無職転生if ―強くてNew Game―   作:green-tea

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今回の内容には多分にオリジナル設定が含まれます。


第024話_商人組合

---商売の基本を知ってる? 先制攻撃よ!---

 

ギレーヌとの模擬戦を終えて身体の緊張を解くために整理運動をする。その行動にボレアスの屋敷の者は奇異な者を見る目を向けてくるが、直接聞いてこなければわざわざ教えることもない。

部屋に戻って身体を水で拭き服を着替える。着ている服と着替えを合わせて3着しかないから、町に出て服を買い足しておく必要性がある。田舎暮らしとはいえ、あまり汗臭いままで上級貴族の屋敷をうろつくものではない。洗濯してくれるメイドさんの仕事を増やすのも本意ではないが、彼女たちもお仕事なら問題ないだろう。

着替えた俺は部屋に置かれた机に向かい、魔法剣士の立ち回りから型の類型化について少し検討した。ああいう速い動きに対応するには俺に合った型が必要だ。

型の検討に目途が付いて、机を離れてぐっと背伸びする。部屋に差し込む太陽の光の加減からもうすぐ昼だろうと推測。おっとそうだった。今朝、飯時に一々呼びに来なくて良いと言ったばかりだ。俺は脱ぎ捨てていた服を部屋の隅にある洗い物籠に入れて昼飯を食べるために部屋を出た。

 

--

 

朝飯を食べたときと同じ食堂に着くと、入り口前でギレーヌが壁に背をもたれて立っていた。両腕は固く組まれていて、先にある左手の人差し指だけがピタピタと本人の右腕を叩いている。まだ午前中の対戦を振り返っているのかもしれない。剣神流は合理を追求する。次戦うときに俺の成長が彼女の成長より少なければ、またズルを使うことになるだろう。

無視して入ってもいいのだろうか。一応、声だけでも掛けよう。

 

「どうもギレーヌ」

 

「あぁ」

 

返事は上の空だ。まぁいい。挨拶はしたのだ。今はそっとしておくべきだろう。そう思って、それ以上は何も言わずに俺は食堂へと入った。

朝と同じ席で座っていると、エリスとギレーヌ、フィリップとヒルダの順で入ってきた。そして最後に嵐を体現する男が入ってきて昼飯がスタートし、朝飯のときと同じように終る。

食後にフィリップが控えていた執事のアルフォンスを呼ぶと、アルフォンスはどこかへ取って返し、戻って来た手には書類が握られていた。アルフォンスはそれを俺に渡す。俺はフィリップの顔を一度みてから、書類に目を通し、作業が終わったことを示すように顔を上げた。

 

「それは昨日頼まれた商人組合への書類一式と組合までの地図。君みたいに強い子なら護衛は必要ないよね」

 

「ご用意して頂きありがとうございます。一人で大丈夫ですのでお構いなく」

 

そう返事をすると、フィリップは町長の仕事があると言って歩いて行った。執事がトーマスからアルフォンスになっている。もうフィリップが処分したのかもしれない。そんなことは良い。書類も揃ったことだからさっさと行って昼の仕事を終わらせよう。夕方からは赤い珠をじっくり調べたい。

 

--

 

商人組合の建物は町の区画一つ分を使った大きな建物だった。全体は4階建てで、1階は馬車が荷台ごと入ることができ荷受けなどをするスペースのようだ。

通常の入り口はアプローチとして設けられた屋外の階段の先にあり、入り口をくぐると右手に受付カウンター、左手に商談や取引依頼の貼ってある壁がある。

俺はとりあえず受付カウンターにいる女性に話しかけた。

 

「こんにちは!商人組合への登録をしたいのですが、どこに書類を提出すれば良いでしょうか?」

 

「こんにちは。ボク、お父さんのお手伝い?お父さんかお母さんはいるかな?」

 

商人組合への登録を子供にお遣いで頼む親がいるんだろうか。まぁ、子供がこの建物に入ることのがあり得ないことなのだろう。受付のお姉さんが悪いわけではない。俺の見た目が悪い。

 

「一人できました。書類も紹介状もあるので提出先を教えていただけませんか?」

 

「そ、そう……。なら最上階、4階の組合長執務室の入り口前にある受付に行ってね」

 

「わかりました。ありがとうございます」

 

俺はそういうと建物の中央奥にある階段を昇り、言われた通り4階へ向かった。4階の通路は一本道で突き当りまで行くと2階のお姉さんが言っていた受付があった。4階の受付の人に今度は挨拶する。

 

「こんにちは。商人組合への登録に来ました」

 

「まぁまぁ小さいお客さんだこと」

 

「書類があるので確認をお願いします。どうぞ」

 

「どれどれ」

 

笑顔だった受付の人は、俺から受け取った書類を確認していく内に表情を一変させた。

 

「組合長とお話してきますので、少々お待ちください」

 

そう言って、彼女は組合長の執務室に消えて行った。

 

言葉遣いも変わっている。俺の見た目のせいで係の人たちには気の毒な事をしている。彼女たちは別に悪気があるわけじゃない。馬鹿にもしていない。常識的に行動しているだけだろう。そんな思いからふぅと息を吐くとそそくさと受付のお姉さんが執務室から戻って来た。

 

「組合長がすぐお話になるそうです。お入りください」

 

俺は言われるがままに執務室に入った。

 

--

 

組合長もまた俺の容姿を見て少し驚いていた。ただ、既に書類を確認しているのだろう。失礼の無いようにという配慮がうかがえた。

 

「こんにちは。ルーデウス・グレイラット君……いや、さん。私はこの町の商人組合長をしているチェレンガンだ。フィリップ様の紹介できたようだね」

 

「はい。ロアで店舗販売をしたいと叔父に願い出たところ、商人組合に登録するように言われましたので必要書類を揃えて伺った次第です。受け付けて頂けるでしょうか?」

 

「書類は全て揃っているし、問題もない。紹介状もある。ただ、君が若すぎたので少々困惑していてね。申請内容を確認すると商隊や商館とも取引しなくて良いとある。君が商人組合に入って何がしたいのかよくわからないのだ。それさえ分かれば快く受け付けたいと思う」

 

「すみません。見ての通りの若輩者故、商人組合の制度や組織については何も調べずに来ました。私の考えでは、ロアで店舗販売をするためには商人組合への加入が必要なのだろうということです。その辺りに認識の誤りがあれば説明して頂く方をご紹介願えませんか?」

 

「そういうことか、フィリップのやつ教えてやればいいものを。あぁ、すまない。状況は理解できたので私が説明しよう」

 

そう言ってチェレンガンが説明したのは『販売形態』、『商人組合』、『商館』、『商人』、『行商人』、『商館宿』の6個の項目だ。1つずつ確認していこう。

 

アスラ王国の販売形態は商業区域で商売する『商い』と商業区域外で商売する『直販』がある。そして商いには店舗を持ち、常に同じ場所で商売する『店舗販売』と店舗を持たずに毎日店の商品を抱えて移動する『路地販売』がある。さらに路地販売は『露店』と『フリマ』に別れる。

露店とフリマはよく似ているためにさらに詳しく説明すると、販売用の移動店舗を持っている場合は露店である。馬車の荷台でそのまま売る形式も露店であり、むしろこの形式が多い。露店販売は『商い行為』に区分されるため、組合員でなければ行うことができない。一方で販売用の移動店舗を持たない場合はフリマである。敷物程度の物の上に商品を並べる場合が多い。冒険者が商人に安く買いたたかれるのを防ぐために自分で販売するときに多く用いる。ただし算術ができない者も多く、よく騙される。こういうことを防ぐために冒険者ギルドがある。後ろ盾の無い駆け出し商人もこの形式をとることがある。ちなみにフリマの正式名称はフリーマーケットだ。

直販は先に説明した通り商業区域外で商売することである。これは主に貴族の屋敷に芸術品や希少価値のある物を売ったり、工場、鍛冶屋の資材を納品するときに使われる。

店舗販売と露店の事を『商い行為』と言う。路地販売であってもフリマは許可が必要な『商い行為』には入らない。

 

商人組合は地元の商人たちによる組合を指す。制限を受ける商館と分けるために地元の商人で商い行為をしたい者は登録する義務を負い、組合員だけが商い行為を許される。商人組合を維持するための登録費はアスラ金貨5枚、2年目更新時から年会費アスラ金貨1枚を要する。その役割は『商人組合の運営』、『組合員の管理(懲罰を含む)』、『提携商館との取次』、『組合員同士の受発注(依頼)の取次』だ。

アスラ王国ではアスラ王国商人組合各支部に入ることで支部毎の商い行為が可能になる。アスラ王国の商人組合員がアスラ王国外との輸出入をするなら提携しているアスラ商会が取り次いでくれる。チェレンガンの正式な肩書はアスラ王国商人組合フィットア支部組合長となる。

 

商館は地元でない商人が他地域で商売をするための組織だ。商館が商館登録した商人の持ってきた商材を買い付け、保有する物品を登録した商人に卸す。必要があれば商隊を組織して物品を移動させ、利益を得る。

ロアにはアスラ商会とミリス教商連合の2つの商館があり、アスラ商会はアスラ王国商人組合と取引し、王都アルスに本店を構える商館だ。その任務はアスラ王国外との取引を行うことにある。一方でミリス教商連合は商売より布教が目的の商館だ。

ブエナ村は常駐の商館はなく商館宿があるだけで、商隊や行商人が来たときに商館・商品売買場所として機能する。

 

商人は商売を行う者だ。商人が行う基本的な行為として、商材を集める行為全般を指す『仕入れ』と商品を売って金貨または物品を得る『販売』がある。販売が取り扱う商品には情報も含まれる。他の店で相場より安く売っているものを買い、そのまま売る『転売』は商人としては勧められない行為である。

商人は『組合員』と『非組合員』の2つに分けることもできる。組合員は商人組合に登録した商人で商い行為を含めた全ての販売形態を採ることができる。一方、非組合員は商い行為ができないのでフリマや直販のみができる。

 

行商人は簡単に言えば特定の店舗を持たない商人を指すが、これは正確な説明にはならない。例えばこの世の中には宝石に目が利き、それらを専門に扱う宝石商がいる。宝石商は資産家や貴族だけを相手にすれば良く、いちいち店舗を持たずに直販だけで生計を立てる場合も多いが彼らは行商人ではない。即ちアスラ王国内における行商人とは、ある町で仕入れた商品を別の町で販売するために複数の町や村を行き来する商人を指す。つまり、1つの町で仕入れから販売までこなす商人は店舗の有無にかかわらず行商人とは呼ばない。

大きな町で固定的に活動する商人は、それぞれで取り扱う品物に得意分野を持ち、生鮮食品を取り扱う者、金属を扱う者、本や情報を扱う者などに別れているのに対し、行商人は田舎の町や村から商材や特産物を集めて大きな町の商人/商館/商人組合に卸し、大きな町で買い付けた生活物資をジャンルを問わず田舎で販売する。尚、国外取引をする行商人は商館に登録して、仕入れた商品を必ず商館へ卸す。

つまり冒険者も商品を販売中は行商人の括りに入る。

 

商館宿は常駐の商館が設置できない辺境に設置される臨時の宿で店の機能も併設される。商館宿を利用する場合に限り、非組合員でも商館宿を利用した店舗販売が許される。

 

チェレンガンはアスラ王国での商業の仕組みについて俺が理解できるように基本的なことから話してくれたようだ。俺が若いせいなのか各説明も割と丁寧だったと思う。さらに詳しく知りたいと思ったなら学校で商業を学べと言われた。

 

「詳しい説明ありがとうございます。僕が販売するのは、僕自身がダンジョンで収集してきたアイテムと僕が研究したバティルスで作った精力剤と物に匂いをつける道具。文字を覚えるための教科書と絵本。それに算術の教科書、石で作った少し高級な食器ですね」

 

「ちょっと待った。自分で収集したダンジョンのアイテム?君はダンジョンを攻略したことがあるのか、その若さで?」

 

「あー、僕は水聖級魔術師で模擬戦で剣王にも勝ちましたし、この辺りの普通のダンジョンなら朝飯前ですね」

 

「信じられん……」

 

「でしたら、水聖級魔術を使ってこのロアの町を水没させたら信じてくれますか?」

 

「まてまて、信じるから止めてくれ。笑顔が怖いから。話は良く分かった。しかし、魔力付与品(マジックアイテム)を売るなら真贋は慎重にな。間違った鑑定も掴まされた側の責任で済ませられるが、組合員が悪質すぎると商人組合の信用に関わる。よくわからない場合は、未鑑定で売るか魔術ギルドに持っていきなさい」

 

「はい、分かりました」

 

話が終わったようなので、登録費用のアスラ金貨5枚をポンッと出して、代わりに許可証を受け取った。

 

チェレンガンの丁寧な説明のおかげで、もう陽は傾き始めている。

商売に関してまだやることがいくつかある。フィリップがロアの店舗を用意してくれるというから、残りの方を片付けよう。

しかし、国外取引は商館登録が必要か。おそらく関税をかけるための措置だろう。転移魔法や神獣を使った長距離輸送は問題になるから却下だ。となると自分で商館を立ち上げるやり方も関税用に会計をチェックされることを考えると転移魔方陣前提では問題になり却下か。ガラス素材を大量にベガリット大陸から輸入するのも却下。

国内経済だけで120万枚が稼げないなら、各国の商業組合に登録していかなければいけない。参入障壁が思ったより高い。商売が厳しければダンジョン攻略を増やすことにしよう。そんなことを考えつつ、帰りに服をワンセット買い込んだ。

 

--

 

サウロスの屋敷に戻って来た俺は、庭で剣術訓練をする師弟を横目で見つつ、自室に戻ると買ってきた服をベッドに放り投げ、フィリップの所に昼の報告に行った。

まずはフィリップの執務室に入った俺がすべきことは、立ったまま感謝の意を示すことだ。

 

「フィリップ様のおかげで無事、許可証を得ました。ありがとうございます」

 

「うん、問題なかったようだね。チェレンガンは説明が上手かっただろう?悪いけど、まだ店舗を決め切れていないんだ」

 

「了解しました。塔に行って赤い珠の研究をしておりますので、決まりましたらご連絡ください」

 

「わかったよ。期待して待っていていいよ」

 

報告を終えたので、余計な事は言わず執務室を辞去した。

 

--

 

俺は屋敷の最上階からさらに上へと伸びている螺旋階段を昇って塔の最上階に行った。今は、サウロスとネコミミダメイドのセットはいない。無人の小部屋だ。

俺は無言で『土槍(アースランサー)』を発動した。『土槍』はゆっくりと伸びていき、無人の小部屋からその先の空中に浮かぶ赤い珠へと近づいていく。しかし、赤い珠に届こうというそのときに『土槍』はぐにゃりと意図せず下方に曲がった。

ナナホシの予想では、この赤い珠は未来の問題を解決させるために過去にナナホシを召喚するための何からしい。魔道具か既に発動した魔術か、それとも既に完成した事象か。以前に、俺はこの赤い珠を移動させることで転移事件を回避することを考えていたが、最近はそれが不可能だとも思っていた。その思考理由は、未来の俺が過去へタイムスリップしてきたとき、彼は『日記を起点』に過去に転移したという(げん)から来ている。そのことはつまり、「時空転移の法において何かを為すために過去や未来に干渉する場合は何等かの起点が必要となる」という説明に思える。では転移事件を起こす赤い珠が『起点』とする一番可能性があるのは何か。ナナホシの異次元転送魔法装置を必要とするA君がこの世界にいつ召喚されてくるかわからないが、俺の日記のように特定の物が残り続けて、起点となりうるとは考えにくい。そこで俺が思いついたのは世界中に残る城塞跡や遺跡だ。このロアという町もその未来においては城塞跡として残るのかもしれない。ならばこのロアそのものが起点だという結論だ。

そして俺の思いを示すように高硬度の『土槍』が何等かの意思に曲げられた。赤い珠を刺激すると何が起こるかもわからない。これ以上何かを試すなら、ペルギウスを巻き込むべきだ。

さて確認は終わった。前に考えたようにエリスとのフラグが完全になるまでにお金を稼ぐ方向でいいだろう。途中で空中城塞に行く。それまでは商売と家庭教師だ。ロアに来てから二日、毎日が新しいイベントで溢れている。

 

………

……

 

その夜、俺は寝ようとしてどうしても寝付けなかった。先程、自分で言ったことが胸に引っかかってしまった。『エリスのフラグが完全になるまで』……俺の推測ではロキシーとシルフィに対して恋愛フラグが立っている状態でエリスとの恋愛フラグが立つと転移事件が起こる。それで赤い珠からナナホシを召喚して未来の誰かのための転移魔法装置を作る。ヒトガミを倒す夢の中の少年とナナホシは一緒に地球に戻る。そのストーリーは俺が死産だった場合には達成できない。だからルーデウスという人物が生まれたならばこのルートのイベントが始まる。

一見、正しそうな推論にみえる。しかし、なぜか俺は過去へと転生した。まったく同一人物のルーデウスに。過去の転生先に対する起点が俺自身の肉体だったという可能性はある。そうであったとしても運命力を考えれば、再転生した俺の行動が確定した未来と矛盾する可能性を持つとき、過去転生は運命力や世界の抑止力によって失敗したはずだ。それが成功した。

それはなぜか。未来で確定しているストーリーを達成できる運命なら細かい部分は俺が少し変化させても良いってことだ。逆に言えば未来の多くの部分は確定していない。

それはそうだ。全てが決まっていて動かせないならオルステッドがやっていることは無意味だし、動かせる部分があることはロキシーやシルフィとの関係性で証明済みだ。ロキシーは自分が教師としての問題点を自覚して旅立ったし、シルフィを男の子として扱ったまま村を離れた。

 

そして赤い珠はあった。

 

これらが示すことは2つのことのどちらかに集約される。『これまでの変化があってもロキシーやシルフィとの恋愛フラグは成立している』か『3人との恋愛フラグと転移事件の発生は関係がない』かだ。

 

話を戻そう。そう、『エリスに対する恋愛フラグ』だ。

管理する必要はないのではないか。エリスに対してだって結果を変化させても良いのではないか、既に俺は家庭教師ではなく予言者としてここにきている。トーマスを処分させて人攫いも起きていない。エリスが俺を好きになるようになんて考えるのは止そう。あくまでもしエリスが好意を寄せてきたら、転移事件を早めないために好きにさせ過ぎないようにする。俺に好意をもたなかったらそれはそれで彼女の選んだ人生だ。

俺は3人を自分の都合だけで嫁にしたくない。恋愛ゲームをやっているような感じになりたくない。実際に嫁にした3人の女性の人生をゲーム感覚で弄ぶなんて耐えられない。

灯の精霊を召喚して部屋を明るくすると、俺は日記に今の想いを書き足した。

 




次回予告
冒険者になりたい。
貴族の堅苦しい生き方なんてまっぴらだ。
そういう人物が居たのをボレアス家の面々は知っている。
食客である剣王がまさに同グループの一員だったのだ。
だが、娘にはひた隠しにしてきた。

次回『エリスの想い』
彼の息子が現れて悪影響がでなければ良いけれど、心配だわ。


ルーデウス6歳と11か月時/ロア2日目

持ち物:
 ・日記帳
 ・着替え3着(+1)
 ・パウロからもらった剣
 ・ゼニスからもらった地図
 ・ミグルド族のお守り
 ・魔力結晶×10
 ・魔力付与品(マジックアイテム)
  短剣(未鑑定)
 ・魔石
  紫(小)×5
  緑(小)×3
  紫(中)
  赤(中)
  黄色(大)
 ・神獣の石板
  スパルナ
  フェンリル
  バルバトス
 ・アスラ金貨93枚(-7。服代、組合登録費用)
 ・ルード鋼20個(+10)
 ・商い行為許可証

●チェレンガンの説明まとめ
 ■販売形態
  アスラ王国では商業区域で商売する"商い"と商業区域外で商売する"直販"がある
  商いには路地販売、店舗販売がある。
  さらに路地販売でも露店とフリマに別れる。

  商い   :商業区域内で商売すること
   店舗販売:店舗を持ち、常に同じ場所で商売する
   路地販売:店舗を持たず、毎日店の商品ごと移動するので場所は不定
    露店 :主に馬車の荷台でそのまま売る形式。
        生鮮食品はこの形式で多く売られる。
    フリマ:フリーマーケット。規定はないが敷物を敷いて商品を並べる場合が多い。
        冒険者が商人に安く買いたたかれるのを防ぐために
        自分で販売するときに多く用いる。
        ただし算術ができない者も多く、よく騙される。
        こういうことを防ぐために冒険者ギルドがある。
        後ろ盾の無い駆け出し商人もこの形式をとることがある。
  直販   :商業区域外で商売すること。
        主に貴族の屋敷に芸術品や希少価値のあるものを売ったり、
        工場、鍛冶屋の資材を納品する

  店舗販売と露店の事を"商い行為"と言う。
  路地販売であってもフリマは許可が必要な"商い行為"には入らない。

 ■商人組合
  地元の商人たちによる組合。
  制限を受ける商館と分けるために地元の商人で商い行為をしたい者は登録する義務を負う。
  組合員だけが商い行為を許される。
  商人組合を維持するために、登録費はアスラ金貨5枚、
  二年目更新時から年会費アスラ金貨1枚を要する。

  ・商人組合の役割
   1.商人組合の運営
   2.組合員の管理(懲罰を含む)
   3.提携商館との取次
   4.組合員同士の受発注(依頼)の取次

  アスラ王国ではアスラ王国商人組合各支部に入ることで支部毎の商い行為が可能になる。
  アスラ王国の商人組合員がアスラ王国外との輸入・輸出をするなら提携している
  アスラ商会が取り次いでくれる。

  チェレンガンの正式な肩書はアスラ王国商人組合フィットア支部組合長。

 ■商館
  地元でない商人が他地域で商売をするための組織。

  商館登録した商人の持ってきた商材を買い付け、商館が保有する物品を登録した商人に卸す。
  必要があれば商隊を組織して物品を移動させ、利益を得る。

  ロアには2つの商館がある。
  アスラ商会  :アスラ王国商人組合と取引し、王都アルスに本店を構える商館で
          アスラ王国外との取引を行う。
  ミリス教商連合:商売より布教が目的の商館。

  ブエナ村は常駐の商館はなく商館宿があるだけで、商隊や行商人が来たときに
  商館・商品売買場所として機能する

 ■商人
  商人は商売を専門に行う業者。
  商人それぞれで取り扱う品物に得意分野があることが多い。
  商人が行う基本作業は、仕入れと販売。

  仕入れ:商材を集める行為全般を指す。
  販売 :商品を売って金貨または物品を得ること。
      商品には情報も含む。

  転売 :他の店で相場より安く売っているものを買い、そのまま売ること。
      商人としては勧められない行為。

  組合員 :商人組合に登録した商人。商い行為ができる。
  非組合員:フリマや露店ができる。冒険者も販売中はこの括りに入る。

 ■行商人
  国内の各地を周り、商材を仕入れ・販売する商人。
  国外取引をする場合は、商館に登録していなければならない。

 ■商館宿
  常駐商館が設置できない辺境に設置される臨時の宿で店の機能も併設される。
  商館宿を利用する場合に限り、非組合員でも商館宿を利用した店舗販売が許される。


★副題はカウボーイビバップ、フェイの台詞を引用

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