量的にも大した文字数書いておりませんので、特に読み直す必要はありませんが、念のため・・・・(^w^;)
さて、今回のお話で「サフィール編」は終了となります。
最期だし、ほのぼのイチャイチャさせたいなぁ(*^w^*)
では、どうぞ。
大きな翼を羽ばたかせながら、高い木々が生い茂る森の上を悠々と飛行する影が一つ。
その羽の動きをよく見ればとても軽く、まるで上機嫌なようすがわかる。その影は手に大きな獲物を手にスピードを上げた。
やがて、崖にぽっかりと空いた穴の中へと降り立つと、足取り軽く意気揚々と奥へと進む。
「今帰ったぞ!リオ!」
先ほど仕留めた大猪を見せびらかすようにかかげながら満面の笑みで奥にいる人影へと帰宅を知らせると、その影がこちらへと振り向いた。
「お帰り。サフィール。」
あの日、サフィールの毒を乗り越えるため彼女の血を飲んだあの日からもう一年の月日が流れようとしていた。
人外である龍の血は、当初のリオの予想通り。彼の体をサフィールの体に近い存在へとつくりを変え、その毒をものともしない体へと変化を遂げていた。
「今日は早かったね。」
「あぁ。アタシが獲物探してるときにこいつから喧嘩吹っ掛けてきたんだよ。おかげで手間が省けた。」
「・・・変わり者もいたもんだね・・・」
「それより、今日は出かけなかったのか?」
「うん。なんだか今日はそんな気分じゃなかったんだ。」
リオが外に出るなんて出来るはずがないが、それは彼が血を飲む前までの話。
龍の血は彼の体のつくりを根本から作り変えてしまっていた。細々とした病弱な体は今や見る影もなく、その体にはある程度の肉がつき年相応の体つきへと変わっている。
・・・・それでも、同年代の人間と比べるといささか、いやかなり小柄な部類に入るのだが・・・
しかも変化はそれだけではなく。洞窟の外の崖を、足場とも言えないようなくぼみや出っ張りをひょいひょいと跳んで一人でこの洞窟を出入りできるようになっていた。
今ではこの方法で自ら山菜やキノコなどを取りに出歩く始末。
「・・・・・」
「ん?・・・・ふふ・・」
サフィールは静かにリオの隣に腰を下ろすと小さな頭をこちらへと手繰り寄せその髪をなでた。
リオはというと最初こそ驚いたようだったが、すぐに顔をほころばせるとなすがままにされている。
サフィールは少しさみしそうに、彼の『銀色に染まりつつある髪』を撫でた。
これも、サフィールの血を飲んだリオの変化の一部である。龍という強靭な生物の血は、人として生まれたリオの体を着々と変化させていた。
まず一番はその髪。もともと薄い水色だった髪はサフィールのように美しい銀髪へと姿を変え、元の色は毛先に追いやられるように存在しているのみ。いずれは残されたこの色も姿を消してしまうかもしれないと考えると、サフィールは少し表情を落とす。
その次に目につく変化はその皮膚。サフィールほど大きなものではないが、もともと存在しないはずの蒼い鱗がリオの体に点々と存在しはじめていた。今は右頬と背中、右腕上部と左手の甲。明らかに人のものではない蒼が確かに存在している。
そして、最期に・・・
「ん~・・サフィール、ほんとにそこ触るの好きだよね・・・」
「あ・・スマン。」
さっきまで笑顔だったリオが、少し不機嫌そうに頬を膨らませながらサフィールを見上げていた。
無意識のうちに触ってしまっていたのだろうか、彼女の手はリオの頭部。その一部で何かを確かめるように指で遊んでいる。
「まだ『生え途中』なんだから触るなって。サフィールが言ったんだよ?」
「わ、悪かったって。」
そう。彼の頭。頭頂部から少しおでこに降りてきたあたりの位置に確かにそれは存在していた。
「痛くないか?」
まるで骨が飛び出してきているかのように、一本の角が。確かにそこに生え始めていた。
「大丈夫だよ。まだ少し違和感はあるけどね。」
しかし当の本人はといえばまるでショックも受けていない。自分で頭の角を確認しながら「これどこまで伸びるんだろ」なんて言っている。
以前。サフィールが彼に疑問を投げかけたことがあった。
『怖くないのか?』
と
しかし当の本人はといえば
『怖くはないよ。むしろ、自分が元気になっていくのがわかるから、どっちかといえばワクワクしてる』
なんて言っていた。それ以来サフィールはリオにその手の話しを振ることはない。それ以上聞いてしまえばきっとそれはリオの決心を踏みにじる行為になってしまうと思ったから。
「サフィール・・・」
「ん?どうしふぁ!!?」
自分の名前を呼ばれて顔をあげれば、リオがいい笑顔で頬をつねっていた。
「また難しい顔してるよ?似合わないんだから止めときなって。」
「い、痛い痛い!!やめてくれ!!」
「あ、これ意外と伸びる・・・柔らかいし・・・楽しいかも、」
「ちょ!!止めい!!」
無理やりリオの手を離す。目の前には憎たらしいほど笑顔のリオがいた。
「もうちょっと触ってたかったんだけど・・・」
「お前・・・」
「あ、これはマズイ。」
一瞬で笑顔から我にかえったような表情になったリオは急いでサフィールから距離を取ろうとして
「逃がさん。」
一瞬で捕まった。しかもご丁寧に両手を尻尾で絡め捕り頭上に持ち上げられ、身動き取れない状態で。
「リオォ~。調子に乗りすぎたな?」
「怒ってる?ひょっとしなくても怒ってるよねサフィール。まずは落ち着こう。話し合えばきっとわかりあえる。」
「残念ながら手遅れだ。アタシに喧嘩売ったのを後悔しな。」
「喧嘩なんて売ってな――――わひゃ!!」
先ほどと同じように、今度はサフィールがリオの頬をつねった。最初こそ不気味な笑みを浮かべていたサフィールだったが、リオの頬に触った途端。以外そうな表情へと変える。
「おぉ、意外と柔らかいし気持ちいいな。こりゃずっと触っていたいってのも頷ける。」
「ひゃぁ!!もうやめっ!伸びひゃう!もろらなくなっひゃう!!」
「なんて言ってんのか聞こえんな~。」
「鬼~~!!」
「残念、アタシはドラゴンだ。」
「うぅ、絶対伸びたよ。だらしないほっぺになっちゃったよ・・・」
「だらしないほっぺってなんだよ。」
数分後、解放されたリオが赤くはれた頬を撫でながら泣いていた。心なしか、彼の言うとおりその頬は少しだけ垂れているようにも見える。
「うぅ・・・」
「わ、悪かったって。ほら、機嫌直してくれよ。」
いつまでも頬を撫でながら涙を流すリオに危機感を覚えたのか、少しあわてながらサフィールはリオへと自信の尻尾を差しだした。
さすがに先ほどのように頬をつねられるのはつらいので、自らの尻尾を引き合いに出した。ずっと前からリオは子の尻尾が大好きだ。まるでじゃれる猫のようにこれで遊ぶのはずっと変わっておらず。おかげで彼のご機嫌を取るのにはこの尻尾をいつも活用している。
「毎度毎度こんなので機嫌とれると思わないでほしい。」
「まぁ、そうやって抱きついてきてるあたりまだ効力はありそうだな。」
サフィールの尻尾を抱きよせながら涙目でこちらを睨んでくるリオ。
なんだかいけないことをしているような錯覚にとらわれるが、もう何度も見た光景なので慣れたものだ。
「別に、お前の機嫌の取り方なんて他にもたくさんあるから、良いけどな。」
「そこまでレパートリーがあるなら毎回違う方法を取ってくれてもいいんじゃない?」
不機嫌にされることは了承したのか。そんなことを口にするリオ。
それがなんだか構ってほしいと言っているように聞こえたサフィールは、悪戯な笑みを浮かべた。
「なんだ?さみしくなっちゃたのか?」
「・・・・いつものサフィールじゃない。」
「毎度毎度お前に良いようにされるアタシじゃないってことさ。こういうときにイジメておかないとな。」
不気味なことを言っているように聞こえるが、決して悪意があるわけではない。つまりは立場逆転を楽しんでいるだけのことだ。
「人聞きの悪い。僕はいつもサフィールにやさしくしてるよ。」
「ほう・・・」
リオの言葉にサフィールの目が細められる。
そして徐々にサフィールの顔が近づいてきた。何をされるのかと目をつむると。
「・・・んっ」
「ふぇ?」
予想を外れた柔らかい感触がリオの額に触れた。驚いて目を開けると、そこにはいつもの彼女とは思えないような艶を感じさせる表情のサフィールが映った。
「ふふ・・・チュ」
「ちょ、サフィール?何して・・・」
慌てるリオに構うことなく、サフィールはリオの顔に唇を落としていく。最初の額から始まり。目を通りながら徐々に下へ。リオの口へと近づいていった。
「サ、サフィール・・・」
途中からリオのほうも表情がとろけ始めてしまっていた。サフィールからのキスに喜びを感じながらも、自分から相手に与えることはできないもどかしさにその身をよじる。
やがて、ついに彼女のキスが唇の端に触れ、離される。順番的に次は・・・
と考えたところで、サフィールの動きが止まった。
「・・・・うぇ?」
呆けきった表情のリオが彼女に視線を向けると、サフィールは意地悪そうに笑みを浮かべた。
「ふぅ、満足満足。楽しかったぜリオ。」
それだけ言うと、サフィールはリオの手を固定していた尻尾を緩める。その呆気なさにリオが茫然と座り込んでいると、サフィールはその場から立ちあがり、
「さ、飯にしようぜ。アタシもう腹減っちまったよ。」
「~~~~~っ!!」
ここまできてようやく彼女の考えていることが分かって、リオはその顔を赤く染めて押し黙る。
つまり彼女は最期の一歩をリオに踏み込ませたいのだ。後ろ姿で表情は見えないが、おそらく彼女は今とんでもなく悪い笑みをその顔に浮かべていることだろう。
このままでは彼女の思うつぼだと理解していても、リオは動かずには居られなかった。
「おっ?どうしたんだ。リオ?」
気が付いたら後ろから佐サフィールに抱きついて彼女の歩みを止めていた。驚いたサフィールが振り向いてその顔を下に向けると。
「・・・・・そ、それはちょっと・・・意地悪すぎると・・・思う・・・」
小さく震え涙を浮かべながら、頬を真赤に染めたリオがこちらを見上げていた。
「・・・・こりゃたまらん。」
「?」
「いやなんでもない。改めてお前の攻撃力を再確認したところだ。」
それだけ言うとサフィールはその場に再び腰をおろし、抱っこするようにリオを自分の膝の上に座らせ、自分とリオをまとめこむように羽で包み込ませた。
「で、どうしてほしいんだ?」
「・・・・」
ニヤニヤとした表情のままサフィールはリオへと問いかける。完全にドS丸出しな光景だが、いつもの仕返し、という強い決心の元。サフィールはリオの言葉を待った。
「・・・・・」
「わ、わかったわかった。ゴメンって。」
その顔をトマトのように真っ赤にしながらこちらを睨むリオに一瞬で決心が崩れ去った。
それに納得したのか、リオは少しだけ笑みを浮かべながら。
「・・・んっ・・」
サフィールの唇に自らのそれを重ねた。
時間にして数秒。キスにしては長い時間だったが、しばらくそうしていると、どちらからともなく唇を離す。
「満足したか?」
「・・・した。」
それだけ言うと、リオは立ちあがり、サフィールが仕留めた猪のほうへと歩いていく。おそらく食事の準備に取り掛かるのだろう。
彼なりの照れ隠しに苦笑いを浮かべながら、サフィールは改めて彼の腕にある蒼を見て、
自分の体を覆う幾分か濃い蒼に目を落とし。
「・・・ふふっ♪」
幸せそうに笑った。
「・・・次は絶対サフィール泣かす・・・!!」
「おぉいい!!?」
はい、というわけで、これでサフィール編は終了となります。
血を飲ませてからの補足・・・というか帳尻合わせにも似た状況説明を詰め込み過ぎてごちゃごちゃになってしまった感が否めない・・・
読みづらい文章になってしまい本当に申し訳ありませんm(_ _)m
それにしても、この二人は完全に性別が逆転してしまっております。サフィールはイケメン出し、リオ君乙女だし・・・(・w・;
完全に男の娘設定全面の詩の作品になってしまいましたが、作者こういうの大好きなので後悔はしておりません。男勝りなヒロインとか大好きです。
烈火の将・・・とか・・・ね?(^ω^)
さぁ、次回から新しい人外娘とのお話になるわけですが、どんな娘にしようかいまだにワクワク悶々しております。
読んで下さる皆様に楽しんで行けるように頑張りますので、よろしくお願いします!
では、ここまで読んで下さり本当にありがとうございます。