☆ああああ
魔法少女というのは、人に隠れてしなければならない。もしバレたら色々と面倒なことになり、最悪魔法少女としての資格を剥奪される。
そんなことを良しとする魔法少女はおらず、もちろん今学校で授業を受けている少女ーーー今は人間の姿なので魔法少女ではないのだがーーー彼女、望月絢香も同じだ。
彼女は魔法少女「ああああ」として活動していた。この名前は名前を決める際無理やりに認めさせた覚えがあり、あの時は申し訳ないことをしたなとは思ってはいる。
なんでこんな名前をつけたかというと、活躍した魔法少女はアニメになるらしい。もし、自分が活躍したらアニメになってしまう。それだけはどうしても避けたい。目立つのは嫌だ。なので、絶対活躍できなさそうな名前にしてみた。こんな名前テストプレイでしかつけられない。
けれど他の魔法少女がいるとは思わず、そこらへんは失敗したなと思っている。ああああなんて名前、教えるのはとても恥ずかしい。そこらへんは慣れかな。と、割り切ってはあるが。
そして彼女は朝からそわそわしている。なんと言っても、昨日の夜届いたメール。魔法少女の皆さんに大切なお知らせという文面は、何か良くないことが起きるような。そんな気がしてきた。
まさか命の危険などはないとは思うが、もしかしたら、ということもある。例えばドラゴン退治とか。
魔法少女なんて非科学的なものをやっていると、ドラゴンも本当にいるような気がしてきた。もしかしたら、人間に隠れているだけかもしれない。
そんなことを考えていたら、いつのまにか授業は終わり、学校も終わる。兎に角今日の夜までどこかで時間を潰そうかと思いつ立ち上がると、彼女に声をかけるものがいた。
「やぁ、そわそわしちゃって、どうしたの?」
確か同じクラスの……名前は忘れてしまった。金髪でチャラチャラしてて絢香とは真反対の人間。とりあえずまギャル子さんとでも呼んでおこう。そんな人間がなぜ私に声をかけてきたのだろうと思っていたら、ギャル子さんが笑い出した。
「あっはっは。そんな目で睨まないでよ。別に怪しいものじゃないし」
そんなこと言われても、絢香にとってはギャル子さんは不審者レベルの人間だ。早く興味をなくしてくれないかと思いつつ、目をそらす。
するとギャル子さんを待っている友人たちが声をかけてきた。やっと解放されると思ったが、ギャル子さんは友人達に帰っていいよと声をかけて、亜子の方を向いてコホンと、小さく咳をした。
「ねね?なんで、そわそわしてるか当ててもいいかな?」
なんだそれは。当てられるものなら当ててみろと思い、次の言葉を待つ。ギャル子さんはわざとらしく顎に手を置いて、そしてポンっと自分の手を叩き、口を開けた。
「今日の夜、集会がある……それも、魔法少女のね」
「なっーーーなんで知ってーーー」
「そりゃ、私も魔法少女だもん。ここだけの話、魔法少女【シュピーム】として頑張らせてもらってますっ!」
ビシッと敬礼をするようなポーズをとったギャル子。シュピームという魔法少女は何度か会話したことあるが、まさか同じクラスにいたとは、正直予想外だ。
「ねね、貴方の名前なんてーの?」
「えっと……【ああああ】っす……」
「ああああ?なにそれなにそれ!面白い名前ね!!」
そう言って彼女は笑い出す。笑われるのはわかっていたが、彼女の笑いからは人を馬鹿にしたような雰囲気は感じられず、絢香は頬をかく。
「うんうん。あんた気に入ったわ!!よろしくねあーちゃん!」
「よろしく……ってなにがっすか!?」
「なにがって、これからのことよ、これからのこと!私、魔法少女の友達が欲しかったのよ!それじゃ、よろしくね!!」
そういう彼女は無邪気な笑みをこちらに見せて、手を差し出してくる。そんな笑顔を見て嫌だと言えるほど亜子は大人じゃなくて、仕方なくその手を握る。
めんどくさいことになったな。もしこれで目立ったりしたらどうしようかと思っていたが、絢香も魔法少女の友達ができて内心喜んでいたのは、いうまでもない。
めんどくさそうだし目立ちそうだが、たまにはこういうのもいいのかもなぁ。と、絢香はギャル子さんの顔を見ながら、そう思っていたのであった。
◇◇◇◇◇
☆カウント0
カチッカチッ
少女が夜の公園の広場に座りながら、ぼーっとしていた。服装はまるで格闘家のような感じであり、手に持ってあるクラシックな時計のボタンをなんどもなんどもカチカチ鳴らしていた。
彼女も魔法少女であり、名前は【カウント0】という。彼女も今日の夜の集会に来た一人であり、恐らく一番最初に来た。流石に1時間前は早すぎたようだ。
月の明かりがひときわ輝いたとき、残りの魔法少女達がやってきた。まず最初に来たのは、お姫様のような服装をした少女と、彼女を守るように歩く騎士の少女。
「あら、お早いんですわね。こんばんは、カウント0さん」
「あぁ……こんばんは、七夕姫。元気かい?」
「えぇ、もちろん。もう、この日が来るのを待ってましたの……うふふ。では、私達はこれで。行きましょう、ナイト」
「御意。貴方の意のままに」
そう言って二人は遠くのベンチに向かって歩いていく。カウント0もどこかに座ろうかと考えたが、ここは入り口に一番近い。簡単にいえばカウント0も他の魔法少女が気になっているのだ。
次にやって来たのはまるでライダーのような格好をした少女が、滑るように入って来た。彼女は真ん中あたりで止まり、こちらに近づいて来た。
「よっ!あたしは
「……カウント0。よろしく、GO5」
「おう、よろしくっ……今見ると結構早い時間なんだなぁ……いっちょ、この辺りを一周くらいして来るか。付いて来るか?愛車に乗せてやるよ」
「いやいい……私はここで座っておく」
カウント0がそういうと、GO5は「んじゃ、気が向いたらいつでも来いよ!」とだけ言ってまた滑り出した。彼女の能力は地面を滑ることができる能力かと、カウント0は彼女を見ながらそう考えた。
その後は流れるように他の魔法少女が流れ込んできた。GO5の動きを目で追っていたため、結局話を聞くことはできなかった。
ここに来ている魔法少女は今15人。確か、後一人いるはずだがと、皆は黙りながらお互いに顔を見合わせて確認する。
「はーーーいっ!ちゅーもーーーく!!」
突然声が聞こえて来た。GO5をぼーっと見ていたカウント0も、七夕姫の方を見ていたナイトも、他の皆も一つのところに視線を向ける。
そこにはアイドルのような格好をした少女がいた。なぜか皆がその少女に注目していて、その視線を受けて少女はうんうんと満足そうに頷いていた。
「はいっ!みんな見てくれたねー!私の名前は【キラリ☆スター】っていうよー!みんな、今日はよろしくねー!!」
「御託はいいから早くなにをするか教えてよーボク気になって昨日からあまりねれなかったんだからー!」
「はいはーい!じゃ、早速お知らせを言いまーす!因みにこれは私考案じゃないからね。昨日の夜突然届いたんだから」
最後の方は今までの元気なトーンではなく、暗く重い言葉になったが、誰もそのことになにも言わなかった。いや、いえなかった。次に来るキラリ☆スターの言葉によって、その事は全てうわ書きされてしまった。
「えっと……魔法少女の皆さんにお知らせです。魔法少女は数が多くなって来たので数を減らそうと思います。最終的には4人ほどにします。詳しくはお手元の端末に送りましたので、ご確認のほどをよろしくお願いします」