人外娘との生活   作:ハヤテ_s.t

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ラーニャとのお話もそろそろ終盤に差し掛かろうと言うころ。

しかし、カトレアさんの時と違って話に山がないからどうやって終わらせようか悩みますね・・・・・・^^;


彼にとっては大きな一歩

「はぁ~・・・・ふぅ~。」

 

サヤから恋愛指導を受けてから走って家まで帰ってきたリオは玄関の前で大きく深呼吸をしていた。これは走って乱れた呼吸を正すためではなく、心の乱れを正すための深呼吸。

 

しかし、リオの思惑むなしく心拍数も心の乱れも一向に治る兆しがなかった・・・

 

「・・・・・よし。」

 

このまま玄関の前で時間をつぶすわけにも行かないので意を決して玄関の扉に手をかける、あくまで自然に・・・自然に、と心がけながら。

 

「た、ただいま~。」

 

「おかえりなさい~。」

 

少し声が震えたかもしれない。

 

それに気付いていないのか、ラーニャはいつも通りだった。リオがそのままリビングに顔を出すと、ラーニャは床に寝そべっている。

 

なんか、ラーニャっていつも寝ている気がする・・・・

 

そう思ってもリオは決して口にすることはないが・・・

 

そんなことを考えて苦笑いを浮かべていると、ラーニャがこちらに顔を向け顔をほころばせる。

 

「おかえりなさい。どうでした~?」

 

「――っ、うん。楽しかったよ。」

 

いつもは意識なんてしていなかったラーニャの笑顔が、今日はなんだか素直に直視できなくて頬を掻きながら視線を外してしまうリオ。

 

ラーニャはそれに気づいたのだろう。不思議そうに首をかしげている。

 

「どうかしましたか~?」

 

「う、うぅん。なんでもないよ。夕飯の準備しちゃうね。」

 

明らかに動揺しているリオは、その場から逃げるようにキッチンへと移動した。

 

{む、無理無理!!そんな急になんてできないよー!!!サヤーー!!}

 

脳内で勝手に混乱し始めるリオ。ラーニャはそれを少し寂しそうに見ていた。

 

 

 

 

「リオ君~。今日はサヤちゃんと何してきたんです~?」

 

「な、何にも話してないよ!?」

 

「それはそれで問題ですよ・・・」

 

 

 

 

「リオ君ー!!お風呂がお水ですーー!!」

 

「えぇぇ!!ご、ごめんラーニャ!!」

 

 

 

「リオ君~。体が寒いです~~・・・」

 

「だ、大丈夫?今毛布持ってきたから、あと温かいコーヒーも淹れたからね。」

 

「リオ君が温めてくれないんですか~?」

 

「え!?そ、そんなことしないよ!」

 

「あ~う~・・・・」

 

 

 

 

 

そこからのリオは失敗続きだった。ラーニャを意識しすぎて他の事が厳かになってしまうし、チャンスを見つけてもそれを生かせずに逆に離れてしまっている。

 

サヤからのアドバイスはちゃんと覚えているしそれを実行しようと1人で孤軍奮闘しているのもしょうがないかもしれない。

 

しかし、それによってラーニャはある不安を抱えるようになってしまっていた。

 

 

 

夜、つい先日から一緒にしたベットで横になっている。

 

しかし、二人の間には少し間があいていた。リオが初めてラーニャから露骨に距離をとったのである・・・

 

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

片方は意識から来る緊張で。一方で片方は気まずさと脳裏をよぎる不安で会話が無い状態。

 

「・・・・リオ君?」

 

「な、何?」

 

急に話しかけられて驚きながらも口を開くリオ。そこには焦りが見て取れた。

 

一方でラーニャはというと正反対で、いつもの笑顔も消えてしまっている。

 

「今日は・・・サヤちゃんと何かあったんですよね?」

 

疑問ではなく確認にも取れる問いだった。いや、ここまで露骨にリオの対応が変わっていればだれでも気づくというものだが、

 

「と、特に何もなかったよ?」

 

動揺。明らかに何か隠しているのは目に見えている。それはラーニャも気づいていた。

 

「・・・・やっぱり、人間同士の方がいいですか?」

 

「・・・?何のこと?」

 

ラーニャの方ももう限界だった。ここまで明らかに自分とリオとの間に感じている壁のような小さな拒絶。それがずっとラーニャの心を締め付けていた。

 

ここでラーニャ自身が不安や疑惑を感じてしまうのも当然のことといえる。

 

「サヤちゃんと、何かあったのは分かります。リオ君変でしたから。」

 

「えと、だから何もないってば・・・・」

 

だから、出来るならここで全て話してほしかった。リオ自身の口から聞いてしまいたかった。

 

自分では最悪の想像しかできなかったから。

 

「リオ・・君。」

 

「ラーニャ?どうしたの?」

 

気づいたら自分でもわけがわからないくらい声が震えていた。目の前にリオがいると言うのに、不安そうで、悲しそうな顔を浮かべたまま。

 

「わ、私・・・の事・・・」

 

「ら、ラーニャ!!?」

 

そこまで言って顔を上げる。電気も消して暗い部屋の中でも、リオはラーニャの目から涙がこぼれるのを確かに見た。

 

「私の・・こと、嫌いに・・・なっちゃったんですか・・?」

 

震える声で、涙を流しながら、それでもリオの目を見つめたままでラーニャが問いかける。

 

「・・・・・ラーニャ?ど、どうして・・・」

 

「だって、今日帰ってきてからずっと・・・様子が変で、今もこうして・・・離れて・・・」

 

「っ!!」

 

ここに来てやっとリオは自分の犯した間違いに気づけた。サヤの言葉を意識するあまり、逆にラーニャとの距離が離れてしまっていた。

 

そのせいで、ラーニャを心配させて・・・泣かせてしまった。

 

「うっ・・・ぐすっ・・・」

 

言葉が出なかった。ラーニャが泣いていることに、自分のしてしまった間違いに。

 

だから、リオは行動を起こすことにした。

 

「ラーニャ。」

 

出来るだけ優しく名前を呼び、彼女を抱きしめる。いつもとは違う。自分から彼女への目一杯の愛情をこめて。

 

「リオ君・・・?わ、私は・・・離れたく、ないんです・・・一緒、に・・」

 

「うん、僕も一緒の気持ちだよ。ラーニャと離れたくない。」

 

今まで戸惑ったり恥ずかしがったりした自分が馬鹿みたいにはっきり自分の気持ちが出てきた。

 

「で、でも・・・」

 

「今日、僕へんだったよね・・・」

 

「変、でした・・・。」

 

「ちょっと、サヤにアドバイスをもらったんだ。」

 

「アドバイス・・・ですか?」

 

「うん。ラーニャともっと近づくためのアドバイス。でも、いざ家に帰ってラーニャの顔を見た途端急に恥ずかしくなっちゃって・・・。それでずっと意識しちゃってたんだ。」

 

「・・・・ホントですか?」

 

少しずつラーニャも落ち着いてきたのが分かる。リオはゆっくりとラーニャの頭を撫で、精一杯彼女に自分の気持ちが伝わるように言葉をかけた。

 

「心配かけてごめん。不安にさせてごめん・・・・僕はラーニャが大好き。ずっと、ラーニャが望む限りずっとそばにいるよ。」

 

「・・・私、独占欲強いですよ?」

 

「知ってる。」

 

「料理できません。」

 

「それも知ってる。」

 

「・・・・人間じゃありません。」

 

「・・・なにか問題ある?」

 

「・・・ないですっ!」

 

「うん。ないよね。」

 

ラーニャの瞳から涙が消え、今まで力なく横たわっていた尻尾がリオの体に巻きついてくる。これが彼女の愛憎表現であるのをリオは知っていた。

 

自分が抱きしめていたはずなのに、いつの間にか自分がだきしめられていた。彼女の胸に押しつけられるように抱きしめられて少し苦しいけど、頭上で彼女が笑っているのを感じ、「それもいいかな」と思えるようになった。

 

 

 

 

 

 

「ところで。」

 

「ん~?」

 

しばらくしてラーニャがいつもどおりに戻ったころ、思い出したようにラーニャが口をひらいた。

 

「アドバイスって、具体的にどんなアドバイスだったんです?」

 

「あ~~・・・」

 

掘り返されてしまった話題にリオは顔をしかめた。それを見てラーニャが少し顔を俯かせる。

 

「隠し事・・・ですか~・・・。」

 

先ほどまでの事を根に持っているのだろうか、わざとらしく泣くふりをしてくるラーニャにリオは反撃できるはずもなかった。

 

「わかった。言う・・・・・あ。」

 

「何ですか~?白状する気になりましたか?」

 

リオは、唯一、ここからの逆転を思いついた。もちろん自分も恥ずかしいが、そんなことラーニャの度肝を抜くに比べれば安い。

 

「アドバイス通りに実践してあげるよ。」

 

「実践?行動に出来るアドバイスですか。」

 

「うん。ラーニャ、こっち向いて。」

 

「はい~。どうしまし―――んっ・・・・」

 

話し終える前にラーニャの口をリオのそれがふさぐ。時間にして2秒ほどだっただろうか、ただ唇を触れさせるだけのキス。リオはしてやったりという表情で笑っていた

 

「こういうアドバイス。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「ラーニャ?」

 

ラーニャは顔を伏せて黙りこくってしまった。何かやらかしてしまったかと、リオが本気で心配し始めたころ。ようやく顔を上げたかと思うと、一気に顔を近づけてきた。

 

「んんっ!!?」

 

「はむっ・・ぅん・・・」

 

今度はリオが度肝を抜かれる番だった。リオのしたように触れるだけのキスとは違い、ラーニャはラミア特有の長い舌を使って口内を蹂躙するかのような激しいキス。

 

それだけでリオは頭が沸騰しそうなほど混乱していた。

 

先ほどの何倍もの時間がたったころ、ようやくラーニャが唇を離した。

 

「ぷはっ!ら、ラーニャ!いきなり何するのさ!」

 

「ん~?最初にしたのはリオ君ですよ~?」

 

「そ、そうだけど!こ、こんなことしてないよ!」

 

「こんなことってどんなことでしょう~。私わかりませんね~。」

 

「なら、ラーニャ、なんか変だよ!!」

 

「えぇ、さっきのリオ君のキスで私おかしくなっちゃいました~。責任、とってくれますよね~?」

 

「えぇ!!!???」

 

尻尾をリオに巻きつけたままラーニャはリオの上に乗る。しなだれかかるようにリオの顔に自らの顔を近づけた。

 

「ちょ・・ラーニャ・・・・う~・・・」

 

「・・・・・・」

 

上から見下ろす形になったラーニャは目の前で少し涙目になるリオに・・・少し興奮した。

 

しかし、それよりも今は、この女々しくも愛しい、少女ともとれるリオにこれ以上を期待するのは野暮というものだろう。

 

先ほどのキスだってきっと彼にはとんでもなく高い壁だったはずなのだから。

 

「ふふふ、冗談ですよ~。リオ君ったら焦っちゃって、可愛いですね~。」

 

「・・・泣いてもいいかな?」

 

「そんなことされたら冗談じゃ済まなくなりますね~。」

 

「どういうこと!!?」

 

だから、今日はとりあえず我慢しておこう。

 

そう思って、再び彼を抱きしめた。




なんかこれが最終回といっても大丈夫な感じの終わり方になってしまった(^w^;)

それでもラーニャ編はもう少し続くのです。しばらくお付き合いください。

では、ここまで読んでくださりありがとうございます^^
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