フランケン・さてん   作:人外牧場

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Sacrifice is inherent in justice

 鼻歌交じりに路地裏をスキップで歩いていく。最近始めた人助けは、心に僅かの潤いを与えてくれえる。誰にも知られないけどそれで誰かが不幸にならなければそれでいい。そう思っているとお待ちかねの獲物が出てくる。その数15。前から後ろから現れて佐天を囲む。

 

「てめか!俺らの仲間を次々と病院送りにしてるやつは!よっぽど死にてえみたいだな。お前ら、こいつボコれ、終わったら楽しい薬漬けレ○プだ!」

 

 オオ!!と男たちから野太い声が上がりいやらしい手つきで佐天につかみかかる。男の手が佐天の肩にかかったとき男は突然うずくまって痙攣しだす。仲間がどうしたと男を抱えたとき男が倒れた原因が分かった。倒れた男の股間が血で真っ赤に染まっていたからだ。男のズボンの裾からぼとりとアルモノが落ちる。佐天を除く全員が言葉を失う。誰も知らないうちに仲間の大事な物が切り落とされた。不用意に近づけば次ああなるのは自分だ、と戦意を喪失しかけたときリーダー格の男が佐天の前に出る。

 

「面白い能力だな。肉体強化かそれとも念能力か、俺の知らない別の能力か。どっちにしろ俺の大切な義兄弟の男を潰されたんじゃ黙ってられねえ」

 

 かなり大きい身長は2Mは優にあるだろう。それに見合った筋肉も十分にある。私の攻撃を見ても動じないのは、十分な実戦経験とそれだけの力がある証拠だろう。

 男はポキポキと拳を鳴らし。能力を使う。Tシャツが筋肉の膨張で弾け飛び、穿いていたジーンズがピチピチになる。

 

(肉体強化か。ま、これでいいでしょ)

 

 佐天は小さめのギロチンの刃を取り出し男の胸に突き刺す。しかし、ギロチンは男の肌を浅く傷付けるだけで刃が男の筋肉に食い込み佐天が引き抜こうとしても抜けなかった。そして、男のパンチが佐天の腹部に突き刺さる。肺の空気が一瞬で全て抜け、新たな空気を取り込もうとしても押しつぶされた肺は酸素を拒んだ。

 

「そぉら上がりだ」

 

 男がパンパンと手を払い、倒れた佐天の頭を掴んで無理やりたたせる。本当に気絶したか確認するため顔を覗き込むと奇妙なことが起こった。突然視界がグニャグニャに曲がり始める。そして地面が迫ってきたのだ。自分の足は確かに地を踏んでいる感覚があるのにすぐ目の前に地面が迫っている。そしてその答えを知る前に男は地面と激突する。

 

「ふぅやっぱり体が大きいと効くのも遅いなあ。大型犬なら一発で動けなくなるのに、大したものだよ」

 

 スカートのゴミを払って何ともない様子の佐天が倒れた男の頭を蹴飛ばす。確かに意識があるはずの男は何の反応もせず静かに地面に伏したままだ。リーダーを倒され不良たちは一目散にと路地裏を逃げ出す。佐天はポケットから財布を取り出し中を確認する。

 

「あちゃー、大きいのしかないね。わざわざジュース一本に1万はないよねえ。どうしよっかな」

 

 そう言って佐天は何事もなかったかのように路地裏を後にするのだった。

 その夜、佐天は個室に移された自分の部屋で人助けの回数を確認する。

 

「4日前にやったのは2人でしょ。で3日前が1人、2日が4人、昨日が1人、今日が2人かぁ。合計10人、思ったより進んでるね」

 

 佐天が始めた人助けはスキルアウトの駆除。しかし全員を虱潰しにするのは面倒なので各グループのリーダーを潰すことにした。効果はてき面で、今まで荒れ放題だった路地裏の幾分かは掃除ロボが入れるようになり多少は町が綺麗になった。誰も悲しまず、迷惑もかけず、街に貢献できる。ホクホク顔で佐天はベッドに横になり瞼を閉じた。

 

 

 

「は~い、メンテナンスは終了です。各部暗器等々全て問題なく稼働します」

 

「ありがとうございます。お礼に今日お茶しに行きませんか?」

 

「どうも、ありがとう。ヴェロニカもつれて行きたいんだけどいいかしら~」

 

「何の何の!ヴェロニカちゃんも誘おうとしてたところです」

 

「じゃあヴェロニカをホテルの下に呼ぶから先に待ってましょう」

 

 ふらんのホテルでメンテナンスを終えた佐天がふらんとヴェロニカをお茶に誘う。二人はエレベーターでロビーまで降りて外で買い物をしているヴェロニカを待つことにした。7分後、息を切らしてヴェロニカがロビーにつく。

 

「もぅ、遅刻よヴェロニカ」

 

「だ、だってふらん途中で不良に絡まれたから穏便に済ませようと

 

「言い訳は良くないわよ、ヴェロニカ。お仕置き」

 

「グギャアアア!」

 

 ふらんが取り出したリモコンのボタンを押すとヴェロニカが頭を押さえて悲鳴を上げる。ヴェロニカの頭にはふらんが乱闘防止やお仕置きを兼ねた装置が埋め込まれており、ふらんのリモコンの合図で装置から脳に電流が流れるようになっているのだ。ふらんがボタンを止めると、ヴェロニカが大人しくふらんの後ろをついていく。

 

「佐天さん行きましょう」

 

 正直見慣れた光景なので気にせずホテルを出て行く。3人で行くのは最近見つけた穴場だ。目立たないところでひっそりと建っており、辛気臭い見た目だが店主が有名店で修業したらしく腕前は一級品だ。

 ふらんと佐天がモンブランを頼みヴェロニカがアップルタルトを注文し店内で食べる。3人とも改造人間で、そんなに味覚もないが甘いものは好きらしく色々と注文し、店の奥のいかつい店主はニコニコしながらケーキを作っていた。最後に紅茶を頼み楽しく談笑しているところで、割り込んできた人がいた。御坂美琴だ。店に入るなり佐天の胸倉を掴んで、うるさい金切声で何かを叫ぶ。佐天は楽しいお茶会が邪魔されたのと、うるさい声に御坂の言っていることなど何一つ聞いてはいなかった。

 

「あんたが最近のスキルアウト狩りの犯人ね」

 

 佐天が唯一聞き取ったのはそこだけだった。

 

「あ~、そうですよ。御坂さん」

 

「・・・ぶっ殺す」

 

 そういって御坂さんは私の胸倉をつかんだまま店の外に投げ飛ばす。当然ガラスは割れ、店主が飛び出てくる。そんなことなどお構いなしに御坂さんは馬乗りになって私の顔を容赦なく殴りつける。妙に痛いと思ったら御坂さんは拳に砂鉄を纏わせて即席の鋼鉄グローブをつけて殴っていた。そりゃ痛い。さすがに止めてほしいと腕を掴んだら、今度は電流を流してきた。これまた当然馬乗りなのだから電流は私にも流れ、たぶん結構本気で流した電流は私の表面をこんがりと焼くが焼くそばから再生していき、何の痛みも感じなかった。

 

「あんたの所為で何人もの人が迷惑してんのよ!病室はスキルアウトで一杯、みんなトラウマを抱えちゃってふつうに生活もできないのよ」

 

「それがどうしたんですか。今まで迷惑かけていたツケが一気に来ただけじゃないですか」

 

「佐天さん、あなたは」

 

「そういう御坂さんも迷惑かけてるじゃないですか。しってますよ、あのツンツン頭の人に砂鉄剣やらレールガンやら撃っていつも学園都市の電気おとしてるじゃないですか。その所為で死んだ人もいますよ、絶対に。ただ御坂さんがレベル5だから許されてるんですよ。これだから能力者は、自分の能力に責任が持ててないんですよ」

 

「あんた性根まで腐りきったわね!」

 

「腐らせたのは、アナタだ!!」

 

 掴んでいた御坂さんの腕を握りつぶす。パキンと乾いた音とともに今度はゴムボールを握りつぶす感覚が伝わる。御坂さんは右腕を押さえて泣きながらうずくまる。立ち上がりその様子を見ながら私はギロチンを取り出し御坂さんの首に当てる。

 

「まだ生かしといてやる。次つまらない理由で私に関わるならお前の家族親友全員ぶっ殺してやる。分かったか!」

 

 怒りを込めてそう叫ぶと御坂さんは目じりに涙を流しながらフルフルと首を縦に振る。私はギロチンを仕舞いふらんさんとヴェロニカさんを連れて店を後にする。

 後でふらんさんに聞いた話だが店の弁償と口止めはふらんさんが全部してくれていたそうだ。たった4千万で引き受けてくれたとふらんさんは笑っていたがこの人がとてつもない富豪だということに私は今日一番の驚きをした。




6話 正義に犠牲は付き物だ

 ちなみに作中のギロチンはすべて刃だけです。
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