汚い餓鬼を拾ったので虐待することにした 作:クーネル・アソーブ
数々の感想ありがとうございます!時には鋭い意見も有りましてドキッとしました。
誤字脱字報告ありがとうございます。拙作を隅々まで見てもらって恐縮です。
短編ランキングに乗ったことは知りましたが、日間ランキングにまで乗った時は驚いて「ファッ!?」て声が出ました。
恐らくあと一話程度で収まるかと思いますで、どうかお付き合い願いたいと思います。
「私、何やってるんだろう…」
黙って出て行ってから三日後、私は少ししか離れていない地域の公園で黄昏ていた。
辺りに人気はない。なんでも最近不審者があたりに出没しているらしく、公園にいた人は早々に家に帰ってしまった。
小学生の家出じゃないんだからと自分の女々しさに呆れる。これでは何のために家出したのかわかったものではない。
本当なら既にもっと遠くに離れているべきなのに、後ろ髪が引かれる自分もいる。
もうすっかり寒くなった風が吹いてお姉さんに貰ったコートを着ていても体がぶるっと震える。
「大丈夫、拾われる前に比べたら寒くない。へいき、へっちゃら」
自分に言い聞かせるようだけど、本心だった。
誰も助けてくれないと思っていた。世界が私を悪者扱いしていると思った。
(でも、お姉さんがいた)
お姉さんのように助けてくれる人もいた。病院であった女性みたいに同じ苦労をした人もいる。私だけが苦しいわけじゃない。
「だからへいき、へっちゃら」
そう、平気なはずなんだ。だからもっと遠くに行ける。一人でも大丈夫。
「明日、明日の朝に遠くに行こう。うん、そうしよう」
そうと決まれば、今日の宿を探そう。私は座っていたベンチから立ち上がって公園の出口に向かって歩きだした。
私の所持金はそんなにないので、ここ三日は開いている空き家とか廃屋にお邪魔させてもらっている。前のホームレス時代になんとなく知ったことだが、二日間同じ部屋にいると不審に思われて管理人がきたり、危ない人が近づいてくるので一日ごとに寝る場所を変える必要がある。
寝床を探すのにもあまり明るい時間だと不審に思われるのでこうやって夜に探し出すのだ。
「ちょっといいかい」
なるべくきれいなところで泊まりたいなと考えながら公園を出ると呼び止められた。
振り向くと、知らない人が携帯の画面と私の顔を何度も見比べている。
嫌な予感がする。
何時でも逃げ出せれるようにしていると、その人は携帯の画面を私に見せてきた。
そこに映っているのは賞金とわたしの顔写真だった。
「きみ、立花響ちゃんだよね?一緒に来てもらえるかな?」
その言葉を聞いて、私はわき目も降らずに逃げ出した。
「なんで、なんで私の写真が出回っているの!?」
無茶苦茶ん走り回って人気のない一角の路地に入り、誰も追ってこないことを確認してから壁に手をついて足を止めた。
いきなり全力で走ったから私の足はがくがくだった。
本当なら一度休憩を取りたいけど、また追ってくるかもしれない。
「どうして私の写真が出回っているんだろう?」
私の写真が出回るようなことって…。
「貴方のことをニュースで見たわ。家を燃やされ、行方不明になった女の子として」
…あった。病院であった女性は私のことをニュースで見たって言っていた。
つまり、世間の人は私のことを知っているわけだ。コンサートの生き残りの悪者として。
さらに深く考えれば私が保護者から離れている弱い立場だって言うことを。
「明日この町を出ようと思ったけど、今から出てった方がいいかな」
そう考えると、この町にいることは不味いかもしれない。かと言って、公共交通機関のような人が多い所を利用するのもまずいかもしれない。
今まで大丈夫だったのはお姉さんに匿われていたことと、一緒にいてもらったことで意識から外れていたからだったとしたら、今の私は世間の人が考える「身寄りのないコンサートで他の人を押しのけて生き残った悪者」と言うことになる。
そう考えると辻褄が合う。ついさっき声をかけてきた人の画面は「生き残った悪者リスト」か何かで、私を捕まえることで貰える賞金が目当てなのかもしれない。
私に賞金を懸ける人なんて五万と居るだろう。何しろあの事件で一万人がなくなったのだ。その家族や友人のように親しいものなら何倍にも数が増える。
そして彼らのフラストレーションの向かう先として、メディアに露出している私は格好の的だろう。
「どうしよう…」
困った。私はどうするべきかわからなくてその場に座り込んでしまう。
一刻も早くここから離れるべきだ。ここから離れて誰も私を知らない所へ行くべきだ。
でも、誰も私を知らない所なんてあるんだろうか?
私のことは写真付きでニュースに流れた。ついさっきの人みたいに賞金目当てで私を探している人もいるだろう。
「まるで指名手配犯みたい」
自分で言っておきながら、なるほどと思えるほど的確な言葉だと思う。
そして自分で納得するほど私は犯罪者なんだなぁとも思ってしまった。
「こんなとこで何しているのかなぁ」
自分で言ったことに凹んでいて、私はその人に気づかなかった。
顔を上げると同時に私はその人に腕を捕まれた。
「…ッ、離してください!」
男の人の力で捕まれた腕は痛くて、離してもらおうと引っ張っても離れなかった。
「こんな時間に女の子が路地裏で座っているなんて、危ないなぁ。最近は物騒なんだよ。例えばぁ」
ガッ!
「ヒっ!」
私の顔の横に突き刺さる何かに体が固まる。横目で見るそれは日常ではめったにお目かかれないごついナイフだった。
「刃物を持った変質者に襲われたりするからねぇ!」
怖い。恐い。コワイ。
私の頭は真っ白になった。誰かに迷惑をかけて不幸にするかもしれないと思ったときも怖かったけど、今感じている怖さは純粋な命の危機の怖さだった。
「いいねぇ~、その恐怖にゆがんだ顔。その顔が見たかったんだよねぇ」
自分では見れないけど、私の顔は恐怖にゆがんでいるらしい。
私にわかるのは体が恐怖で動かないことと歯が鳴っていることぐらいで、後は頭が真っ白だった。
「うん?君どこかで見たことあるなあ?」
その言葉に再起動する。もしこのまま私のことがばれたら…!
「離せェぇぇぇぇえ!」
「って、ちょっと危なっ!」
横に刃物があることも気にせず思いっきり体を動かして脱出しようとする。
私が急に刃物も気にせず暴れだしのに驚いたのか手を離したのだ。男から離れようと私は全力で走りだそうとした。
「にがさないよぅ」
いきなり足が熱くなって走れなくなった。何が起こったのかと熱くなった自分の足を見てみると赤く滲んでいる。
血だ。私は足を切られたのだ。
認識すると痛みが襲ってきて、私は悲鳴を上げた。
「思い出したよ、君立花響だろ?」
男は切られた足を押さえている腕をぐりぐりと踏んできて、思わず悲鳴を上げる。
「と言うことは、君を守るモノなんて誰もいないってわけだぁ!これはラッキーだ。日頃の行いのたまものかなぁ」
男は私から足をどけて嬉しそうに嗤う。
このままでは何をされるかわからない。けれど這ってでも逃げなければいけないことだけは分かる
「逃げたらだめだよぉ」
「は、離して!」
逃げようとする私に男は馬乗りになって私を切ったナイフに舌なめずりをしている。
「大体、逃げてどこへ行くっていうんだい?」
「どこへ…」
そうだ、どこへ逃げればいいんだろう。
「こんな時間にこんな人気のない路地に座り込んでいたってことは、君が行く場所がないってことだろう!さぁ、どこへ行くっていうんだい?」
嬉しそうに言われた言葉に体から力が抜ける。
変質者に言われる言葉ではないと思うが、私には反論できなかった。
だって、言う通りだったから。家族からは私が邪魔だからと逃げ出して、受け入れてくれたお姉さんのとこからは迷惑をかけるからと逃げ出した。
私は次誰に迷惑をかけることになるんだろう。
(もう、いいか)
そう考えると体から力が抜けて楽になった。
頭上で何か喚いている事もどうでもいい。私が何の反応もしないことに苛立っているのか男はナイフを見せつけてくる。
(でも、叶うなら――)
そしてナイフを振りかぶって
(お姉さんに別れの挨拶だけしたかったなぁ)
男は吹き飛んだ。
「…えっ?」
何が起こったんだろう。
ついさっきまで視界に映っていた男は視界から姿を消した。何か黒いものが男にぶつかって吹っ飛ばしたことだけは見えた。
体を起こしてみると男は離れたところで顔を押さえながらゴロゴロ転がっている。
そして、手前にはバイクに乗っている人がまるで壁になるように立っていた。
その人はヘルメットを外し…て……。
「探したぞ、馬鹿餓鬼。」
聞こえた声はありえないものだった。だって、私は家出をして、探す理由なんてどこにもなくて…!
「とっとと帰るぞ。帰ったらお説教だ。生きることだけじゃない。幸せになることも諦めなくてもいいって言うことをしっかりと教えてやる。」
笑顔を見せながら言われた言葉に涙が溢れる。足の痛みもついさっきまでの無気力ももう感じはしない。感じるのはヒーローが現れた安心感だけだった。
神様がいるならひどい人だと思う。普段は私の願い事をかなえてくれない癖にここぞとばかりに私の願い事を叶えてくれるのだから。
執筆している人は陽ち度は味わったことがあると思います。
ほかの作品を思いついて書きたくなることが。
あぁ~~。他のネタも書きたい~~。
武装錬金とかシンフォギアと親和性高いと思いません?
誰か書いて…