最近また冷え込んできましたね。作者は移動方法が原付なので毎日が地獄のようです(゜Д゜;)
皆様もお体には十分お気をつけてくださいませ。
そんな中、今回は春のひだまりを意識したお話。どうぞのほほんと読んでください(´ω`*)
早く春にならないかな・・・
深い森の中にどっしりと存在する大きな花。大の大人も飲み込んでしまいそうなその花の中には一人の人外がその身を横たえていた。
花の中というのは意外に大きくはない。大きくはないが柔らかさが尋常ではないため押し広げてみればその大きさは何倍にも膨れ上がる。まぁ、彼女がその花の中に自分以外を入れたことなどないのだが。
そんな女性はその中で目をつむっていた。眠っているわけではない。何かに集中するように真剣な表情で難しそうに唸っている。
「う~ん・・・もう少しだと思うんですが・・・まだ見えてきませんね。」
実は何を隠そう彼女は只今絶賛成長中である。それも意図的に自らを成長させている。というと少し語弊があるかもしれないが、つまり彼女は今自身の蔦をとある方向に伸ばし続けているのだ。
なぜこんなことをしているのかといえば、アルラウネというのは彼女自身のことを言うのであり、同時に彼女が今包まれている花のことも言う。つまりそこにあるすべてが『アルラウネ』という人外の存在に他ならない。
こうして人の姿をしているのはいうなれば人とのコミュニケーションのために人間に近い姿をしているのだ。目も花も口も付いているがそれらはさほど意味を持っていない。
そこかしこに広げられた花の茎。根。葉が彼女自身に他ならないからだ。
根が張られた場所ならどこだってそこにある水を味わうことができるし、葉を通して何かに触れることもできる。
そして、蔦をのばせばそれを通して遠くの存在を見つけることができる。彼女にとって自身の一部である蔦は彼女自身の目にも変わる。
つまり彼女は現在目を瞑っているように見えて、ここから遠く離れた蔦越しに何かを見ているのだ。
「ん~・・・・・・・あっ!」
難しそうに唸っていたリリアの表情が笑顔に染まる。
彼女が蔦を通した視界に一人の人物を見つけていた。
「今日も愛らしいです。リオ様。」
深い森の中を迷うことなく歩く。そうしてしばらく歩を進めていけば少し開けた場所。下に緑の蔦が敷き詰められた彼女の住む花が見えてくる。
「こんにちはリオ様。お待ちしておりました。」
その顔に満面の笑みを浮かべながら彼女。リリアはその大きな花弁に腰掛けていた。
「こんにちわリリア。もしかして待っててくれたのかな?」
「いえ、貴方様の足音が聞こえてきましたので今出てきたところです。」
「あ、足音?」
「えぇ、私たちアルラウネは地に根を張る種族。こちらに近づく足音を拾うことも重要なのですよ?」
「なるほどぉ・・・」
そう話しながらリオも中央の花へと足を進め、彼女の横に腰を下ろす。背負ったリュックを傍らに下ろすとその中から前と同じ水筒を取りだした。
「はい。今日は2本持ってきたよ。足りる?」
「まぁ、ありがとうございます。」
そう言ってリオの手から水筒を受け取るとその蓋をあけて自らの足元に流し始める。味わうようにゆっくりとその身に染み渡らせ、幸せそうに声を漏らした。
「美味しい?」
「はい、とても。」
「それなら良かった。こんなのでよければいつでも持ってきてあげる・・・ね。・・・・ふあぁ」
語尾がどんどん小さくなったかと思えば、リオが急に噛み殺すように欠伸を漏らす。
「お疲れなのですか?」
「いや・・・うん。まぁ、ちょっとだけ。」
「ここからリオ様の村までどれほどの距離を歩いてこられてるのですか?」
「ん?えぇと、歩いて40分位かな?」
それを聞いてリリアはその顔を少しだけうつむかせた。自分が予想していたよりもだいぶ長い。40分も足場の悪い森の中を歩き続けていればそれは疲れるというものだろう。それが行きと帰りの往復だというのだからなおさらだ。
「申し訳ありません・・・」
「何のこと?」
自分が謝ってもリオはその首をかしげる。ただ、その顔に少しだけ困ったような笑顔を浮かべているあたり、本当はこの謝罪の意味も理解しているはずだ。そのやさしさにうれしさ反面。申し訳なさもこみあげてくる。
リオが自分のためにこうして会いに来てくれるのは素直にうれしいが、そうしてまで来てもらっておいて自分から彼に返せるものが何もない。
どうにかして役に立てないものかとあたりを見回してみる。
「あ・・・・・リオ様。」
「ん~?」
「お疲れのようなら、ここで一休みされてはいかがですか?」
「ここで?」
そう言ってリオは自分の座る花を見る。確かにこの花の蔓があたりの木々を押しのけるようにしているためこの場所は太陽の光を浴びれて暖かく、寝心地もよさそうだ。
しかし
「別に大丈夫だよ。僕はリリアと話をしに来たんだし。」
「それならなおさら、お休みください。そんな疲れた様子では私も貴方様のお話に集中できそうにありませんわ。」
そういって上品に笑うリリアだが、その顔はどこかしてやったり。な表情をしている。今まで見たこともないような楽しそうな表情に、リオもどこか力が抜けてしまった。
「・・・それなら、少しだけ休ませてもらおうかな。」
そうして、花弁の上に体を寝かせようとして。
「何をしていらっしゃるのですか?」
「・・・?」
まさかのリリア本人に止められた。
さっきまで寝てくださいと言っていたのに何事かと、彼女のほうを見ると。
「さぁ、どうぞこちらへ。」
下半身を花の中心の穴に埋めながら腕をこちらに広げながら、まるで慈愛に満ちた母のように、やさしく微笑んでいた。
「・・・・うん。」
その表情に、その声に逆らう気も起きず、彼女の腕の中へ。ゆっくりと抱きしめられるとリリアはそのままリオと一緒に花の中へと姿を隠す。
「うわぁ・・・」
花の中は想像以上のものだった。あたり一面をとんでもなく柔らかいクッションに囲まれているような感覚。不思議な浮遊感を感じながらも、太陽に干したてのふわふわなタオルに身をくるまれているような。そんな感覚に、すぐに睡魔が襲ってくる。それにどうにか逆らおうにも―――
「どうぞ、このままお休みなさい。私が、そばにいて差し上げますわ。」
自分を抱きしめたリリアが、やさしくその頭を撫でる。まるで子供を寝かしつける母のように。やさしく。
そこまでされたのでは、リオに反撃の余地などない。襲い来る睡魔に身をゆだね。眠りの谷へと真っ逆さまに落ちていく。
「くぅ・・・んぅ・・」
「ふふ、本当にお疲れになっていたのですね。」
自分の腕の中で気持ちよさそうに眠る少年の顔を覗き込みながら、リリアは微笑んだ。
彼の髪の毛はとてもさわり心地がよく。彼の匂いはとても甘い。リオを寝かしつけるために抱きしめているはずなのに、抱きしめたこちらも幸せな気持ちになっていく。
リオの帰りが遅くならないように、彼を起こすためにも自分が起きていなければいけないと言うのに、その意思とは裏腹にその瞳は徐々に閉じられていき。
「わ、たしも・・・・少しだけ・・・」
やがて完全に瞳が閉じられると、心地よさそうな寝息が聞こえてきた。
今回は自己解釈がちょっと多くなってしまいました。アルラウネというと、女性型を取っていても根本は植物なのでそのへんどうなのかな?
なんて考えながら書きました。蔦を通して遠くを見れるようになっていれば、自分が根を張って動けなくても退屈しなさそうで良いかな?
なんて(・ω・´)
ご意見感想お待ちしております(^w^の)
ここまで読んでくださりありがとうございました。