終わる日常始まる非日常
☆リンリンベル
冷蔵庫から見る外の景色もなかなかのものだな。そんなことを考えながら、リンリンベルは冷蔵庫に乗ることに慣れてることに気づきため息をつく。
今日も今日とてGO5の愛車に仲間のキャンディドロップと一緒に乗りながら、キャンディ集めである。それは先週より必死に集めなければならない。
昨日の夜。一人の少女が死んでしまった。キャンディの数が少ないという。そんなふざけた理由でだが、それはこの島にいる全ての魔法少女に降り注ぐものであった。
「……ねぇ、リンちゃん」
隣に座っているキャンディドロップがツンツンとりんりんべるの肩をつついて注意を引く。意識を景色からキャンディドロップに移したリンリンベルは、「なに?」といい彼女を見つめる。
「これ。昨日、GO5さんが聞いていたみんなの能力なんだけど……不備あるか、確かめてくれない?」
「そんなこと?いいよ。私も確かめたかったしね〜えっと……
・リンリンベル 鐘の音を響かせるよ
・キャンディドロップ いろんな味の飴を作れるよ
・GO5 生き物以外を乗り物にできるよ
・シュピーム ゲームで勝った相手に命令できるよ
・ああああ 帰りたいところに帰れるよ
・月光騎士ナイト 月の光で強くなるよ
・七夕姫 代償を払えば願いを叶えれるよ
・カウント0 一定時間だけ強くなるよ
・落々雷々 雷を操れるよ
・∞ストーリー 記憶を読み取れるよ
・ドゥードゥー 物を二つに増やせるよ
・マイーMY 自分と他人の場所を入れ替えるよ
・影野半蔵 影の中に入れるよ
・強殺王 その爪はなんでも切り裂くよ
・怪盗トランプ 相手のものを奪えるよ
……かな。うん。合ってると思う」
リンリンベルの言葉を聞いて、キャンディドロップは安心したようにホッと息を吐いた。自分達を入れて15人の魔法少女。その中の一部は簡単に人を殺せてしまう能力で、もしこれでキャンディ集めの邪魔や、最悪の場合襲われたりしたらと考えると、ゾッとする。
強殺王は、特に気をつけないと行けない。見た目は確かに子供であったが、この中で魔法の破壊力は一番高い。もし爪の一撃を食らってしまったら、朝日を拝むこともできなくなってしまうだろう。
「おっ、二人ともどうした〜?そんな顔してたら、お客さんも逃げちゃうぞ!」
運転していたGO5が明るく声をかける。確かに言われて見たら、お客さんが一人も来ない。そんなにひどい顔をしていたかと考えて、リンリンベルとキャンディドロップは顔を見合わせた。
「GO5さん……いや、みんなの魔法を確認してて……それであの……GO5さんこそ、怖くはないんですか?」
キャンディドロップの質問に、GO5はしばらく悩むそぶりを見せた。彼女はあの時死んでもいいと公言していた。もしかしたら、それをカードにされて何か言われるかもしれない。
悩んでいたGO5は、突然、彼女の愛車を脇に止めて、笑顔を見せながら口を開ける。
「正直言って安心してる」
「あん……しん……?」
その言葉をリンリンベルは繰り返す。彼女が安心というのは、ここではかなりの予想外だ。てっきり他の言葉が出てくると思っていた。
そのことがわかってるのか、GO5は少しだけ悲しそうに笑ったあと、大きく背伸びをする。
「あの時私、みんなの代わりに死ぬって言ったじゃないか。アレ、本音を言うと咄嗟に出た言葉でさ。死にたくないんだ」
「そうなの……ですか?」
「そうさ。14の魂がいるなら、私一人じゃどうにもならなことがわかったからね……」
つまりGO5は周りのことではなく、自分の身を守るために魔法のことを聞いてきたのだ。もし「相手を殺すよ」見たいな魔法があったら、その対策を考えるために。
その言葉を聞いたリンリンベルは少しだけホッとした。なんせ、GO5もみんなと同じ人間なのだと、改めてわかったからだ。どちらにせよ、リンリンベルも同じ立場ならしたと思う。
「それに魔法……危険な子達もそりゃいるけど、まさか本当にするわけがない。あくまでも保険でその数人の危険な子達に気をつけてればキャンディ集めに集中できるわけさ」
そう言って彼女は笑った。いつもの笑顔だ。それが戻ってきたことにリンリンベルはホッとした顔になった。
GO5は自分の頬を叩き、愛車のエンジンを入れる。またまた冷蔵庫が道路を走ると言うおかしな絵面が流れてしまうが、それもいいものかなと、リンリンベルとキャンディドロップは考えていた。
◇◇◇◇◇
☆七夕姫
あの日から4日くらいたった。家で作業をしていた七夕姫の元にメールが一通届く。
魔法少女たちはお互いのメールアドレスを知っており、たまに連絡を取り合ったりする。
メールをよこしたのは強殺王だ。どうやら、14の魂について聞きたいことがあるらしい。七夕姫は少しだけ息を呑みながら、そのメールを確認する。
簡単に言うと、魂は一般人でもいいかと言う話であった。七夕姫は目を閉じて考える。そして、強殺王にメールの返信をした。
「……魔法少女一人分の魂は一般人だと……10個いる……っと。これでいいですわね」
そう言って七夕姫は大きくあくびをする。興味がもう消えたと言うようにタブレットをベッドの上に投げ捨てた。
それと同時に部屋のドアが開き、1人の少女が入ってくる。その顔を見たとき、七夕姫は作業をしながら口を開けた。
「ナイト。お帰りなさい」
「ただいま戻りました。収穫はありましたが、期待できるかは分からず……申し訳ない」
同居している月光騎士ナイトがそう言って頭を下げる。彼女にもある頼みごとをしていたのでそれがいい結果が悪い結果かはまだよくわからないが、とにかくそれが終わったのだろう。
けど今はそれでいい。兎に角まだ、それでいい。どう転んでも自分の不幸にはならないのだから。
「願い事をしていて……正解でしたわね」
そんな言葉をポツリと呟いた七夕姫はナイトの方を向いた。そしてなるべく優しい笑顔を作るのであった。