人外娘との生活   作:ハヤテ_s.t

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今回は二話連続投稿になります。最新話で呼んでいる方はお気を付け下さいませ(・ω・)


今一度

「・・・んぅ・・・」

 

目が覚めると、最近はもう見なれた石の天井が見えた。まだ調子が悪いのか体が火照って汗を書いているのがわかる。

 

「ん・・・くっ・・」

 

体を起こそうとするが、とんでもなく重い。まるで鉛か何かでできているのではと錯覚するような感覚に自分では起き上がることもできない。

 

まだ調子戻らないんだな・・・

 

なんて考えながらふと視線を横にずらすと、きれいな蒼色が目に入る。安らかな寝息が聞こえるあたり、今日は珍しく彼女よりも早く起きることができたようだ。

 

と、そこで違和感を覚える。

 

呼吸が1つほど余分に聞こえてくる。サフィールのものとは違うし、もちろん自分のものでもない。

 

少し不安を感じながらその音が聞こえるほうへゆっくりと顔を向ける。

 

「――――――っ!!??」

 

予想外すぎて思わず呼吸が止まりそうになった。

 

「・・・・サ、ヤ・・?」

 

そこで寝息を立てるのは、もう会うことはないと思っていた幼馴染だった。

 

 

「・・・ん~?」

 

少し声が大きかったのだろうか、リオの言葉にサヤがうっすらと目を開けて体を起こす。

 

小さなあくびを漏らし、目をこすると。今度ははっきりとリオと目があった。

 

「あぁ・・・やっと起きたのね?」

 

「・・・な・・なんで?」

 

久しぶりに会ったというのに、変わらない彼女の様子。そしてそれとはまるで正反対に混乱しっぱなしのリオ。

 

「久しぶりね。リオ」

 

「う・・・うん。」

 

「体の調子はどう?気分は?」

 

「え?・・・あぁ・・・えと、まだボーっとしてる・・・体も重いし。」

 

「ご飯は食べれそう?」

 

「無理・・かも。」

 

「そう・・・なら栄養剤だけでも飲んでおきなさい。後でサフィールに頼んで家からお米持ってきてあげる。雑炊なら食べられるでしょ?っていうかそれくらいは食べて。」

 

「う、うん・・・って、そうじゃなくて!」

 

まったくいつも通りのサヤに安心4割 混乱6割。流されてしまった自分に若干の情けなさを感じながらも、体に活を入れて声を大にして反論する。その際少し立ちくらみにも似た感覚が襲うがこの際無視する。

 

「なに?あまり大きな声出すとまた悪化するわよ?」

 

「な、なんでサヤがここにいるの?なんでサフィールのこと知ってるの?」

 

「・・・・昨日、そのサフィールさんが私のところに来たのよ。アンタを助けてほしいって。」

 

「えぇ!?」

 

そこから、サヤは昨日の出来事を振り返るようにリオに話した。リオは終始驚愕の表情を浮かべていたが、自分でも昨日のことを思い出したのだろうか、少しだけ納得できたように頷いた。

 

「そっか・・・僕昨日水を飲んだ後気を失って・・・」

 

「サフィールさんに感謝しなさいよ。」

 

「・・うん。」

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

突如訪れる重い空気。それも当然だろう。生贄として村を出て隠れて生活していたリオ。置いていかれるような形で村に残ったサヤ。しかも双方の心には小さくない柵がある。

 

今更再会できたところでどう接していいのかなんてわからないのだ。

 

その沈黙を破ったのはリオだった。

 

「サヤ・・・ごめんね。」

 

「・・・何に対しての謝罪?」

 

「・・・今までのこと、全部。」

 

「許せるわけないでしょ。」

 

「・・・・・・」

 

予想はしていた。リオがサヤに残した心の傷は決して浅くはない。それが今更謝った程度でどうこうなるような状態ではないのはリオも知っている。でも、それでも一言謝っておきたかった。

 

「急に、生贄になりました・・なんていなくなって。やっと見つけたかと思えばドラゴンと同棲してしかも意識不明で・・・」

 

「挙句の果てには前に村に来てたって?泣いてる幼馴染に声も掛けずに帰ったらしいけど。」

 

「・・・・・」

 

「そこまでのことしておいて今更謝罪なんて、少し考えが甘いわよ。リオ。」

 

「・・・・」

 

返す言葉もない。もちろん最初から都合の良い返事を予想していたわけではないけれど。それでも、本人に直接言われるとさすがに堪えた。

 

「・・・・でも。今はもうそんなのどうでもいい。」

 

「・・・?」

 

先ほどまでの不機嫌な表情を崩し、その瞳に涙をためたまま微笑むサヤが、そっとリオの頬に手を当てる。

 

「またこうしてリオに会えた。今はその事実だけで胸がいっぱいなの。」

 

「・・・サヤ・・・」

 

懐かしい彼女の手の温もりにリオの涙腺も緩んでしまう。そこをなんとか男のプライドやらなんやらで押しとどめてはいるが、きっと泣きそうになっているのはバレバレだと思う。

 

「・・でもリオ。1つだけ・・・聞いてほしいことがあるの。」

 

表情を少しだけ険しくしながら、サヤはリオの頬をなでながら口を開いた。

 

「村に戻ってきなさい。」

 

「・・・・」

 

そう言われることは予想していた。だからこそリオは慌てるでもなく、ゆっくりと首を横に振った。

 

「それはできないよ。僕はもう村には――――「違うの。」・・・?」

 

リオの言葉をサヤが遮った。その表情は真剣で、これが彼女の我儘ではないというのがわかる。

 

「リオ。アンタは体が弱い。このままここにいても大した治療なんかできないの。」

 

「・・・・・」

 

「こうして薬を持ってきても病状がわからなかったら意味なんてないわ。お医者様に診てもらうためにも戻ってきなさいって言ってるの。」

 

「無理だよ・・・僕はもう生きていないことになってるんだから。」

 

「でも、アンタはこうして生きている。それに、リオが生贄として山に入ってから村の井戸が生き返ったのよ。結果を出したんだから、リオが生きていようと問題ないわ。」

 

初耳だった。自分が山に入ってサフィールに会ってから一度も雨は降っていない。それはリオが確認していた。しかし実際は村の危機は既に去ったという。

 

リオが生贄に入ったのは「雨乞い」が目的ではあるものの、村の住民にとってみれば「水がない」という危機が去った今、雨が降ろうが降るまいが特に関係はないのだ。

 

「・・・それでも、生贄が生きていたという事実は結果的によくないことだよ。」

 

その話を聞いても、リオは首を縦には降らなかった。

 

実際。村の危機が去った今、リオの生死はもう関係ないようにも見えるが、実際のところ、村人たちの心にあるのは「生贄をささげたから危機を脱することができた」という考えが出来上がってしまっている。

 

そこで生贄が実は生きてました。なんてことになってしまえば、「生贄は実はいらなかった」という解釈に変わってしまい。

 

もし次に何かしらの危機が村を襲ったとき、村長の意図である村人たちの統率が難しくなってしまう

。リオはそれを危惧していた。

 

「でも、このままでいるわけにはいかないでしょ!?」

 

「大丈夫だよ。サヤがこうして看病してくれたからか、昨日よりは体調もいいし。このまま安静にしながら薬を飲めばすぐに良くなるって。」

 

言いながら、リオは自分の気持ちを押し殺した。

 

これは言ってしまえば、リオの小さな拒否。村に戻り、もう一度村で暮らそうというサヤの誘いを断って、再び別れを選んでいるのだ。

 

前回のように、自分がここで彼女に未練を残させてはいけない。しっかりと拒絶して置かなければ、少しでも迷ったりしてしまえばきっとまた泣かせてしまう。

 

いや、結果的には泣かせてしまうことに変わりはないだろうが、要はそのあとになって少しでも早く立ち直れるかどうかの問題だ。

 

だからこそ、リオははっきりと誘いを断る決意をする。自分はもう村には戻らないという決意を貫き通す。

 

 

「・・・・・」

 

「だから・・・心配しないで・・ね?」

 

「・・・・そう。」

 

リオの頬からサヤの手が離れ、膝の上におかれる。その手が震えているのを、リオは気付かないふりをした。

 

「・・・・まったく、そういうところは嫌に男らしいわね。リオってば。」

 

「いつもはどうなのさ。」

 

「女よりも女らしい男。」

 

「不愉快だ。」

 

顔を伏せるサヤはどんな思いだろうか、それはリオにもわからないけど。きっと触れてはいけない問題なのだと思う。

 

「・・・・っよし!私はそろそろ帰るわね。結局家には帰れてないし、お父さんたちが心配してるわ。」

 

「うん。」

 

掛け声とともに勢いよく立ちあがるサヤ。少しだけ赤くなった目には少し涙が浮かんでいる。

 

そのままリオの反対側に寝るサフィールに近づくと、その肩を揺らした。

 

「サフィールさん!起きてください!私もう帰らないといけないんです!」

 

「あ~~・・・に~く~・・・」

 

「何を寝ぼけて・・・ってイタタタタタタタ!!私の腕をかまない!!」

 

寝ぼけたサフィールは目の前に差しだされたサヤの腕に歯を立てていた。人の形をしているとはいえもとはドラゴン。

 

サヤの腕には痛々しい歯型がついてしまったそうな・・・

 

 

その後。サヤの一撃によって目を覚ましたサフィールが。あきれるリオを見て涙ながらに彼にダイブしたり、一悶着あったわけだが、この際割愛。

 

 

 

「それじゃ、薬は置いておくわ。帰るときにはサフィールさんにお米持って行ってもらうから、お粥にでもして食べなさい。」

 

「うん。」

 

 

ここに来るときにはパンパンだったリュックは薬を吐きだしてスッカラカン。そんなペッたんこなリュックを背負いながら、サヤはサフィールとともに洞窟を後にしようとしていた。

 

想いを断ち切るように、サヤが振り向かないように出口へと歩いて行くと、

 

「サヤ。」

 

「なに?」

 

不意に声をかけられる。ここで振り返ってしまえばきっと決心が揺らぐ。そう感じながら、サヤは背中を向けたまま返事を返した。

 

「ありがとね。」

 

「・・・っ、気にしないでよ。幼馴染でしょ?」

 

「・・うん!」

 

それだけ、ただそれだけの会話を残して、サヤはその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほんとに、ありがとな。」

 

村について、もう日が出ているため少し離れた場所でサフィールはサヤを下ろした。

 

「いいのよ・・・リオをよろしくね。」

 

「あぁ!」

 

そう言って空へと舞い上がるサフィールは見上げながら、サヤは大きく深呼吸をする。

 

今日は嫌になるほどに天気がいい。

 

「・・・・諦めきれない。なんて・・思っちゃう自分が嫌になるわ・・まったく。」

 

そう口にして、サヤは家路につく。

 

「・・・っ!―――――っと・・・」

 

不意に霞んだ足元に少しだけ首をかしげながら・・・・

 

 




はい。というわけで二話連続投稿にしてこの進展のなさであります(・ω・`)

リオ君は普通に話していましたが、いまだ完治しているわけではありません。とりあえず話せるところまで回復した。という程度です(^w^;

最後のサヤの描写はこの物語最大の山場への布石になります。
活かしきれるかどうか全く自信がありませんが(←

ここまで読んで下さり本当にありがとうございます。

アドバイスや感想。お待ちしております(^ω^)
お気軽に書いていってくださいませ。作者泣いて喜びます(゜Д゜)
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