主人公はオリジナル、織斑千冬の妹であり織斑一夏の姉という設定の織斑千秋。
彼女はIS学園の支援飛行隊・救難班のパイロットであり班長を務めている設定です。
航空防衛隊及びIS学園支援飛行隊は作者の勝手な設定ですが、救難隊は実際にある
航空自衛隊に設けられ、捜索・救難機を用いた救難救助を専門とする部隊をモデルに
してます。
よって機材や人員配置、役職名などはそこから拝借しています。
ストーリー展開はアニメ版に準拠してますが、作者都合により変更してます。
また、IS学園の設定や一部名称も同様に変更しています。
なお、暗い話は嫌いなので登場人物達の設定も変えています。
以上を理解して読んで頂くと助かります。
IS学園の職員室で織斑千冬は情報端末に表示されている情報に目を通していた。
職員室は入学式が終わり、次に始まろうとしているホームルームの準備で騒然としていた。
千冬はそれに取り組まなければならないのだが、はっきり言ってそんな気分では無かった。
それはそうだ、今日からこの学園に自分にとって身近な人間の一人、弟である織斑一夏が
入学するのだから。
これが普通の学校であれば、千冬とっては愚弟が入学してくるだけという話で済むのだが。
ここは普通の学校ではないのだ、IS学園、言わずと知れたIS操縦者の育成を行う為の特殊国立学校。
そしてISは女性にしか動かせない筈のもの・・だった。
だが突如それを動かせる男性が出現したのだ、だがそれがよりによって自分の愚弟だったとは。
千冬は知らされた時にはあらゆるものを呪いたくなった。
実は一夏には自分がIS学園の教師である事どころか、世界最強・・ブリュンヒルデであることさえ教えていない。
ブリュンヒルデと教師という肩書きはあくまでも自分の家族を支える為に必要だったものだからだ。
ハッキリいって酷い世界だった、自分自身のブリュンヒルデという名称に嫌悪感を覚えさせらるくらいに。
だから家族達を関わらせたくはなかったのに・・・
幸いなことに今までは問題なかった、ISはあくまでも女性にしか動かせないもので、
男性である一夏には関係なく、もう一人の家族は女性だったが適正がなかったから。
あるいはこれは臆病な自分に対しての罰なのかもしれんな・・・
千冬は深いため息をつく、だが・・・
織斑千冬はそんな事で諦める人間ではないのだ。
呆然としていたのは短い時間だった、彼女は猛然と行動を開始する。
ここまで登りつめた地位とそれで培ったコネを惜しみなく使い、一夏を守る為にあらゆる手をうってきた。
一夏を自分の管理下に置く事、様々な干渉を行わせない事に成功した。
まあその為、方々の恨みを買ったり、危険視もされたがそんなこと千冬にはどうでも良いことだ。
こうして入学式を迎えたわけだが・・・正直言ってまだ完璧と言えなかった。
外部からの脅威は何とか押さえ込んだが、内部的な問題は残っていることが冒頭の様に千冬を不安にさせているのだ。
だからこそ千冬はある人物の来訪を待っていた、自分と一夏にとっては最も近し存在。
その人物なら一夏は安心して頼れるだろう、持っている役職もまた相応しい。
いや・・・本当は自分が一番頼りたいのかもしれんな・・・
千冬はそう考えて苦笑する。
そんな自虐的な思いに浸る千冬をデスク上にある電話が引き戻す。
何時もの落ち着いた表情に戻った千冬は受話器を取り上げ電話に出る。
「うむ織斑だが・・・そうか着いたか。ああ、第3会議室へ案内しくれ。私も直ぐ行く。」
受話器を戻すと千冬は隣で準備をしている副担当教官の山田真耶に話掛ける。
「山田君申し訳ないが先にクラスにいってホームルームを始めておいてくれないか。」
情報端末・・IS学園教官に支給されている専用端末を熱心に見ていた真耶は驚いた表情を浮かべる。
「えっと私がですか?あの織斑先生は何か御用が?」
自分の情報端末をデスクから拾い上げた千冬は頷いて答える。
「待っていた者がやっと来てくれてな・・・まったくこれだからお役所仕事は。」
そんなぼやきを上げつつ歩き始める千冬。
「直ぐに行けると思うが兎に角頼むよ山田君。」
「は、はいわかりました。」
慌てて準備を急ぐ真耶を見つつ廊下に出る千冬。
さてと怒ってはいないと思うが、戸惑ってはいるだろか?
いや・・・あいつのことだ、どうせ全てを察しているんだろうな。
これから会いに行く人物のことを思い苦笑を浮かべる千冬だった。