「駄目だ。もう助からない」
「バカ!まだ息があるんだ、手を止めるな。今すぐ追加の輸血を持って来てくれ。くそっ、左の肺に肋骨が刺さってやがる」
「患者の心拍数が低下しています」
「ちくしょう!打つ手なしかよ!ご両親への連絡は」
「駄目です。上からは、死亡を確認してから外部への連絡を要請しろと」
「クズが。親は子供の死に目にも立ち会えないのかよ」
「あの~、よければ私が代わりましょうか?」
手術室の扉を開けて現れたのは頭にボルトの生えた少女だった。執刀していた医者が急に顔色を変える。
「ふらんさん!良かった、あなたがいれば安心だ。すぐに代わってください。患者は非常に危険な状態です」
「状態は」
「出血が酷く、左肺に肋骨が刺さり呼吸も弱く、臓器の一部が機能を停止しました」
「・・・う~ん。これならアドレアが必要になるな、今すぐに手術室の外にいる包帯を巻いた女性を連れて来て頂戴」
すぐに男が一人手術室を出ていき、すぐに顔に包帯を巻いた女性を連れてくる。そして、手術室からふらん、アドレア以外の人を出す。二人っきりの手術室で、患者の途切れ途切れの呼吸音と機械の音だけが聞こえる。
「じゃあ、すぐに取りかかるから。アドレアは左肺と膵臓、肝臓、小腸を用意して」
ふらんがそう言うとアドレアはコクンと頷き、体に巻かれた包帯を解く。アドレアの体には無数のチャックが付いている。チャックを開き、アドレアは言われた通りの臓器を体から取り出す。そして、臓器をフランに渡し、ふらんはそれを手際よく開腹して損傷の激しい臓器を抜き取った患者の体に移植する。後は縫合して全て万事終りなのだが、ふらんはふとした拍子に患者の顔を見る。今まで大して気にもしなかったが、患者の顔を凝視しそして驚きの声を上げる。
「あっ。佐天さんじゃないですか。奇遇ですね、こんな所で会うなんてって彼女は今、意識が無いんだった。この様子を見ると車に撥ねられたようですね。それに、右手に犬の毛を握りしめてる。正義感の強いあなたらしい事故です、ううう」
ふらんが情報交換と観光によった学園都市で最初に出来た友人、佐天涙子は妹のヴェロニカとアドレアと一緒に道に迷っていたふらんを助け、短い時間だったかヴェロニカやふらんの良き親友だった。
友人の不幸に涙を流すふらん。そして、ふらんは固く決意する。
「レベル0で淋しい思いをしていた佐天さんに、私から出来うる限りの援助をさせていただきます。再生機能と軟体機能と筋力増加剤にゾウを一瞬でマヒさせる猛毒の仕込み武器をつけて・・・・・・・・・・・・・・よし!完成」
見た目こそは元の佐天涙子と同じだが体の中に凄まじい数のふらんによる拡張手術を受け生まれ変わった、新生佐天涙子が誕生した。汗をぬぐい、達成感に酔いしれるふらんの元に妹のヴェロニカが息を切らして駆けこんでくる。
「どうしたの、ヴェロニカ」
「がががガブリールが、天使博士を脅して私とふらんを学園都市の学校に編入させたって沖田から連絡が」
「ガブリールが!一体、どんな意図が・・・」
「・・・・・・あれ?」
「佐天さん!気がつきましたか。ご気分はどうですか」
「おかしいな?私、車に撥ねられたのにピンピンして・・・あれ?ふらんさん?それにヴェロニカちゃんにアドレアさんも」
「私は医師ですから。それでは、私は少しばかり用が出来てしまったのでここで失礼します。なにか、悪い所がありましたらこのホテルに来てください。無償で治療しますから。それでは」
そういって佐天を残して三人は急いだ様子で手術室を出ていく。佐天は何が何やら分からない顔で三人を見ていた。そして、手術台を降りようと手すりを握った時、その違和感に気付いた。
「あれ?この手すりが柔らかい、バター見たい」
佐天が体重をかけた手すりは佐天の握力と筋力で捩じり曲がっていた。
「なに、これ」
知ってる人は知っている名作漫画フランケン・ふらん。あまりの二次創作の少なさに、ついやってしまいました。