いつもの調子に戻ったサーバルを連れてオオカミ、ツチノコ、スナネコ三人のところに戻ると丁度こちらも説明が終わったようだった。
向かってくる二人に気付いたタイリクオオカミは安堵したような面白がっているような顔で二人を迎えた。
「お、サーバルいつも通りの顔だね。良かった良かった」
「うん、オオカミもありがとね」
「それよりこれからどうしましょう…。あのセルリアンを放置したら犠牲者が出るかも…」
かばんが不安そうに呟くと皆でうーん、と唸っているとツチノコが提案した。
「取り敢えず博士に報告だ。あの二人ならなんか知ってるかもしれん。オレも付いてくぞ。お前らだけじゃ心配だからな。遺跡は閉めとけば大丈夫か…」
「あ、ありがとうございます」
かばんが礼を言うとツチノコはスナネコに振り向き、「お前は?」と聞いた。
「ボクはお家を留守にできないので付いていけないです。ごめんなさい」
スナネコは無表情だが、声は申し訳なさそうに言って頭を下げた。
「いえいえ、大丈夫です。セルリアンに気を付けてくださいね」
かばん、サーバル、タイリクオオカミ、ツチノコは見送るスナネコに手を振りながら、ジャパリ図書館に行くために次のちほーの『こはん』に向かった。
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こはんでビーバーの家に着く頃には空がやや暗い赤に塗りつぶされていた。ビーバー達は家の外で椅子らしきものを沢山作っていた。
「あれ、かばんさんどうしたっすか?なんか増えてますけど」
「おお~プレーリー式のご挨拶であります!」
ツチノコは『挨拶』しようとしたプレーリードッグをするりと躱し、ビーバーに事情を簡単に説明した。
「なるほど…そんな事があったんすね。でももうすぐ夜で空が暗くなるっす。夜の長旅は夜目が利いてもツラいっすよ。今日は家で休んだ方がいいっすよ」
ビーバーの気遣いにかばんはぺこりと頭を下げた。
ツチノコは集まる五人を見渡してから少し不安そうに尋ねる。
「あ、ありがとな。でもこんな人数大丈夫なのか?」
ビーバーは視線を皆と家で数回往復させると答えた。
「うーん。流石にちょっと狭いっすかね…。フレンズさんに合わせた寝床ならすぐ用意できるんすけど…」
ツチノコはまるでその答えを予想していたかのように即答する。
「じゃあオレが外で見張りするから椅子貸してくれるか?」
聞かれてビーバーが「りょ、了解っす」と答えるとツチノコは近くにあった椅子を持ってきた。
「ええ?なんで?皆で一緒に寝ようよ!私は狭くても気にしないよ!」
不満そうな声を出すサーバルにツチノコは「シャーッ」と威嚇しながら答える。
「オレが嫌なんだよ!なんでお前らと一緒に寝なきゃなんねぇんだ。それに……いや、なんでもない」
「?」
それからもサーバルが「一緒に寝ようよー」と言うものの、全て一蹴され結局ツチノコが外で寝ることになった。
ツチノコは快適に過ごせるようにとビーバー達に軽く改造してもらった椅子にどっかりと座り込んだ。
高い位置に昇り、こちらを見下ろす三日月を見上げるとツチノコは息をはいた。
「はぁ…そろそろアイツらも寝たころか」
ツチノコはさっきまで聞こえてた話し声が聞こえなくなり、こはんは静寂に包まれていることを確認した。
いや、完全な静寂ではない。耳をすますとゆっくりと草を搔き分け、僅かな風をどかしながら動く者がこちらに向かってきている。匂いもする。
「来たか…」
ツチノコはヘビ特有の能力であるピット器官を発動させた。
明かりがないので暗く、視界の悪い夜闇が隠していた景色と接近者の姿が浮かび上がる。
見えたのは四体の緑色の小型セルリアンだった。
「ふん、奇襲でもしようと思ったんだろうが…オレの索敵能力を舐めてもらっちゃ困る」
ツチノコは小声で呟くと、立ち上がり、近くに積んであった丸太の陰に隠れた。
セルリアンがその横を通り過ぎようとしたその時にはすでに一切音を立てずにセルリアンは爆散していた。
他の三体も気配を殺して近付き、静かに石を砕いて粉砕させた。
「ふぅ…あとは…」
ツチノコがこはんの周りに生える木の中の一本の枝を睨みつけた。
すると、枝からセルリアンが飛び立った。飛行型の翼が生えたセルリアンだ。
セルリアンは向きを変え、こちらに背を向けると飛び去ってしまった。
「情報収集か…これはセルリアンにしちゃあ手の込んだ歓迎してくれそうだな」
あのセルリアンはこはんに着いた時から既にこちらを観察していた。だからツチノコは見張りを引き受けたのだ。
「かばん、頑張れよ」
ツチノコは安全を確認すると椅子に座り、腕と足を組んで瞼を閉じた。
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