裸の小太郎が急に千鶴部屋に現れて千鶴も夏美も驚きを隠せないでいた。
「何で男の子が?」
「さっきのワンちゃんがこの子になったのかしらね?」
「まさか、でもちづ姉どうするこの子?」
「ちょっと待って・・・大変この子凄い熱よ、私お医者さんに電話するから夏美はその子をベットに運んで」
「で、でも裸の男の子だよ・・・」
「何を照れてるのよ、子供だから軽いから大丈夫よ」
千鶴に言われてマジマジと見た夏美は割りと整った顔をしている小太郎を見てドキドキしていた、そして千鶴が寮の医務室に電話を掛けようとしたその時スプーンが飛んできて受話器を破壊した、そして飛んできた方を千鶴が見ると小太郎が夏美を人質にするように爪を突きつけていた。
「誰にも電話するんやない」
「あの~」
「黙れ」
「ひゃい」
「そこのあんた、着るものと食い物を持ってきてくれんか」
千鶴は最初は驚いていたが早々に冷静を取り戻し小太郎にゆっくりと近づいた。
「近づくんやない!!」
「貴方お名前は?どこから来たのかしら?教えてくれれば私たちが何か協力できるかもしれないわ」
「俺の名前・・・俺は、誰やったっけ?いや俺はあいつに会うためにここへ・・・」
小太郎が下を向いて考えているとそのうちに千鶴は小太郎の間近まで近づいた。
「あいつて、誰のことかしら?」
「ち、近寄るな!!」
突然目の前に顔を出した千鶴に驚き、小太郎はとっさに爪を千鶴に向かって振った、すると爪は千鶴の肩を掠めただが千鶴は自分の怪我には構わずに小太郎の事を抱き締めた。
「貴方はとっても高い熱があるの、そんなに動いてはまた倒れてしまうわ」
小太郎は千鶴の温もりに抱かれてゆっくりとまぶたを閉じて意識を手放した。
「また気を失ったみたいね、大丈夫だった夏美?」
「う、うん私は大丈夫、しかしさすがちづ姉保母さん目指してるだけはあるね」
「こんなの学園の悪ガキに比べれば対したことないわよ、でもこの子何者なのかしらね?」
「うーん・・・ってちづ姉!?肩から凄い血が出てるよ」
「あらあら大変」
そしてその頃ネギたちはドンチャン騒ぎを終えて皆は疲れて眠っていた、それを見て龍斗とエヴァは二人でワインを飲んでいた。
「まったくあのガキ共ときたら、人の別荘で騒ぐだけ騒いだらあっさり寝おって」
「まあまあ楽しいからいいじゃないか」
「ふん、だいたい貴様がこいつらを連れてこなければ、こんなことにはならなかったんだ」
「ハハハ」
「笑ってごまかすな!!」
エヴァが机を叩くと二人は塔から下に降りる階段の方から魔力が発生したことに気づいた。
「ぼーやか?」
「行ってみよう」
二人がそこに行くと魔方陣の中にネギとアスナがおでこをくっつけていた、それをのどかが建物の影から見ていた。
「あれはなにしてるんだろ」
のどかがそう言うと龍斗とエヴァは気配を消してのどかの後ろに立った。
「あれは意識をシンクロさせる魔方陣だな」
「龍さん!?」
「しっ!」
「気になるな、おいお前確か他人の考えを見れるアーティファクトを持ってたな、貸してみろぼーやの心をウォッチするから」
「ダメですよーそんなの」
「好きな男の過去を知っておくのは何かと有利だと思うぞ」
「確かに」
「龍さんまで」
「分かりました、じゃあちょっとだけ」
「素直でよろしい」
そして龍斗たちはいどのえにっきでネギの心を見始めた、今ネギの過去が明かされる。
ネギが三才の頃ネギは小さな山間の村に住んでいた、その時既に父親のナギは亡くなっていて姉のネカネからはお父さんは遠い国へ言ってしまったとネギは聞かされていた、だが小さかったネギは死んだという意味がわからず自分がピンチになればお父さんが来てくれると思っていた、その頃のネギはおじさんの家の離れを借りほとんど独り暮らし同然の生活をしていた、姉のネカネはウェールズの学校の学生でたまの休みにしか会えなかった、そんなある日ネギは村から離れた湖で釣りをしているとネカネが村に来ることを思いだし村に戻った、ネギが村に戻ると村は炎に包まれていた、そしてネギが燃える村に入ると村人たちは全員が石になっていて、村人たちが全滅しているのを目の当たりにしたネギはただ泣くことしかできなかった、ネギが泣いていると目の前に大量の悪魔たちが現れネギを襲おうとした、だが悪魔がネギに触れることはなかった、悪魔がネギに攻撃しようとしたその時父親のナギが助けに来たのだ、ナギはものの数分で悪魔たちを倒していった、ネギはとっさの事にナギから逃げてしまい逃げた先で一人の悪魔に石化魔法をかけられそうになった、だがそれをネカネとネギを小さい頃から世話をしているスタンという老人の二人が身代わりに石化の魔法からネギを守った、そしてスタンは最後の力を振り絞りその悪魔を瓶の中に封じ込めた、そしてスタンは最後にネギを見て無事を確認するとニヤリと笑い完全に石化してしまった、そして悪魔を片付けたナギがネギに近づいてきたネギはとっさに子供用の杖を構えてネカネを守ろうとナギの前に立った、それを見たナギはネギに自分の杖を託し空に消えていった、その後ネカネはナギが石化を止めてくれたお陰で一命をとりとめ、そしてネギは元気になったネカネと共にウェールズの山奥にある魔法使いたちの街に住むこととなった、ネギは村の人たちの事を大人や姉に聞くが心配ないとネギには教えてはくれなかった、そしてそれから五年間ネギは魔法学校で勉強に没頭したその理由はただもう一度父親のナギに会いたいそう思ったためである、だがネギは今でも思うことがあったあの村の惨劇はピンチになったらお父さんが助けに来てくれると思った自分への天罰なのではないかと。
「!?、そんなことないわよ‼今の話にあんたのせいだったところは一つもないわ、大丈夫お父さんにだって会えるわよ、だって生きてるんだから、任しときなさいよアタシがあんたをお父さんに・・・うわ!?」
アスナがネギの後ろを見ると寝ていた全員が起きて涙を流し話を聞いていた、そして龍斗が優しい目でネギの肩に手を置いた。
「大丈夫だネギ君、君にはこんなにも仲間がいるそして僕もエヴァもいる一緒にナギを探そう」
ネギはその言葉に涙を流したが直ぐに拭くと龍斗の方を向いた。
「うん、よろしくお願いしますみなさん!!」
ネギがそう言うと今まで泣いていた皆はネギに一斉に抱きつきネギの父親が見つかるようにまた宴会を始めた。
小説は難しいですね、ここまで書いておいてなんですが伏線を回収するのもやっとです、次回は多分戦闘の導入の話になると思います、投稿は多分GW明けになるのではないかと思います、それではまた31話でお会いしましょう、感想、評価お待ちしています。