもなく、時間を持て余していた。
ちょっと前までは家にいてもいつ石が飛んでくるか不安で気が休まらなかったけれど、その心配がなくソファーの上で寝転がる。
ふと、お母さんとお祖母ちゃんがどうなったのか気になった。
私があそこにいても何もできず、むしろ私がいることで迷惑でしかないので離れたこと自体は後悔していない。
お母さんたちも家が燃やされて私には愛想が尽きただろう。もう、あそこは私が帰るところじゃないんだと思うと、鼻の奥がツーンとした。
思わずクッションを強く抱きしめて紛らせる。
私にはもう心配する権利すらない。私がお母さんたちのためにできることはただ離れるだけ。だからこれでよかったんだ。
お母さんたちは疫病神である私が居なくなってよかっただろうし、私は私を受け入れてくれる人に出会えた。だからこれでいいはず。
なのに、どうしてだろう
「ううッ…!フグっ。うううぅぅぅううう…!」
涙が止まらない。あふれ出る涙でクッションはだんだん湿っていく。
まだ一緒だった家族、そして私のお日様だった親友の未来のことばかりが頭を占めていく。
この記憶も思いも涙と一緒に流れればいいのに。
そうしたら少しは楽になるのかなと思いながら私はただクッションに顔をうずめていた。
また考え出すと涙が出てきそうで気は抜けないけれど、とりあえず涙は止まった。
ふと手元のクッションを見ると涙と鼻水でベチョベチョになっている。
我に返ってみるとこれは不味い。クッションをこんなベチョベチョにしたら怒られる。
「ただいまー」
もう帰ってきたの!?不味い、どうしよう!
アワアワと慌てているうちに上がってきてしまう。仕方がない!と申し訳なく思いながらクッションをテレビの後ろに放り投げる。ごめんなさい、後で洗濯機に混ぜるので勘弁してください。
ちょうどテレビの後ろにクッションが隠れた時、扉を開けて入ってきた。どうやら気づいてないようだ。
私は笑って出迎えながら気づかれてないことにホッとした。
買ってきてくれたケーキは美味しかった。数種類のケーキからどれを食べようか悩んでしまう。
結局選んだのはオーソドックスなショートケーキにした。
ついがっついて食べてると微笑ましいものを見るように見られて少し恥ずかしかった。
夕食も終えて眠ろうとベッドに入る。
…眠れない。いつもなら眠気があるはずなのになぜか眠くならない。
温かいはずの布団も少し寒く感じる。体を丸めて自分の体を抱いてみるけど少しも温かくない。
どうしてだろう。
ふと、お姉さんが使っている布団が目に付く。
しばらく悩んでいたけど、我慢できずベッドから布団に移動する。うん、少しは温かくなった。
「なにしてる?」
驚いて顔を上げると不思議そうな顔で立っていた。
ええと、これはその、あのですね。
具体的な言葉にならず口ごもっていると、私を抱き上げてきた。このままではベッドに戻される!
ベッドに戻りたくないとお姉さんに強くしがみつくとお姉さんは少し固まってから仕方ないと一緒に布団に入ってくれた。
「えへへ」
胸に抱えるように抱きしめられるとお姉さんの体温と匂いに包まれて幸せな気持ちになってくる。
私はお姉さんに包まれながら瞼を閉じた。
あ、ありのまま起こったことを話すぜ
ビッキーピックアップのはずなのにユッキーが出てきた
な… 何を言っているのか わからねーと思うが
おれも 何をされたのか わからなかった