紅魔館に拾われた少年はゆっくり暮らしたい   作:ユキノス

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1ヶ月空いてしまったぁぁぁぁぁぁぁ!

あ、今回特に書くこと無いんでそのまま入ります。


霊夜一夜物語(後編)

阿求が再び目の前に座り、口を開く時には、私も情報整理を終えていた。「話しても良い?」と言いたげな顔の彼女を見据え、手をきゅっと握る事で、それに応えた。

 

「──そうですか。では、お話しますね。最後まで」

「……うん。お願い」

「では」

 

んん、と咳払いを1つ。目の前に鎮座する年長者(幼子)は、瞳を閉じ、またぽつりと話し始めた。

 

***

 

寺子屋に通い始めた霊夜さんは、その髪色から嫌がらせを受けます。……これは、人間の性なのでしょうか。少数に属する霊夜さんに対して、彼らは排他的でした。

この時は()()、物理的にのみでした。と言っても、よく痣を作って半泣きで帰る様子は、見ていて痛々しかったですが……慧音さんに悟られないように、必死に隠していた様子でした。きっと、心配を掛けたくなかったんだと思います。

 

この頃は、庇ってくれる人も居たそうです。……ですが、それは数ヶ月後………1人も居なくなっていました。

彼らは幼いながら、周りを気にする子がほとんどでした。それに霊夜さんという例が居た以上、「こっちにつかないと自分も」と思う子は少なくなかったでしょう。事実、何人かはそれが理由だったと聞いています。

 

 

少しだけ話の時系列を戻して、《まだ》の後の話をしましょう。

 

霊夜さんの痣や傷が隠しきれなくなってきた頃、でしょうか。嫌がらせは、精神的にも行われるようになりました。

 

……慧音さんには聞こえない、という点では、ここの裏が1番適しているんです。建物も多い為見えづらく、彼を毛嫌いしている人も多く居ましたから。

でも……私は、とてももどかしかった。すぐにでも戸を開けて、彼を庇いに行きたかった。「怪我でもなされたら」と、毎回止められてしまったのが現実ですが。

…………すいません、少し失礼します。

 

***

 

「……なんで、門番さん達も止めなかったんだろう」

「そこまでは分かりかねます。ですが、彼女は味方についてくれる事でしょう。寺子屋の教師も含め、人里の2大勢力が味方というのは大きいでしょう。……大きく動けないのが、惜しい所ではありますが」

「……ううん、皆が敵じゃないって分かったからいい。それに、阿求さんと慧音さんなら信頼出来そうだし」

「妹様……」

「……ただいま戻りました。では、続きをお話しします」

 

落ち着いているように見えたその目は赤く腫れ、手は涙で濡れていた。

 

***

 

精神的にも肉体的にも追い詰められた彼は、次第に笑わなくなりました。そこまで来て、ようやく慧音さんの耳に入った程、周囲は上手く隠していたのです。……彼女も、私が知っているとは思わなかったのでしょう。そこについては悔やんでいました。言わなかった私にも、責任はあるのですが……彼女はただひたすらに、自分が悪いと言っていたのを今でも覚えています。

 

──その夕方、夜に程近い時刻でした。慧音さんがここに駆け込んできて、霊夜さんが家を飛び出した旨を告げられた時、私は最悪の事態を想像しました。……してしまいました。人里の人間はほとんどが慧音さんの元生徒な為、捜索の呼び掛けに応じない人は居ませんでしたが……やはり、見つかりませんでした。

 

この時、慧音さんが霊夜さんを見失わず、どこかで捕まえていたら。見失ったにせよ、駆け込んだのがここではなく、人里の門であったなら。飛び出した時刻が、朝もしくは昼だったなら。

きっと、霊夜さんの人生は今と大きく変わっていたかもしれません。……でも、きっと今の方が幸せだったと、私は思います。……なのに、あんな……っ、何故、皆霊夜さんを嫌悪するのでしょうか? 彼が何かしたんでしょうか? ……私には分からない。何もしていない、危害を加えた事も無いような妖怪(ひと)を、何故恨めるのでしょうか? 《災禍の獣》……アレは、絶対に霊夜さんじゃない。霊夜さんに姿が似た、別の誰かです。だって、《災禍の獣》が本当に霊夜さんなら……慧音さんが悲しむような事は、絶対にしません!

 

***

 

感情の昂りからか、肩で息をする様子に呆然としている私と咲夜を押し倒さんがばかりの勢いで寄ってきた阿求は、私の肩をがしっと掴み、深々と頭を下げた。

 

「……どうか、彼の無実を。彼は、《災禍の獣》なんかじゃないと。彼らに、証明してください。私でも、慧音さんでもない。より近くで霊夜さんに接していた、貴女達が。……お願いします。永夜異変の時、妹紅さんと共に異変を解決してくれた彼への礼が憎悪(こんなもの)では、あまりに酷すぎる」

「……うん。分かった。私達が、必ず証明する。だから、泣かないで。霊夜がアワアワしちゃうよ?」

「───。……ふふ、そうですね。涙は、拭いておきます。それと、お友達探し、頑張ってくださいね」

「………あっ、すっかり忘れてた! えーとどこに「地底ですわ」そうそこ! ……に、どうやって行くの?」

「地底は、妖怪の山の麓にある大穴から行けます。途中で蜘蛛の巣が張ってあるそうですので、道中お気をつけて。」

「うん! どうもありがとう、阿求」

「どういたしまして。ああそれと、その……こいしさんに会った時は、幻想郷縁起の事も伝えていただけると助かります」

「ええ、お引き受けしましたわ。それでは、失礼致します」

「また会いに来るね!」

 

手を振って別れ、咲夜と共に稗田亭を出た。日は少し傾いているけど、妖怪の山へは行ける筈。こいしも見付けて、霊夜の濡れ衣も引っペがす!

そう決心した今、人間の陰口は何も気にならなかった。




バイトに課題にetc.と、執筆に使える時間がかなり少なくなってしまっている現状ですが、出来るだけ早く投稿出来るように頑張ります。

ではまた。
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