英雄伝説 時幻の軌跡   作:にこにこみ

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いつの間かこの小説がランキングしていた。 ちょっと嬉しい。


35話 テロ勃発

初っ端から怪盗紳士の戯れに巻き込まれて疲労が蓄積されてしまったが……帝都の巡回を再開し、気を取り直してレト達は競馬場を出た。

 

「さて、初っ端から大変だったけど、改めて帝都の見回りだね」

 

「何だか出だしを挫かれた気分だけど……昨日行った街区を回ればいいのかしら?」

 

「大雑把に言えばそうだな」

 

「では、早速始めるとしよう」

 

B班が担当している地区、昨日の実習中に回った地区を巡回した。 現在はライカ地区の人通りの少ない路地を巡っていると……

 

「……それにしても……」

 

ふとそこで、ある疑問を持ったアリサが不審な目をしてレトを見つめる。

 

「……ん? 何、アリサ?」

 

「いえ、レトって本当に皇族かどうかやっぱり怪しくてね。 殿下達から聞く限りでは嘘ではない事は分かるけど……」

 

「髪の色は違う時点で色々と疑う要素は多い。 皇族の方々は色合いに違いがあるも皆、金髪だ。 一見して橙色の髪のお前を皇族とは思わないだろう」

 

「あ、そっか。 皆知らないんだっけ、僕って一応金髪みたいなんだよね」

 

「そうなのか?」

 

「うん。 この前気付いたんだけど、ある魔女の魔術で髪の色を変えられたみたいなんだ。 ケルンバイターの力を借りて魔術を無効化すれば……」

 

するとレトはケルンバイターを取り出し、塚にある宝玉が少し輝くと……スーッと、レトの髪が金に染まって、いや橙色が消えていき金色が姿を現した。

 

「この通り」

 

「ほ、本当に金髪だわ……一体どういう原理なのよ……」

 

「………………」

 

興味深そうにアリサ達はレトの髪を摘んでみる中、エマは鋭い目をしてレトを見つめる。

 

「へぇ、綺麗な金髪ね。 しかも触ってみて分かったけど柔らかい髪ね、羨ましい」

 

「ちょ、ちょっと皆近過ぎ……後、兄さんが言うようには《古のアルノールの血》

 

「古の……アルノールの血?」

 

「にゃ」

 

「何そんなのそれ? 思わせぶりな名前だけど……」

 

「簡単に言えば魔術への高い適性を持つ者を指すみたい。これはオーブメントの導力魔法(オーバルアーツ)の適正が高い事に言えるみたいだね」

 

「皇族にそんなオカルトめいた話があるとは聞いた事はないが……オリヴァルト殿下は卓越したアーツの使い手とし有名な上、お前のアーツの腕も並々ならない……強ち嘘でもなさそうだな」

 

「ま、こんな事が分かったくらいで結局、僕の立場は何も変わらないんだけどね」

 

ケルンバイターを消し、髪の色が橙色になりながらレトはあっけらかんと言う。

 

「そうですか……あの、レトさん。 つかぬ事をお聞きしますが、そのレトさんに魔術をかけた魔女の心当たりはあるのですか?」

 

「うん。 ローゼリアの婆様だよ」

 

「にゃー」

 

「ーーー!」

 

レトは怪しむ事なくアッサリと答えたが、それを聞いたエマは絶句手前の表情を見せた。

 

「って、あ……そういえば前に政治の面倒事に巻き込まれないようにかけたって言っていたような……」

 

「ローゼリアって、あの子どもみたいな人ね。 あの姿を見ると、強ち魔女の存在も嘘ではなさそうね」

 

アリサ達がローゼリアの正体を怪しむ中、エマだけが呆れたような顔をしながら独りため息をついていた。

 

バルフレイム宮からマーテル公園、ヘイムダル大聖堂、帝都競馬場の途中にある各街区の警備は厳重だった。

 

「今日は皇族のパレードがあるみたいだからか、なんだか物々しいね」

 

「フン、他人事のように。 お前も本来参加する立場なのだぞ?」

 

「昨日も言ったけど公式に僕の存在は知られていないの。 知人ならまだしも皇族として身は置けないよ」

 

「にゃ。 にゃーにゃにゃにゃー」

 

「……ふむ、そうか。 分かった」

 

「何がっ!?」

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

正午になり……サラ教官から定時連絡が来て、レトは午前中で巡回した各街区の状況について説明した。

 

いつもと違う真剣な口調をしながら、サラ教官はヘイムダル大聖堂に向かわれるセドリック皇太子の到着を見届けるよう言われ、通信を終えた。

 

レトはサラ教官との通信の内容を伝え、サンクト地区に向かうと、他の地区とはさらに厳重な警備網を敷いていた。

 

「流石に厳重ね」

 

「当然だ。 他の地区も同じ規模の警備だろうな」

 

「皇族の方々を守るためですからね」

 

「ーー来たようだ」

 

そこへ、サンクト地区に一台のリムジンが入ってきた。

 

リムジンら聖堂前に停車し……中からお付きの蒼灰色の髪色をした少年の手を借りて、線の細い緋い衣装を着た金髪の少年とが降りて来た。

 

「あれは……」

 

「アルフィン殿下の双子の弟君のセドリック皇太子ですね」

 

「にゃー」

 

「へぇ、アルフィン殿下より女らしいとか噂されていたけど……実物を見ると納得ね」

 

「それ、本人の前で言わない方がいいよ。 かなり落ち込むから」

 

長い間、レトとセドリックは毎度のようにオリヴァルトとアルフィンにからかわれ続けていたようで。 レトは聖堂に入っていくセドリックを優しい目で見つめた。

 

「お付きの人は知っている? 同い年みたいだったけど?」

 

「うーん……皇族の仕来りからして恐らくヴァンダールの人だと思うけど……会った事はないね」

 

ヴァンダールは代々皇室の警護を担当していたことから「アルノール家の守護者」とも呼ばれている。 アルフィンとエリゼを見れば別に必ず護衛がヴァンダールの人間でなければいけない決まりはないが、予想としては間違ってはいないだろう。

 

その後、レト達はヴェスタ通りにあるベーカリー《ラフィット》の種類豊富なパンを買い、食べ歩きをしながら腹を満たし。 もう一度担当している街区を回るため、帝都競馬場に向かった。

 

競馬場は大いに盛り上がっており。 次のレースはお待ちかね、夏至賞を飾るメインレースのようだ。 歓声は今までの比ではないくらいの盛り上がり振りだ。

 

「次は夏至賞のメインレースのようだね」

 

「どうやら無事に開催されるようだ」

 

「ーーあ、あれって……」

 

貴賓席の1番良い席に、オリヴァルト殿下とその横に控える機甲師団の軍服を着た黒髪の青年が立っていた。

 

「オリヴァルト殿下……隣にいるのは……」

 

「兄さんの専属護衛のミュラー・ヴァンダールさんだよ。 凄腕のヴァンダール流の使い手なんだ、昔何度も稽古をつけてもらった事もあるよ」

 

そう言いながらレトは視線を会場に戻す。

 

「さて、夏至賞を決めるメインレース……どうなるかな?」

 

「ーーん? なんだなんだ、感心しねえなあ。 特別実習中に競馬観戦とは」

 

「え……」

 

と、いきなり後ろから声をかけられ、人影がレト達の横に来ると……そこには士官学院の緑の制服を着ているクロウがいた。

 

「クロウ先輩、どうしてここに?」

 

「どうしたもこうしたも、メインレースを見に着たんだよ。 女神にお祈りも済ませた……今の俺は無敵だぜ」

 

「罰当たりな……」

 

「っと、そうだおめえら、何やら朝っぱらから派手にやらかしたそうだな? かなり噂になってたぜ、数名の学生が馬に乗って帝都を疾走したってな」

 

やはりあの出来事は噂になっており、人物が特定されていないのがせめてもの救いだが……アリサとエマは羞恥で顔を真っ赤にする。

 

「そ、それは緊急事態で……仕方ない事だったのよ」

 

「何もやましい事はしていないのだがな」

 

「あ、あはは……あ、始まるようですよ」

 

今朝方、レト達が救出した5頭の馬達がスタート地点に付いた。そして……ピストン音と共にゲートが開き、各馬一斉にスタートした。

 

レースはオッズ表のレートと同じように順当に進み、等々最終ラップに突入した。

 

「よしよし……行け行けぇ……そのまま、2-1でフィニッシュを決めやがれー」

 

「シャアアァッ!!」

 

クロウは狂気に近い、血走った目をしながらレースを見守り、この場に当てられたのか興奮のあまりルーシェが威嚇する中……レトは顎に手を当てて考え込む。

 

「ふむ……4-5-1って所ですかね」

 

「あん? そんな訳でねぇだろう、山勘で当たるほど競馬は甘かねぇぜ?」

 

「いえ、レトさんの予想は結構当たりますよ? 昨日も3連単を当てましたし」

 

「なぬっ!?」

 

クロウは奇声を漏らすが、そんな事御構い無しにレースは進み……

 

「なっ……そ、そこでブラックプリンスだと!? あ! ランバーブリッツが!!」

 

黒い馬が他の馬をごぼう抜きにして先頭に躍り出て、その次に2番手の後ろにピッタリとくっついていた3番手の馬を追い抜き……そこでゴールし、レースは決着した。 結果は4-5-1、レトの読み通りの結果だ。

 

直後、会場内は歓声嵐が巻き起こるが、その中に何人か絶望した人がおり。 その1人であるクロウは両膝をついてガックリと項垂れた。

 

「わぁ、凄く白熱したレースでしたね?」

 

「ああ、とても良いレースだった」

 

「うおおおおっ!! 何故だ、何故なんだーー!!」

 

「きゃ!?」

 

突然クロウは奇声を上げ、錯乱した風に頭を抱える。 その姿はとても分かりやすく、無様だ。

 

「無様な……」

 

「……にゃ……」

 

「あ、あの……?」

 

「賭け金が無いとはいえ、これを機に賭博は控えることね」

 

「あはは、でも惜しいところまで行きましたよ。 今日、僕達が馬に乗っていたから馬達の調子が分かってました。 ブラックプリンスとランバーブリッツはいずれ、いい馬になるでしょう」

 

「ああ、そうだろうな」

 

「同感だ」

 

若き未来のエースを褒め称えるようにレトとユーシス、ガイウスが頷く。 と、その時……項垂れいたクロウがレトの足に縋りよった。

 

「おいレト! 俺に……俺にその慧眼を伝授してくれ〜〜!!」

 

「うわっ! 這い寄らないでくださいよ!」

 

「み、見苦しい……」

 

「付き合っていられんな。 そんな俗物は放っておいて巡回を再開するぞ」

 

「し、失礼します……」

 

「風と女神の加護を。 また良い事もある」

 

「にゃーにゃー」

 

レトがスルリとクロウから離れ、競馬場を後にし……後方からクロウの悲鳴めいた声を無視して巡回を再開した。

 

特に目立った事もなく時間は過ぎて行き、サンクト地区前を通っていると……大聖堂の鐘が鳴った。

 

「もう3時……そろそろ各地の行事も終わる頃だね」

 

「だが、この時間が1番気が緩む時間帯だ」

 

「ええ、私達は気を抜かずに警戒を続けましょう」

 

「にゃー……」

 

ルーシェが大聖堂の方を見ながら鳴いた。 その意味を察したレトは苦笑し、首の下を指で撫でる。

 

「ルーシェ。セドリックに会いたいの?」

 

「にゃ!」

 

「そうか……また今度にね」

 

「にゃ〜…………!!」

 

ルーシェは残念がって項垂れていると……突然、耳やヒゲ、尻尾を逆立たせて身震いを起こす。 レトは気を引き締め、アリサ達に声をかける。

 

「皆、警戒して……」

 

「な、なに?」

 

「一体何事だ……」

 

「ーーむ?」

 

すると、大聖堂前にあった噴水が放出する水が勢ちを増し、囲いからはみ出し道路を水浸しにしていた。

 

次の瞬間……マンホールを突き破って水柱が次々と立ち上って行った。

 

「こ、これは……!」

 

「テロリストの仕掛けか!」

 

「皆、市民の避難誘導をするよ! セドリックが心配だけど……あの子は近衛の人が守ってくれる!」

 

「ええ!」

 

「ーー! 皆! 上空から何かが接近してくる!」

 

ガイウスが空を見上げてながら叫ぶと……四方から無数の鳥型の魔獣、ダンシングオウルが大聖堂を襲撃するように飛来してきた。

 

「これは……!?」

 

「魔獣がどうして!?」

 

「……この風は……石切り場の時と同じだ!」

 

「つまり、あの傭兵崩れを使役していた男の仕業か!」

 

「リィンが言っていた古代遺物の笛の力……ルナリア自然公園の時のヒヒの魔獣と同じ状態……ケルディックでの事件にも関わっていたようだね」

 

レトはダンシングオウルの目を見てそう判断する。 だが考え込む前に、この場にいた市民は突然の魔獣にパニック状態……近衛兵もセドリック皇太子の身の安全を最優先にしている。

 

「皆、市民の避難誘導をお願い! 僕は魔獣を片付ける」

 

「ひ、1人では無茶です!」

 

「大丈夫。 だって僕は1人でーー」

 

そこで言葉を切り、ルーシェを肩から下ろしながら槍を抜き構えると……

 

『六人力だから!!』

 

一瞬、レトの姿が搔き消え、6人のレトが現れた。 そしてレトは叫ぶと同時に空気を震わせ、ダンシングオウルの軍団の視線を集めた。

 

「サンクト地区内だけでいいからよろしくね!」

 

「わ、分かったわ!」

 

「風の加護を、どうか気をつけて」

 

アリサ達は散開して市民の避難誘導を始め、レト達は飛び出してダンシングオウルと戦闘を開始した。

 

「よっと!」

 

「せいやあっ!」

 

「といや!」

 

レトの分け身の最大分身は8人だが、それは走る歩くいった少ない工程だけの話……戦闘まで可能なのは6人までとり、武器もどれか1つに固定しなければならない。

 

「危なっ!?」

 

「セーフ」

 

「お返しだよ!」

 

……声だけを聞けば独り言のように聞こえるが、6人がバラバラで喋っているので混乱してしまう。 それは魔獣も同じで、不思議な踊りで相手を混乱させるはずのダンシングオウルが逆に混乱させられていた。

 

『さあ、終わりにしよう!』

 

槍から銃に持ち替え、レト達6人は一箇所に集まって銃を構える。 それを見たダンシングオウルの軍団は好機と見て一斉に襲いかかった時……6人のレト達の前に導力魔法で構成された陣が展開する。 するとそれぞれの銃口に導力が集まり……

 

『鵬翼……翡翠(かわせみ)!!』

 

引き金を弾き、1つの導力陣から無数の細い光線が発射、それが6つ……翼のように放射状に広がってカクカクと曲がりながら目標全てのダンシングオウルに向かって飛来し……一瞬で刺し貫いた。

 

「……ふう……やっぱりまだ疲れるかも……」

 

レトは周囲に魔獣が残っていないことを確認し、分け身を解きながら額の汗を拭う。 導力魔法(オーバルアーツ)の適性が高いとはいえ、基本的にレトはサブアームとしてアーツを使う。 慣れない戦技を使い疲労が出てしまったようだ。

 

「よう修行だね。 さて、皆と合流をーー」

 

「兄様!」

 

アリサ達と合流するため、聖堂前から離れようとした時……聖堂から幼そうな少年の声がレトの背に降りかかった。

 

振り返ると、そこには紅い装束に身包まれた線の細い少年……セドリック皇太子が立っていた。

 

「セドリック……良かった……怪我はないようだね」

 

「ッ……兄様!」

 

「殿下、お待ちを!」

 

レトは少し複雑そうな顔をするも無事な事に安心し、セドリックは近衛の制止を振り切ってレトの前に歩み寄る。

 

「兄様、ご無事で何よりです」

 

「お前の知っての通り、僕はそこそこ強いからね。 そう簡単にやられはしないよ」

 

「はい、そうですね。 それと、久しぶりに兄様に会えて嬉しいです。 昨日、アルフィンから連絡をもらって嫉妬したくらいです」

 

「あはは、それだけ軽口を入れられるようになったんだね。 しかし、姉に嫉妬するなんて……まあ、悪い気はしないかな」

 

長い間会っていなかったからか少しギクシャクしながらもレトはセドリックの頭をポンポンと撫でる。

 

それを2人の関係を知らずに後ろで見ていた近衛の人達は、レトの事を不敬と思いながらも何者かと思案する。

 

「セドリック、ここの安全は確保した……後は大丈夫だね?」

 

「はい!」

 

「よろしい。 君、後は頼んだよ」

 

「は、はい」

 

セドリックの事は近衛である蒼灰色の髪の少年に任せ、レトはセドリックに軽く手を振って背を向けて走り出した。

 

アリサ達を探しながら女学院前のトラム乗り場付近まで行くと、ちょうどアリサ達が走って来た。

 

「こっちは終わったわよ!」

 

「こちらも、この地区に市民はもういないだろう」

 

「どうやらそちらも片付いたようだな」

 

「レトさん、ご無事ですか!?」

 

「うん、全然問題ないよ。 あるとすれば……」

 

そこでレトは黙り込み、肩に乗ったルーシェも気に留めずに顎に手を当てて考え込んだ。

 

「…………………」

 

「どうしたんですか、レトさん?」

 

「やっぱりおかしい……戦力が少な過ぎる。 セドリックを攫うにせよ、何をするにせよこれじゃ足りない……」

 

「……つまり、ここは囮か」

 

「ここが囮なら……兄さんの元に襲撃するなら競馬場の地下を利用するはず。 けど地下の入り口から貴賓室は遠いし、兄さんはもちろんミュラーさんも強い。 となると……」

 

「! 狙いはマーテル公園のアルフィン殿下!」

 

「そうか、あそこの真下には地下墓所(カタコンペ)に続く道が通っている!」

 

テロリストの狙いに気付いたと同時にレトは懐に手を入れ……クローバーの形をした銀耀石(アルジェム)を取り出して上に放り投げた。 アリサ達の視線が銀耀石に向けられる中、レトは槍を構えて一振りし、背後に落ちてきた銀耀石を砕いた。

 

「なっ!?」

 

「これは……!」

 

するとレトの背に四葉を模した陣が展開され……陣の中から銀獅子の人形兵器、ウルグラが出現した。

 

ウルグラの突然の出現にアリサ達は驚愕するが、そんな事御構い無しにレトはウルグラの背に跨り……ルーシェがウルグラの頭に飛び移りながらエマに手を伸ばす。

 

「グルル……」

 

「にゃっ!」

 

「乗ってエマ! アルフィンのいるマーテル公園へ急行する!」

 

「は、はい!」

 

いきなり獅子に乗れと言われながらもエマはレトの手を掴んで後ろに座り、腰に手が回させるのを確認すると、すぐにレトは操縦桿を握った。

 

「皆は市民の避難誘導と安全確保と……ついでにセドリックをよろしく頼む!」

 

「あ、ちょっと待ちなさい、レト!」

 

「ーー行くよウルグラ、ドライビングモード!!」

 

すると、ウルグラの足から車輪が飛び出し、両脚が固定されると同時にレトは操縦桿のアクセルをブン回し……

 

「きゃああああーーーっ?!」

 

いきなりトップスピードで発進し、エマの絶叫をその場に置き去りにして行った。

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