・・・・・多くは語らず・・・
では、どうぞ
「・・・ん、んぅ~~~。」
薄眼を開けて大きく伸びをするカトレア。意識を覚醒してから改めて目を開けると窓からの日光がまぶしい。
昨日よりも体が軽いな。とカトレアは思った。これなら今朝は散歩もできそうだと、しかしその前に彼女には毎朝散歩と同じように日課にしている出来事がある。
{ふふ、その前にリオの寝顔を拝見しなくてはな!!」
「そんなことを大声で叫ぶものではないぞ?」
「んっ!!??」
聞きなれない声が聞こえた。その方向に目を向けると自分の家にはいないはずの、初老のケンタウロスが苦笑いを浮かべながらこちらに歩いてきていた。カトレアは彼を知っている。いつも自分が行く街で診療所を開いている医者だ。
それは理解できたが・・・
「・・・・なぜこんなところにいるのです?」
「おいおい、診療所に医者がいなかったら何のための診療所だ。」
「診療所・・・?」
彼の言葉に周りを見回すと、確かにそこは自分の部屋ではない。白を基調とした落ち着きのある病室だ。自分はそこにあるベットに横になっていた。
「・・・あぁ・・・って。なぜ私はこんなところに・・・?」
「ほんとに覚えてないのかね?」
その言葉で自分の記憶を振り返ってみる。
{えぇと・・確か昨日は朝から調子が悪くて・・・リオに看病してもらいながら・・・リオのご飯を食べて、リオに薬を飲ませてもらって・・・リオに――――――}
一向に答えが返ってきそうにないのを見て医者が溜息をついた。
「君は昨日の夜。ここに運ばれてきたんだよ。」
「運ばれて・・??」
「そうだ。あの人間が診療所にきてね。」
「・・・どういうことです?」
不思議そうに首をかしげるカトレアに、医者は昨夜あった出来事を隠すことなく話した。嵐の中をリオがここまで来たこと、そのあとにマリーの父がカトレアを迎えに行ってここに連れてきたこと。
「いやはや大変だったよ。あんな激しい嵐の夜に一体何事かと思えば、ひ弱な人間がずぶぬれになっている。と思ったら『カトレア様を助けてください!』ときたものだ。驚くどころの話ではない。」
「そ、そうでしたか・・・リオが、リオが私のために嵐の中を・・・フフフ」
何とも不謹慎かもしれないが、その話を聞いてカトレアは笑みをこぼした。自分の惚れている男が嵐の中を必死になって助けを呼びに行ってくれたのだ。女としてうれしくないはずがない。
「人間があそこまで必死になっているからどんな重病なのかと準備をしていれば・・・カトレア。君は人間用とケンタウロス用の薬を間違えて飲んだな?」
「・・・・・は?」
「人間の奴隷が家にいるんだ。おそらく薬も人間用とケンタウロス用で一緒に置いてあるだろう。それを間違えて飲んだんだよ君は、おかげで君の体が過剰反応してして熱が上がったんだ。全く、古典的なミスをして・・・」
カトレアは自分の行動を思い返してみた。
{薬を間違える・・?あの日はずっとリオが看病してくれてたし。リオが間違えた・・・?いや、ちょっと待てよ?そう言えば・・・リオが起きてくるよりも少し前に・・・}
~回想
『ん~、風邪薬はどこだったか・・・リオを起こして聞くのも申し訳ないし・・・お、あったあった・・・・って、家にはこんなに薬があったか?まったくリオも心配性だな・・・風邪薬は・・・・
あぁ、これだな。(←人間用)』
~終了
「あ・・・・・」
「思い当たる節があるようだな。」
「私は・・・・なんてことを・・・これではリオに合わせる顔がぁぁ~」
「同情するよ。いや詰まらんプライドなど気にせず彼に会ってやればいい。彼も君と同じくこの診療所にいるよ。隣の部屋だ。」
「む、そうでしたか・・・・・ん?なぜリオが隣の部屋に?それではまるで・・・」
「あぁ、彼は――――――――――」
「・・・おにーちゃん。」
「大丈夫よ。リオ君は強い子だもの。すぐに元気になるわよ。」
カトレアの隣の病室。そこにはベットに横たわるリオ。そしてそのベットの横にはマリーとリリーナ
がいた。
マリーは昨日の夜。リオが倒れてからずっと彼に付き添っている。一度は父に連れられて家に帰ったのだが、朝も早いうちからここにきてはずっとリオを診ていた。
一方のリリーナはといえば、カトレアが入院したと医者から連絡があり、診療所に来てみたらカトレアだけではなく彼女の奴隷であるリオまで入院しているとのこと、
カトレアのほうは薬の飲み間違いなんてあほらしい病状だったことや、もう治りかけている。ということもあり、リオのほうに顔を出していた。
ちなみに、マリーの「おにーちゃん」発言はお見舞いで知り合ったリリーナの前で「おねーちゃんの おともだち?」とい話したところ。訂正された。
その時のマリーの驚きようを知るのはリリーナのみ。
2人が静かにリオの寝顔を眺めていると、隣の部屋で大きな物音が、何事かと思っていると、病室のドアが開け放たれ、外から大慌てで騒ぎの発端が入ってきた。
「リオ!!リオは無事なのか!!?」
「おねーちゃん!」
「カトレア。少し落ち着きなさい。リオ君が起きちゃうわ。」
「うっ・・・す、すまない・・」
親友に注意されて少し落ち着きを取り戻したカトレアだったが、ベットに横たわるリオを見てその表情をゆがめた。
「先生に聞いたのかしら?」
「あぁ、リオも入院していると・・・私よりも重病だと・・・」
「まぁ、風邪をこじらせただけみたいだけど・・・・間違ってはいないわね。」
「・・・・どうして・・・リオがこんな・・・」
「おねーちゃん・・・・」
つらそうに顔を伏せるカトレアに、マリーもつられて悲しそうに彼女を見た。
「どうしてって・・・聞いてないの?」
「・・・何をだ?」
悲しそうな顔のままリリーナに顔を向けるカトレア。それを見てリリーナは小さくため息をついた。
「あー、その前に聞きたいんだけど、昨日貴方が病気で寝ているときに、リオ君はどうだったの?」
「どうだった・・・とは?」
「彼も調子悪そうじゃなかった?ってことよ。」
「な、なぜそんなことを聞く?」
「いやね、お医者様やこの子の話では、リオ君昨日この街に着いた時には凄い熱だったらしいのよ。彼の病気が雨風に打たれたのが原因だとしたら、発症が早すぎると思ってね?」
「おにーちゃん、マリーのおうちにいるとき すごくつらそうだったの!」
2人の言葉にカトレアはまた、昨日のことを頭から思い出していた。
昨日自分が寝込んでしまってから看病にきてくれていたリオ。丁寧に看病してくれたし、料理もいつも通りおいしかった。カトレアがさみしがらないようにとよく顔を見せに来てくれたし・・・
そこまで考えて思い出した・・・昨日、顔。
『リオ、そのマスクはどうしたんだ?』
『カトレアのがうつって2人して寝込むわけにもいかないでしょ?』
あれがもし、言葉通りではなく、自分の顔色を見せないためにつけていたのだとしたら・・・
「あっ・・・」
つながった気がした。確信はないし。証拠があるわけではないけど。カトレアはそれを思いのほか素直に飲み込むことができた。普段のリオを知っているから、これくらい普通にやってのけるだろう。と思った。
「・・・思い当るところがあるのね。」
「リオも・・・調子が悪かったのに・・・嵐の中を長時間かけて医者を呼びに行ったというのか。」
「リオ君ならやりかねないわね。」
さっきまでのうれしさが嘘のように、それらがすべて今度はカトレアの心を締め付けた。
自分のために必死になってくれるのはうれしい。しかし・・・
それが原因で相手が傷ついてはいけない。それが自分の思いを寄せる相手ならなおのこと。その思いやりはそっくりそのまま心を傷つける鞭へと形を変える。
カトレアは顔を伏せたままゆっくりとリオの眠るベットへと近づいた。
「自分のことも考えずに・・・・馬鹿者。」
「ひどい言いようね。」
「当たり前だ。これは、起きたら説教だな。」
「いいわね。その時はぜひ私も呼んでくれるかしら。」
「んー、マリーわかんない。」
こうしてカトレアのために体を張ったリオだったが、カトレアとリリーナの説教コース行きが決定した。
数日後。
「リオ。忘れ物はないか?」
「忘れ物もなにも、何も持ってきていません。」
「違いないな。」
診療所受付では、リオとカトレアが今まさに退院手続きを済ませたところだった。といってもリオの言うように、担ぎ込まれるようにして入院したので、特に何も荷物なんてないんだが。
「とりあえず、早く我が家に帰ってゆっくりしたいな。ここでは十分にリオとスキンシップがとれん。」
「・・・・」
カトレアの言葉にはノーコメント。一応ここはケンタウロス達の街。二人きりではないため、おちおち否定の突っ込みもできはしないのだ。
「あ、カトレア様。」
「・・・・なんだ?」
少し不機嫌になってしまったカトレアを無視してリオは申し訳なさそうに口を開いた。
「少し寄りたい場所があるのですが、よろしいですか?」
「よりたいところ・・・?」
リオを先頭にして2人が歩いていく。もちろん奴隷と主人のフリをして、である。そうしないとこの街では周りのケンタウロス達がうるさい。
「・・・・?」
しかし今日は何か違っていた。鎖を握るカトレアはいつも以上に視線を感じていた。
今まで視線を感じることは多々あったわけだが、今日のはいつもの違うような。いつもの視線が人間を険悪する冷たい眼差しだとするのなら、今日のはそれよりも少し暖かい、ただ物珍しいものをみるようなかんじ、中には少し笑顔を浮かべている者もいるほど、
疑問を感じていると、リオがある家の前で立ち止り呼び鈴を鳴らした。
「・・・ここは?」
「はい。マリー様のお宅です。」
【 どちらさまー?】
ドアの向こうから元気いっぱいの女の子の声が聞こえる。その明るさにほほえましさを感じながら、リオは笑顔でドアの向こうにいる少女に声をかけた。
「『マリー』。私です。」
その言葉をかけるや否や、扉が開け放たれ元気いっぱいに飛び出してくるケンタウロスの少女が一人。
「おにーちゃん!!」
「はい。リオです。こんにちわ。『マリー』」
「うん!」
2人のやり取りに顔がほころぶカトレア。この名前の呼び方から察せられるように、この二人、とても仲が良い。最初こそマリーが駄々をこねてリオに無理やり呼ばせていただけの関係だが、マリーの底抜けた明るさや、自分を心配してくれる優しさに触れ、本当の兄弟のように仲がよろしくなった。
周りを気にしてリオのほうはマリーと呼ぶときだけ声を小さくして入るが・・・・
「きょうはどーしたの?」
「えぇ、少しお父様を呼んできてくださってよろしいですか?」
「おとーさん?ちょっとまっててね!」
リオの言葉に笑顔でうなづくと、「おとーさーん!!」と叫びながら家の中へと走っていくマリー。
「リオ。マリーのお父上に何の用だ?」
「えぇ、少し・・・・」
しばらくすると家の中からマリーと手をつないで一人のケンタウロスが姿を現した。
「・・・何の用だ?」
明らかに不機嫌そうな表情でリオを見下ろす。それに対しリオはひるむことなく。まっすぐに目をみあげると、勢いよく頭を下げた。
「先日は、大変なご迷惑をおかけしたのにもかかわらず、カトレア様を運んで下さり本当にありがとうございました。」
その突然の言葉にカトレアもマリーの父親も唖然としてしまった。それでもリオは頭を下げたまま続ける。
「こうしてカトレア様が無事に退院できたのも貴方のおかげです。なので、今日はそのお礼をお伝えしたくて・・・」
それを聞いても、まだ唖然としていたが、ふと我に返ると、今度は顔を顰めながら頭を掻く。
「ったく、ほんとに調子狂っちまうな。」
「・・・・」
「頭上げろよ。」
「はい。」
顔をあげると・・・・そこには先ほどまでの不機嫌そうな顔はなく、ただ、ちょっとめんどくさそうな表情を浮かべているだけだった。
「お前、名前なんて言ったっけ?」
「リオと申します。」
「そっか・・・お前人間のくせに・・・根性あるやつだな。」
「・・・はい?」
あまりに唐突な言葉に一瞬思考が停止してしまうリオ。しかしそれに構わず男は言葉をつづけた。
「カトレアちゃんのためにあんな嵐の中走ってきて・・・しまいにゃテメーの調子も悪かったって?」
「あの・・?」
「・・・・人間にもまだそんな根性あるやついたんだな。」
「だよね!わたしの いったとおりでしょ おとーさん!」
嬉しそうに父をみあげるマリー。そこでリオはようやく彼の言うことの意味がわかってきた。
「マリーも気に入っちまったみたいだし・・・。」
「えと、ありがとうございます・・・。マリー様のお父様。」
「『ガインズ』」
「え?」
「俺の名前だ。そんな長ったらしいんじゃめんどくさいだろ?」
「は、はい。ありがとうございますガインズ様。」
あまりの急展開にカトレアは既についていけなくなってしまい、開いた口がふさがらない。それに構わず男2人で会話は続いていた。
「お前、奴隷なんだよな?」
「は、はい。」
「それなら、たまにでもいいから家にきてマリーの相手でもしてやってくれ。最近歳で子供の相手疲れんだ。」
「・・・・・よろしいのですか?」
「俺が頼んでるんだよ。で、いいのか?」
「は、はい!!喜んでお相手させていただきます!」
「あぁ。」
「やったーー!!」
完全に置いてけぼり食らったカトレアが、マリーの喜びの声を聞いてやっと我に帰った。
「ど、どうして・・・」
「別に、ただ人間にしちゃ根性あると思ってな・・・。人間にしちゃ・・・な。」
「おとーさんね、おにーちゃんのこと きにいったんだって!!」
「で、でも、娘さんが人間と遊んでるなんて知れたら・・・」
「この街にいる限り、いや、この餓鬼が相手なら大丈夫だよ。むしろまた株が上がるんじゃないか?」
「『また』」
「あの嵐の夜のこと、『なぜか』街のやつらの耳に入っててな。こいつに対する見方が変わってきたのさ。」
そこでカトレアは気付いた。ここに来るまでに感じた視線はカトレアとリオという主従関係を見ていたのではない。噂に聞いた人間。リオのことを見ていたんだと。
そして、その噂の出所もわかった。
「・・・感謝します。」
「何のことかわからないな。」
気付けばカトレアは自分の目がうるんできていることに気付いた。もしかしたら、いつかリオと手をつないでこの街を歩けるかもしてない。そんなことを考えて。それを想像しただけなのに、目頭が熱くなる。
「ガインズ様。ありがとうございます。」
「よかったね。おにーちゃん!」
「えぇ、マリーのおかげです。」
「えへへ、マリーもおにーちゃん だいすきだよ。」
「ふふ、ありがとうございます。」
人間とケンタウロスが笑顔で話している。ちょっと前まで普通に見えていたことなのに、こうして目の当たりにしてみて、その光景に涙が出そうになる。カトレアも、もう我慢の限界だった。今まさに
目元から一筋、涙が落ちようというとき・・・
「うん!だからね、マリーおおきくなったら おにーちゃんの およめさんに なる!!」
一発で涙なんて引っ込んだ。
「え・・・と、ありがとう?でいいんでしょうか・・・」
隣にいるリオも苦笑いを浮かべるばかりで、決して断ろうとはしない。それがまた拍車をかけた。
「すいません。ガインズ殿。私もリオも病み上がりなので、今日はこの辺で失礼します。」
「カ、カトレア様?」
「お、おう。大事にな。」
「え~、もうかえっちゃうの?」
マリーの反論もむなしく、カトレアはガインズに一礼するとリオの首根っこをつかんで足早にその場を後にした。
「おにーちゃん、つぎはいつきてくれるかなー。」
「無事に来れたらいいけどな・・・」
「ちょ、ちょっとカトレア!?どうしたの!?」
引きづられたまま家に着くと、普段の口調で口を開くリオだが、カトレアはこちらを見向きもせずにリビングに入ると、自分用のクッションに腰を下ろすと、リオを折りたたんだ前足の上に座らせて後ろから抱きしめる。
「・・・えと、ほんとにどうしたの?ブラッシング?」
「リオ、君はあんな小さな子がタイプなのか?」
いつもより低いトーンで話しかけてくるカトレアにリオはなぜか冷や汗が止まらなくなった。
「な、何言ってるのさ!!」
「しかし、マリーの言葉も否定しなかった。」
「子供の言うことなんだし、本気じゃないでしょ!」
「鼻の下も伸びていた。」
「激しく気のせいだよ!!」
さすがに声を大きくするリオ。後ろから抱きしめられているので、目を見て反論できないが、それでも必死さは伝われば思う。
「・・・本当か?」
「本当です。」
「・・・・・」
「・・・・・」
誤解がとれたのだろうか、気まずいとまではいかないが、少しの空白。カトレアの顔が見れないから確信は持てないが、怒ってはいない。
「でも・・・」
「ん?」
「マリーや、ガインズさん。ああやって接してくれたのは凄くうれしかったな。」
「そうだな、私もうれしかったよ。」
「いつか、街の人がみんなああして話してくれるようになるかな。」
「あぁ、きっと・・・」
「そうしたら、堂々とカトレアと歩けるよね。」
「・・・!あぁ。」
マリーとリオが会話している時、自分が考えていたことだった。リオと一緒にこの街を歩きたい。奴隷と主としてではなく、1組の男女として。
リオも同じことを考えていたことにうれしさを感じてカトレアの頬が赤くなる。
「ね、ちょっと離して。」
「む・・・」
あからさまに残念そうにリオを離すカトレア。何をするのかと見ていれば、
リオがその場で180度回転。こちらと見つめ合う形に座りなおした。ご丁寧にカトレアの首に手をまわして落ちないようにしながら・・・
「ちょぉぉ!!リ、リオ!何をする!!?」
もう先ほどのように頬が赤く染まるなんて生ぬるいことではない。耳まで真赤に染まりきっている。普段自分から積極的なカトレアだが、相手からの急な積極性には非常に弱い。
「真剣な話だからね?」
「う、うむ。」
今すぐこの場から逃げ出してしまいそうな衝動に駆られながらも、同時にこのままでいたいという矛盾を抱えながら「あぁ、私今混乱してるな」と逆に冷静になりながらリオの言葉を待った。
「今までずっと、買い物で街に行くときもみんな僕を見る目は凄く冷たかったよね。」
「・・・あぁ、そうだな。」
「その中でもリリーナさんは僕にやさしくしてくれた。それに今日はガインズさんが話してくれて・・・少しずつだけど、人間に対する見方が変わってると思うんだ。」
「あぁ、一緒に変えていこうな。」
「ありがと・・・それでね、あの~・・・」
「うん?」
今度はリオのほうが顔を赤く染めながら目をあっちへこっちへ、落ち着かない様子であわて始めた。
こんな状況珍しくてカトレアも不思議そうに首をかしげている。
「どうした?言いたいことがあるなら言えばいいだろう。」
「う・・ん。まぁそうなんだけどさ・・・・いや、そうだよね!!カトレア!!」
「おぉう!ど、どうした?」
急に大声をあげながら顔を近づけるリオ。さっきまでの向かい合う形で少し慣れたとはいえ、カトレアの顔がさらに赤くなりながらなんとか冷静さを保とうとしていた。
「あの!僕頑張るよ!頑張って街のみんなの人間に対する考えを変えて、カトレアと一緒に手をつないで出かけられるようにする!!」
「あぁ、楽しみに待っている。」
「そ・れ・で!!」
「ぬ!?」
「そうなったら、2人で一緒に出かけられるようになったら。僕と結婚してください!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なに?」
あまりの出来事に今までの街の人たち云々の部分が完全に頭から抜け落ちた。
「・・・・どうかな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう一度言ってくれ。」
「な、恥ずかしいで―――「頼む。」・・・・・」
「だ、だから、一緒に外を歩けるようになったら・・・け、結婚して下さい。」
「・・・・よくこのタイミングで言おうと思ったものだ。」
「ちょ、最高に良いタイミングでしょ!?結構悩んだんだよ!?」
あまりにカトレアの返しが予想外すぎて声を大にして反論するリオ。
「前々からカトレアからそう言われてたし!あ、改めて言おうと思うとちょっと工夫しなくちゃいけないな~、とか!きっとストレートに言わないとわからないだろうな~とか!!」
「お前は私を馬鹿にしているのか!!」
「だってそうじゃんか!!回りくどいことしても気付かないでしょ!!」
「プロポーズくらい気付くに決まっているだろう!!」
「どうだかね。マリーにまで嫉妬するくらいだし!!」
「それは関係ないだろう!!」
「あーもう!それで結局どうなの!?結婚してくれるの!?だめなの!?」
「それをお前は今更聞くのか!」
カトレアの言葉も尤もである。ここまでカトレアはリオにプロポーズし続けていた。むしろ答えをはぐらかし続けたのはリオのほうなのだ。
「だ、だって・・・・」
それでもリオのほうがいじけるように下を向いてしまう。本当にこいつは男かと疑いたくなってしまうほど女々しい・・・
「あぁー!もう、お前はいちいち可愛いなぁ!!」
「うわっぷ!ちょ!!んっ――――――――っ!!!」
そんなリオを力強く抱きしめるカトレア。彼女の持つ胸のクッションで痛くはないが、口がふさがれて苦しい。
そこから空気を求めて顔を上に向けると、すぐ目の前にカトレアの顔が近づいてきて、気付けば唇に暖かく柔らかい感触がしていた。
「んむむ・・・んぅ」
「ぷはっ」
どれくらいの時間が経っただろうか、やっと口が離れて空気を吸い込むと、目の前にはしてやったりといった表情のカトレア。
「もちろん。YESに決まっているだろう。」
これから、彼らが首輪も、ボロボロの服も着ずに、周りの視線を気にせずに手をつないで歩けるのまでどれくらいの月日が必要なのだろう。
それは誰にもわからない。でもそれはきっと遠くはないはず。
「さて、プロポーズも終わったのだ!今夜が初夜だな!!」
「人の話聞いてた!?」
・・・・もしかしたら、その日が来るころには2人で手をつないで歩く間にもう一人増えているかもしれない・・・・
というわけで、これでカトレアさんとのお話は一度終わります。後日談、とか言って続き書きそうですけどねww
最後のほうが少し急ぎ足になってしまって申し訳ありません。あの最後の2人の口げんかのところは会話内容ばかりの文章になってしまいましたが、スピード感というか・・・とんとん拍子でカトレアさんのターン!にしてしまいたかったのであんな感じにしました。
なんかカトレアさんがちょいちょいキャラ崩壊してる・・・?(・ω・`;)
最後のほうはなんかカトレアさんっぽいなか?と思いますが・・・・
とにかく、これでいったんカトレア編終了となります。
次はどんなモン娘のお話を書こうかな・・・?
それではここまで読んで下さりありがとうございます^^