東方狩猟日記   作:犬兎

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「紅霧の森」は私が以前「小説家になろう」さんで書いていた東方幻想夢のオリジナル設定。ホントなら第三期のラスボス戦で登場する予定だったエリアです。
今後はますます新エリアやオリジナル設定の登場人物が出てくるので、その辺がお好きでない方はこのあたりで読むのやめておいたほうがいい気がする・・・。
警告はしたので、今後は自己責任ということでお願いします。
では、本編いってみよう。


雷狼竜ジンオウガ

 ジンオウガ。幻想郷の東の果てに位置する博麗神社の山周辺にしか生息していないという幻のモンスターだ。もとよりその生活圏は人間が立ち入るような場所ではなく、主な生息地であるはずの博麗神社のギルドですら討伐依頼が来ることが稀であり、ましてや博麗神社から遠く離れた紅霧の森に近付くことすらありえない。ククリは「そんな冗談」と笑って返すが、フランの表情は一切変わらない。真顔で「この奥にジンオウガがいる」と呟き、そして歩き出した。

 

「あ、あのっ、フランさま?」

 

 紅霧はモンスターの力を強化する。―――放置してジンオウガが紅霧の影響を受けてしまったら、新人くんたちが餌食になるかもしれない。フランは面倒なことになったな、と小さく息を吐いた。そして「ククリはもう帰っていいよ」と言う。しかし、ククリは首を横に振り「これも契約ですから」と苦笑い。

 

「ジンオウガの素材があれば、さぞかし素敵なドレスが作れますよねぇ」

 

「あなたのそういうたくましい所、大好きよ」

 

 そして二人はジンオウガの作った獣道を進み、紅霧の森の奥を目指す。

 十分ほど歩いた場所に、少し開けた場所があるのを発見したフランは「休憩しましょう」とその辺に腰掛けた。その辺にジンオウガがいるかもしれないというのにのんきなものだとククリはため息ひとつ、「大丈夫なんですか? ここ」とフランに問いかける。するとフランは大丈夫だよ、と自信ありげに頷いた。

 

「スカーレット家の聖地なのよ。そんな場所でこの私に手を出そうだなんてバカは、よそ者くらいしか存在しないわ」

 

 それはつまりジンオウガなら襲ってくるかもしれないということか。ククリがフランにぴったりとくっついて座ると「そんなにくっつかなくてもちゃんと守ってあげるって」とククリの体を抱き寄せた。

 

「えへへ」

 

 しかし、その直後、フランは何者かの気配を察知して立ち上がった。気配に気付かないククリは「どうかしましたか」と問いかけるが返事はない。息を呑み、フランはレーヴァテインを抜刀する。

 とんでもない霊力。桁違いの敵が来る。

 先手を打つ、とフランは咄嗟にレーヴァテインを地面に刺し、武器を変更する。紅霧のエネルギーがフランの右手に集約したかと思うと、刹那に大きな弓を形成する。

 

「下がって! ―――スターボウ・ブレイクっ!!」

 

 破壊のエネルギーを纏う矢が森の奥に放たれる。矢は着弾と同時に爆発して命中を知らせる。刹那にレーヴァテインに持ち替え、少しずつ近付いてくる足音を待ち、時を見て一気に走り出す。

 

 森から飛び出してきたのはジンオウガ。しかし、ジンオウガの前を走る少女の姿を目の当たりにし、フランは一瞬攻撃をためらった。

 

「なっ、子供っ!?」

 

 ジンオウガの突進攻撃。レーヴァテインを盾にして受け止める。少女は振り返ることなくフランとすれ違い、そのままククリのほうへと向かっていく。フランは「保護してあげて」と叫んだ。その刹那に、突進の直撃を受け、その体は宙に舞う。

 

「フランさまっ!」

 

 空中でくるりと身を翻し、そのまま突き抜けようとするジンオウガの背中に一太刀浴びせると、その威力の強さにバランスを崩し、ジンオウガは転倒する。フランはククリが少女を保護したことを確認すると、うんと一回頷いた。それだけで意味を悟ったのか、ククリは少女を抱きかかえ、来た道を引き返す。それを追おうとして起き上がったジンオウガ。しかし、それをフランが阻む。

 

「待ちなさいよ、死に損ない」

 

 ―――息は荒く。瞳は潤み、体がとても熱い。理性が上手く保てない。抑えられない感情が私の脳を支配していく。

 

「どうせ死ぬなら、気持ちよく死にたいでしょう?」

 

 ―――震え上がるほどに全身が疼く。切ない気持ちになる。胸が苦しい。あの血を舐めたときから、ずっと続いていた。生臭くどろりとした獣臭い血の味が忘れられない。今、目の前にいるこいつの血の味を。

 

「私、今お腹がすいているの」

 

 ―――こんなに興奮したのは、久しぶり。もう、誰にも止められない。

 

「―――食べちゃっても、かまわないよねぇ」

 

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