人外娘との生活   作:ハヤテ_s.t

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ここまで恋愛というか・・・・
雰囲気が重すぎるのではないか・・・ということで^^;



口は災いのもと

「ほんとにいつも通りの夕食じゃないか・・・この程度で今晩大丈夫なのか?自慢ではないが私は激しいぞ?」

 

「いったい何の話をしているのか僕にはわかりません。さっさと食べてください。」

 

カトレアの機嫌を直し部屋から連れ出すことに成功したリオ、2人で夕食を食べているわけだが・・・

 

こんなテンションになるなら放っておけばよかった。と思ってしまったリオがいた。

 

「つれないな。」

 

「なんとでも言ってください。」

 

拗ねるカトレアを無視して最後のパンを口に運ぶ。しっかり咀嚼して飲み込むと自分の分の食器を重ねて立ち上がる。

 

「それじゃあお風呂を沸かしてくるね。」

 

「あぁ、頼む。」

 

念のため了解を得てから浴室へと向かう。ケンタウロス族がつかる湯船はとにかく大きい。彼女が浸かれるほどのお湯を沸かすのにはそれなりに時間が必要になるので、いざ入ろうと思ってから沸かしては遅い。だからリオは毎回食事後にすぐにお風呂を準備するようにしていた。

 

といっても今はスイッチ一つでお湯はりから保温まで全自動なので手間はかからないが・・・

 

「リオ、お前も飲むか?」

 

お湯はりから戻ってきたリオに自分が口をつけていたカップを見せるカトレア。その中には彼女お手製の紅茶が湯気を立てていた。

 

「先に洗いものだけしちゃうよ。」

 

「む、そう言えばそうだな、私も手伝おう。」

 

「これくらい一人で大丈夫だよ。カトレアは休んでて。」

 

「私は一刻も早くリオと紅茶を楽しみたいだけだ。邪魔をするんじゃない。」

 

「・・・・・ふふ、本当に相変わらずだ。」

 

カトレアの言い分に口を開けて唖然としてしまったが、彼女らしい素直な言葉に恥ずかしさよりも笑いがこみあげてしまう。

 

{本当に・・・かなわないよね。}

 

2人で役割を決めて洗いものを済ませる。おかげでリオが想像するよりも早く終わらせることができた。

 

そのあとカトレアはリオを一人用ソファに座らせると彼のために紅茶を入れてきた。たっぷりの愛情をこめて。

 

「熱いから気をつけるんだぞ。」

 

「過保護だなぁ。」

 

丁寧にカップを手渡すと自分はソファの横にある専用のスペースに腰を下ろす。

 

カトレアの体をすっぽり囲むほどの大きな籠のような場所。中にはクッションのような柔らかい素材が敷き詰めらており、上半身を楽にするため少し高めの肘掛も設置されている。

ケンタウロス専用の憩いスペースといったところ。

 

すぐ横にリオ専用のソファがあるのでこの場所はカトレア最高の憩いの場である。

 

「どうだ?」

 

「うん。凄く美味しいよ。」

 

「そうだろう。私の愛情がたっぷり入っているからな。」

 

「この渋みが愛情かな?」

 

「その中に潜む甘味をどうして感じ取れないんだお前は・・・」

 

静かでたわいのない会話。2人がお互いにリラックスできる瞬間だ。リオは少し素直さに欠けているが・・・・

 

「カトレアって紅茶淹れるのうまいよね。」

 

「まぁ、私自身紅茶が好きだからな。趣味が活きているんだ。」

 

「少しうらやましいかも。」

 

「紅茶を淹れることが・・・か?」

 

「う~ん、なんていうのかな。こう・・・活かせる趣味がある・・・っていうか。ごめんわかんないや。」

 

「趣味?お前は何もないのか?」

 

「昔は色々な習い事してたけど、あんまり長続きしなかったなぁ。」

 

「ほぅ。どんなことを習っていたんだ?」

 

「ほんとに色々だよ。ピアノに習字、部活で吹奏楽もやってたし。あぁ、一回母さんに無理やりヴァイオリンもやらされそうになったけな。」

 

昔を思い出して苦笑いを浮かべるリオ。

 

こうしてリオが自分の過去を話すのは珍しい。

カトレアが聞けば答えてくれるが自分でここまで話すのは初めてかもしれない。それほど珍しいことだった。

 

当然。カトレアがこのチャンスを逃すはずもなく、ここぞとばかりに質問をぶつける。

 

「室内ばかりだな。お前らしいといえばらしいが・・・体を動かすことは嫌いか?」

 

「そんなことないよ。スポーツもたくさんやってた。」

 

「たとえば?」

 

「ん、野球にサッカー、テニスにスイミングとか・・・あぁ、乗馬とかバレーボールもやったなぁ。」

 

 

・・・・本当に、本当に何気なく発した言葉だった。

 

昔を思い出しながら、友達と一緒に走り回ったことを思い浮かべながら深く考えずに放ってしまった一言。

 

それがカトレアの中の何かに火をつけた・・・

 

「・・・・『乗馬』・・だと?」

 

{っ!!}

 

声のトーンが下がったカトレアに恐怖を覚えた。そして思い出したのだ。ここはケンタウロスの国。

 

触れてきていなかったがケンタウロス族にとって自身の背中というのは神聖な場所。というほど大事にされている。

 

重い荷物の時にさえ乗せることはないし、誰かを乗せるなんてことはご法度だった。

 

以前に人間とケンタウロスが仲が良かった頃。誤って一人の人間が「ケンタウロスの背中に乗せろ。」と軽々しく口にした途端彼の周りからケンタウロス族が姿を消したとか・・・

 

所詮は噂だが、それほどまでにケンタウロス族にとって背中は大事な場所。

 

ケンタウロスと馬とは別種族だが、人間からしてみれば大本は同じに見えてしまう。

 

{も、もしかして軽蔑されたかな・・・}

 

リオが恐怖に身を凍らせているとゆっくりとカトレアが立ち上がりリオの目の前へとやってきた。

 

「リオ・・・お前・・・!」

 

「っ!!」

 

あまりの恐怖に目の前のカトレアを見れずに目をつむる。とたんに両肩をつかまれ、そして・・・

 

「私以外の者の背に乗ったというのか!!」

 

「・・・うぇ?」

 

予想外の言葉に目を開けてカトレアを見てしまう。カトレアはリオの目の前まで顔を近付けると悲しそうな・・・それでいて怒っているような表情をしていた。

 

「まだ・・・まだ私ですら背に乗せたことはないというのに・・・!!」

 

「あ・・の、カトレア?」

 

「おのれ!!どこのどいつだ!?私のリオをその背に乗せた雌馬はぁ!!」

 

聞いたことのない言葉が飛び出してきた。なんだ「メウマ」って・・・

 

「怒ってるんじゃ・・・」

 

「怒っているさ!怒るにきまっているだろう!お前が・・・お前がどこの馬の骨とも知れないようなやつに乗っていたなんて・・・怒らずにいられるか!!」

 

「何うまいことを・・・ってそうじゃなくて。いややっぱいいやめんどくさくなりそう。」

 

「おいリオ!どんな奴だ!お前を背に乗せた幸せ者はどんな奴だった!」

 

「うぇ!?えっと、白い毛並みの・・・大きめの馬だったよ。小さい頃だったしあんまり覚えてないけど。」

 

「白い馬だと・・・?ちなみに名前は?」

 

「ん?マリアって言ったかな?」

 

「・・・・リオ、私は明日から少し家をあけるぞ。」

 

「ま、待ってよ!」

 

顔に影を持たせながら出て行こうとするカトレアをなんとか止めるリオ。ここまで彼女に振り回されるリオも珍しい。

 

「えぇい離せリオ!!私はそのマリアとかいうやつに会いに行くぞ!!」

 

「名前と毛色だけでどうやって探すのさ!」

 

「ならば私がリオの上に乗ろうではないか!!」

 

「そんなことされたら死んじゃうよ!っていうかなんてこと大声で言ってるんだ!!」

 

「えぇい!いいではないか!ここまで来たら子供でも作らん限り私はその雌馬に勝てん!!」

 

「勝ち負け競ってるわけじゃないでしょ!もう小さい頃のことなんだしそんなの気にしないでよ!」

 

 

そこまで言うとカトレアは力を抜いて・・・ゆっくりとリオに振り返った。悲しそうな顔で。

 

「小さい頃とか・・・関係ないんだ。リオが私の知らないところで私の知らない者の背に乗っていた・・・それが悔しい。」

 

「えっと・・・もしかして妬いてるのかな?」

 

「・・・・あぁそうだな。私はその馬に嫉妬しているんだよ。こんな気持ちは初めてだ。まるで心が締め付けられるようだ。」

 

「ん・・・」

 

そこまではっきりと「嫉妬している」などと言われてさすがのリオも顔が赤くなるのを抑えることはできなかった。もしかしたら少し口角も上がっているかもしれない。いや、それだけはプライドにかけて死守していると信じよう。

 

「・・・リオ」

 

「カトレア。今・・・つらい?」

 

「・・・あぁ。胸が張り裂けそうだ。」

 

「僕のせいだよね?」

 

「・・・・そうだな、お前が話したことだしな。」

 

「なら・・・・責任取らなきゃいけないよね?」

 

「あぁ。お前にはその義務があるな。」

 

 

「わかった。」

 

途中からカトレアの表情が緩んでいくのを見るに、もしかしたら彼女はこうなるのを予想していたのかもしれない。とんでもない策士だ。

 

しかしそれを知ったうえでもリオは決心している。なぜならそれがいかに計画性があったとしても彼女の口から出た「胸が張り裂けそう」というのは本当の事だから。

 

「なら・・・カトレアの言うことなんでも一つ聞いてあげる。」

 

「ふむ、私と結こ――「それ以外で」・・・・何でもではないではないか・・」

 

さっそくの否定にカトレアも落ち込む、しかしそれは想定内だった。カトレア自身もこんな責任を取らせるような形での婚約なんて望んでいない。

 

「どうしたものか・・・『♪~~』っ!?・・・・なるほど。この手があった。」

 

カトレアがお願いを考えていると、先ほどリオがスイッチを入れてきた風呂の準備ができたことを知らせる音楽が鳴る。

 

リオは先ほどの一言を心から後悔した。

 

「リオ。今から一緒に風呂に入るぞ。」

 

「拒否します。」

 

「それなら、明日目が覚めたときに私は既に旅に出た後だろうな。」

 

「・・・卑怯だ。」

 

「聞き捨てならんな。先に案を出したのはお前だぞ?」

 

「・・・・・・」

 

「ん?覚悟を決めたらどうだ?」

 

「・・・・水着。」

 

「ほう」

 

「水着着用で」

 

これが今のリオにできる最後の抵抗。これも通らなかったら本当に泣くかもしれない。というところまで来てしまった。

 

それをわかっているのか、カトレアはいたずらっぽく微笑むと首を縦に振った。

 

「しょうがないな。本番はまた後日に取っておこう。さ、行くぞ。」

 

「本番なんてもうない。」

 

「ふふ、私の水着姿に我慢がきかなくなったら襲いかかってもいいんだからな?」

 

「カトレアは絶対に自制してね。僕死んじゃうから。」

 

それだけ言って2人で浴室へ向かう。

 

この後浴室でカトレアのお色気作戦なるものが決行されたが、リオがそれに乗ることはなかったと。ここに記しておこう。




今回は単純に2人の生活を書いてみました。

なんかやっとタイトル通りの文章が書けた気がします。

実際ケンタウロスと普通の馬ってどうくくっていいのかわからなかったので。今回はカトレアさんに嫉妬の対象として見ていただきました。

それではここまで読んで下さりありがとうございました。
これからも読んでいただけたら嬉しいです^^
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