転生して運び屋アイルーに就職した 作:名もなきカヤンバ
ハンター、それは誉れ高き職業であり、同時に最も死に近い職業といえる。 火を噴く竜や山に例えられる龍に戦を挑むのだから、そこには死が付きまとって然るべきだ。
モンスターの狩猟には当然、依頼主やギルドやハンターをフィールドまで送り届ける御者なども関わるが、その中でもハンターに次いで殉職率が高い職業は何だと思うだろうか?
正解は、そう---運び屋アイルーである。
「退けぇぇぇぇぇぇ!! 運び屋アイルー様のお通りだぁぁ!!」
「グオゥ!?」
「ああっ! 兄貴の突進がドボルベルクを吹き飛ばしたニャ!?」
これは、そんな運び屋アイルーに転生した俺の物語である。
♢
「我輩は猫である。 名前はまだない。」
「いきなりどうしたの? マックスくん?」
「いや、猫ならやっておかないといけないと思って…」
厳密に言えば少し猫とは違い、マックスという名も持っているが猫の独白と言うのは『我輩は』から始まり『まだない』で終わると相場が決まっている。
残念ながらこちらには夏目漱石は存在しないのでそれを理解できる人間はいないが。
「いやぁ… 平和だねぇ… っていうか、マックスくん仕事は?」
「ああ、どこぞの第三王女の依頼をメゼポルタの方から行楽旅行に来てたソロハンターが完遂してな。 あのクエストの為に7日間も火山で車を転がし続けたってことで、休暇を貰えたんだ」
「あはは、あそこの王女さん、変わってるよね。 こっちの方にはその依頼はあんまり来ないからよくわからないけど」
「集会所の受付嬢ちゃんはハンターに第三王女関連のクエストを紹介する度に罪悪感に苛まれてるそうだ」
うひゃあ、と声を上げる金髪の女の子を横目に見やり、瓢箪の中に入った酒を煽る。
「あ、マックスくんお昼からお酒?」
「人間、たまには飲みたくなるものさ」
「マックスくん、
「こりゃあ一本取られた。 俺はアイルーだったニャ」
「うわぁ、取って付けたような語尾だなぁ」
「そりゃもちろん、取って付けたんだからな」
アイルーに転生してから暫く経ち、運び屋アイルーになってからは非番の日にはここ、ベルナ村の受付嬢ちゃんと話しながら1日を過ごすのが日常であった。
転生前の俺の話を聞きたい奴なんていないだろうからそこは省くことにしよう。 話すべきことは前世で人間であった俺はモンハンの世界でアイルーに生まれ変わっていたこと、それと俺を転生させた女神の胸には確かなモノがあったことだ。
願わくばこの日常がいつまでも続けば…
「大変だニャ、兄貴! 古代林にディノバルドが出たニャ! ハンターさんが討伐しに行くから僕らも仕事ニャ!」
「よっしゃこーい! 例え胃袋の中からだろうが回収してBCまで届けてやるゼェ!」
「流石兄貴だニャ!」
「よし! じゃあ受付嬢ちゃん、行ってくるわ!」
「行ってらっしゃーい」