枯れない桜 もう一つの物語   作:メレリア

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今回も前半と後半に分けます。

ご容赦ください。


12月23日(昼) 前半

「――ということで、本日14時よりクリスマスパーティーが開催されます。パーティーには一般のお客さんなど学園外からの来訪者もたくさん訪れます」

 

 壇上でさくらさん――いや、芳乃学園長がクリパでの注意事項を述べている。開会式も始まりいよいよクリパもいよいよ本番なんだと気持ちが一気に高ぶってくる……

 

「なので、風見学園の学生として恥ずかしくない行動をするように心がけてください」

 

 さくらさんはそう言って壇上を降りる。周りの生徒も気分が高まっているのか少しざわついた空気が漂っている。改めて壇上を見ると生徒会長である音姫さんが上がっていた。

 

「それでは、各クラス準備を始めてください。くれぐれも怪我などないように気をつけてください」

 

 やっぱり、仕事をしているの音姫さんは凛としていて真面目な生徒会長さんだ。周りの男子から嬉しいのかため息がこぼれる。ふと義之のほうを見れば板橋を含む一部の男子に小突かれている。難儀なものだ。

 

「おい、春野? 行くぞ」

 

 クラスの男子に呼ばれる。いつの間にかクラスメイトは移動を始めていた。

 

「ああ、分かった」

 

 俺は、自分たちの準備をするために教室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 教室に全員が戻ったところで北上が前に立ち言う。

 

「それじゃ、準備班は設置場所で準備して。春野は材料受け取った後、準備班と一緒に作業を手伝って。他の人は何かあったら呼びますのでそれまでは楽しんでください」

 

 その一言を受けてうちのクラスはそれぞれ動く。クリパを見に行く人。準備に向かう人様々だ。俺は北上に近づき

 

「材料ってどこに来るんだ?」

「それは、私も一緒に行くから。注文したのは私だし……付いて来て」

 

 北上はそう言って、部屋を出て行く。俺はついて行く。ついていった先は学校の正門だった。少し先に小さなトラックが見える。中から運転手が出てきてこちらに歩いてきた。

 

「あの、北上さんでしょうか?」

「はいそうです」

「荷物はここに置けばいいですか?」

「はい、お願いします」

 

 そういって、運転手さんは荷台から積荷を降ろす。数にしてダンボール3箱分だった。

 

「なんか、予想より少ないな……」

「当たり前でしょ? これ1日分なんだから」

「そういうことね……」

「後、言ってなかったけど明日運ぶのもあんただからね」

「…………は?」

 

 それは初耳だ。聞き返した俺に北上は、少し面倒そうな表情を浮かべ

 

「あんた休みだったんだから。文句言わないで。私も手伝うから……」

「いや、いいよ」

 

 俺はダンボール3つ一気に持つ。持てないほどではない。

 

「ちょっと、無理しないでいいって」

「いいからいいから」

 

 焦るように言う北上を置いて俺は歩き出す。後ろから付いてくる北上は

 

「待ちなさいよ。あんた病み上がりなんだから」

「大丈夫だって。それより材料は明日もこの時間か?」

 

 立ち止まり、北上の言い分を置いて聞く。北上は一瞬ためらったのだろうか、少し間があってから言う。

 

「そうだけと……」

「そっか……なら、明日も俺が行くわ」

「……え?」

「だって北上もクリパ楽しみたいだろ? 一緒に回る相手いないのか?」

「…………」

 

 北上はしばらくした後、睨んでくる。

 

「別にいないです! そういうならとことん働いてもらいますからね!」

 

 そう言って、足早に先に行ってしまった。何かまずい事いっただろうか。

 

「よく分かんないな……」

 

 そう思うも、とりあえず俺は北上の後を追った。

 

「……ここでいいか?」

「ああ、そこらへんにおいといてくれ」

 

 設置予定場所に着き、準備班の男子に聞く。彼が頷いたのでとりあえずそこに持ってきた材料を置く。

 

「何か手伝う事あるか?」

「いや、特に無いな……」

 

 そういわれると手持ち無沙汰になる。準備状況を見れば鉄板などは終わっており調理自体はできそうだ。俺はあたりを見回し北上を探す。北上は1段落した所なのか。暇そうに周りを見ていた。

 

「なあ、北上」

「ん? なに?」

 

 声をかけるも先ほどの件があるからか。不機嫌そうに返してくる。

 

「ちょっと試しに作ってみてもいいか?」

「……いいけど……」

「それとさ……味見手伝ってくれないか?」

「え?」

 

 意外だったのか北上は目を見開く。

 

「あんた、料理上手だったでしょ? いまさら味見なんていらないでしょ……」

「いや、さっき北上が言ったように病み上がりだからさ。ちょっと自信なくてさ……」

「あっそ……ようは毒味係って事ね私は」

 

 呆れたように北上は言う。そんなことは思っていない。毒味というのは昔の……由夢の料理を食べるような事を言うのだ。

 

「そ、そんなこと無いって!」

「あはは、分かってるわよ。」

 

 先程とはうって変わって笑顔を浮かべる。

 

「はい、ならさっさと作る。時間あんまり無いから急いで急いで」

 

 そう言って、わざとらしく俺の背中を押し出す。ちょっと前まで不機嫌だったのが嘘の様だ。

 

「分かった分かった」

 

 そうして、作ってる間に他のクラスメイトも昼飯抜きで食べたくなったのか。いつもの間にか結構な量を作ってしまう事になった。

 

「でもまあ……いいリハビリにはなったかな」

 

 おかげで、調理に関しては感覚はほとんど戻ったと思う。これなら長時間のシフトも大丈夫だ。焼きそばを食べ終えたのか北上がこちらに来る。

 

「やっぱり美味しいわね……春野の料理」

「そうかな?」

「そうなの! まったく、去年といい女としてちょっとキツイわ……」

 

 一部の女子がうんうんと頷く。そんなに複雑なものなのだろうか。

 

「料理なんて人それぞれだと思うけどな……」

「それでも思うの! さてと……みんなちょっと集まって!」

 

 北上が集合をかける。現在いる班員が全員集まる。

 

「そろそろ開店します。調理班と宣伝班は忙しくなるけど頑張りましょう!」

「おー!」

 

 そんな掛け声とともにクリパは始まりを告げた。

 

 

 

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