東方双子録   作:セメダイン広住

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三話 博麗の過去

 

「......」

 

手が震えている

動機が激しい

 

目の前の事実に私の頭は真っ白になっていた...

 

「霊夢の妹が...私?...」

 

博麗の家系図に書かれている霊夢の名前の横には確かに 妹・魔理沙 とかかれていた

だが当然そんなのは知らない。私は一人っ子だ、少なくともそう育てられてきた 親父には母親は私が幼い頃に病気で死んだと聞かされていた。

 

「一体これは...」

 

全く思考が追い付かない

果たしてこれは事実なのか それとも誰かの悪戯なのか

とりあえず家系図を元に戻そう...そう思い 私は急いで巻物を木箱に戻す...

「と、とりあえず香霖にでも話を...」

 

「見てしまったのね」

 

不意に後ろから声がかかる

それは聞き覚えのある声だった

 

「紫...」

 

声の主は八雲紫 幻想郷の創設者の一人だ

 

「...よりにもよって貴女に それ を見られてしまうなんて」

 

この時の紫の悲しそうな顔は今後忘れることは無いだろう

 

「ゆ、紫 この...家系図に書かれていることは本当なのか?」

 

声が震えている この時の私は紫に「違う」と言って欲しかったのだろう 安心が欲しかったのだろう

しかし、紫の言った言葉は私を余計混乱させた

 

「.....その家系図に書かれていのは嘘偽りの無い真実 魔理沙、貴女は霊夢の実の妹よ」

 

何も言葉が出てこない

霊夢が姉...私が妹...

 

「.....どういう事だ」

 

無意識に紫を睨んでいた

真実にしても何故今まで黙っていたのか これが事実なら私は幼い頃に捨てられ人里の道具屋の一人娘として養子になったと言うことだろう

 

「勘違いしないで 別に貴方は捨てられた訳じゃないわ」

紫は人の心を見透かしたように冷静に言った

 

「じゃあ説明してくれよ...何で私と霊夢が姉妹なんだ」

 

「....分かったわ けどその前に博麗の歴史を話す必要があるわ」

紫はそのまま博麗の過去について話を始めた

 

 

「幻想郷が出来たのは今から500年以上前 出来たばかりの頃は弾幕ごっこは愚か博麗神社すら無かった。私は妖怪と人間がバランス良く生活できる生活を夢見て幻想郷を作った。」

 

「.....」

 

「でも現実はそうはいかなかった、知恵のない妖怪達は無差別に人間達を襲い殺した。そしてどんどん人間達は減って行った...このままでは妖怪だけになってしまう そう思った私は外の世界から一人の巫女を連れてきた。それが初代博麗の巫女」

 

...坦々と話を聞いているが全て初めて知った

幻想郷の事はある程度知っていたつもりだったが初代の博麗の巫女が外の世界の住民だなんて霊夢の口からも聞いたことがない

 

「...さて、ここからが博麗と貴方の関係についての話になるわ」

 

紫は私の目を見つめ少し悲しそうにそう言った

 

 


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