前回更新から長〜〜〜〜〜くお待たせしました大変申し訳ありません!!! どうぞ!!
「ほー、となるとお前さんらは地底に行きたいってえのか?」
「う、うん……じゃなくて、はい。ダメ……ですか?」
「うーむ、俺個人としちゃあ止める意味も無いんだけどなぁ……何せ『立場』ってもんがあるもんでなぁ…」
出来るだけ大急ぎで飛ぶこと数分。変な扉を開く前に到着出来たのは良かったものの、まだナイフは当てられたまま。……いつ解いてくれるんでしょう?
「あ、あのー咲夜さん? もう御屋敷には……」
「あら、私たちは『地底に行きたい』と言った筈だけれど。ここは地底ではないから、まだ解く訳にはいかないわ」
「あやぁそれって私強制的に条約違反じゃないですかねぇ……」
「そうなるなぁ、ドンマイ射命丸」
「天魔様? なんでそんな軽いんです? あなたの部下、条約破らされそうになってますよ?」
「まぁどっちにしろ俺の責任だからな。んなら何人入ろうが大目玉にゃ変わらんさ」
そうやってカラカラと笑っていられるその胆力は私にはないんですよねええええ! て言うか何なら今喉元にナイフ突き立てられてますからね私! 部下死にそうなのになーに笑ってんですかこの──
「文」
「ひゃいっ!? え、あ──スイマセンデシタ……」
「………」
もうやだあの人超怖い! 烏天狗辞めたい!
……1回、美鈴さんみたく昼寝に徹するのはどうだろう。いい休息が取れそうです、うん。
***
「──で、悪ぃな嬢ちゃん。話の続きだが…」
「…やっぱりダメ?」
「ダメ……ではあるな。うん」
「うー……」
何年天狗を纏めても、何度戦に勝とうとも、『子供の相手』だけはどうにも自分には不得手らしい。何を考えているか分からないのもそうだが、何をするにも加減を知らないのが一番怖い。特に、吸血鬼なら尚更だ。
だからこそ、条件を付ける。
「ただし。そこの文と弾幕ごっこで勝負して、勝ったら行くことを許そう」
「ホント!?」
「がっ!?」
興奮し過ぎだ飛び出してくるな顎直撃したぞコラ。もうちょいで舌噛み切らされるとこだった。殺す気か。
「あっ、ごめんなさい……」
「…あ、ああ、気にすんな……」
……こういうのがあるから子供は嫌いなんだ。謝られるだけマシか。
***
「……と言うか、これ私が即降参か被弾すれば手っ取り早く…済む……んですけど……やっぱりダメですよねー分かってましたー」
「当たり前だドアホ、何年俺の部下やってんだ。一切の手加減無し、スペルカードは……どーすっかな、じゃあ3枚! 異論は?」
「無いよ」
「ありません」
「なら良し。んじゃ、始め!」
3枚と少なめなだけあって、お互いに通常弾幕での牽制から始まった弾幕ごっこを見上げ──ていると首が痛くなってくるので、ちょくちょく見る程度にしておく。
とはいっても、所詮八雲紫が作った規則だ。こちらが律儀に守る必要は無いし、俺が手を下そうと思えば出来ないこともない。でもやらない。
アレで正々堂々とした戦いを好む文の機嫌を損ねたくないのもそうだが、何よりすぐ隣で臨戦態勢のお前さんが面倒だからな。
「声に出さなくてもよろしかったのでは?」
「そんなら顔に信頼してねえってデカデカと書いてあるのを消すんだな。腐っても組織の元締めだ、その辺ぐれぇは分かる。ついでに、文と組んで脅してるように見せてたのも含めてちゃーんと把握してる」
「……左様でございますか。ところで、『書いてある』というのはどの辺りでしょうか?」
「はぁ? そりゃお前……言葉の
妙に天然入った給仕は、何度か瞬きしてようやく意味を悟ったらしい。……最初の人形みたいな印象とは大違いだ。
「まあなんだ、零の奴もお前さんみたいのがいるなら退屈はしねえだろうよ。……ん、零? いや霊夜だっけか」
「後者ですわ。同一人物ではありますが」
「なんだ、既に聞いてたのか。いや、同じとこ住んでんだから有り得るか。信頼もされてるっぽいしな」
「ええ、そこに関しては自信があります。紅魔館の面々と彼の間には、どんな武器にも絶てぬ信頼関係がある──と、我が主が申しておりました」
「そこはお前の言葉じゃねえのかよ」
事実ではあるんだろうが、ちょくちょく天然なんだかわざとなんだか分かんねえなこの従者。……いや、あの
「……おっと。怖いねえ」
「次はありません」
「へいへい。これでも紅魔館との仲は悪い方なんだぜ?」
ああ、そういえば吸血鬼異変の時には居なかったな、コイツ。零……霊夜もか。
***
十数年前 幻想郷
「はぁ? 霧の湖に西洋の吸血鬼が攻めてきたぁ? おいおい、そういうの防ぐのがお前の仕事じゃなかったのかよ」
「……少々、油断していたのは認めましょう。ですが、このままでは妖怪の山にも影響が及ぶのは時間の問題ですわ」
「はぁー………ったく、お前は面倒事ばっか持ってきやがってクソババァ……」
「まあ酷い、私は永遠に17歳ですわよ」
「言ってろ。……何人要る」
「あら、お受けくださるのですね」
「っ…テメェ」
こうして口車に載せられるのも何度目だろうか。まったく、部下にあれほど言っておいて自分が載せられていては話にならない。首を鳴らして意識を切り替え、外敵を対処する為の人脈を辿る。──そうだな、ざっと30人くらいは────
「では、20人ほど」
「ほう? 押し返す分には余裕ってか。──それとも、ただの慢心か?」
「まさか。どんな手を使うか分かりませんもの、最大より少なめにした方がよろしいのではなくて?」
「……捨て駒にする気か、天狗を」
「さて。どうでしょう?」
……まだだ、抑えろ。ここでカッとなったら、混乱の中で誰が指揮を執る。
深呼吸。酸素を巡らす。落ち着かせる。
「分かった。ただし、必要以上に犠牲者を出したと発覚したら……」
「『お前の命は無い』、と。ええ、理解していますとも。長年の付き合いでしょう?」
「死なすぞクソババァ。はよ逝け」
「あら酷い。よよよ……」
一々癪に障る女だ。はよ死ねや……おっと本音が。
まあいい、俺もさっさとあいつら纏めるか……
***
「……あの、天魔様? 天魔様ー?」
「ん、ああ。終わったか」
「はい、きっちりやられました。……あと、懐かれたみたいですね」
「おー、良かった良かった。これで少しは紅魔館から襲われる危険が減ったな」
「それは目の前で堂々と言えることなんですか……」
「俺は言う」
「え、えと……これで、私たちは地底に行っても…」
遠慮がちに言われて、ああそうだったと思い出す。地底に行くことを許すか否かで弾幕ごっこさせたんだったな、すっかり忘れてたわ。ははは(棒)。
「あー、ああ。許す。なんなら文、お前一緒に行ってやれや」
「えっ、私ですか!? どうしてそんな……」
「速いから。以上。強いて言うなら案内出来る上で信頼されてっから」
「あー、なるほど…。了解しました」
「じゃあ文も一緒に来るのね!? やったー!」
喜んでるのは微笑ましくて大変結構なんだが、後生だから跳ねるな。床抜けそう。
「ほれ、日が暮れる前にさっさと行った行った。なあに、有給って事にしといてやるよ」
「わあほんとですか、ありがとうございます! じゃあ行きましょう、お二人とも!」
「えっちょっと待……っ!?」
「給料が出るのと出ないのとでだいぶ変わるのね…それでは、失礼します」
「……お? おー。縁がありゃあまた来い。それと
「承知しました。では」
一礼して消える従者に軽く仰け反り、紅魔館も奇抜なのが増えたもんだ……と考えている暇は無い。雑務はまだたっぷり残っていやがる。ざけんな。
俺の中の天魔様は、少しダルそうな苦労人……的なイメージになってます。胃薬常備してそう。
という訳でやっと地底行きます。やっぱりナメクジになりそうな2020年ですが、何卒宜しくお願い致します。