ちなみにISのシーンが無いのはお許し下さい。
決闘、いえ演習当日の朝。
輸送班によって演習場所に運ばれる生徒達が格納庫前に集合しているのを私は見ていた。
全員ISスーツを着て・・・しかし何度見てもこのスーツ、中高の頃着せられた学校指定の水着を思い出してしまう。
そんなISスーツを身に纏った少女達が、プールサイドではなく輸送用ヘリの前に整列して搭乗を待つ姿に私は妙な気分にさせられていた。
その中に一夏ちゃんと箒ちゃんの姿を見つける、向こうも気付いたのか手を振ってくる2人。
うん、一夏ちゃんに気負ったところは無いみたいだ、それだけでも安心出来る。
やがて一夏ちゃんと箒ちゃんはヘリに乗り込む、それを見ていた私は次に乗り込む生徒達の中に金髪と碧眼の少女を見つける。
オルコットさんだ、彼女も私に気付き会釈してくる。
私は微笑むと頷いて見せる、彼女にも気負ったところは感じられない。
ヘリに乗り込むオルコットさんを見ながら、一夏ちゃん共々何か得る事が出来る様を私は祈った。
一夏ちゃんを乗せたヘリが離陸して行くの見送った後、私は待機所に向かう。
基本的に私達救難班はIS学園の生徒さん達が演習中は何時でも出動出来る体制、救難待機に入る。
待機所で装備を身に着け要請があれば直ちにジェット救難捜索機(U-125A)や救難救助ヘリコプター(UH-60J)に乗り込む事が出来る様に待機しているのだ。
「一夏さんはその・・・勝てるんせしょうか?」
そんな待機所内でテーブルに着いてお茶を飲んでいた榛名美弥三等空曹が私に話し掛けてくる。
その姿は装備を身に着けていなければIS学園の生徒でも通ってしまう程幼く見える。
言って置くが榛名三曹はちゃんと成人した女性なのだが、その容姿故千歳基地に居た頃は他の隊員達からマスコット扱いされていた、自分より年下の者達からさえ。
それはIS学園に来たからも変わらず、生徒さん達に「美弥ちゃん今日もがんばってね。」なんて声をよく掛けられその度に落ち込んでいるのだ。
「・・・正直言って難しいでしょうね、圧倒的に経験値が足りませんからね。」
私は溜息を付いて答える、まあ簡単に勝てる相手ではないだろうしオルコットさんは。
「だがそれ程悲観している訳でもないんだろう班長。」
同じテーブルに着いていた大西隆二三等空佐が話し掛けてくる。
大西三佐は救難救助ヘリコプターの機長を務めている人で、飛行時間でも隊員歴でも私より長い。
本来なら大西三佐がこの救難班の班長になる筈だった。
しかし「俺より適任の奴がいるだろうが。」と言って私を班長に推挙したのだ。
もちろん私は固辞したが「俺が言っているんだ、さっさとやれ。」の一言で班長に就任させられてしまったのだ、彼の期待に答えられているのか私は未だに自信が持てないでいる。
「まあ確かに悲観はしてませんよ、一夏ちゃんならきっと何かをやってくれると信じてますから。」
その私の返答に大西三佐は肩を竦めて笑う。
「まあ世界最強の姉達を持つ弟だからな。」
それに対し私は苦笑いを返すしか出来なかった、というかブリュンヒルデと並べられても困るのだけど。
「私も一夏君なら大丈夫だと思いますよ班長。」
私にコーヒーを差し出しながら大淀遼子三等空尉が話し掛けてくる。
「おう、あいつならやってみせると思うぜ班長、なんせ俺が見込んだ男だからな。」
そう言って私の肩を叩いてくるのは霧島雅二等空曹だ。
2人共一夏ちゃんを気に入っているので期待してくれる様だった。
「そうだな一夏ならやるだろうさ・・・お前に見込まれたのは不運だけどな。」
そう言って霧島二曹に絡んでくるのは同じ救難員の相沢進二等空曹、この2人何かとぶつかる事が多い。
と言っても仲が悪い訳では無く、似たような性格だからだと私は思っている。
「何だとこら、喧嘩売ってるのかこの野郎。」
「はっ誰がお前なんかに喧嘩売るか、この身の程知らずが・・・って何しやがる。」
霧島二曹が相沢二曹に関節技を掛け始める、こら体力商売の2人が暴れたら備品が壊れるでしょうが。
報告書を出して嫌味を言われるのは私なんだけど。
「どちらが勝つか賭けるか?」
「そんなの決まっているじゃないか霧島二曹だぜ。」
ヘリの副機長である今井浩一等空曹と機上整備員の吉村勇次一等空曹は賭けを始める、私の前で堂々と賭けの話なんかしないで欲しい、まあ冗談だと分かっているから良いのだけど。
「霧島二曹が負ける筈がありません。」
救難捜索機に搭乗している救難員の真中薫三等空曹は相変わらず霧島二曹至上主義者だの様だ。
非常に騒がしいが何時もの事なので私も大西三佐も苦笑しながら見ているだけだ。
救難待機と言うのは結構緊張を強いられる時間だ、だからこうやって皆緊張を忘れる様にしているだけなのだ、出動要請が来ない事を祈りながら。
結局出動要請が来る事も無く救難待機は終わった。
救難待機終了後、中断していた事務作業をしていた私は近付いてくるヘリの音聞くと部屋を出る。
ヘリポートまで行くと生徒達を乗せて来たヘリがちょうど着地したところだった。
地上作業員達が素早く駆け寄り車輪の前後に車止めを付けヘリを固定すると、後部ランプが下ろされ、生徒達が降りて来る。
「千秋姉・・・織斑三佐!」
私の事を千秋姉と呼びそうになる一夏ちゃん、箒ちゃんと共に駆け寄ってくる。
見たところ疲れてはいるが怪我は無い様で私はほっとする。
「お疲れ様織斑君、篠ノ之さん。」
「「はい織斑三佐、只今戻りました。」」
一夏ちゃんと箒ちゃんが声を揃えて答える。
「それでどうだったのかしら?」
私はオルコットさんとの決闘いや演習結果を早速聞いてみる、まあそれが気になって今まで待っていたのだから。
「・・・負けちまったけど、良いとこまで行ったぜ。」
一夏ちゃんはどや顔で言うが箒ちゃんは呆れた様に言う。
「最後の最後でシールドエネルギー切れで負けたくせに・・・あれ程大見得を切ったのに。」
オルコットさんに最初は翻弄されていた様だが途中から雪片弐型、それって確か千冬姉・・・ブリュンヒルデの使っていた物だと思うけど、を使って良い所まで行ったらしい。
もっとも雪片弐型がシールドエネルギーを使用する物だったらしく、結局エネルギー切れで負けてしまったとの事だった。
「そう言うけどシールドエネルギーが切れなかったら・・・」
まあ一夏ちゃんに負けたと言う事での悲壮さは無いの様なので、何か得る物があったと安堵する。
「くす、まあそれくらいでね篠ノ之さん・・・さあ早く戻りなさい2人共。」
ヘリを降りた生徒達は既にヘリポートから学園に向かっている。
「「はい、失礼します。」」
一夏ちゃんと箒ちゃんはそう言ってヘリポートから駆け足で、他の生徒達を追いかけて行く。
そんな2人を見送っていた私は視界の隅にオルコットさんを見つける。
彼女はヘリを降りたところでIS学園の方を見ながら立ち止まっている、その表情は勝ったと言うわりにはさえない表情だ。
オルコットさんなりに考えるところが有るのかもしれないと私は思って見ていると、それに気付いたのか彼女が薄く笑みを浮かべて見せる。
そして一夏ちゃん達の後をIS学園へ向かって歩いて行く、しっかりとした足取りで。
それを見てオルコットさんも大丈夫みたいで私は安心すると空を見上げて微笑むのだった。
その後話しは千冬姉、いや織斑先生から聞いたのだが、結局クラス代表は一夏ちゃんになった。
オルコットさんは「自分は今回の事で代表候補生としても人としてもまだ未熟な事を思い知らされました。」と言って辞退すると共に一夏ちゃんやクラスの娘達に謝罪し、今までの態度が嘘の様に皆と接する様になったそうだ。
ただ箒ちゃんが言うには、特に一夏ちゃんに必要以上に構う様になったらしい。
・・・惚れたわねオルコットさん、まったくうちの弟君には困ったものだと私は溜息を付くしかなかった。
そしてもう一点変わった事がある。
私が体力作りの一環としてIS学園の放課後にやっているランニングにオルコットさんが参加する様になった事だ。
「私も織斑三佐の様に己を鍛えたいと思いまして。」
優雅な笑みを浮かべて言うオルコットさんに私は苦笑するしかなかった。
出来ればISヒロイン(2期以外)登場まで書きたいのですが・・・
まあ細々と続けるしかありませんけど。
それでは。