本編ではないですが・・・
*タグ追加しました。
*指摘がありましたので「ふゆちゃん」をを「ちーちゃん」に修正。
*「千秋」は「あきちゃん」のままです。
携帯に着信があることを知らせるアラームが鳴る。
画面に表示される相手先の表示は実にふざけたものだった。
『ちーちゃんを世界で一番愛する束さん。』
それを見て私こと、織斑 千冬は深い溜息を付く。
このふざけた表示は私が設定したものではない。やったのはあの馬鹿兎だ。
前に一度相手にするのにうんざりした私が、電話帳から番号を消し、着信拒否にしたことがある。
だが翌日には着信拒否が解除され、電話帳に番号が復活していた、それも一番最初でしかも今度は消すことが出来ない様にされていた。
そして着信する度に先のふざけた表示をする設定にされていたのだ。
こうなってはもう私にはどうしようも無い、メーカに出しても手の出しようがないだろう。
結局あきらめるしか無かった、ただそれでは腹立たしいので着信しても暫くは出ない様にしていたのだが。
気付いたら着信音として某アイドルの曲が大音量で鳴る様に設定されていたのだ。
幸い授業が始まる前に気付いたので良かったが、へたをすれば私は生徒達の前で大恥をかくところだったのだから、まったく油断ならない。
私はしばらく表示を見つめていたが意を決して通話ボタンを押す。
『やあやあ、ちーちゃんの愛の奴隷た・・・』
私は問答無用で通話を切った、何が愛の奴隷だ。
しばらくたつと再び着信するが今度はたっぷり30秒は経ってから出る。
「今度ふざけたことを言ったら・・・分かっているな。」
『もうちーちゃんてば・・・ジョークだって、イッツ・ザ・ジョーク。』
「お前のジョークはまったく笑えん。」
私のドスの効いた声にジョークだと返す馬鹿兎こと篠ノ之 束。
幼い頃からの知り合いだが、未だに何を考えているか分からん、いや何も考えていないのかもしれん。
『何か失礼なこと考えなかったちーちゃん?』
まったく妙なところで感が良いのだから始末に困る。
「気のせいだろう・・・で何の用だ?」
『まあいいけどね。あ、そうそうアキがIS学園に来たって聞いたんで様子を聞きたくて、ついでにいっちゃんもだけど。』
一夏はついでか、こいつらしいが。
「・・・言っておくが妹は馬鹿では無いし、召還も出来んぞ。」
『そいつは残念、試験召喚戦争出来ないね。』
あいつの不得意分野かと思ったが知っているらしい、まあそれを出す私も大概かもしれんが。
「一夏のやつは元気だ、まあ最近は気苦労が多い様だが・・・」
『イギリスの代表候補生と決闘しなきゃならないからね。』
一応学園内の限られた情報の筈だが、こいつに隠し事は無意味か。
「千秋は・・・変わらんな、ここに来ても昔とちっとも変わらん。」
『ははは、あきちゃん昔からマイペースだったからね。』
「お前みたいな超マイペースな奴には言われたくないだろうな千秋も。」
『やだなふゆちゃん、誉めないでほしいな束さん恥ずかしいよ。』
誰が誉めてると言うんだこの馬鹿兎は。ほんとマイペース過ぎる奴だ。
『それでさあ、ちーちゃんは愛しのあきちゃんと会えて、超嬉しいんだよね。』
何が楽しいのかそんなふざけたことを言ってくる馬鹿兎に私はこう切り返す。
「お前みたいなシスコンと一緒にするな迷惑だぞ。」
『何言ってるのかなちーちゃん、私の箒ちゃんに対する愛はシスコンなんていう言葉じゃ言い表せないんだよ。』
「・・・確かにそうだな、お前のはシスコンなんて領域はとっくに飛び越えてストーカの領域だからな、箒の奴が不憫でならん。」
『もう誉めないで欲しいなちーちゃん。』
「だから誉めてなんかいないんだがな。」
どう聞いたらそうなるのか、まったくこいつの精神構造は理解出来ん。
『でも嬉しいことは嬉しいんだよねちーちゃん。』
「・・・確かに公私とも助かっている、妹ながら私よりしっかりしているからな。」
『もう素直じゃないんだからちーちゃんは。』
「言ってろ・・・」
まあ姉としては情けない話だが、嬉しく無いと言えば嘘になるかもしれん。
時々千秋が姉であってくれた方が良いと思ってしまうのは回りには絶対秘密だ。
『でもさ再び一緒に居られる様になったんだから・・・大事にしないとね。』
急にしんみりした声を出す束にはっとする、そうこいつは・・・
確かに私達は昔程一緒には過ごせなくなった、年を取りお互い立場というものが出来てきたからだ。
特に千秋が北海道に転勤してからは皆で顔を会わすのは年に数度というのも珍しく無くなった。
私自身もIS学園教官になり、生活の中心が学園になってからは、身近の一夏とさえ顔を合わせるのが極端に減ってしまう始末だ。
とはいえその分連絡は密に、まあ一夏は男という事と近くに居るから、という事で放置がちだったが、していた。
それに無理をすれば会う事も出来なくは無かった。
だが束の奴は・・・会うどころか連絡する事さえ難しくなった。
妹の事を溺愛するあいつにとっては辛いところだろう、例え自分が決断した結果だとしても。
「そうだな・・・その点は同意する。」
今またこうやって3人で過ごせるのは、昔程親密とは行かないが、幸せことなのかもしれない。
『そうだよ・・・だからあきちゃんとらぶらぶに過ごさないとねちーちゃん。』
「さっきの言葉に折角感心したのにこの馬鹿は・・・それに一夏を忘れているぞ。」
『あそうだね、あきちゃんやいっちゃんとらぶらぶにだね。』
一夏を入れれば良いと言うものでもないんだが、まったくこの馬鹿兎は・・・
『おっとそれじゃここまでだね、あまり長く話すと余計なものが付いてくるからね。』
「そうだなお互い厄介事になるからな。」
各国からその行方を捜されている束、もちろん偽装しているとは言え、その消息に繋がる行為は慎んだほうが良いだろう。
『バイバイちーちゃん、またね~』
「ああ、またな。」
通話が切れる。
私は携帯の画面、例のふざけた表示を見つめながら、普段はした事が無い事をしたくなった。
あの姉妹が再び仲良く過ごせる時がくる様に祈るという事を。
束さんはシスコンだと思いますが、千冬さんは妹がいたらシスコンになるのでしょうか?
まあアニメではブラコン気味?でもそういう描写が少なかった気がします。
オリ主人公を千冬さんの妹にしたのは、彼女のそういう面を描きたかったからなのですが。
それでは。