東方染色記   作:折れない黒鉛筆

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どうも、ガチアサリが追加されたもののやる気が出ないわ時間と合わないわで結局ガチアサリをやれていないうp主の折れない黒鉛筆です。
前置きで話すことがもう無い。ということで、第十七話をどうぞ。

前回のあらすじ
美鈴にナイフが突き刺さった
微量ながら魔力があることが分かった
パチュリーに魔法を教えてもらうことになった

修正履歴
2017/12/26 台本形式を修正+地の文や一部キャラクターのセリフ等を修正前のストーリーから変更されない程度に修正&追加
2018/05/01 前回修正で修正し忘れていた箇所があったので修正+台詞を除く段落の頭に全角スペースを追加+誤字・一部表現を修正


第十七話 主人公、魔法はじめました

 パチュリーに頼み込んで魔法を教えてもらえることになったのは良いが…如何せん魔法を教えてもらうなんて初めてだ。もしスパルタとかだったら嫌なんだが……取り敢えず。

「まず……俺はどうすればいいんだ?」

 近くにあった椅子に腰掛けながらパチュリーに問いかける。

「まずは…本来なら貴方の魔力の量を見るのだけれど、見なくてもいいくらいの少なさね。」

 具体的には?と聞こうとしたがもし聞いた場合の返答を予測すると聞いてただただ悲しくなりそうな予感がしたのでやめておいた。

「取り敢えず……何がしたい?」

「何がしたい?どういうことだ?」

 思った以上に曖昧な質問で思わず聞き返す。まず何がしたいって……

「魔法を使って何がしたいかよ。それによって適する魔法も異なってくるから先に聞いているのよ」

 何がしたいと急に言われてもな……先ず俺の魔力量はお察しだからメイン火力には使えないだろうな。となるとサブ火力かサポートか……俺の能力と照らし合わせるとサブ火力は多分いらない…と思う。となると……

「……俺の能力をサポートする感じのやつ?」

「成る程。で、どうやってサポートするのかしら?例えば能力強化とか…欠点を補うとか…」

 少し考えよう。能力強化はあまり試してもないからこれを強化したい!的なものは今のところ無い。となると欠点か?俺の能力の欠点……あった。それをカバーしつつ尚且つ魔法っぽいものといえば…

「もし出来るのなら、霊力とインクを溜めておける何かを作りたいな。起きている間に使えるインクの量や霊力には限りがあるし、俺の能力だとインクはともかく霊力をガンガン使うから。……出来そうか?」

 取り敢えずパチュリーに聞いてみる。パチュリーは少し考える仕草を見せ、小悪魔を呼んだ。

「そうね……貴方の魔力からすると…まあ頑張れば出来るんじゃない?魔法陣二つくらいなら生成できるでしょう。」

 そうパチュリーから告げられ、まずは一安心。すると本棚の方から小悪魔が飛んできた。

「こぁ。魔法陣を生成するための方法が記された本と魔法陣に力を溜め込む方法が記されている本を持ってきてもらえるかしら。出来るだけ簡単なやつね。確かD-3の辺りにあったはずだから。」

「はい!わかりました!」

 そう言って小悪魔は来た方向とは別の方向にある本棚の方へと飛んでいった。D-3っていう情報だけで何処の本棚か分かるとかすげえな。

「さて……小悪魔が本を持ってきてくるまでの間に少し貴方にお願い事があるわ。」

「ん?願い事か?まあ出来る範囲ならやるが……その願い事とは?」

「外の話を聞かせてほしいのよ。一応この図書館にも外の世界に関する本は幾つかあるけどやっぱり外の世界にいた本人から聞いたほうがいいと思ってね。良いかしら?」

「ああ、こちとら魔法を教えてもらってんだ。それくらいお安い御用さ。で、何から話せばいいんだ?」

「そうね、まずは……」

 

 

 

 

 

 

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「成る程…その『しんごうき』っていうものが人間のために光を出しているのね。」

「そうだな。因みに信号機は三色の光を出して俺たち人間に合図を伝えているんだ。例えばその光の中の一色、赤なんかは『一旦停止』って感じの意味を伝えているんだ。他の色は…」

「パチュリー様ー。持ってきてと言われた本を持ってきましたー」

 話すことに夢中になっていたが、後ろから声が聞こえたので後ろを振り向く。そこには、本を数冊持った小悪魔がいた。

「ありがとう、こぁ。さて、これらの本だけど……一回読んでみてもらえるかしら?」

「分かった。じゃあ、少し集中するから待っててくれ。」

 そう言って小悪魔から本を受け取る。そして、本を開くと同時に集中。基本的に本を読む際は集中しないのだが、割と大事なことが書かれているかもしれない本に関しては別だ。集中せずに読み、大事な情報を頭に入れられないのでは本末転倒。出来るだけ早く、的確に情報を抜き出す。これが俺が文章を本気で読むときに心がけていることだ。

 どうやらこの本にはパチュリーがさっき言っていた『魔法陣を生成するための手段』が載っているようだ。それに何となくだが分かりやすい。ただ所々文字化けみたいな感じになっていて読めないけど。

小悪魔「何で康介さんは魔導書が読めるんですか?」

パチュリー「そういえば言ってなかったわね。康介には僅かながら魔力があって……」

 何か小悪魔とパチュリーが会話しているが今は関係ない情報なので頭には入ってこなかった。軽く聞こえはしたが。

 取り敢えず要所を理解しつつ読み終える。そして実際にやってみる。これが今の俺の目標だ。

 

 

 時間はどれくらい経ったか分からない。それに身の回りで何が起こったかもよく覚えていない。まあ時間に関しては後で時計なりスマホなり見ればどうにかなるだろう。一冊目を読み終え、大まかな方法は理解できたのでまずは魔法陣を生成してみる。

「パチュリー、ちょっとこの辺使うぞ……」

 取り敢えず許可を得てから、読んでいた本をその辺にあった机の上に置く。そして目を閉じ、また集中。これだけ集中できる自分の力に呆れそうになるがよくよく考えたら8時間ぶっ続けでガチマッチ潜り続けてS+99達成したこともあったのでどうということはなかった。

(取り敢えず本に書かれていた通りにやるか。魔力をかき集めて本に載っていた魔法陣みたいなものを意識…そして実体化させる感じで…)

 何となく上手く行ったような感じがして目をゆっくりと見開くと、そこには魔法陣とは言えない形をした何かがあった。

「…………何だこれ。なあパチュリー、成功……したのか?」

「まあ魔力はそのよく分からない変な物体から感じるし、成功してるんじゃない?」

 曖昧な返答に戸惑いながらも、まず一つ目を作ることに成功。形状等は使っていくうちにどうにかするとして…問題はこの状態から二つ目が作成できるか?と言う事だ。

 やってみない事には何も分からないので二つ目を生成しようとする。しかし、当然ながら一つ目を生成した時より相当大変だ。魔法陣の維持と魔法陣の生成を同時に行わないといけないからだろう。当然といっては悲しいが、魔法歴一日も経っていない(はず)俺がそんな高度な技術を出来るはずもなく、二つ目を生成する前に元々あった一つ目が消えてしまった。

「まあそうなるわよね。もしこれで成功されたら魔法使いの面目丸潰れよ。まだまだ潰れないでしょうけど」

「にしても康介さん、凄い集中力でしたよ……時間からしてもう日も傾き始めてるでしょうし、何より魔理沙さんがここに来て貴方に声をかけたのにそれにすら気付いていないようでしたし……」

 小悪魔にそう言われ、慌てて時間を確認すると確かにもう日が落ちそうな時間帯だ。というか魔理沙来てたのか。小悪魔の話からするとガン無視決め込んでたっぽいしなあ……本当に気づかなかった。覚えてたら会った時に謝っておくか。

「さて、日没まであと少しだから早く帰らないとだからそろそろお暇させてもらおうかな?」

 そう言って立ち上がろうとすると、パチュリーにちょっと待って、と呼び止められる。

「魔法について質問が出来たら何時でもいらっしゃい。それと……これらの本を持って行きなさい。貴方なら多分本を貸してもしっかりと返してくれるでしょうから。」

 そう言ってパチュリーが小悪魔に持ってこさせた本を数冊渡してくれた。若干気が引けるが有難く受け取っておこう。

「因みに返却期限は?」

「無いわ。まあ読み終わったら返してさえくればそれで良いわよ。」

「その言い草といいさっきの言い方から予測するとまるで読み終わっても本を返さない本泥棒がいるように思えるのだが…?」

「居るわよ。『死ぬまで借りてくぜ』とか言って私の本を持っていく奴がいるのよ。まあ貴方の知り合いなんだけど。」

 俺の知り合い……?それにさっきの言葉の語尾というか口調……あんな喋り方をするのは今のところ一人しか知らない。その人物が頭に思い浮かぶと、何故か溜息が出た。あいつこんな事もやってたのか。

「………魔理沙か。」

「当たり。またあいつに会ったら本を返すよう伝えてくれない?まあ聞く耳持たないと思うけど。」

「……善処しとく。じゃ、妖怪の時間である夜になる前に失礼。」

 そう言って俺は荷物を纏め、大図書館及び紅魔館を後にした。

 

 

 

 

 

 

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「にしても、夜のフライトは良いな…」

 あれから紅魔館を出て博麗神社への帰路を急いでいた訳だが、結局日没までには間に合わなく今こうして真っ暗な空を飛んでいる。

 霊夢の話だと夜は妖怪の時間らしい。だとしたら相当やばい。俺が少なくともタイマンで妖怪に勝てるような位の実力を持っている訳がない。

 要するに急がないといけない訳だが、何故か俺は今の状況を楽しんでいる。暢気だと思われるかもしれないが、よくよく考えたら夜の空を飛ぶなんてことはこれが初めてだし、自分自身昼より夜の方が好きだからかもしれない。

(そういえば…この幻想郷で生きていくに当たってまだ必要な物事をこなしてないな。お金はどうやら香霖堂という場所に行けば両替してくれるらしいし今度魔理沙に連れて行って貰おうか。後は…流石にずっと居候するのも霊夢に迷惑だしニートなのも少し気が引けるし……働き口と自分の家でも探そうかな…)

「あなたは食べても良い人類?」

 唐突に聞こえた物騒なセリフに思わず耳を疑う。

「少なくとも食べても不味い人間ではあるが。それに食べても良い人類なんて基本いないからな?」

 そう言いながら声のした方を向くと、そこには金髪のいかにも幼女みたいな雰囲気をした少女がいた。夜なのであまり容姿は見えないが、自分から見て右側頭部に赤いリボンのようなものを付けている。

「そ~なのかー……」

「そんなに落ち込まなくても良いじゃねえか。で、お前は?セリフ等から人外であることは簡単に想像できるが…」

「私はルーミアなのだー。お前の言う通り妖怪なのだー。」

「そうか、俺は天ケ原康介だ。よろしくな。」

「それで、食べてもいいのか?」

「人の話を聞いているのかお前は」

 思わずツッコミ気味に返す。それにしても、妖怪か…さっさと博麗神社に行きたいっちゃ行きたいがもし背中を見せて逃げようものなら何をされるか分からない。見た目はだいぶ幼く見えるがこの幻想郷では『外見=年齢』という公式は使えないからな。用心しておいて損はない。

「さっさと家帰りたいんだけどなあ……」

「そうなのかー?」

「そうなのだー……いけねえつい口癖が映っちまった」

「じゃあ別に良いのだー。康介の言う通りお前、不味そうだし」

「不味いことを自覚してるとか悲しくなるな……じゃあお言葉に甘えて。また会おうな。ルーミア。」

「バイバイなのだー。」

 取り敢えず今回は見逃してくれるらしいルーミアに別れを告げ、俺は博麗神社へと急いだ。一応ルーミアに背を向けてはいるが念のため不意打ち食らっても対応できるように警戒はしているので多分大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

 

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「ふぅ。着いた着いたー」

 境内に降り立ち、伸びをしながらそう言う。地味に本が多いので辛かった。時間をスマホで見ると午後8時半。大分遅くなったな…それに朝飯以降何か食べ物を口に運んですらいないし取り敢えずは何か食べよう。そう思って居間に上がる。

「只今戻ったぞー…」

「遅い!どれだけ時間かけてるの!」

 開幕いきなり怒られた。まあこんな時間まで俺みたいなやつがフラフラしてたらそりゃ心配されるわな。

「すまん。パチュリーんとこで魔法の勉強したり帰り道にルーミアに絡まれたりそもそも飛行速度がそれほど速くなかったりでこんな時間になっちまったんだ。」

「……まあいいわ。で?その手に持ってる本は?」

「ああこれか?パチュリーから借りた。どこぞの魔法使いのように一生借りるなんてことはする気はないけどな。」

「ふうん……まあ色々と聞きたいことがあるから夕飯でも食べながら話しなさい。一応私が作ってあるから。」

 サンキュー、と言いちゃぶ台の上にあった飯を食べ始める。それからはただひたすら飯を食べながら霊夢の質問に答え続けた。魔力が微量ながらあるらしいと言ったときは『あんた、本当に外来人?』と言われた。まあこれでもまだ外来人ではあるからな。そういえば、俺が外来人である以上はもし元の世界に帰れるようになった場合俺は帰るのだろうか。まあ今そんなことを考えても仕方ないと割り切り、俺はまだ止みそうにない霊夢の質問に答え続けた。




次回予告
まだまだやるべき事が多い康介。次はどうしようかと悩んでいると、魔理沙がやって来て『香霖堂に行こうぜ!』と提案してくれる。香霖堂に前から行きたいなと思っていた康介は魔理沙に連れられ、香霖堂へと向かうのであった…
次回「第十八話 香霖堂の風変わりな店主」(仮)

いかがでしたでしょうか。
割と後書きでも話すことが無いのでそれではまた。うp主の折れない黒鉛筆でした。

p.s. Twitterやってます。一応アカウント名は「折れない黒鉛筆@ハーメルン」だったような気がします。たまにしか呟きませんが更新報告等ならやっているので良かったらどうぞ。

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