東方狩猟日記   作:犬兎

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ナルガの尻尾叩きつけは痛すぎると思います。
あれで何度死んだことか・・・。

では、そんな感じで第二話です。


はじまる異変

 

 少し経った後、ナルガクルガの体が精霊の木の広場まで運ばれてきた。妖精とアイルーたちの力だけでよくやるなぁ、と思うチルノ。妖精とアイルーががんばっている姿を眺めているだけの彼女を見て、少女は「何ぼーっとしているのよ」と背中を叩く。

 

「さあ、お仕事よ」

 

 黒い毛皮は町で売る。牙や爪は武器にするだけでなく妖精たちの装飾品になる。肉は今日の夕飯に使い、残ったのは保存食。大きな体のモンスターの解体作業ともなれば、それだけ労力も必要だ。

 アイルーと少女は休む暇なくナルガクルガの体を切り分けて運んでいく。妖精たちは食料となる肉の下ごしらえに忙しそうだ。チルノは何をしようかと思案しつつ椅子に腰掛け、台の上に置いてあるナルガクルガの尻尾を撫でていた。そんな作業の途中、チルノはふと妖精たちの噂話を小耳に挟んだ。

 

「ねえ、知ってる? 妖怪の山にランポスの群れが現れたんだって」

 

「へぇ。あの辺はてっきり飛龍の巣だと思ってたのに」

 

「なんでも、紅魔館の集落で大規模なランポス狩りがあったらしくて、その生き残りが妖怪の山に逃げ込んだみたいだよ」

 

「紅魔館は小物狩りが好きだねぇ。まあ、湖の周辺には草食のモンスターしかいないって話だし―――」

 

 ランポス。小型の肉食鳥竜だ。凶暴な性格で人を襲うことはあるものの、巨大な飛龍に比べれば雑魚ともいえる存在だ。あれくらいなら私にも退治できるかもしれない。チルノはうんと頷き、おもむろに立ち上がる。しかしいつの間にかチルノの背後にいた少女に手を引かれ、再び椅子に戻される。

 

「まさかランポスを狩りに行く気じゃないでしょうね?」

 

 図星であった。目をそらし、冷や汗をかきながら「そんなわけないよ」と歯切れ悪く言うチルノに「相変わらず嘘がつけない子ね」と少女が呆れる。

 ランポスといえど、相手はモンスター。ハンターでもなければ戦闘経験もない素人が簡単に勝てるような相手ではないのだ。少女はじっとチルノの眼を見つめて「遊びじゃないのよ」と諭す。しかしチルノは既に決めていた。一人でランポスの群れをやっつけて自分の力を試そうと。敵は言ってしまえばただのトカゲ。爬虫類は冷気に弱いはずだから、氷の力を使って動けなくしてしまえばいい、なんて安易に考えていたのだ。姿かたちは大人になっても、しょせん妖精は妖精である。

 

「冗談で言ってるんじゃないのよ」

 

「大丈夫。分かってます」

 

 でもチルノの頭の中は既にランポス狩りのことでいっぱいになっている。この子は昔からそうだった、と少女は思い返し、どうしたものかと頭を抱えていた。

 

 

 

 その頃、地底では地霊殿の主、古明地さとりが頭を抱えていた。

 

「さとりさま! やっぱり灼熱地獄の温度が上がりません!」

 

 地獄の釜の見張り番、霊烏路空が涙目になりながらさとりを見つめていた。しかし状況や原因が分かっていても、それが解決する方法がないことをさとりは知っている。

 

「このままじゃ、地底全体が寒くなってみんな冷凍食品みたいになっちゃうよ!」

 

 旧地獄の中心に落ちてきたあの化け物。あれがなくならない限り状況は変わらない。このまま地底が凍りつくか、あるいはこの事態を解決する方法を探していち早く地底を脱出したお燐が打開策を見つけるか。

 寒さに身を震わせながら、さとりはあえて笑顔で振舞って見せた。

 

「なんにせよ、とりあえず冬物のコートでも着込んだほうがよさそうね」

 

 




今回のチル姉は賢さのほうが少々残念な様子。
でもそれには理由があるのです。

ブログとか読んでる人はもうなんとなく分かってると思うけど、このお話は例のエピソードそのままの展開を予定してます。

でも例のおっさんは出ないのであしからず。
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