枯れない桜 もう一つの物語   作:メレリア

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12月30日(昼) 前半

「一旦……ここに置くぞ」

「うん」

 

 買い物から戻り購入品を一旦荷物の付近に置く。

 

「はぁー疲れた……」

「お疲れ様」

 

 ちなみに、家に戻ったときには音姫さん達の荷物運びは終わっていたようで上の客間で荷物整理をしていた。

 

「えーっと、私は音姫ちゃんたちと同じ部屋になるのかな?」

「そうなるだろうな」

「じゃあ私も荷物整理してくるねー」

 

 そう言うや愛梨は、荷物を持って2階へと上がっていった。

 

「どうするかな……」

 

 俺はとりあえず自分の部屋に戻った。時計を見ると昼まであと少しなので昼飯でも作ろうと思った時、コンコンとドアをノックする音が響いた。

 

「どうぞー」

 

 俺の返答を聞いてドアが少し開きから音姫さんが顔を覗かせた。

 

「音姫さん? どうかしたんですか?」

「ううん。大したことじゃないんだけど」

 

 そこで音姫さんは一旦区切り

 

「今日からよろしくね」

 

 と丁寧に挨拶された。

 

「別にそんなにかしこまらなくても……」

「ん、でも一応、ね」

 

 真面目な性格な事だ。

 

「それとね、今日のお昼は私が気合を入れて作ります」

 

 むん、と言った感じで言う音姫さん。どちらかというとそっちが本題だろう。

 

「それを言いに来たんですか?」

「うん。弟君もだけど先に作っちゃいそうだから」

「確かにそんな時間ですね……でも五人分ですけど大丈夫ですか?」

「いいのいいの。任せて?」

「でも……」

「大丈夫だよ。私も手伝うから」

 

 そう言って来たのは愛梨だった。

 

「荷物はもういいのか?」

「うん。もう大丈夫だよ。それより私も手伝うんだから翔也君は休んでて?」

「何か申し訳ない気もするんだけど……」

「いいから。こういう時は年上の言うことを聞くもんだよ?」

「うん」

 

 愛梨の言い分に音姫さんも頷いている。どうやら2人して引く気はないようだ。

 

「じゃあ、お願いします。材料は適当に補充してますんで使ってください」

「任せて、腕によりをかけて作るから」

 

 音姫さんはそう言って腕まくりをしながら出て行った。その後ろに愛梨も続く。出る直前にこちらに振り返り

 

「楽しみにしててね」

 

 そう言って出て行った。これは昼食からかなり豪勢になりそうな予感がする。ただ

 

「何するかな……」

 

 出鼻を挫かれてどうしようかと考えてる時

 

「翔也ー」

 

 のんびりした口調で義之が入ってきた。

 

「翔也。暇だろ?」

「確かに暇だけど……」

「だろうな。音姉に言われて俺も暇だしさ。俺の部屋でゲームでもしようぜ」

「ゲームか……やるか」

 

 たまには息抜きも大事だし。暇になった者同士でゲームで過ごしたがあんまりゲームをしない俺は対戦系になると

 

「よっしゃ! これで俺の10連勝な」

「義之。少しは手加減してくれよ」

「ふふふ。ゲームに手加減などない!」

 

 といった感じでボコボコにされた。

 

 

 

 

 

 

 

 あれから1段落して昔やっていたRPGを二人で進めながら俺は思った。

 

「にしても、遅いな……」

「何がだ?」

「昼飯がだよ。あれからだいぶ時間も経ってるし……」

「言われてみればそうだな……」

 

 音姫さん達が下に降りていってから既にだいぶ過ぎている。

 

「何かトラブルでもあったのかな……」

「うーん、気になるな……」

 

 2人して唸っているとき、玄関からチャイムが鳴った。窓から見ると朝の寝具が届いたようだ。

 

「ちょっと布団受け取ってくるわ」

「お、なら翔也。少し様子見てきてくれよ」

「そうだな……分かった」

 

 気になるのはお互いに同じのようだ。事故が起こってたなら一大事だし。そう自分に聞かせながら俺は玄関に向かった。

 

「えっと、春野翔也さんですよね」

「はい」

「先程はどうも」

「え?」

 

 配達員は先程の男性店員だった。

 

「先程のプレゼントは一応ラッピングしましたよ。うちの店員がこれでラッピングされたら嬉しいと言われてるのでしときましたから」

「あ、わざわざありがとうございます」

 

 俺は頭を下げると

 

「頭を上げてくれよ。僕は応援したいからしてるだけだから。頑張って」

 

 気さくにそう言ってくれた。

 

「そんなこと言って。過去の自分を思い出してるだけでしょ?」

 

 そう言って後ろから姿を見せたのは、愛梨と一緒に試していた女性店員だった。

 

「おい。せっかく良い感じだったんだから壊さないでくれよ」

「別に良いでしょ? それにしても彼女が羨ましいなー。あんな可愛いプレゼントくれるなんて」

 

 俺の前に横並びに立つ二人。

 

「もしかして、2人は付き合ってるんですか?」

「うん。まぁ一応ね」

「おい、一応って何だよ」

 

 目の前で簡単に言えばいちゃつく二人。幸せそうな光景だ。

 

「あの……」

「あ、ごめんなさいね? こいつのせいで……」

「お前の責任もあるだろ? まぁいいや。とりあえず……はい」

 

 そう言って渡されたのはラッピングされたプレゼントだった。シンプルながらアートフラワーとリボンが丁寧かつ綺麗に装飾されていた。

 

「ありがとうございます」

「私のオススメの装飾だからね」

「あんまりプレッシャーかけるなって」

 

 咎める様な口調で言うが全然そんなことはない。

 

「いえ、ありがとうございます」

「それじゃ、後は他のを渡していこうかな。中に持って行った方が良いかな?」

「いえ、ここに置いてくだされば中に運びますんで」

「そっか。じゃあそうさせてもらうよ」

 

 そう言って、手際よく置いていく。慣れているのかこちらが持ち易いように置いてくれた。

 

「これで最後だね。じゃあ後はお願いします」

 

 そう言って頭を下げてくる。もう1人は既に車の中に戻っており

 

「ちょっと、次のお客さんもあるから急いで?」

 

 と言っている。

 

「ああ、言ってるから行くね。あいつ怒ると面倒だから」

「いえ。ありがとうございました」

「それじゃあね」

 

 そう言って車の中に入っていきそのまま行ってしまった。残された俺が思ったことは

 

「名前、聞いとけばよかった……」

 

 そんな事だった。他にもないことはないが

 

「まずは……運ぶか……」

 

 とりあえず、当初の目的を果たそう。そして運ぶ途中で俺は階段の前に布団を置き台所を覗いた。

 

「あっ、包丁、そんな風に持っちゃ危ないよ?」

「こう……だっけ?」

「うん。そうそう」

 

 そこには、由夢を中心にして料理をしている三人の姿があった。

 

「なるほどね……」

「あ、こら翔也君覗いちゃダメだよ?」

 

 こちらに気付いた愛梨が詰め寄ってくる。

 

「いや、布団が届いたから気になったんだよ。いつもより遅いし何かあったのかなって思ってさ」

「そっか。じゃあしょうがないね」

 

 あっさりと認めてくれる愛梨。その奥では由夢が

 

「えっと……次は……」

「あ、由夢ちゃんよそ見しながら調味料は入れちゃ危ないよ?」

 

 どうやらレシピはあるようだがなかなか苦戦してるようだ。これはどうなることやら……

 

「はーい。時間切れでーす! ほらお部屋に戻る戻る」

 

 愛梨が俺を追い出そうと押してくる。正直このまま見てたい気もするが

 

「分かった分かった。ところで愛梨」

「ん?」

「さっき買ったアレはどこに置いておけば良い?」

「あ! 翔也君の部屋に置いてて? 後で受け取るから」

「分かった。じゃあ由夢に頑張れって伝えといて」

「はーい。じゃあ後でね」

 

 そう言って俺は追い出された。不安がないとは言えないが二人が監修の上レシピもあるなら大問題は起こらないだろう。

 

「さてと……運ぶか……」

 

 気合を新たに入れ俺は布団を運んだとは言ってもそう重いものでもないので苦労はなかった。愛梨のプレゼントは机の上に、愛梨へのプレゼントはばれない様に鍵つきの棚の中にしまった。そして義之の部屋に戻る。

 

「おかえりー。どうだった?」

「うーん。結構頑張ってたよ。まぁスグに愛梨に追い出されたけど……」

「そっか。俺も見たいけど今じゃもう見れないだろうな……期待して待ちますか」

「そうだな」

 

 その後、音姫さんが呼びに来るまで俺達はのんびりした冬休みの一時を満喫した。

 

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