「あ、博士!ちょうど良かった!私たち、図書館に行くところだったんだ。ちょっと教えてもらいたい事があって…」
サーバルは降り立った博士達に駆け寄ると早速セーバルについて報告しようとしたが、博士は手を上げて話の先を遮り、首を振った。
「申し訳ないのですが、今はそれどころではないのです。我々は今、重大な危機に陥っているのです。ヤツを倒さないと我々は帰れないのです」
「危機?ヤツ?」
皆で首を傾げると、博士は少し考え、説明してくれた。
「時間が無いので簡単に説明してやるです。我々はここらで暴れまわっているセルリアンの調査に来ていたのです」
「セルリアン?最近多いな…今まで小型すら見かけなかったのに」
タイリクオオカミが呟くと、博士は頷き、説明を続けた。
「我々はそのセルリアン大量発生の手掛かりを求めて飛び回ってる時に、へいげんのフレンズから依頼があって調査に来たのです。そしてそのセルリアンを捜してここらを飛んでいたら、ちょうど捜してたセルリアンに襲われ、私は飛べなくなってしまったのです」
博士は鳥のフレンズの象徴である頭の羽根をいつも飛んでる時のように、上下に動かしながら指で指した。
フレンズは普段以上の力を使うと使用した体の部分からサンドスターが放出される。しかし博士は飛ぼうとしてるのに体は浮かばず、羽根からサンドスターが放出されていない。
言葉を切った博士の代わりに助手が続ける。
「なぜ飛べなくなったのかは不明ですが、そのセルリアンを倒せばまた飛べるようになるのでは、と考え、現在追跡中なのです」
助手は声を少し荒げながら言う。
博士をこんな目に合わせたセルリアンが許せないのだろう。
助手は降りてきた時のように博士を軽々と横抱きに抱え、飛んだ。
「では、我々は時間が無いので行くのです。逃げられでもしたら厄介の一言じゃ片付けられないので」
助手はくるりと身を翻し、飛んでいこうとしたがタイリクオオカミが手を伸ばし、空中にいた助手を引っ張って引き留めた。
「待ってくれ!思い出したことがある!」
助手はちらりと振り向き、訝しそうな目で見てきた。
「なんですか…」
「私はつい先日、あるものを見つけてね。この中に似たような事件が書いてあった」
そう言ってかばんが背負っている鞄からいつの間に入れたのか、あの『日記』を取り出した。
「それは…」
タイリクオオカミは日記を開くとパラパラとページをめくり、あるページで手を止め、そのページを降りてきた二人に突き出す。
「昔、ヒトがまだパークにいたころに書かれた日記さ。ここに『輝き』を奪うセルリアンについて書いてある」
博士と助手は揃って首を傾げた。
「輝き…?」
「あぁ。昔出没していたセルリアンはフレンズや物、空間から『輝き』と呼ばれるものを奪っていたらしい。博士も多分何かしらの『輝き』を奪われて飛べなくなったんじゃないか。『輝き』を取り戻す方法はある。焦る必要はない」
博士と助手はタイリクオオカミに詰め寄ると声を揃って言った。
「「その話、我々に詳しく聞かせるのです」」
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タイリクオオカミは日記に書いてあった、オオタカのフレンズから奪った『自信の輝き』により翼が生えたセルリアン_『バードリアン』について簡潔にまとめて説明した。
「…という訳で博士は恐らく『記憶の輝き』を奪われたんじゃないかな」
説明を終え、一息つくタイリクオオカミにツチノコは尋ねた。
「でも博士は『飛ぶ』っていう概念を憶えてるみたいだぞ?記憶を奪われたんならそこは忘れちまってるはずだろ?」
タイリクオオカミは「さぁ」と言って両手を上げてお手上げのジェスチャーをしながら答えた。
「その辺はよく分からないけど…よくある話なら奪われた量が少なかったとかかな」
「その『輝き』とやらを取り戻す方法はあるのですか?」
間髪入れず助手が聞くと、タイリクオオカミは微妙な角度で頷いた。
「取り戻す方法はわかってないみたいだけど…『輝きを生み出す』ことならできるらしい」
「生み出す?」
皆でまた首を傾げるとタイリクオオカミは難しい顔で日記を読みながら答える。
「うん。『輝き』は意思や行動によって生み出せるんだ。例えば『自信の輝き』を奪われたらどうにかして『自信』を出せば新しい『自信の輝き』を生み出せる」
「じゃあ博士の『記憶の輝き』を取り戻すには…」
タイリクオオカミは「フフッ」と笑うと助手の言葉を繋いだ。
「まぁ単純シンプルな話、サンドスターを補充して飛ぶ練習すれば飛べるようになるんじゃないか」
博士はそれを聞くとがっくりと肩を落とした。
「そんな簡単な事に気付けなかったとは…長の恥です…」
「まぁそう気に病むことはないさ。ジャパリまんでも食べるかい」
そう言ってタイリクオオカミが差し出したジャパリまんを受け取りると、ようやく博士の顔に笑みが浮かんだ。
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博士は助手の助言を得ながら飛ぶ練習を始めた。
「ほら、博士!頑張って!あともう少し!」
「サーバルはうるさいのです!集中できないのです!黙ってろなのです!」
博士は徐々に飛べるようになりはじめた。
最もサーバルの決死の励ましによって博士は集中できずにすぐ落ちてしまうのだが。
「博士、サンドスターを利用して飛ぶときはイメージが重要なのです。「自分は飛べる」と強く思う事が大事なのです」
「分かっているのですが…」
博士がふてくされたように呟いたその時だった。
「おわぁあぁ!?」
叫び声が聞こえ、皆が同時に振り向くとそこにはツチノコが背中に翼の生えたセルリアンの足に踏まれて地面に押さえつけられているところだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
バードリアンですね。