早朝、一番に起きたサーバルは家の外に出て、サンドスターによって管理されたこはんの爽やかで涼しい空気を胸いっぱいに吸い込み、吐き、大きく伸びをした。
「みゃ~、早起きは気持ち良いねー。私、ほんとは夜行性なんだけどね」
後ろを振り向くと、かばんはタイリクオオカミのもふもふの尻尾を無意識に枕にしてぐっすり眠っている。
「昨日はたくさん歩いたり、走ったから疲れちゃったんだね」
サーバルは呟くと、家のベランダに大量に置かれた木椅子の一つに腰かけ、こはんの景色を眺めた。
サーバルはこはんの地面に目を向けると、そこを楽しそうな先代サーバルに手を引かれたミライと、黒く大きな耳を持った自分と同じネコ科であろうフレンズ、そしてラッキービーストが一緒に歩いていくのが見えた。
サーバルは呆然とそれを見ていると、サーバルの大きな耳でも聞こえるはずのない距離から会話がしっかりと聞こえてきた。
『ミライさん!遺跡楽しかったね!今度はお客さんと一緒に遊びたいなー!』
『はしゃぎすぎよ、サーバル。それにその為にはあのデカいのを倒さないと』
『カラカルさんの言う通りです!パークをまた開園するには超大型セルリアンを倒してパークに平和を戻さないと!』
『パカァーン!だね!』
『パカァーン!です!』
『おー!』と掛け声を上げる二人と、やれやれと両手を上げ、首を振る一人を見て、サーバルの顔には自然と笑みが浮かんでいた。
「あれ、サーバルちゃん起きてたの?」
不意に後ろから声を掛けられ、無意識にビクッとしてから振り向くと、そこには眠そうに目を擦るかばんが立っていた。
「うん、目が覚めちゃって。かばんちゃんはまだ寝てて大丈夫だよ」
そう言って微笑みかけると、急に虹色の光で視界が歪んだ。
「あれ?…あれ?」
そこで自分が泣いてしまっている事に気付いた。
それを見たかばんは慌てて駆け寄ってきた。
「え?サーバルちゃんどうしたの?ぼく、何かしちゃった?」
「ううん、かばんちゃんのせいじゃないよ。なんか勝手に…」
そういえば前にもこんな事があった。
ロッジでボスがミライを映して話を聞いていると、自分ではないサーバルが映ったのだ。自分はそれを見て理由も解らず、泣いていた。
サーバルは目に涙を溜めたまま、もう一度ミライ達がいた所を見たが、そこには誰もいなかった。
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かばん達はビーバーからもらったジャパリまんを食べながらラッキービーストの指示に従い、林を通ってへいげんに向かっていた。
特に話す事も無いので皆黙々と歩いていたが、ツチノコが何かに気付いた。
「なぁ…やけに静か過ぎじゃないか?さっきから何の音も聞こえてこないぞ。ここにもそれなりにフレンズは住んでるよな?」
かばんは以前通った時の事を思い出しながら答える。
「はい。この道の近くにもフレンズさんの縄張り…巣ですかね…が沢山あるらしいですよ。ラッキーさんが話してくれました」
「それにしちゃあ静か過ぎだよな…まるで何かから隠れてるみたいな…」
確かにさっきからいくら聞くことに集中しても、自分達が立てる音以外聞こえてこない。
不思議に思っていると、タイリクオオカミがいつものように語りだした。
「そういえばこんな話を知ってるかい?忍者のセルリアンという話だ」
「ニンジャ?」
聞いたことのない単語にかばんとサーバルは首を傾げる。
「忍者というのは昔居たらしい技術を持った人達の事さ。忍者は隠密行動が得意でね、奇襲して一撃で相手を仕留めるのが得意だったそうだ。で、話を戻すと…」
「そのセルリアンも隠密能力に長けていて、どれだけ近付かれても全く気付かない。そして後ろから…ガブリだ。何をされたのか理解できずにそのフレンズは…フフフ…ほら…君達の後ろにも!」
「「」ひぃぃ!」」
「フフフ、冗談だよ。良い顔頂きました」
「冗談でも怖いよ!あ、そういえば…」
怯える二人に向かって意地悪く微笑むタイリクオオカミにサーバルは憤慨したが、何か思い出した。
「博士と助手もそのニンジャみたいに静かに飛べるんだって!私後ろから飛んでくるのに気付かないで蹴られちゃって…あれは痛かったなぁ」
かばんはサーバルが痛みを思い出したように後頭部をさすっているのを見て苦笑していると突然上から声が聞こえて少々驚いた。
「我々がどうかしたのですか」
上を見上げると、アフリカオオコノハズクのフレンズである博士がワシミミズクのフレンズである助手に抱えられて降りてくるところだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
としょかんコンビですね。