「皆さん初めまして。本日付でIS学園支援飛行隊・救難班に着任いたしました織斑千秋三等空佐です。」
私の自己紹介にクラス内の女生徒達にざわめきが広がる。
「・・・ってことはやはり?」
千冬姉はその言葉を発した生徒を一瞥する。もちろんその生徒は思わず背筋ピンと伸ばす。
さすが我が姉・・・威圧感は相変わらずの様だ。
「確かに織斑千秋三等空佐は私の妹だ。」
「「「「やっぱり・・・」」」」
そんな声がクラス内に広がる。
「だが学園内では公私のけじめは付けるつもりだ、だから余計な気遣いは不要だ。・・・この馬鹿についてもだが。」
そう言って一夏ちゃんを見る千冬姉・・・ああ、一夏ちゃんも威圧されてる。
「あと織斑三佐は航空防衛隊から出向して来ているとはいえ、学園内では準教師扱いだ。敬意を忘れるなよ。」
何もそこまで威圧しなくてもいいと思うんだけど・・・千冬姉らしいといえばらしい。
「まあそこまで気にしなくても私は構わないですよ。」
そうフォローすると千冬姉は眉をしかめて私を見る・・・妹まで威圧しないでほしい。
「節度を守って頂けるなら問題ありませんから。」
私はそう言って千冬姉を見る。彼女はやれやれと首を振っている。
多分お前は甘いとか思っているんだろうな・・・姉の心境を察し肩を竦めてみせる。
「はあ・・・顔つきはそっくりなのに雰囲気がぜんぜん違いますね。」
生徒の一人がそう呟くのが聞こえる。まあ私たち姉妹は昔からよくそう言われたものだ。
「確かに千冬姉はあんな恐ろしい性格なのに、千秋姉はその妹とは思えないくらい穏やかな性格だって言われて・・・あ・・」
一夏ちゃんいくらなんでも千冬姉の前でそれを言うのは不味いと思うんだけど。
「ほお・・・誰が言っていたのか聞かせてほしいものだな織斑。」
凄まじい威圧感を伴って一夏ちゃんを見る千冬姉。今更慌てても遅いんだけど一夏ちゃん。
このままでは千冬姉の鉄拳が一夏ちゃんに炸裂しそうだったので私は話題を変える。
「ところで何か質問があればお答えします。プライベートな質問はNGですが。」
千冬姉と一夏ちゃんの雰囲気に気圧されていた女生徒達はほっとした表情を浮かべる。
「あの・・・それではIS学園支援飛行隊というのは何なんでしょう?」
その質問は出るだろうな思っていた私は千冬姉、いや織斑教官の方をみる。
彼女は平静を取り戻した様で(一夏ちゃんはまだ固まっているけど)頷いて見せる。
「IS学園支援飛行隊というのは、皆さんのIS訓練を支援する為に組織されたものです。」
初めて聞くだろう話に一夏ちゃん(なんとか復帰した様だ)や女生徒達が興味深げに身を乗り出す。
「人員は航空防衛隊から出向して来た、まあ私がそうですが、で構成されており、機材・・航空機などですがそれも同様です。」
「織斑三佐はその中の救難班のパイロットであり班長を務めている。」
織斑先生がさらに説明を付け加えてくれる。
「もし皆さんに訓練中事故が起きた場合私が救助に参ります、まあそんな事は無い方が良いのはもちろんですが。」
事故と聞いて一夏ちゃんや女生徒達の顔が強張る。
「でもISには・・・」
女生徒の一人が顔を不安げにしながら聞いてくる。
「確かにISにシールドがあり、絶対防御だってある。しかし完璧ものなど存在しない。」
織斑先生が全員を見回して答える。
「過信しすぎて二度と飛べななくった者もいる。それを忘れるなよ小娘ども。」
クラス内にさっきとは違った沈黙が落ちる。まあISの安全性は完璧らしいけどやはり過信は禁物だ。
「そうならない為に織斑先生や山田先生がちゃんと指導して下さる筈です。」
私は二人を見て微笑む、皆の不安を少しでも小さくしようと思って。
「ふん当然だ・・・これから諸君らには、ISの基礎知識を半年で覚えてもらう。その後実習だが、基本動作は半月で体に染みつかせろ!いいか?返事をしろ。良くなくても返事をしろ!」
相変わらず我が姉殿は無茶苦茶を言ってくれる。隣で私は肩をすくめて笑う。
でも皆を鼓舞する効果はあった様だ。
「「「「はい!!」」」
クラス内に不安ながらもそれを吹き飛ばす様な声が響く。
さて、この辺で私の役目も終わりだろうと思い織斑先生に話し掛ける。
「それでは私はこれで退出します。他のクラスにも挨拶に行かないいけませんので。」
「そうだったな、まったく入学式で紹介出来ていればこんな面倒なことをしなくてすんだのだが。」
予定ではそうだったのだが、救難班の移動に関する処理がぎりぎりまでかかってしまったのだ。
本来なら入学式前までに移動を終了し、体制を整えて置かなければならないのだが。
現実は入学式前までに救難班の移動が出来ず、私一人が入学式終了後やっと着任だ、他の人員や必要な機材はこれから移動させねばならないという有様だ。
前の救難班は既に人員・機材とも他の基地に移動しており、ISの訓練はまだ始まらないとはいえそれまでに行わなければならないことを思うとさすがに気が重い。
「仕方がありませんよ、愚痴をいってもはじまらないし。最善は尽くしますよ。」
とはいえそんな事を言っても始まらない、私は気持ちを切り替えて答える。
千冬姉、いや織斑先生はそんな私に「すまんな。」と言って頭を下げる。
「それでは皆さんがんばって下さい。」
私は敬礼をするとクラスを辞するのだった。
ここで補足的なものを書いて置きます。
・この世界のISの訓練(実習)は基本的に学園から離れた空域で行うという設定です。
・織斑三佐(千秋)の所属する救難班はISの訓練(実習)時の事故に対処するものです。
・この辺は航空自衛隊の訓練及び救難体制をモデルにしています。
・支援飛行隊にはその他に、訓練空域にある拠点まで生徒達や教官、必要な機材等を輸送
する輸送班や所有する航空機などの整備担当する班などもあります。
この辺は追々書いていきたいと思います。
色々と突っ込みどころがあると思いますが、この作品世界のみで通じる設定とご解釈願います。