それはそうと閃の軌跡IVが来年の秋発売らしいですね。 ティザーサイトを見ただけでも色々とヤバい感じがします。
5月30日ーー
セントアークでの特別実習も2日目。 レト達は準備を整えると早速西サザーランド街道を歩いていた。 ふと、アリサが花の前で立ち止まり、身体を伸ばしながら花の香りを感じていた。
「うーん! 昨日の香りが強く感じるわね」
「色とりどりの花々……ここまでの光景、ノルドではまず見られない」
「目的地はこの先、街道を脇に逸れたところにイストミア大森林があるよ。 早く行って終わらせよう」
レト達は街道を歩き、少ししたら脇に逸れると……イストミア大森林へ続く道に出た。 そのまま入ろうとしたところ、ラウラが無言でレトに近付き……
「……………………」
「っ……」
無言でレトの二の腕を掴み、軽く力を入れると……レトは僅かに苦悶の表情を見せる。 それを見たラウラは納得した。
「……やはり身体にガタが来ている。 昨晩どこかに行っていたな?」
「あ、あはは……やっぱり気付かれちゃったか……」
バツの悪そうな顔をし、レトは包み隠さず昨夜の出来事を話した。
「例のあの場所に行っていてね。 そこで以前話した結社が現れたんだ」
「! そうか……無事でなによりだ」
「そういえば……僕と戦ったその結社の人なんだけど、かなり似てたんだよねえ」
「……似ているとは?」
「槍の聖女。 レグラムで見たリアンヌの石像とその人が」
「なに!?」
突然の話に、ラウラは驚きを露わにする。 遥か昔の偉人とはいえ、目標としている人物の名が出てラウラは居ても立っても居られなかった。
「それは誠か!?」
「う、うん。 ランスは使ってなかったし、仮面もしたから確証はないけど……」
「写真は!?」
「撮れるわけないでしょう」
「ーーおーい! 2人とも、何やってるのー?」
そこで先に行っていたエリオットが声をかけ、ラウラは納得しないも2人はエリオット達に追いつき、大森林に入った。
「ここがイストミア大森林か……」
「薄暗くて不気味だけど……なんだか神秘的な光景だね」
「ええ、なんだか癒される感じだわ」
「魔獣は奥にいるみたいだね。 それじゃあ、木々から樹脂を取りながら奥に進もうか」
レト達は周りの木々に樹脂がないか注意深く見ながら森林を進む。 だが……
「まるで樹脂がないわね……」
「ほとんどが取られた後……樹脂が取られてそんなに時間が経っていないよ」
「どういうことだ? 依頼人はそのようなこと一言も話してはいないぞ」
「……悩んでも仕方ない。 先に魔獣を討伐しよう。 もしかたらそこにあるかもしれない」
「では、行くとしよう」
先に魔獣を討伐しに最奥へと向かう。 それからラベンダーの香りがする方向に向かい、少しして魔獣がいると思われる開けた場所に出たが……
「……魔獣がいない?」
その場所に魔獣の姿は見えなかった。 辺りを見回しても形すらなかった。
「なんでだろう……?」
「ーーあ! 皆見て、あそこ!」
するとエリオットが大声で指差した方向に、樹脂が出ている大木があった。
「樹脂か」
「ようやく見つけたか。 魔獣がいないのなら先に回収しておこう」
「じゃあ、取ってくるわね」
アリサが樹脂を採取しようと歩き出した、その瞬間……花の香りに混じって異臭が風に流されて、それから微かにどこからか羽音が聞こえて来た。 それに気付いたレト、ラウラ、ガイウスは身構える。
「! 行くな、アリサ!!」
「えーー」
咄嗟にラウラは飛び出し、アリサを抱えて飛び退き……次の瞬間、大型の魔獣らしき影が襲いかかって来た。
「くっ……ラウラ、アリサ!」
「大丈夫だ、問題ない!」
「な、なんなの一体……」
レトは正面を向き、大きな羽音を立てながらそこにいたのは……臀部毒霧で覆われた巨大な兜虫型の魔獣だった。
「こいつは……!」
「兜虫型の魔獣……レト、こいつは……!」
「うん。 デグクレス……倒したはずなのに、どうして……」
この兜虫の魔獣、どうやらレトとラウラには見覚えがあり一度討伐した事があるようで。 疑問を覚えながらも武器を取り出して構える。
「もしかして……あの樹脂はこの魔獣のモノ?」
「ああ、どうやらエサを奪われると思っているのだろう」
「一石二鳥だね、魔獣を討伐して樹脂を採取する……行くよ!!」
意気込みを見せ、レトは槍を構えて飛び出した。
「ふうっ!!」
槍を薙ぎ払い……ガキンッという音を立てて刃がデグクレスの甲殻に弾かれた。
「やっぱり固いね……なら!」
レトは直ぐにバックステップで後退し、アークスを駆動する。
「レトは何をする気だ?」
「心配しなくてよい。 以前、ここであの魔獣と似たものと戦った事がある。 ここは我らに任せてもらおう」
「わ、分かったわ」
ラウラは効かないと分かっているが、狙いを自分に向けるために軽い剣を振り連続で攻撃し、デグクレスの標的になる。
「はあっ!」
「アーツの効きも悪い……なんて硬い甲殻なんだ……!」
「メルトレイン!」
ガイウスが十字槍で突くも、エリオットがアクアブリードを放つも、アリサがデグクレスの頭上から燃え盛る矢の雨を降らせても……デグクレスの硬い甲殻に阻まれて大きなダメージは与えられなかった。
デグクレスは攻撃を物ともせずに前に進み、ラウラ達に向かって巨大な角を突き出した。 咄嗟にラウラが前に出て角を大剣で受け流すが、質量の違い過ぎて大きく浮き上がってしまった。 そしてデグクレスが大きく角を振りかぶり……横殴りでラウラを殴り飛ばした。
「ぐっ……!」
「ラウラ!」
「問題ない……」
「ーーエアリアル!!」
ラウラは立ち上がり、大剣を構えたと同時にレトの風のアーツが発動。 突風がデグクレスの背後に巻き起こり……臀部に発生していた毒霧を払った。
「はあああああっ!!」
毒霧が払われると同時にラウラは跳躍して背後に回り、落下の勢いを付けて大剣を振り下ろし、甲殻に守られていない臀部を叩き斬った。
「結べ……蜻蛉切!!」
一瞬で背後に回り込み、移動した勢いを利用して槍を振るい。 デグクレスの臀部を薙ぎ払った。 するとデグクレスは……静止状態から飛び上がり、一回転してレトとラウラの方に頭を向け、角を突き出した。
「よっと」
「ふっ……」
羽根を出し、羽ばたかせ……頭上に飛び上がった。 巨大な木々が邪魔をしてそれ以上高くは飛べないが、それでも十分高く。 デグクレスはそこから臀部から芋虫型の魔獣を投げ飛ばした。
「……! エリオット、僕にアダマスシールドを!」
「う、うん!」
突然の申し出にエリオットは困惑するが、アークスを駆動し始めると……
「って……うわあっ!?」
「きゃあああああああっ!?」
目の前にかなり大きい芋虫型の魔獣が落ちてきた。 エリオットは通常より大きな芋虫に驚くが……虫が苦手なのか、それとも規格外の大きさだからなのか、アリサは絶叫する。
「うっ……レト!」
「ありがとう!」
「はああっ!!」
怯みながらもレトにアダマスシールドを付与させ。 すぐさまガイウスが十字槍で芋虫を串刺しにし、倒すが……倒された芋虫は身を丸めると、全身から棘が出た球体となった。
「こ、これは……」
「ーーラウラ!」
「任せるが良い!」
ガイウス達がトゲトゲと球体を見つめる中、レトは球体をラウラに向かって蹴り……その先にいたラウラは大剣を腹を見せ、八相の構えで上半身を捻りあげ……
「おおおおっ……!!」
大剣を豪快に振るい、向かってきた球体を飛んでいたデグクレスに打ち返した。 球体は高速に回転しながら上昇し……デグクレスに直撃すると爆発した。
「あの芋虫って倒すと自爆するんだけど、こういう使い方もあるんだよね」
「このような手を使うのは我らだけだろう」
それを聞くと、アリサ達は残っていた芋虫からバッと距離を取った。 だがレトは助走をつけて近付き……球体を蹴り上げた。
「あー、痛ったー。 トゲトゲ痛ったー」
「アダマスシールドを使ったのだからそこまで痛いわけなかろう」
「いや、これ結構衝撃来るから……」
レトが痛み振り払うように蹴った右足を振っていると……頭上で2度目の爆発が起き、デグクレスが落下してきた。
デグクレスはそのまま仰向けになって落下し、硬い甲殻から地面に衝突し、大きな衝撃が起こり木々を大きく揺らす。
「いい加減……燃え尽きなさい!!」
無防備な臀部はアリサに向けられており、アリサは燃え盛る矢をつがえ……放った。 矢は臀部に突き刺さると燃え広がり、デグクレスはのたうち回り……やがて力尽きて消滅した。 それを確認するとアリサは大きな溜息をついた。
「はあ……なんか変に疲れたわね……」
「意外だな。 まさか虫が苦手とは……」
「さ、さっきのが規格外なだけよ! 普通の虫は平気よ!!」
「はは、そうだね」
憤慨しながら否定するアリサを尻目に、レトは樹脂がある木に近付き、必要量の樹脂を採取した。
「これで……よし」
「樹脂も採取したし、街に戻ろうか?」
この場を後にしようとした時、レトは振り返って名残惜しそうに森の先を見つめた。
「……………………」
「レト、
「! わ、分かってるよ。 でも、ちょっと気になっただけだから……」
「アレとは別個体のはいえ、同じデグクレスが出たのだからな。 気になるのも無理はない」
「……まあ、機会があれば行くけど……」
拗ねるようにボヤきながらも、レト達は来た道を引き返し。 セントアークに戻って行った。
◆ ◆ ◆
「ーーそこの学生、止まれ!」
依頼を終わらせ、先ずは依頼完了の方向をしにいこうと話し合いながら街に戻った直後……突然レト達を呼び止めたのは2人の正規軍の兵士だった。
「?」
「な、なにかあったのですか?」
「……こいつか?」
「ああ、間違いない」
「な、なんなの……」
「穏やかな雰囲気じゃないね」
いきなりの事で不審に思う中、兵士の1人がレトの前に立った。
「あの……?」
「お前がレト・イルビスだな?」
「……ええ、そうですが……僕に何か用ですか?」
「スカイウォーカー大佐がお呼びになっている。 一緒に来てもらおうか」
「な……!」
突然の動向にレトを含めた全員が驚愕する。 エリオットは慌てふためき、アリサは怪訝そうな顔をし、ガイウスは動向を見守る中……呼ばれる原因を知っているレトは冷や汗を流し、ラウラは横目でレトを見つめた。
「待って下さい! 今僕達は実習で……!」
「この実習中、セントアークで問題は起こしていない。 詳しい事情をお聞かせ願えないだろうか」
「我々も詳細は聞かされていない。 ただレト・イルビスを連れて来いと命令されただけ、我々はそれに従うだけだ」
問答無用、兵士達は聞く耳を持たなかった。 レトは軽く嘆息するとラウラ達の方に向き直った。
「行ってくるよ。 残りの依頼はないし……先にレポートをまとめておいて」
「しかし……」
「大丈夫。 悪い事は……多分してないし、すぐに帰れると思うよ」
レトは背を向けて軽く手を振りながら導力車に乗せられ、ドレックノール要塞に連れて行かれてしまった。
「……多分ってなによ多分って……」
「大丈夫かなあ……?」
「念のため、教官に連絡した方が良さそうだな」
「うん、その方が良かろう。 もしかしたら……レトは正規軍と領邦軍の両者のいざこざに巻き込まれた可能性もある」
ラウラはレトの事を心配するも、ここで立ち止まっては何も出来ないので。 先ずは依頼完了の報告をしてから静かに相談ができる場所に向かうのだった。
◆ ◆ ◆
兵士に連れていかれたレトは導力車でドレックノール要塞に連れていかれ。 レトは要塞内をおー……っと、声を漏らしがら驚き。 そのままここの最高司令がいる部屋に連れていかれた。
そしてその正面、デスクに座っていたのは暗い金髪をした眼鏡をかけている三十代の男性だった。
「ふむ、君がレト・イルビスだね。 私はここの司令官を務めさせてもらっている、ウルク・スカイウォーカー大佐だ」
「……レト・イルビスです。 それで、自分がここに呼び出したのはどのような要件があって?」
「ふふ、それは君が1番よく分かっているはずだ」
ワザとらしくデスクに肘を乗せて手を組みながら微笑むウルク。 そのニヤついた笑みにレトは不快感を覚える。
「困るんだよねえ、勝手に軍事機密のあの場所に行かれると」
「勝手とは言いがかりです。 許可証はもらっています。 ハイアームズ卿と……スカイウォーカー大佐のサインもちゃんと」
「そういう問題ではないのだよ、レト君。 いくら殿下からの願いとはいえ、土足で踏み入られのが私は我慢ならんのだ」
(……どの口が言う……)
つまりはレトの所為でハーメルの真実が白日の下に晒されるのを恐れているだけ……そのことにレトは目付きを鋭くし、心の中で静かに怒りの炎を燃やした。
「……大佐が心配せずとも、真実を知る身として言いふらす気は毛頭ありません……要件は以上ですか? まだ実習が残っていますので自分はそろそろ失礼したいのですが」
「そう急がないでくれ」
踵を返して出て行こうとするレトに、ウルクは軽く手を挙げ……2人の兵士がレトの行く手を阻んだ。
「これはなんの真似ですか?」
「私は君の事が信用できなくてね、昨夜部下に君の後を付けさせたんだ。 と、言ってもハーメルに先回りしただけだがな」
「!!」
「報告を聞いて驚いたよ。 身元不確かな兵器に乗っただけではなく……犯罪組織に加担していたとはね」
「ーー言いがかりはやめてほしい! 何の根拠があってそのような妄言を言うのですか!」
「しかも戦ったようですね? 困りますよ、勝手にそのような事をされては」
「くっ……」
言われない根拠から戦闘行為への糾弾。 ウルクは言葉巧みにレトを追い詰める。
「彼を待機室に、丁重にご案内してください。 もしもの事があれば殿下が騒ぎ立ててしまいますからね」
『はっ!!』
「ちょ、ちょっと!」
レトは両腕を兵士に掴まれて部屋を出され、そのまま待機室……ではなく独房に入れられた。
「どこが丁重にご案内!? どう見たって独房に入れられただけだよね!?」
「大人しくしていれば明日には解放する」
「それまでゆっくりしてる事だな」
それだけを言い残すと、兵士はニヤニヤしながら去っていった。 残されたレトは大きく溜息をつきながら壁に寄りかかった。
「全く……僕を政治交渉の材料にしようという魂胆だろうけど、僕にそれほどの価値はないってのに……」
そうボヤキながら高い位置にある窓に目をやり、鉄格子で遮られている空を見上げた。
ちょっとしたイザコザにするつもりが大事になってしまった……