明日、閃の軌跡IVが発売前に閃1を終わらせる事が出来ました。
クロイツェン州にあるケルディックの穀倉地帯……そこで対面する蒼の騎神《オルディーネ》に搭乗しているクロウとレト。 両者を見つめる紅き翼《カレイジャス》が見守る中。 レトの背後に展開された緋い陣……その中から巨大な右手が出て来た。
『……マジかよ』
「——出でよ、緋の騎神《テスタ=ロッサ》!!」
右手を振り上げその名を叫び……緋色の陣の中から緋の騎神《テスタ=ロッサ》が姿を現した。
『オメェ……緋の起動者だったのか! ソイツは呪われて動かせないはずだろうが!』
「ちょっと裏技を使ってね」
帝国の歴史に名を刻む紅蓮の魔人の正体、伝承通りなら乗れることもこの場に現れる事すらあり得ない存在……その存在に向かってレトは歩き、ルーシェと共に光に包まれるとテスタ=ロッサの胸に吸い込まれコックピットに搭乗した。
コックピットに乗るとレトはキーボードを操作してシステムを起動し、手摺の上に設置してある半球の上に手を置いた。
「さて……初めて動かすけど、問題はなさそうだね。 後はどこまで粘れるかだけど……」
「ナァー」
レトは目の前のディスプレイに映る蒼の騎神を睨みつける。
『千の武器を持つ魔人か……相手にとって不足はねぇ。 ここで潰させてもらおうか!』
『やれるものならやってみるんだね!』
テスタ=ロッサの足元が緋く歪み、棒が出てくるとレトはそれを掴んで引き抜き……1つの槍を取り出して構えた。 しかし、槍と言ってもそれはスピア、和槍とは違ってレトの実力を十全に発揮出来ないだろう。
だが、それでも引くわけにはいかない。
『はあああ……!』
闘気を高め、それに呼応してテスタ=ロッサの霊力も上がっていく。
(……霊力がかなり消耗しているな。 奥の手を使い過ぎたか……これはちっとばかし不利だな)
それに対してクロウはオルディーネの元の姿に戻しながらダブルセイバーを構える。 その身から霊力を放出するも先程のような出力が無かった……リィンとの戦いで霊力を消耗し過ぎたのだろう。
『第2ラウンド目で疲れてるのかい?』
『丁度いいハンデだ。 お前がいかに強かろうと、騎神を駆るのは俺の方が上だ!』
互いの得物を構え、一気に霊力を解放させる。 紅き翼が見守る中、二機の騎神は同時に駆け出した。 そして……
『おおおおおっ!!/ はあああああっ!!』
双刃剣と槍が衝突し、衝撃で麦が根ごと飛ばされるように大きく揺れる。
『結べ——蜻蛉切!』
『アークスラッシュ。 はああぁ……せやっ!』
衝突後一歩下がるとまた同時に戦技を繰り出し、互いの刃がまたぶつかり合い先程より強い衝撃が放たれる。 実力は互角……と、思いきや、レトの方が押し負けていた。
『っううぅ……!』
『どうした!? 伝説に伝わる紅蓮の魔人様の力はこんなもんか!』
『このっ!』
薙ぎ払ってくる双刃をレトは槍で巧みにあしらう。 だが、クロウは一手一手力強く繰り出しており、技量ではレトが優っているが騎神の力が劣っているのでこのままでは押し切られてしまう。
『っ……』
『喰らいやがれ——クリミナルエッジ!』
捌き切れず腕を浅く切られ、攻めてきたクロウのダブルセイバーの双刃に霊力が集まり、回転斬りを放ち麦ごとレトを薙ぎ払った。
『ぐうぅ……! うわっ!』
槍を構えて防ぎ、受け流そうとするが……オルディーネの力が強くいなし切れず吹き飛ばされ膝をついてしまう。 そしてクロウは双刃剣の刃をレトの眼前に突き出す。
『実力は認めるが、どういうわけか俺らが乗るこの騎神に差がある時点でお前の負けだ——諦めて帝都に戻ってもらおうか』
『ッ……!』
『おっと!』
突如レトの右脇腹から矢が飛び出て来た。 不意をついた奇襲、しかしクロウは紙一重で回避し距離をとった。
その中でレトはディスプレイの横に映るデータを見て悪態を吐く。
『——っ……やっぱり殆どあっちに持ってかれてる! これじゃあ千の武器じゃなくて十以下の武器を持つ魔人だよ!』
『……起動者ヨ。 我ハ魔人デハナイ』
『そう愚痴りたくもなるよ!』
『しっかしなんだ……? 同じ騎神なのにここまで差があるなんて変だな……』
『何ラカノ理由デ、出力ガ半分シカ発揮デキナイモヨウ』
『レトはそれを承知のようだが……それならそれで好都合だ!』
何らかの理由でテスタ=ロッサが弱体化している、それが分かったクロウは一気に畳み掛けてくる。
『なんだ? 一か八かの勝負にでも出るのか?』
『ふぅ……命を賭けてるのなら、僕の運は跳ね上がるんでね!』
『それはお互い様だ!』
地を蹴りクロウが畳み掛ける。 レトは麦畑が荒らしてしまうのに心を痛めながら動き回りなんとか凌いでいる。
しかし、初の操縦のためテスタ=ロッサの霊力が余剰に消費してしまい、互角で戦闘を維持できるのも時間の問題だった。
『これで、終わりだ!!』
トドメとばかりに霊力を高め双刃剣で薙ぎ払う。 その刃がレトの喉元に届こうとした時……レトは何かを発見し、双刃剣をオルディーネごと飛んで避けその場所に降り立った。
『——見つけた!
身を屈めて飛んで来たダブルセイバーを避けながら槍を地面に突き立て地脈のエネルギーを活性化、転移の一種である“精霊の道”を開いた。
『! テメェ、まさか最初からそのつもりでテスタ=ロッサを呼びやがったな』
『その通り、元からこうやって逃げるつもりだったんだ! アルゼイド卿、後はよろしくお願いします!』
『うむ、気をつけるが良い』
短い返答、それだけを言いこの領空から離脱するためカレイジャスは上昇を始める。
『逃すかよ!』
『ぐっ……! はあっ!!』
ダブルセイバーの刃が左肩に突き刺さるも、抜くと同時に地面に突き刺した槍を軸に回転して勢いをつけて蹴り飛ばした。
『クーさん! この内戦がどんな結末になろとも、絶対にVII組に戻って来てもらうからね! 』
『っ……』
そして……緋の騎神はその場から姿を消した。 後に残された蒼の騎神は逃げ去って行くカレイジャスを見上げた。
『たっく……どいつもこいつも。 一筋縄じゃいかねぇヤツらばっかりだぜ』
◆ ◆ ◆
どこかの高台……突如その場が光り出し、緋の騎神が光りの中きから現れた。 テスタ=ロッサはゆっくりと膝をつき、胸の核から光りが飛び出して地に降りると……満身創痍のレトとルーシェが現れた。
「はあはあ……操縦精度じゃなくて優先して共鳴率を上げていたとはいえ、流石に初の搭乗は無茶、だったかな……ウプッ……」
「ナァーー!」
霊脈の中は思った以上に荒れており、まるで稼働している洗濯機の中に放り込まれているようだった。 いつもならその程度で酔うことはないのだが慣れない騎神の操縦で疲弊して肉体的にも精神的にも限界であり、なんとか倒れまいと踏ん張るのでギリギリだった。 ルーシェも心配の声をかけられ、助けを呼ぼうとその場から走り出す。
テスタ=ロッサも核が無事とはいえ霊力の枯渇や深いダメージを負っており、動く事はおろか喋る気配すら無かった。
「ふうぅ……皆、逃げ切れた、かな……?」
VII組の皆の身を案じながらテスタ=ロッサの足に寄りかかる。 次第に意識が朦朧とし始め、とうとう瞼が落ちようとした時……
「——こ、これは一体……」
「ナァー!」
「…………ぅ…………」
微かに見えた水色を最後に……レトは意識を落とした。
ちょっと短くなりましたがこれで閃の軌跡は終わり、次は閃の軌跡IIに入ります。
閃2は新しくせずこのまま投稿しようと思います。 当分先ですが閃3、4(多分?)もそのまま繋げるつもりです。
今後は閃の軌跡IVをプレイするので投稿が遅れますがご了承ください。