紅魔館に拾われた少年はゆっくり暮らしたい   作:ユキノス

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こんにちは、例大祭に出現する事が決定しているユキノスです。

いやー変わりましたね、元号。友達がUC流してました。
という訳で、令和最初の投稿です。どうぞ。


神様は全てお見通し

 早苗が目覚めたという報告を聞かないまま、とうとう放課後になってしまった。どうやら、しばらく起きないというのは本当らしい。

 

「心配だなぁ……」

「ねーねー零くーん、カラオケ行こーよ!」

 

 何やそら。行かん。あとしつこいな、そろそろイラついてきた。等々、思う所も言いたい事も沢山あるが、とりあえず1日過ごして思った事がある。

 俺にべったりとくっついてしつこいこの女──意地でも名前は覚えてやらない──、果てしなく面倒臭い。よくもまあ、早苗もこの女と長い付き合いが出来たものである。

 

「ごめん、今日は用事があって。それじゃ」

「あっ、待っ……!」

 

 一刻も早くこいつから離れたい一心で、廊下をダッシュで駆け抜ける。本当なら窓から飛び立ちたい所だが、そんな事したら大問題必至なので断念。

 

「えーと早苗は……起きてない、ですよね」

「え?東風谷さんならもう帰ったけど……」

「ゑっ」

「今時そんな字使って驚き表現する人居ないよ?」

「……字?」

「ごめんなんでもない」

 

 そっかぁ、もう帰っちゃったかぁ……ってそうじゃねえよ。大丈夫なのか彼女。……と、思ったが。

 

「あっ、ちょっとキミ!?」

「(シャーッ)おーす早苗、気分はどうだい?」

「な、あ、え?」

 

 まさかバレるとは思っていなかったらしく、ぽかんとした顔で口をぱくぱくさせている。それがなんとなくおかしくて、ちょっと笑ってしまった。

 

「……その分だと、調子は戻ったみたいだな」

「……どうして、気に掛けるんですか?」

「えーと、話せば長いんだけど……ここで話すのも何だし、守矢神社で……ってダメ?」

「べ、別に良いですけど……って言うか、貴方守矢神社に居候してますよね?」

「あ、知ってたのね。じゃあ話は早いや、ありがとうございましたー」

「えっちょ………」

 

 早苗をひょいと抱え上げ、靴を履かせて走る。誰も見ていないのを確認し、ふわっと体を浮かせる。腕の中で「うわっ、わっ、わっ!?」と慌てる様子は初々しく、あー俺も昔こんなんだったなーと思わせるものがあった。

 

「あんまり暴れると落っこちるぞ? いやまぁその度拾うけどさ」

「ひえぇ……私……空飛んでる……」

 

 ……あれ?この人喜んでない? 空飛ぶ願望でもあった?

 

「す、凄いです!ガン○ムみたい!」

「な、何じゃそりゃ?ガ○ダム?」

「ええっ!? 知らないんですか!? ガンダ○というのはですね……」

 

 着くまでの間、○ンダムとやらについて尋常でない長さの話を聞かされた。耳が痛い。

 

 ***

 

「ただ今帰りましたー、っと」

「おうお帰り、早苗も一緒だったか」

「はい! 神奈子様諏訪子様、私今日空飛んだんですよ!」

「お、おう……? まあ、入んなよ」

「ご飯出来てるぞー」

 

 少女説明中……

 

「ははぁ、なるほど。この天狗がお前を持ってきた訳か」

「そうですけど! でも、すっっっごく貴重な体験でした!」

「多分霊夜んとこじゃ普通だと思うよ、こんなちんちくりんでも出来るんだからさ」

「ちんちくりんて。間違っちゃいないけどさ」

「うわぁ……見てみたいですねぇ、人が空を飛び交ってるの」

 

 飛び交ってるのは人より弾幕の方が多い、とか飛べない人も居る、とかは言っちゃいけない気がした。神奈子がにこやかに目配せしてくる事の怖さが分かるか?

 

「うーん……でもなぁ、早苗も連れてって良いのかなぁ……」

「その辺聞いてないのか? 管理者と通じてるクセに」

「うちの重要機関に居る人大体がどっか抜けてるから聞いてな──」

 

 前に展開されたスキマから甲高い金属音が聞こえ、咄嗟に首を傾ける。直後、刀──いや、仕込み杖がスキマから飛び出てきて、俺の髪の毛を数本持っていった。こいつほんとに殺す気だったのかよ。

 紫はそのまま出てきて、口をぱくぱくさせている早苗に《幻想郷》という場所について説明し、行くなら早めに伝えてくれ、と言い残して帰った。

 ああ見えて、結界の維持は大変なのだろう。

 

「……とまあ、そういう訳さ。来るかい?」

「…………正直、夢のような話ではあります。でも、私は……」

()()()()()()、と。違うか?」

 

 ……おい神奈子、ストレートに聞くな、とか言っててめちゃめちゃストレートに聞いてんじゃねえか。

 と目で訴えるも、神奈子は止める気は無いようだった。

 もうこうなると、俺から口出し出来る事は無い。元々部外者な訳だし。

 

「なぁ早苗、私はずっと思ってたんだ。お前は、暗い話は、誰にも言わない。……もう、遥か昔の事だがね。お前の先祖が、似たような事で死んだんだ。ずっと1人で抱えたストレスが爆発して───」

「そこのビルで身投げした」

「「っ……」」

「……ま、待ってくれ。2人とも言ってたよな? 自分から言うまで待とうって……」

「まだ分からないかい? 今日の早苗を見て、考えが変わった。……アンタ、明日ぐらいに死のうと思ってたね?」

 

 言葉に詰まって俯くのを見て、それが嘘ではない事に気付く。でも、さっき飛んでた時の早苗は心から嬉しそうだった。どっちが本心なんだ? ……いや、どっちもか。

 

「……なあ、それならさ。俺達に、早苗をバックアップさせてくれないか? 具体的な方法は……決まってないけど」

「い、いえ、そんな。お手を(わずら)わせる訳には……」

「なーに言ってんだい、それで壊れられる方がよっぽど嫌さ。さあ、全部吐いてもらおうか?」

 

 手をわきわきしながらにじり寄り、早苗を押し倒して擽り始めた諏訪子と、それを見てやれやれと言いたげな顔をする神奈子を交互に見やり、先が思いやられてきた。




考えコロコロ変えるニキ落ち着いて()

ではまた次回。
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