無職転生if ―強くてNew Game―   作:green-tea

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※注意
章作成の都合上、7章一話の半分を公開します。
7章全編をお読みになりたい方は、後書きをご参照ください。


今回の内容には多分にオリジナル設定が含まれます。
7章は書き直しになる可能性があります。



第7章_少年期_追想編(1話のみ、全話はsyosetu.org/novel/209536/)
第094話_疫病対策


--- 不安は心の病。対策不能な予言は有害也 ---

 

ルーデウス達がギュスターブらと出会った頃。

とある場所のとある城の謁見室のような場所。

巨大な玉座には老人が座り、作業していた。

 

この謁見室らしき場所に玉座から入り口へと赤い絨毯が伸びていれば、間違いなく謁見室であっただろう。

だが赤い絨毯は存在せず、ましてこの部屋を飾る装飾品の影もない。

代わりに機械仕掛けの巨大な装置が玉座の前に鎮座し、天井まで伸びていた。

 

老人がその装置のツルの無い眼鏡のような部分に自身の両目を押し当てる。

そして老人は程なくして感嘆の声を上げた。

 

「おぉ」

 

声に応える者は誰も居らず、静かな部屋に声は染み、そして溶けていく。

老人は覗き込んだまま、右手で装置の別の部分についているダイヤルを操作する。

 

「むぅ……」

 

洩れる唸り声。

 

「我らの理想の未来図に揺らぎが見え始めたか」

 

老人はそう呟いた。

 

 

--ルーデウス視点--

 

ひょんなことから保護することとなった長耳族の魔術師デネブ・ローブは前世では出会わなかった人物だ。可能性の話をするなら、俺がギュエスに負けて囚われの身にならなければデネブに出会うことが出来たかもしれない。もしくはそもそも俺達がルイジェルドを魔大陸から引っ張り出さなければ死ぬことが無かっただろう。

だがそうはならず、彼女は子供を誘拐した一味としてルイジェルドによって始末されてしまった。いやルイジェルドが殺したかは正確には判らないが、怒り心頭だった彼がデネブの命乞いを聞き、見逃したとは思えない。

 

そんな運命も有り得たデネブ。

俺が転移災害から逃れ、ルイジェルドと出会うこともなかったために彼女は元気にシャリーアで生活することになった。

デネブには呪いがある為、新しく研究室を用意することを約束し、彼女の従僕であるカボット人形への仕事の斡旋もすることになっている。

約束したのは優しさだとか情けとかいう感情とは無縁の完全な成り行きだった。

でもよくよく考えてみると、シャリーア周辺に放逐した挙句、意味の分からない事件に巻き込まれるよりはましな判断だろうから、トラブルの種を未然に潰したと言える訳で、お節介というつもりはなくとも価値ある判断だっただろう。

 

さて彼女に関連した話を今少ししようと思う。

彼女は永らく隠遁した魔術の研究者であった。

夢が事実なら、それこそギュスターヴが戦士長の頃からの研究者だったはずだ。

そんな彼女の研究結果は誘拐事件のごたごたで未回収のまま残されてしまった訳で、前世の俺が見逃してしまった物だ。

今回はそれに俺は気付けた。それをそのまま放置する手はない。

だから俺とロキシーはそれらを回収し、デネブに了解を得て中身を検分することにした。

 

彼女の研究の1つは人形術、つまり召喚した精霊を人形に封じる魔術に関する物だ。召喚魔術の一種と言うことができる。

カボット人形に関する性格付与、個性の作り方。

命令に従わせるために必要な理解力、状況把握、思考力。

ザントポートの土地柄、複数種族が住み、魔大陸との取引までするのに必要な多言語対応。

人間的な動作のためのボディの強度と関節の耐久度、姿勢制御と運動性能。

彼女はそう言った分野を研究している。

 

ペルギウスの精霊召喚から派生した俺の魔術と大きく異なる部分は、精霊を2種類用意して封入する点にある。

まるで人間の左脳と右脳を分けたようにしているのだ。

この世界では医学があまり発達していないので脳が2つに分かれていると知らない筈だろうが、それによって人形内に葛藤や克己心のようなものが発生し、簡素な制御構造でより高度な精神性を獲得するに至るらしい。

デネブが結果を重視しているせいで、どうしてそうなるのかという分析や研究は行われていない。未踏分野と言えるだろう。

 

その他にも俺の持つ人形術とは異なる部分がある。

それは人形のボディに関すること。

俺の方式は骨格に魔法陣を彫刻し、合成素材で作った人工肉の固まりを筋肉のように動かす。

一方、彼女の方式は筋肉に相当する部分に魔法陣を彫刻し、動力を生み出しつつ構造の強度も補強する。可変型ではないが狂龍王に近い手法を採用している。構造の強度を魔術的に補う分、俺の方式よりも魔力の消費量は高い。代わりに製作コストおよびランニングコストは下がる。

 

人形術以外では結界魔術がある。

捕らえた聖獣を拘束するために用意されていた物だ。

効果は上級結界魔術の『封域(シャットアウト)』に近い。閉じ込める用法のために反転させた術式なのだろう。

使われている機能部品に新しい物がそれほどなかったので、効果を理解するのは難しくなかった。

理解が難しいのは分離構造によって生み出される効果だ。

 

分離構造が必要となる意図は判る。

魔法陣の内側に閉じ込める対象がいるとき、床に描いた魔法陣では魔術を維持するための魔力供給が無防備になってしまう。だから魔力供給を相手の手の届かない所に置かなければならないと考えるのは妥当な話だ。

もし分離構造を使わずにそれを行うなら、例えば対象の手が届かないような高い天井にこの魔法陣を描き、そこに閉じ込める事になるだろう。

魔力結晶の入れ替えのために天井裏から作業ができる必要もあり、かなり面倒な事が想像できる。

その点、分離構造を採用して2階の床に魔力供給のための魔法陣を描けば運用上の利点があるといえる。

 

といってもそう簡単ではない。

この分離構造には魔力供給以外にも別の機能が備わっている。

それは2つに分かれた魔法陣の間にそれらの魔法陣の外周を一本の糸で縫うように繋げる結界を作る機能だ。

だから分離構造を排除して1つの魔法陣にした場合は、それに関する機能部品が不要になる代わりに結界の立体的な形を定義する新たな機能部品が必要になる。『域内探査(ルームコンパス)』に使われている機能部品辺りから流用が出来るだろう。

しかし、それが今の魔法陣より効率的に結界障壁を発生させるかは未知数だ。

手に入れたカンテラ型の魔力供給器の大きさを考えると、供給できる魔力量は瞬間最大にしても総合計にしてもそれほど多くない。

そう考えると、より少ない魔力で結界を維持させるために分離構造が必要になるのかもしれない。

 

話が逸れてしまった。

魔力供給の無防備さを排除し、もしかすると効率的に結界を維持するのに必要なのかもしれないという意図は判る。

また、分離構造を構成するには転移魔術で使われているペアリング機能と同じ物が必要になる。

機能部品にも類似した部品があるように思えた。

問題はその先にある。

 

分離構造を成立させるにはペアリングによりお互いを結ぶだけでは足りない。

転移魔法陣と決定的に異なるのは魔力供給が片側にしかないという点にある。

魔力供給部分を対象の手の届かない場所へ設置するための分離構造なのだから当たり前と思うかもしれない。

だが、それを実現することは果たして可能か?

一体どんな未知の技術によってそれを為している?

 

最初に想像したのは2階側の魔法陣から1階側の魔法陣へと魔力を遠隔供給する仕組み。

試しに転移ネットワークの研究室で起動させて、魔力感知で調べてみたがどうやら違う。

片側で魔力供給を行うだけでもう一方に魔力供給を必要としないのはどのような仕組みなのか?

なぜ魔力が供給されていない魔法陣が起動するのか?

それについて問いただしたがデネブにも判らないという事だった。

 

残念ながらラノア魔法大学でもこれについては同様に判らないだろう。

ミリス神聖国が秘匿しているせいで、大学は結界魔術の分野で大きく遅れを取っているから。なのでここからは完全な推測だ。

 

この世界にも雷があり、電気、電子というものは存在する。まだ科学技術はそこまで到達していないにしても、そういう物理現象に必要な要素は存在している訳だ。

そして閉回路に電流を流す方法を俺は知っている。

コイルを持った閉回路の外側で磁石を動かすだけで、電力源が無くとも電流が流れるという奴だ。

所謂、電磁誘導。

この魔法陣に、それと似た仕組みがあるとするなら魔法陣の中を流れるのは魔力流であり、一方の魔法陣に魔力を流すことで魔力場が発生し、もう一方の魔法陣内に魔力誘導が起きるという説明が付くだろう。

電磁誘導に関してはナナホシに確認した方が良いかもしれない。余りにも遠い過去の知識でちょっと自信がない。

 

あとは魔道具だ。

デネブの話によればこれらの魔道具は長耳族の里の魔術技工士が作っている物だそうだ。

用途に合わせてちゃんと動けば問題ないので仕組みについては判っていないという。

こちらで研究するのも手が足りないので魔道具は使い方をレクチャーしてもらってから保管庫へと収まった。

 

 

通常公開はここまで(ここまでだと疫病対策してないですね)

 

 




拙作7章をお手に取って頂き、誠にありがとうございます。
また1話の半分のみの公開となってしまったことを誠に申し訳なく思います。
(7章は全部で18話あります)

以下、その理由とそれでも読みたいと思われた場合の手順となります。

■パスワード限定公開の理由
 10章くらいまでは内容が大幅に改定される可能性があります。
 自分で構想している内容が一般で受けるかも全くわかりません。
 追いかけるのが難しいという感想も多数あり、折角追いかけてくださったのに
 やり直す可能性があるのは心苦しいのでその辺りがOKの方だけに公開しています。


■読みたい場合はどうすれば?
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