異世界召喚勇者太郎(修正前) 作:悪多千里
むかしむかし、あるところに、たくさんの「くに」がありました。
たくさんの「くに」の多くはにんげんの「くに」で、にんげん以外の「くに」は争いあううちに、いつの間にかなくなっていました。
たくさんの「にんげんのくに」は毎日のように争いあい、たくさんの人が死んでいきました。
しかし、ある時たくさんのくにのどこかで、フシギな力をあやつる技術ができました。
それは人の内に眠る力を使い、さまざまな「げんしょう」をひきおこすことができました。
人々はそれを「力法」と呼び、しだいに力法の強さが、あらそいの勝敗をにぎるようになりました。
そうして長い時がたち、ほとんどの国は滅びてしまいました。
もう争う力もなくなった人間たちは、とある一つの土地に集まり、
人間みんなで一丸となった王国を作りました。
王国は何事も力法の力で回っていました。
民はみんなで力法具を共有し、支えあって生きていきました。
国の研究者や力法師は力法の研究に明けくれ、力法によって国を守ってきました。
王国は、人間たちの楽園でした。
しかし、そのころの王国は、いろいろなものがていたいし始めていたのです。
長きにわたる平穏。力法具により開拓の最前線から離れ、交流する他国もなくなった王国は、自然、技術も停滞し始めていました。
その最たるものもまた、力法具でした。
生まれつきの力量が決まっていた中で、力法具が使える人と使えない人の格差は広がっていきました。
ごくつぶし、役立たず。そう言われ、国の隅っこで生きる人が増えていきました。
*
彼女の友人、もう幼馴染ともいえるその子もまた、隅っこに追いやられる寸前でした。
その子の家系はちゃんと使える側の人間であったはずなのに、その子だけ、力法具を使うことが出来なかったのです。
幸い捨て置かれるようなこともなく、周りの手を借りながらも、一緒に育つことが出来ました。
だけどそれの限界も近いでしょう。何をするにも人の手を借りるようでは、この国では大人にはなれません。
そうなれば「人間以下」の仲間入り。彼女だけでは、防ぎようもありません。
もうすぐ来る期限、それまでは何とかその幼馴染に笑顔でいてもらいたいと、めったに来ない特別な花畑へと足を延ばしたのでした。
* *
「ったく、味を占めてやがんだよなぁ……」
太郎は炎天下、廃れた商店街の割れたアスファルトを踏み踏みぼやく。
『お兄ちゃんも外に用事あるならついででしょ、つ、い、で。それともこのかわいい妹に灼熱地獄を歩けっていうの?』
夏休み。ちょっと最寄りのコンビニでも行こうとした太郎にそんなことをのたまった妹のお使いを終え、帰り際の一言であった。
妹である小春は最近調子こきだ。太郎の苦手な国語が得意とあって、言葉巧みに丸め込んで雑用を押し付けてくるようになった。難しい熟語だのことわざだのを引っ張り出して、どこで覚えてきたのかと親をもよく驚かせていた。
世間一般では兄は妹に、弟は姉にかなわないとよくいう。本当かどうかはさておき、この兄妹においては真理であった。
ふと寄り道がしたくなって、太郎は商店街の脇を抜け路地裏へと足を踏み入れた。なんてことはない、ただそのまままっすぐ帰るのが嫌になっただけの、いうなればただの暇つぶしだ。
そのままふらふらと歩いていると、廃墟と化した元は店だっただろう建物の奥で何かがきらりと光ったような気がした。
思わず足を止め、中をのぞいてみる。
「誰かいるんですか~……?」
返事はない。誰もいないようだ。
少し考えて一歩踏み出す。そのあとは普通に店の奥まで歩いて行った。
その奥で太郎が見つけたのは、とても古い、今はどこにも売っていないだろうラジオらしき機械だった。
一目で古いとわかる外見だというのに、よく見ればさびの一つ、汚れの一つさえない、新品のようなありさまだ。
古いのに新しいとはこれいかに。
太郎はそのラジオを手に取ると、ついつくかどうか試してみたくなり、普通にボタンを押してみるがつかなかったので、いろいろと弄り回した。
どういじったかというと、持ち歩いている工具セットからねじ回しだのなんだのを取り出して、解体する勢いでいじっていた。
太郎は理科が好きだ。自分のいるこの世界の仕組みを知るのがとても楽しい。だから、それと同じくらいには機械いじりが好きだった。
仕組みを知ろうと解体してよく戻せなくなっては怒られる太郎は、戻せなくならないように気をつけてそっと外部を開けてみることにした。
そこにはよくわからないとしか言えない、複雑な機械がこれでもかと詰まっていた。
かといって、よくあるはんだや同線のようなものは見つからず、本当にこれはラジオなのかと疑うような結果となった。
よく見ると中央にまるい金属塊のようなものが埋まっており、そこからすべての部品がつながるようにされているのがわかった。
今度こそ解体する気でその内部の金属塊を触ると、まばゆい光とともに少しの脱力感が身を襲い、太郎はいったん意識を閉じることとなった。
序章だけじゃ文字数足りませんでした(汗
このサイトでオリジナル作品って需要あるのかなぁ…?私自身オリジナルはあまり読んだことないので恐々です。