魔法少女育成計画〜All for One〜   作:は〜げん

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第1章始まりの始まり
魔法少女の噂


それは突然だった。

 

突然の地震により小さな島が現れた。それは、すぐさま日本が所有権を主張。他の国もその島を狙ってはいたが、それよりも早くだった。

 

そして、その島に政府は街を作った。最初はさびれていたが、だんだんと活気付いて行き、今では何万人もの人々が生活をしている。

 

そんな町にある一つの市。Y市には奇妙な噂があった。

 

例えば、鍵を無くして困ってる時。例えば、ナンパされて困ってる時。例えば、電車に遅れそうな時、助けてくれる少女がいるという噂。

 

それは皆どこかメルヘンチックな服装をしていたが、ある共通点があった。それはまるでこの世の人間とは思えない美しさがあったということ。

 

だんだんとその目撃情報が増えて行き、一人の人間が呟いた言葉が、その少女たちの名前を決定づけた。それこそはそう。

 

魔法少女である。

 

 

◇◇◇◇◇

☆リンリンベル

 

幸せの鐘の音。という言葉があるように、鐘の音は幸せを象徴しやすい。その中で有名なのがやはり、結婚式の鐘の音だろう。

 

今日もY市では結婚式が開かれていた。そして聞こえてくる鐘の音は、いつも聴くよりか大きく聞こえて、皆が皆、幸せそうな顔をしていた。

 

それを遠くのビルから見ていた一人の少女。両手に鐘を持ち、首に鈴付きの首輪をつけて、そしてふわふわとまるで雲のような印象を与える服装をしていた。

 

「くっふっふ〜今日も幸せが響いてるね〜」

 

そう言って少女はくすくすと笑う。その音に合わせるように、鈴と鐘が声を出しているかのように、音を響かせる。

 

彼女は噂の魔法少女の一人である。名前はリンリンベルといい、所謂使える魔法が「鐘の音を響かせる」と言った類のものであった。

 

役に立たないように思えるが、今こうしてリンリンベルは鐘の音を大きくして、皆の心に響かせていた。それを何度も確認している彼女はウンウンと頷いていた。

 

しかし何故、こんなことをしているのだろうか。

 

それは簡単。魔法少女の仕事は人助け。どんな形でも人を助けると、それの報酬として『マジカル・キャンディ』を貰うことができる。

 

別にそれの数を競ってるわけではないが、リンリンベルはどうせ貰えるならトップ狙いたいと言った考えを持っており、だから毎日コツコツとキャンディを集めていた。

 

いつか私も結婚式を開くのかなとそんなことを考えていたら、彼女のポケットから『ピロリン』と機械音がする聞こえてきて、慌ててタブレットを取り出した。

 

そこに書いてあるのは今の行為でもらうことが出来たマジカル・キャンディの数であり、思ったより多くの数をもらえて、ニヤリと心の中で笑う。

 

トップになるのにはまだ時間がかかりそうだが、いつか必ず立ってやる。そう考えながら、リンリンベルは鐘の音を気持ち大きくする。

 

そうしてると、背後に気配を感じた。ゆっくり振り向くと、そこに立っていたのはとても可愛らしい服装をした少女。そして、彼女を見つけたリンリンベルは喜びで声をあげる。

 

「キャンディちゃん!」

「こんにちは、リンちゃん。今日も仕事?」

 

そう言ってリンリンベルの横にストンと座り込んだのは『キャンディドロップ』と言う名の魔法少女。リンリンベルと担当地区が近いので二人は仲が良かった。

 

そして何よりリンリンベルが心待ちにしているものがある。それは彼女の能力である『いろんな味の飴を作れるよ』によって作られた飴を食べること。

 

「じゃあ今日は……はい!りんご味」

「うっひょう!まってたぜ!いただきまーす!!」

 

そう言って飴を口の中に放り込む。瞬間広がるりんごの匂いと味。彼女が作る飴は、きちんとその味の風味が広がり、まるでリンゴをかじっているような気持ちになる。

 

前に一度鉄味とか作ってもらったが、本当に鉄の味がしてたべれたものじゃなかった。鉄分は取れるかもしれないが。

 

「でも前みたいに私が頼んだレバニラ味とかつくってもいいんだよ〜?私あれ好きだったなぁ」

「そ、そう……でもほら、やっぱり疲れてる時には普通に甘いものがいいんだよ!」

 

慌てる顔でそう言うキャンディドロップをみて、リンリンベルは首をかしげる。レバニラ味の美味しさは、言葉にならないほどまずいと言うことはキャンディドロップは知っている。

 

そんなこんなしていたら、どうやら結婚式は終わったらしく、今はただの座談会の会場とかしていた。二人は顔を見合わせて、こっそりと音を立てずにその場から去っていった。

 

 

◇◇◇◇◇

☆影野半蔵

 

月の光が輝く街の中に、一際輝く街があった。そこは色とりどりのネオンがあり、多種多様の匂い。そして、男と女のいろいろな思想が入り混じるその町は、所謂未成年には早い場所だった。

 

そして、その街の中で一番大きな建物のうえで、忍者のような格好をした少女が街を見下ろしていた。そしてその少女の隣に、獣のような巨大な爪をつけ、肌の比率が高い服を着ている少女が口を開けた。

 

「ししょーなにしてるのー?」

「ぬ?強殺殿。前言ったでござろう?こういう町はめんどくさい揉め事が多いから、こうやって見張ってるのでござる」

 

強殺と呼ばれた少女は興味なさそうに「へー」と呟いた。彼女の名前は『強殺王(ごうさつきんぐ)』という。かなり恐ろしい名前だが、強殺王はそんな名前に似合わず可愛らしく笑っていた。

 

「ししょー。影野ししょーなんか見つかった〜?」

 

呼ばれた少女……『影野半蔵(かげのはんぞう)』は困ったような顔をしたあと、横に顔を振る。それを見た強殺王は先ほどより興味なさそうに声を出した。

 

影野半蔵だって、マジカルキャンディを集めてなるべく高い順位をキープはしたい。けれど、強殺王はあまり興味がないらしく、さっきからあくびを繰り返していた。

 

「強殺殿はキャンディを集める気は無いのでござる?」

「んーまぁね。あんまりないよ。集めないと死ぬなら話は別だけど……それにボクの能力は人助けに向いてないし」

 

そう言って強殺王は爪をブンブンと振り回す。その度に起こる衝撃を影野半蔵は器用に避けつつ、小さくため息をつく。髪が少し斬れてしまったが、あまり彼女は気にしない。

 

そういえばどうやって彼女と知り合ったか。そう考えてたらただ、拾ったと言う言葉しか当てはまらない。困ってる少女と思い助けたら彼女は魔法少女で、それ以降自分のことをししょーと呼んで付きまとってくる。

 

ししょーと呼ばれても嫌な気持ちは全く起きないので、影野半蔵は妹が出来たと思いながら、彼女と接していた。

 

それに強殺王の魔法はあまりにも恐ろしい。誰か見ている保護者役がいないと、最悪人を凝らしてしまうかもしれない。そう自分に言い聞かせていた。

 

ピロリン

 

「ししょーなんかメール届いたよー」

「んー……おや、拙者にも届いてるでござる……なになに……魔法少女の皆さんに大切なお知らせ……?」

「なにこれー明日の夜ここに集まればいいのかなー?」

 

確かにメールには集合時間と集合場所。そしてお知らせの内容はその場で伝えると書いてあった。

 

ただのメールなのに、なんだか嫌な予感がした。チラリと強殺王の方を見ると、彼女はメールを何度も見て嬉しそうに笑っている。他の魔法少女に会えるのが嬉しいのかもしれない。

 

気にしすぎか。と、影野半蔵は考えて夜空を見上げる。月は大きく光り輝いて、影野半蔵達を照らしていた。

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