ISとレスキューウィング   作:h.hokura

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姉の虐めいや話から数日後、新たなニュースが入って来た。

一夏ちゃんになんと専用機が?・・・実は最初に聞いた時点では私はその重大さを知らなかった。

専用機が与えられるのは極少数の者で、オルコットさんの様な代表候補生など限られた者のみ。

学園に入学した者はせいぜい訓練機が与えられるくらいらしい。

原因はISを構成する最も重要なもの、コアが限られた数しかない為。

正確にはISの開発者、束さんこと篠ノ之束博士が限られた数しか製作しなかったから。

以上はその話(一夏ちゃんの専用機)を話してくれた織斑先生(千冬姉)の説明による。

いや私もIS開発者束さんの事は知ってはいたけど、コアや専用機の事など知らなかった。

IS適性無い私はISと無縁の生活をしてきたのだから、知る機会なかったとも言える。

ちなみに束さんとは彼女が学生のころからの知り合いだ。

千冬姉の親友にして(もちろん私ともだが)、箒ちゃんのお姉さん。

問題児の束さんとその押さえ役(後始末役か?)の千冬姉、そんな二人をフォローしていた私。

とても懐かしい話だ、もっともそれも6年前に唐突に消えてしまったのだけど。

話がずれた、その一夏ちゃんの専用機の供与は突然決まったらしい、その辺の事情は千冬ね・・織斑先生は話してはくれなかったけど。

「あいつらまだモルモットのデータが欲しいらしいな。」

吐き捨てる様に千冬姉が言った言葉が多くを語っている。

一夏ちゃんはIS学園に入学が決定するまであらゆる研究機関に送られ検査を受けさせられたらしい。正にモルモットと言う訳だ。そしてIS学園に入学するや専用機を与えて・・・

男性初のIS適性者は彼等にとってはどこまでいっても実験材料というわけらしい。

まあこれでも方々に手を打ったお蔭でこの程度ですんだのだが、と千冬姉は苦々しい表情だったが。

「とはいえ専用機があるとはいえ・・・」

「それで勝てれば苦労はしないがな。」

二人揃って溜息を付く。

「例えれば織斑三佐が急に戦闘機の乗せられ空中戦やる様なものだな。」

「嫌な例えですね・・・そんなことやったら私なんかいい標的です。」

私は救難機のパイロットで標的機じゃありません。

「それで一夏ちゃ・・織斑君はどうしているんですか?」

演習が決まってから何日も経つけど。

「篠ノ之と訓練しいている・・・といえるのかあれは?」

千冬姉の話だと、放課後に箒ちゃんは一夏ちゃんを追いかけ回しているそうだ。

「この軟弱者!」と言って・・・

「剣道を辞めていたことが相当頭にきていた様だからな。」

そういえば一夏ちゃんは箒ちゃんが転校した後にそれまで習っていた剣道を辞めてしまった。

千冬姉は情けないやつだとぼやいていたが、私は何か考えがあるのだと思ってそれ程気にしなかった。千冬姉にお前は一夏に甘すぎだ、とお小言を頂いたけど。

「実機による訓練とか出来なかったのですか?」

「手続き上の関係で訓練機を借り出せなかったんだ。」

千冬姉は肩を竦めて答える。

一夏ちゃんのことは信じているけど、ちょっと心配になったちゃうなお姉ちゃんとしては。

 

翌日。

夕闇せまるIS学園のグランドを私は走っていた。

別に何かしたわけではない。航空学生時代は訓練の出来が悪いとよくやらせられたけど。

様は体力作りの一環としてグランドの使用許可を貰ってランニングさせてもらっているのだ。

ただ今ちょっと困った現象が起こっているのだが。

「あの織斑先生。」

休憩と一息付いていると・・・声を掛けられる。

またかと私は溜息をついて声を掛けてきた人の方を振り向く。

そこに立っていたのは・・・腰まである見事な金髪と碧眼。

美しい外人の少女だった。・・・この子ってもしかして。

入学式の当日、一夏ちゃんの教室で見かけた、そして千冬姉に話を聞かされた。

セシリア・オルコットさんだ。

「え・・・織斑先生ですよね?」

私は肩を竦めて答える。

「御免なさいね、織斑先生じゃないの・・・支援隊の方の織斑なの。」

「し、失礼しましたわ織斑三佐。」

慌てて謝ってくるオルコットさん私は苦笑する。そして自分の服装を改めて見る。

この時私は千冬姉が実習時に着ているジャージを身に纏っていたのだ。

理由は単純だ。私がトレーニング用の服をうっかりこっちに持って来るのを忘れてしまったのだ。

どうしようかと思案しているところを通り掛った千冬姉が、

「じゃこれを使え。」

と言ってこのジャージを貸してくれたのだ。

「ちゃんと洗いたてだ。脱ぎたてでなくて申し訳ないが。」

涼しい顔をして言ってくれました。私は姉の脱ぎたての服を着て喜ぶ性癖はありません。

まあそれは良いとして、いや良く無いが兎に角これを着てグランドを走り始めたのだが、

こうやってやたら織斑先生、千冬姉と間違われるのだ。

言って置くが千冬姉はロングの髪を背中で縛っており私はセミロングと髪型が違う。

まさかとは思うが、IS学園の皆は私を防衛隊の制服で識別しているんじゃないだろうか。

これならいっそう千冬姉のスーツを着てみようかと思ったが、知れたら姉の怒りを買いかねないので止めておいた。

「織斑先生なら打ち合わせがあるとかで外出中。今日中には帰れないそうよ。」

間違えてことに慌てているオルコットさんを落ち着かせつつそう教えてあげる。

「そ、そうでしたか。ありがとうございます・・・やはり織斑先生とは雰囲気が違いますわね。」

「まあよく言われるね。自分はあまり意識したことはないんだけどね。」

初めて会った人は大概オルコットさんの様に驚くらしい。

「あ、失礼しましたわ。お気を悪くしたら申し訳ありませんでした。」

私は手を振って大丈夫と示す。そんなこと気にしていたら姉妹などできない。

「兎に角、織斑先生に用事があるなら明日にしなさい。それじゃ・・・」

そう言って別れようとした私にオルコットさんが遠慮がちに聞いてくる。

「・・・織斑三佐は今回のことについては何も言われないのですのね。」

今回の事、ああ演習の事か。まあ何も無い訳という訳でもないのだけど。

「貴方達が納得して決めたことだからね。私がとやかく言う筋合いはないからね。」

「・・・・・・」

オルコットさんは意外だという表情を浮かべる。当事者の身内だから何かあると思ったのだうか。

曰く、「私の弟に勝負を挑むなんて恐れ多いわよ。」とか「あの子に酷いことしないで。」

・・・どっちも私のキャラでじゃないわね。

「それで双方何か得るものがあれば良いと思うしね。若いんだからどんどんぶつかればいいじゃない。」

その言葉を聴いてオルコットさんは微笑む。

「織斑三佐だって十分お若いと思いますわ。」

「貴方達と比べたら私なんかお婆ちゃんよ。」

肩を竦めて私は答える。ここに来て今さながら女生徒さん達のパワーには圧倒されている。

「まあそれでもまだ迷うっていうならいくらでも話を聞いてあげるわ。迷った貴方達に寄り添って共に道を探してあげるのもお婆ちゃん、大人の仕事だからね。」

「大人の仕事ですか・・・」

そう言って考え込むオルコットさん。千冬姉の話だとかなり過激な事を言ったようだけど。

時間が経って彼女の中でそれなりに思うことがあったのだろか。

その時、腕の時計がアラーム音を鳴らす。

「っとご免ね。そろそろ隊に戻らないといけないから。」

考え込むオルコットさんに話しかける。

「あ、すいませんでした。トレーニングをお邪魔する様な真似をしてしまって。」

慌てて謝ってくるオルコットさんに私は気にしなくてもいいと微笑む。

「まあ悔いの無い様にね、貴方も織斑君も。」

そう言って隊に戻ろうとする私にオルコットさんがまた遠慮がちに声を掛けてくる。

「あの・・・またお話させて貰っても構わないでしょうか。」

私は意外な彼女の言葉に足を止めて振り返る。

「それはまあ良いけど・・・私は当事者の身内だけど?」

それで敵対したいという訳ではないが、オルコットさんは気にしないのだろうか。

「彼の姉としてではなく、一人の女性としてですわ。」

優雅な笑みを浮かべ言ってくるオルコットさん。その姿は流石貴族のお嬢様というところかな。

私的には問題ないし、この演習で何を感じたか気に掛かるところだし。

頷く私に「それではごきげんよう。」と会釈しオルコットさんは帰ってゆく。

一夏ちゃんもオルコットさんも出来ればこの演習でお互い何かを得られるといいのだけど。

私は校舎内に消えてゆく彼女の姿を見ながら思った。

 

 

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