人外娘との生活   作:ハヤテ_s.t

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ドラゴンってイメージ的には本当に上品なお嬢様タイプと男勝りなボーイッシュタイプがあると思うんですよね。

今回は後者のボーイッシュタイプで行こうかと思います。やっぱりやんちゃ・・・というか、大雑把な性格とか似合いそうです(^w^)
前回のお話で「神話に出てくるような美しい女性」からのギャップを楽しみたいww

個人的にはお嬢様対応よりもボーイッシュタイプが好きな作者ですが、皆さまはどんなドラゴン娘がお好きでしょうか?(・ω・´)


肉焼きセット忘れた・・・・

「・・・・・ん・・ぅん?」

 

少し寒さを感じて目を開ける。横たわった地面からはひんやりとした冷たさが伝わってきていた。

 

上半身を起こし目をこする。少しずつ頭がさえてきて、自分の周りを見渡してみると見えるのはネズミ色をむき出しにした岩。どうやら洞窟かどこかのようだ。入り口か出口か、近いようで光は曲がった先から洩れてきているが外の景色は見ることが出来ない。

 

それほど大きくもないようでリオが寝ていた場所が洞窟のつきあたりだった。洞窟というより穴倉に近いかもしれない。

 

「・・・そう言えばあの子はっ――――――!!!」

 

自分が見たはずの青いドラゴンの女性。それを思い出し慌てて体を起こすと。同時にすさまじい痛みが体のいたるところからリオを襲った。

 

なんとか上半身を起こして自分の体を見てみれば、体のいたるところに草が張りつけられている。これにリオは見覚えがあった。

 

リオがいた村でもよく見かける痛み止めの薬草だ。普通はこれをすりつぶしたりして包帯やガーゼに付けてから傷口に着けるものだが、それでも効果としては変わらないだろう。

 

{・・・あの子がやってくれたのかな・・・}

 

自分が見たドラゴンの女性を思い出しながらそう考える。自分の記憶があるのはそのドラゴンの女性を見た直後まで、おそらくそこから気を失ってしまったのだろう。

 

となると、彼女がここまで自分を運び治療してくれたことになる。そのことに嬉しさと情けなさを感じながら、リオはふと考えてしまう。

 

{・・・生きながらえちゃったな・・・・}

 

村に雨をもたらすための生贄として村を出たリオ。しかし自分はこうして助けられ命をつないでしまっている。もちろん村長が企てた計画としてはリオの生死など関係ないのであろうが、村の皆の祈りや現状を考えると、ホントに死んでしまった方がいいのかもしれない。というのがリオの考えだった。

 

もしかしたら本当に生贄で雨が降るかもしれない。と、心のどこかで思ってしまっていたから・・・

 

そうこう考えていると、リオは洞窟で聞いたあの音を再び耳にする。

 

大きな羽ばたきがどんどん近付いてくるのが分かった。光が一瞬にして陰ると同時に羽の音が止み、足音がこちらに近づいてくる。

 

第一印象が強烈だっただけにリオはあの女性に会うのだと考えてとんでもないほど緊張してしまっていた。

 

「・・・・起きたか。」

 

やがてあの時のドラゴンの女性が顔を出すとこちらを見てそう言った。特に驚いた様子はない。

 

「あ、あの・・・」

 

「話は後だ。腹が減っただろ?まずは食え。」

 

治療のお礼を言おうと緊張のまま口を開くが、こちらが話を持ち出す前に向こうからさえぎられてしまった。

 

リオのすぐ横にどっかりと腰掛けると、背中に担いでいた物をリオに差し出してきた。

 

予想通りというべきか、彼女の食は狩りが基本のようで、差し出されたものは三羽の野兎だった。リオの住んでいた村でも野兎はよく見かける。自給自足の生活では森にすむ動物たちも貴重な食料になりうる。

 

かくいうリオも野兎は食べたことがある。シチューに使った時は絶品だった。その時の事を思い出してしまい口の中で涎が出てくる。どうやら思った以上に自分はお腹が空いていたらしい。そう言えば朝食も食べていなかった。

 

そう思い出し、ここは彼女の言うとおりまずは食事にありつこう。そう納得した。

 

「はい・・・ありがとうございます。」

 

そう言って頭を下げると彼女は「おぅ。」といって手に持った一羽をリオに差し出してきた。

 

「・・・・?」

 

反射的に受け取ってしまったリオだが、一瞬この現状を理解できなかった。手に渡されたのは野兎。見ればわかる、何せ森を走り回る姿そのままでいるのだから。

 

{料理は僕がするのかな・・・?}

 

などと考えて隣に座る女性に目を向けると・・・

 

「ん?ろぅした・・・ゴクッ・・・食わねぇのか?」

 

言葉を失うとはこういうことだろう。リオは口を開けたまま唖然としてしまった。見惚れるほどの美を兼ね備えたその女性はあろうことか野兎の前足後ろ脚を左右の手で持ってそのまま腹にくらいついている。

 

血抜きもしていなかったのだろう、口の周りは固まった血で赤く染まりさながら吸血鬼か何かのようだ。

 

そんな惨事を目の当たりにしながらも、リオはその女性を美しいと感じられたのは不思議でしょうがない。

 

あいた口がふさがらない状態のリオを見てしばらく、首をかしげた女性が口を開いた。

 

「なんだ・・・腹でも壊してんのか。」

 

「あ・・・いえ、そう言うわけじゃなくて・・・」

 

彼女の言葉に我に返ったリオだったが、これは言葉選びが難しい。素直に「生では食べられません」というべきなのだろうが、用意してもらった上に一度は受け取ってしまった手前その素直な言葉が出せない。

 

どうしようか迷っていると、彼女が心配そうな顔でリオの顔を覗き込んできた。

 

「どうした・・・腹が減ってねぇ、ってことじゃないんだろ?」

 

{心配してくれてる・・・のかな・・・?}

 

彼女の視線をそう感じ取ったリオ。実際に彼女は非常に優しい性格なのだろう。見ず知らずのリオをここまで運び、治療し、更にはこうして食事まで用意してくれたのだ。形はどうあれ善意であることに変わりはない。

 

それなら、ここで自分が嘘をついてしまうのは失礼にあたる。リオはそう思い口を開いた。

 

「あの・・・ここまでして貰って申し訳ないのですが、人間には肉を生で食べる習慣がないもので・・・・」

 

少し遠慮気味・・・というよりかは丁寧に説明したつもり。彼女自身自分とここにいるリオとの違いというのは気づいているはずだし、異種族同士ということなら食事文化に違いがあって当然。

 

リオがそう伝えると、女性は納得したようで、心配そうな顔をすぐにほころばせた。

 

「なんだ、そう言うことか。それなら早く言ってくれりゃあ良いのに・・・」

 

そう言ってリオから野兎を受け取ると、それをリオと反対方向に掲げる。

 

何をするつもりだろうかとリオが首をかしげていると彼女は大きく息を吸い込み・・・・

 

「!!?」

 

掲げられた野兎に向かって炎を吐いた。突然の出来事にリオが再び口をあけていると、

 

「ん、こんなもんか。どうだ?」

 

そう言ってこちらに目を向ける。その手にはこんがり焼きあがった肉塊が掲げられていた。

 

白い湯気を上げるそれは肉汁を滴らせ、キラキラと輝いているようにも見える。先ほどとは違い。リオは自信の胃が刺激されるを感じた。

 

「だ、大丈夫・・・です。」

 

呆気にとられて、少し放心状態のまま答えたリオだったが、女性は嬉しそうに頷くとリオの目の前にそのこんがりした肉を持ってくる。

 

「ほら、食え。」

 

「え?あの・・・」

 

「熱いからな、そのままだと火傷しちまうだろ?持っててやるから食えって。」

 

それはリオの手を心配してのことだったわけだが、何とも言えないほどにシュールだ。こんがり焼かれた野兎を美女に食べさせてもらうわけだし、嬉しいと言えば嬉しいが・・・なんというか、もっとちゃんとしたものでやりたい・・・

 

「え・・・と、それでは・・・・」

 

「おぅ!」

 

しかし、リオの思考もそこまで、食欲に勝てず目の前の肉にかぶりついた。確かに熱かったが表面はパリッと香ばしく、中からはジューシーな肉汁が溢れだす。血抜きしていないせいで少し硬く感じたが、味は最高においしい。味付けを何もしていないのだが、肉本来のうまみと、肉汁の甘さが食欲をそそった。

 

「どうだ?旨いか?」

 

「凄く美味しいです。」

 

「そっか、そりゃよかった。」

 

それから、リオがその一羽を食べ終えるまで、彼女はずっと食事もとらずリオに食べさせ続けてくれていた。

 

 

 

 

食事を終えて、満足そうにお腹を撫でる彼女にリオはこの数時間で感じた彼女の優しさを思い返していた。

 

洞窟で倒れていたのを拾ってもらって、薬草で治療してもらい、その上に食事までご馳走して貰ったのだ。誰もが皆初対面にこんなことできることではない。

 

{ホントに・・・頭が上がらないや。}

 

そう考えて、ふとリオは自分の置かれた状況を思い出した。

 

生贄として村を出た自分は、この後、どうすればいいのだろう。

 

村に戻るのはもちろんできない。かといって森で生活するだけの力も能力もない。どこか遠くの村に行こうにも自分では体力的に無理・・・

 

{結局・・・死ぬしかないのかなぁ・・・}

 

せっかく助けられた命、出来ることなら死ぬことは考えたくない。しかし、自分にはそれしか残されていなくて・・・

自然と顔を俯かせてしまう。

 

そんなリオを見て、女性は真剣なまなざしを向けた。

 

「なぁ、お前さえよければここで暮らして良いんだぜ?」

 

「は!?」

 

突然の言葉に本日三度目の開口。どうして自分の考えていることが分かったのか、なぜそうも簡単にここに住んでもいいなんて言えるのか、様々なことが頭の中をぐるぐる回り、嫌でも混乱する。

 

そんな様子のリオを見て彼女はニカッと笑顔を向ける。

 

「深く考えるなって。お前に行く宛てがあるなら止めはしない、むしろそこまで送ってやってもいいんだ。決めるのはお前だぜ?」

 

この女性はいったいどこまでリオの考えを読むのだろうか、混乱していたリオは彼女の言葉に少し冷静になれた。結局のところ彼女の言う通りで、自分に行く宛てがあるかどうかの問題。結局は先ほど考えていた、「死ぬ」か「生きるか」という究極の二択だ。

 

もちろん、彼女に迷惑がかかるのも考慮すべきなのだろうが、自分の生死がかかったこの状態でそんなことも言っていられない。

 

「・・・良いんですか?」

 

「あぁ、アタシも1人で暇してたんだ。その代わり、怪我が治ったら働いてもらうぜ。なんてったって自給自足の生活だからな。」

 

「それじゃあ、えと・・・・よろしくお願いします。」

 

「おぅ!よろしくな!・・・えーと・・・・」

 

そこまで話が進んでからまだ自分たちが自己紹介も済ませていないことに気付いた。少し慌てる彼女に笑みをこぼしながら、リオはきちんと頭を下げた。

 

「リオです。人間のオス。歳は20になります。」

 

「オス!?・・・人間ってスゲェんだな・・・・アタシはサフィール。見ての通りドラゴンだ。」

 

そう言って笑う女性・・・サフィール。こうして、リオとサフィールの洞窟生活が幕を開けた。




ここでようやくヒロインの名前発表です。

・・・イカン、何という亀ペース・・・これは長編な臭いがしてまいりました・・・

といっても基本的に話数に差はつけないで行きたいので、カトレアのように急ペースで進むことになるかもしれません・・・(^w^;)
読みづらくなってしまわぬよう、最新の注意を払って執筆していきたいと思います、もとより読みやすいとも言い難いですが・・・・

感想、一言、お待ちしております。ログインしてない方でも書きこめるようになっているので、多くの方からアドバイスや感想いただけたらと思います(^ω^)

それでは、ここまで読んでくださりありがとうございます。
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