東方狩猟日記   作:犬兎

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地底への侵入

 

 妖怪の山の麓。チルノは文に言われたとおり木の上で待機していた。地底の入り口はひとつ。その入り口によりにもよってリオレウスがやってきた。そこで文は自分がリオレウスを引きつけるから、その間に地底の入り口へ向かうようチルノに告げて陽動開始まではここで待機するように言ったのだ。

 とはいえ、冷静に考えれば単に文が冷え切った地底に行きたくないだけではないのだろうかという気がしてくる。だが、確かに今のチルノにはリオレウスを引きつけることも戦うことも出来ないため、適材適所といえばそれまでだった。どうあがいても結局自分が地底に行くことになるのだ、今はやれることだけ考えよう。チルノはじっとリオレウスの動きを見つめ、その時を待っていた。

 

「よし、回復完了! 天狗、空と地上から挟み撃ちにするよ!」

 

「何でいつの間にか上下関係が決まってるんですかっ」

 

 回復薬で傷を癒したお燐は、文の足に掴まりながら叫ぶ。そして飛び降りると同時に一気にリオレウスの元へ迫った。

 

「属性なんて関係ないのさっ!」

 

 刀を抜き、リオレウスの火球を切り払う。お燐の攻撃を回避しようと飛び立とうとするリオレウスだったが、文が上空から矢を放ち、その動きを封じた。

 

「いかに空の王者であろうとも、私の邪魔をさせはしませんよ」

 

 リオレウスの頭をお燐の太刀が直撃した。一撃で頭は砕け、リオレウスは怒りの咆哮を上げる。今ならいけるかとチルノは一気に飛び出した。

 しかし、タイミングが甘い。咆哮のあまりの激しさに咄嗟にチルノは耳を塞いでしまった。

 

「バカっ、あいつ・・・」

 

 文は自分に攻撃をひきつけようと矢を放ってリオレウスを陽動しようとする。だがリオレウスもチルノの気配に気がついたのか、標的を彼女へと変更した。

 

「しかも予想通りですかっ!」

 

 もう閃光玉は持っていない。一気に距離を詰め、どうにか動きを止めようと攻撃を集中させる。お燐も再度接近し、リオレウスの足に一撃を加える。しかし、その足は止まらない。

 

「チルノ! 逃げなさい!」

 

「ち、地底の入り口にっ」

 

 チルノは一直線に地底の入り口である洞窟へと向かう。そのすぐ後ろにはリオレウスが迫っていた。チルノが一気に洞窟へと入り込むと、その勢いのまま、リオレウスも洞窟へと突入した。しかし、洞窟の入り口は狭く、とてもではないがリオレウスに進入できるものではない。洞窟の入り口に頭だけ突っ込んで、そのまま動かなくなった。

 

「あちゃー・・・唯一の地底の入り口になのに」

 

 参ったことになったねぇ、とお燐は笑う。

 

「生きているんでしょうか、リオレウス」

 

「いや、首の骨が折れているねぇ。これはさすがに死んでるのさ」

 

「と、とりあえず天狗の里に行ってアイルー作業部隊を呼んで来ますっ」

 

 さて、これであいつを何とかできる奴を見つけ出しても地底に連れて行くことが出来なくなってしまったのだが。少し考えて、お燐はまあいいかと呟いた。

 

「一番の適任者が、地底に行ったみたいだし」

 

 ―――それにこちらも手を貸している暇なんてなさそうだ。

 

「天狗。里に戻るのは後にするのさ」

 

 空を見上げるともう一匹、火龍の姿がある。そしてそれは突如としてお燐に襲い掛かったのだ。

 

「こいつを退治しないと作業なんてできやしないのさ」

 




ゲームと違って、モンスターはあっけなく死んでしまいます。
まあ実際、生き物なんてこんなもんだよね。

あと、この世界の幻想郷にはアイルーがいます。影薄いけど。
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