12月22日(朝)
「…………」
早い時間に目覚めたというのに、今日の寝起きは最悪に等しかった。昨日の寝る前より多少は頭痛は引いたものの完全に無いとは言えず、体も重い。極めつけに体温計で計ってみたら
「38度1分か……」
これは、風邪だろう。しかし、学校に行かねば……
「とりあえず、薬飲もう……」
飲めば多少は無理が利くだろう。そう考えた俺は誰かが来る前に台所に向かった。
「あれ? 翔也君早いねー」
そこにいたのはさくらさんだった。昨日俺が寝た後にでも帰ってきたのだろうか、のんびりと朝食を作っており振り向いて笑顔を見せる。帰ってきていることは嬉しいがこれでは薬は取り出せない。
「いえ、なんか目が覚めてしまって……」
苦し紛れにそう言うと、さくらさんは納得したように
「そっかー雪が降ってるもんねー。翔也君もはしゃいじゃうよね?」
「雪?」
言われて窓越しに外を見れば雪が積もっていた。しかもまだ振り続けている。
「……雪降ってたんですね……」
「え? 気付いてなかったの?」
そういって驚いたようにまじまじと俺を見る。その目はやがて不思議そうな目に変わり。
「翔也君。調子悪いの?」
そう聞いてくる。
「いや……別に問題ないですよ?」
「そう? それにしては顔色がだいぶ悪いけど……ちょっと待ってね? 体温計だすから」
気になるのかさくらさんはそう言い棚から体温計を出す。結果が見られれば噓だというのが一発でばれるだろう。
「ホントに大丈夫ですから……」
「いいから! ほら、計る!」
結局、抵抗むなしく再度体温を測ることになり結果は
「38度2分……うん。風邪だね」
「…………はい」
さっきよりも上がっていた。こんなことなら最初から言っておけば良かった。結果を見てさくらさんは残念そうに
「じゃあ今日は翔也君お休みかー。今日はみんなで鍋しようと思ったのに……」
「いや、薬飲んでいけば……授業くらい大丈夫ですよ」
鍋って何だ? 疑問には思うがいまは突っ込まいで言うがさくらさんは
「ダーメ! 今日は休んで。学校で他の人にうつしたら大変でしょ? クリパだって近いんだし、だから休んで早く治したほうがいいの!」
有無を言わせぬ口調で言う。そう言われてしまえば反論のしようがない。俺は
「……分かりました……」
頷くしかなかった。そして学校へ連絡しようとしたら
「あ、学校への連絡はボクがしておくから。翔也君は早く部屋で休んでね?」
読まれたようにそう言われた。しかし他にも電話しないといけないところがある。俺は家の電話から連絡をとった。数回のコールの後
「はい、北上ですが?」
電話口から声が返ってくる。これは北上のお母さんだ。
「あの、春野ですが」
「あ、春野君ね。ちょっと待ってね美香を呼んでくるから」
そう言って保留のメロディに変わる。北上はまだ携帯を持ってないのだ。だから連絡するとなると家に連絡しないといけなくなる。
「もしもし? どうしたの? こんな朝から」
相手が北上に変わる。無論伝えることは
「えっとな、今日学校に来れなくなった……」
「はあ? 何? 寝ぼけてんの? まさか風邪じゃないでしょうね?」
信じられないといったように聞いてくる。そりゃ昨日あれだけ言われたのに引いているのだから情けない。
「……ああ、少し熱っぽくてね」
「少しって何度よ?」
「……38度2分……」
「……」
電話の向こうからため息が聞こえてくる。やがて呆れているのか
「少しじゃないじゃないの……ああもう、それならむしろ休んで。他に休みが出たら困るから。シフトはこっちで組むからね?」
そう言ってきた。電話をした理由はそのことだ。
「あのさ、北上そのシフトなんだけど……」
「何? このごに及んで入りたくないとか言うんじゃないでしょうね?」
電話の向こうでは頭を悩ませているのだろう。少しお怒り気味だ。
「いや、出来ればなんだけど23日の最初に入れて欲しいんだ……」
「…………」
要望を出したが返事が返ってこない。これは通らないだろうか。
「北上?」
「……あ! ごめん。まさかあんたがそこに入りたいなんて言うとは思ってなくて……分かった。23日の最初ね?」
「すまんが頼む」
「善処はするわ。あんたはさっさと……いや、今日中に風邪を治すこと! 良いわね?」
「……善処する……」
「うん。じゃ、お大事に」
そう言って電話は切れた。夢宮との約束の為、現在の状況で出来るのはこのぐらいだろう。後は北上に任せるしかない。
「……後は……」
連絡しないといけないのはもう一人。夢宮だ。そちらの方は携帯ですれば良いだろう。そう考えて部屋に戻る。その途中で
「翔也、どうしたんだ?」
「……ちょっとな」
起きて来たのだろう。義之に会った。
「ちょっとって風邪か? 顔色悪いけど……」
今の俺はそんなに顔色が悪いのだろうか、少し見てみたい気もする。
「少し熱があるくらいだけど、さくらさんが休めってさ……」
「ふーん。今はクリパ前だし休まんといけないかもな。分かった、帰りにお粥とかの材料買ってくるから今日はゆっくり休め」
「……そうさせてもらう」
義之の気遣いに感謝しつつ俺は部屋に戻った。そして携帯の着信履歴から通話を掛けるがコールが続くも出ず
「……留守番せービスに接続します」
留守番に繋がった。そこで電話を切り俺は
「……寝よう」
早く治すため、もう一度布団に入った。そしてそのまま眠りについた。