紅魔館に拾われた少年はゆっくり暮らしたい   作:ユキノス

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毎月なのかはルーミアの日だーーーーーー!

という事でルーミアの日特別編です。実は先月間に合わなかったのは内緒。……それと、予約投稿忘れてたのも内緒で。


特別編:ルーミアの日

今日は『そう7日(なのか)ー』の語呂合わせでルーミアの日らしい。誰が考えたんだろ。稗田家の誰かかな?

まあそこはいいや。また今度考えよう。今日はルーミアがちやほやされている。でも、皆意外とルーミアの事知らないんじゃない?

 

「という事でルーミアについて色々と聞きたいんだけど」

 

「あー、それでわざわざ私の家まで……そういう時の行動力だけはあんのなんかムカつく」

 

「う、うるさいなぁ……。俺だって、動きたい時くらいはあるんだよ」

 

半分くらい文からの依頼も含まれてはいるが、俺もルーミアについては結構知らない事が多い。……早速だけど、ルーミアの家って意外と可愛いもの多いのね。

 

「あーはいはい……それじゃ、何から聞くの」

 

「アッハイ。えーとまず1つ目、『人間捕食する時ってどう食べてんの?』」

 

「……それは? どういう意味よ?」

 

「え? いや、人間捕食するじゃん? その時、肉ちぎってちょっとずつ食べるのか、それとも──」

 

「あら、やってみせようかしら? あなたで

 

「え? ちょっ、何し──お゛お゛ぉ゛ぉ゛あ゛あ゛!?」

 

突然服を捲り、すべすべの腹を見せてきた時は「そういう性癖持ちだっけ?」と本気で考えたが、そこからぐぱぁ、と音を立てて口が出現してここ数年無いレベルでビビった。夢に出てきそうなんだけど……。

 

「(クスクス)あら、何も怖がらなくたって良いのに。大丈夫、痛いのは一瞬だけだから……」

 

「いや、まだ死にたくないんで遠慮しときます。てか幼女の姿(その見た目)でそんなグロテスクな話すんの中々に怖い」

 

「グロテスクな話に見た目って関係あるの?」

 

「無い。……えーと、気を取り直して次行っていい? あとその腹をしまってくれ」

 

「はいはい。それで?」

 

「ちょっと待ってなさいな。……これはフランからだな、『ルーミアって処女?』」

 

「は?」

 

「待て待て待て待てどこへ行く、最後まで話を聞いてくれ。あのな? 吸血鬼にとって一番美味いっていうのが『処女の血』らしくてだな?」

 

「そんな事は赤ん坊でも知ってるのよ、問題は何故そんな事を私に聞くかよ」

 

「そりゃあ……味が知りたいからじゃない? 俺も吸われた事あるぞ」

 

「女ですらないのに?」

 

「いや、一番美味いってだけでまずい訳ではないらしい。その辺よく分からないんだよな、今度聞いてみるよ」

 

「そうしてちょうだい。あと質問の答えは直接言うから。男性に自分が処女か言う程馬鹿じゃないの」

 

「まあそりゃそうか」

 

よくよく考えてみれば、自分の性交経験なんて他人に知らせるものじゃないしね。まあ、フランは失礼かどうかなんて知らなかっただろうし、今回は大目に見よう。……ただし、次回からは出来るだけ無くしていく方向で。

 

「ちなみに霊夜は童貞?」

 

「はは、ノーコメントで。次、大妖精から」

 

「あの子から? 珍しいようなそうでないような……」

 

「えー、『闇の中で動く時、ふらふらしてるけど周囲は見えてるの?』」

 

「見えてないわよ」

 

「いや駄目じゃん。致命的じゃん。なんでだよ」

 

「むしろ見えないからあんな不規則に飛んでるのよ。じゃなかったら真っ直ぐ飛んでるわ」

 

「いや誇らしげに言われてもなぁ……あ、そうだ。美鈴に心眼でも教わってみたら? 纏ってても見えるぞ」

 

「面倒だからいい」

 

「さいですか……」

 

ちなみに俺はまだ出来ない。気配だけで相手の動きを読み取るって割と難しいからね……。

でも、狼の本能かは分からないけど咄嗟に避ける事は少しずつ出来るようになってきてはいる。反撃は無理。

 

「え、えー次。『両手を横に伸ばしたポーズはなんの意味があるの?』」

 

「あーあれ、十字架にかけられた愚者みたいでしょ?」

 

「へー、そんな意味が……」

 

「霊夜もやってみる? 意外と肩疲れるから」

 

「その辺は分かってるから大丈夫。手に鉄球乗せてそれやった事もある」

 

「……いつも思うんだけど、貴方どんな鍛え方してるの? たまにちゃらんぽらんに見える事してるけど」

 

「んー、ぶっちゃけ言うとほんとにちゃらんぽらんな事してる時はあるよ。手に鉄球乗せて腕ピンと張ったりとか」

 

「何がしたいのよ……無駄でしょ無駄」

 

「いやぁ、遊び感覚だから普通にやるよりやる気出るかなって。まあいいや、次」

 

「うぇ、まだあるの……?」

 

「あと2つだから頑張って。『巫女に力を封じられたって聞いたけど、何したの?』」

 

それを聞いた途端、ルーミアが顔を曇らせた。良くない思い出なんだろう。……逆に封じられて良い思い出ってのもおかしな話だな。至って普通の反応だわ。

 

「あー、そういうの……。あんま話したくないんだけどねぇ……誰から?」

 

「紫だな。……待て、紫だったら普通──」

 

「分かってる。ついでに、そこで聞いてやがるなババア。口に闇突っ込んで貫通させてやろうか? そこから膨張させて破裂も良さげだなぁ、ククク……」

 

物凄く悪い顔であれこれ画策しているが、多分こういうのが原因で力封じられたんだろうなぁ……。と思って戸棚を見たら、スキマが開いていた。それについて何かを言う前に閉じたので、恐らくこれが聞きたかっただけなのだろう。ホントに何がしたいのあいつ。

 

「……えと、あの、最後の質問良い?」

 

「ん? ああ、どうぞ? 何をそんなビクビクしてんのさ」

 

「いやそんな怖い事聞いたらビクビクするわ……」

 

現に今、手の汗と震えが凄い事になっている。冷や汗もかいてるし、頭の中で警鐘が鳴っている。

下手なことしたら死ぬ。至ってシンプルで、だからこそ怖い。刃は既に、喉元に突き立てられているのだ。

 

「……いやこれ質問って言うのかなぁ、そう考えるとしても俺が言っていいものか……」

 

「何をぶつくさ言ってんのよ? 外にいる男の子の事?」

 

「なんだ気付いてたのか、なら話は早い。おいでー」

 

きぃ……と遠慮気味に戸を開けて入ってきたのは、文にルーミアについての取材を頼んだ張本人である少年。

ま、言いたい事はなんとなく分かるけどね。中々言いづらいか。

 

「えっ、えと、あの、お、おは、なしがっ……」

 

「…………」

 

やれやれ、と言いたげな顔で見つめるのは別に良いだろうが、目を細めてニヤニヤするのは割と怖がられそうなので今はやめてもらえないだろうか。……いや、緊張でガチガチだからそこまで気になってない?

 

「まっ、前に、大人の(その)姿を人里で見てっ……その、えっとっ」

 

「あー、その、なんだ。一度落ち着いたらどうだ? ほら、深呼吸して。……吸って、吐く」

 

「は、はいっ。……すー…………はー…………。……貴女に、一目惚れしました。結婚を前提に、お付き合いしてください!」

 

「……は?」

 

すげぇ、1回深呼吸しただけで言い切ったよ。……そう、実を言うと文に来た依頼は取材ではなく()()()()()()だ。なので、取材はぶっちゃけ建前。まあ、だからこそ皆に意見を募った訳なんだけど。

 

それはそうと、ニヤニヤしてたルーミアが一瞬にして呆けた顔になるの中々に面白い。カメラ持ってたら撮ってた。……殺されそうだな、やめとこ。

 

「……つまりキミは、大人の(この)私を見て、一目惚れしたと?」

 

「は、はい」

 

(つまりも何もそのまんまじゃん……)

 

「で、結婚を前提に付き合ってくれと?」

 

「……はい」

 

フラれるかどうか以前に、この少年本気だ。目が真っ直ぐ過ぎる。

ここまで来るとカッコ良さすら芽生えてくるが、ルーミアの方は少々呆れた様子だ。……そんなに気に障った? 目の前で食われるなんて事無いよね? ……ね?

 

そんな淡い期待と裏腹に、ルーミアの背中辺りからずるりと闇が溢れ出た。少年は「ひっ」と声を漏らし、俺は全身の毛が逆立った。もしもの時は、この少年を連れて逃げよう。そう考えた束の間、目の前で少年は──闇に縛られた。

 

「っあ、ひっ……」

 

「寝惚けた事言ってんじゃないよ。あんまり私を怒らせるようなら……」

 

「おい、ルーミ──」

 

ア、の音が出てくる前に、闇が蠢き、鋭い牙の並んだ何かに変貌した。

──ホントに喰うつもりか!?

 

「───!」

 

「……と、ようやく気絶したか。後で言っといてちょうだい、「私に告白なんざ100年早い」って」

 

「………………は、はぁ。いやまぁ、ほんとに喰うつもりじゃなくて良かったよ」

 

「当たり前でしょ、こんな子供食べたって美味しくないもの。 ……それともなぁに、性的に────」

 

「ああいやそれだけは間違いなく思ってない。俺はね」

 

「あっそ。じゃ、さっさと人里に戻してきてもらえる? (シッシッ)」

 

「へいへい、分かりましたよっと。ちゃんと「100年早いって言われた」つっときゃ良い?」

 

「ええ。100年後生きてたら結婚でも●●●でもなんでもしてやるわ」

 

くつくつと笑ってはいるが、本当に100年生きていた上で覚えていたらどうするつもりなんだろ。……知ーらないっ。

 

***

 

その夜、ルーミアの家

 

窓から三日月を見つめ、溜め息を1つ。言うまでもなく、今日私に告白してきたあの人間の事だ。……一体何を血迷ったのか。

 

「……私は妖怪よ。人間とは生きる時間が違う。だから、キミとお付き合いは出来ない。………ゴメンね」

 

あれ。なんで。目頭が熱いの。恋なんて。とっくの昔に、捨てた筈。人を喰う妖怪を、好きになってくれる者など居ないと。なのに。あの子は。好き、と言ってくれた。

 

「……ほんとに、馬鹿だ。あの子は。100年生きて、かつ覚えているだなんて、無理に決まってる。……仮にそこまで生きてたとして、ろくに動けないだろうに」

 

でも、心の底で期待している自分がいる。私の知る限り、幻想郷で80歳を越えた人間は居ない。……知らないだけかもしれないけど。

 

「……うっ、くっ、ひくっ……」

 

その日は1人で静かに泣いた。自分を好いてくれている人を、自分で突き放したから、だろうか。

 

***

 

100年後。その子──いや、その男が生きていたかどうか。それは、誰にも言うつもりは無い。

ただ、答えは左手の薬指を見れば分かるだろう。勿論見せる気は無いけれど。

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