フランケン・さてん   作:人外牧場

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Proof of the monster

佐天は厳重に警備された護送車に乗せられる。能力を封じる手錠をかけられたが、佐天がその気になれば手錠どころか護送車に穴を開けて逃げる事も出来る。それをしないのはまだ佐天に人間の良識が残っていたからだ。護送車に乗り込んだ佐天を先客が出迎える。

 

「よお。また会ったなクソガキ」

 

 手錠を幾つも付けてそれをまるでアクセサリーの様に見せつけるガブリールがへらへらと備え付けの座椅子に座って佐天を呼び込んだ。

 

「ガブリールさん・・・どうして」

 

「オレに突っかかってきたドブネズミ共を軽く払っただけだってのに面倒な事だよ。そう言うお前はどうしたんだよ」

 

「・・・・私も同じです」

 

「ギャハハハッハハッハハハ!良いだろ、暴力は。力がこの世界の秩序だ。好きな時に好きなように生きられる、それが力のある者の特権だ」

 

「・・・・・私は、そんな」

 

「怖がんなよ。人間は狩猟民族なんだ。誰にだって闘争本能はある。それをお前は解放しただけだ、どうだ?めでたく人間を卒業した気分は?体中いじくり回されて痛みも何も感じなくなった感想は?」

 

「・・・・」

 

「なぁ、オレと一緒に来ないか?力も酒も金も自由も差別も何もねえ、欲望と怨恨渦巻く裏の世界にな」

 

「・・・・・・・・」

 

「ッチ。てめえも結局良い子ちゃんかよ。あ~あ、白けちまった。てめならオレの破壊欲求を満たしてくれると思ってたんだがな」

 

 まるで紙を切るように手錠の鎖を引きちぎったガブリールは強引に護送車の扉をブチ開け道路に飛び出る。その光景を佐天は他人事のように横目で見る。前の運転席からけたたましく無線が流れる。実弾の携帯や特殊兵装の許可といった単語が聞こえた気がするが、気にも留めない。

 心の中でガブリールの声がリフレインする。

 

 「お前は闘争本能を解放しただけだ」

 

 「力がこの世界の秩序だ」

 

 「好きな時に好きなように生きられる。それが力ある者の特権だ」

 

 友人のある日に言われた言葉が脳裏をよぎる。

 

 「レベルなんてどうでもいいじゃない」

 

 「佐天さんは欠陥品なんかじゃありません」

 

 酷く薄っぺらでちんけな言葉だろうか。コキと掛けられた手錠の鎖を千切る。目の前を見る、よく磨かれた鉄板の背もたれにはまるで怪物の様な笑みを浮かべる自分がいた。

 さて、新たな自分の歓迎をしていなかったことを思い出す。どうせなら派手な方が良い。ガブリールには無い鋭敏な聴覚をフルに使いエンジンのありかを見つける。そして、そこに無造作にパンチを繰り出す。いともたやすく床は貫かれエンジンは今の一つ突きで風穴が空いた。そして、間もなく車は横転し街灯にぶつかり炎上する。幸い、運転とサポートをしていた人物は横転した時に外に投げ飛ばされ軽い撃ち身で済んだが、車の中にいた佐天は取り残されたまま街灯にぶつかり車は爆破、炎上する。佐天の生存は絶望と思われていたが、炎上する車の残骸を振り払って人影が現れる。そして、影は高らかに笑う。胸を満たす高揚感に、そして知らず知らずの内に自分を追い詰めてきた親友たちとの決別の意思表示に。炎をバックに狂ったかのように笑い続ける佐天を見て、アンチスキルの誰かが呟いた。

 

 

   「化け物だ」と 

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