紅魔館に拾われた少年はゆっくり暮らしたい   作:ユキノス

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母の日特別編の、霊夜が花を手に入れるまでの経緯です。…幻想郷で花って言ったら、大方予想つくだろうなー…てか普通に来てたしなー。でも書きます。「やべぇ間に合わん!」って慌て過ぎて後で書こうとしてた内容入れ忘れただけなんですけどね…←


特別編:あなたに捧ぐ

『ユキノシタを贈る』とは決めたものの、花屋に並んでいるのか、そもそも幻想郷に存在しているのかすら現状分からない。幻想郷にある本は、幻想郷の先人が書いたものと、外の世界から流れ着いたものの2種類あるのだ。

 

「小鈴に聞いても分からないだろうし……かと言ってご両親に聞くのもなぁ……」

「じゃあ普通に花屋でも行けばいいじゃん。時間そんな無いんでしょ? じゃあまず動くことから始めなよ」

「そだね、行ってみようか」

 

少年少女移動中…

 

「こんにちはー」

「はいこんにちは。今日はどうしたの?」

「実は……」

 

お姉さんに今日来た理由を伝えると、奥で花束用の花を切っていたお兄さんが「よう坊主!」と朗らかに笑いながら出てきた。……確か年の差10あるか無いかなんだけどな。

 

「《ユキノシタ》か……んーすまねぇな、そいつは13日に納品される予定なんだ。だからその時まで──」

「待ってちゃダメなんだ! ………あ、えっと、その」

「ふふっ、良いじゃない。幽香さんも、1日くらいなら大丈夫って言ってたわ」

「そうだっけか? その辺お前に任せてたからなぁ……」

「だってあなた、昔から草花をいじるのが好きじゃない。だから、そういうのは私に任せておいて」

「お、おぉ。すまねぇ……」

 

うーんこのおしどり夫婦。近々お子さんも産まれるそうだし、2人共頑張ってもらいたい。

 

「……あー、コホン。とりあえず、太陽の畑行って交渉してくるから、2人仲良くいちゃついてて」

「あっ妹紅さん! この前は竹炭ありがとうございました」

「いーのいーの、竹なんてあの辺にポコポコ生えてくんだから。ほら霊夜、行こう」

「あ、うん。ありがとうございましたー!」

 

 

「…ねぇ、霊夜くんがどうしてユキノシタが欲しいって言ってたと思う?」

「どうして、って……そりゃあ、花を贈りたい人でも出来たんだろ。あっ、もしかして花言葉か」

「当たり。ユキノシタはね……ゴニョゴニョ」

「……ぷっ、くくく……あーそうか、アイツももうそんな歳かぁ」

「この前までずーっと慧音先生と手繋いでたと思ったら、ねぇ」

「ああ、そうだな。…俺らも頑張るか」

「ええ、勿論。この子の分まで、ね」

 

***

 

太陽の畑、と来たら浮かぶものは2つしかない。一面の花か、風見幽香だ。花を踏み潰すような真似をする馬鹿には、もれなく炭のオブジェにされる権利(強制)が贈られるので、実は人里からでもたまにレーザーが空を裂くのを見られる。それでも絶対に人里に向かないのは、花屋夫婦の人徳なのか、それとも花を潰したくないからか。……どっちか考えるのはやめとこう。主に花屋夫婦の名誉のために。

まあそれはともかく、幻想郷の中でも最も美しく最も危険な場所には変わりないので、僕も来るのは初めてなのだ。

 

「あー、緊張してきた…」

「うん、心音聞こえる。ってか落ちないでよ?」

「も、勿論気をつけてはいるよ。うん……」

 

普段は歩き派の俺も、流石に今回はもこ姉の背中におぶさって行くことにした。だって間違えて花踏んだら即死なんだもん、ビビるよ……。

 

「……しかし、いつ見ても綺麗だよねぇ」

「ほんとに。私は綺麗なものとは縁遠いけど、こればっかりはね」

「……もこ姉、そんなに縁遠くないと思うんだけどな」

「そう? お世辞でも嬉しいよ」

「お世辞じゃないよ、髪とか綺麗で…」

「はいはい、口説くのは私じゃなく慧音にしとけな」

「くど…!? 〜〜〜〜!」

「わっ、ちょやめろ悪かったって、ポコポコするな地味に痛いから」

 

***

 

「……で、私の所に来たと。まあ確かに、ユキノシタは今咲いてるわ。でも、花達がどう言うかしらね?」

「一応質問ですけど、駄目って言ってた場合は……」

「今すぐ消えて頂戴。場合によっては殺すわ」

「っ……」

 

眉ひとつ動かさず、淡々と命を消す。風見幽香は、それが出来る。腕のひと振りで。傘のひと突きで。力を込めることなく、優雅に。

そう、先代博麗の巫女が言っていたのを思い出し、全身が強ばる。彼女の機嫌次第で、俺は消え───

 

「………良かったわね、良いらしいわよ」

「ほっ………」

「ただし、乱暴に扱わないこと。どんな目的でユキノシタが欲しいの?」

「お世話に、なっている人に、その、贈り物がしたくて………

「贈り物、ね。なら、その後は花瓶に入れるの?それとも、庭にでも植えるの?」

「に、庭は無いので、花瓶に…」

「そう。いつ、贈るの?」

「母の日…今季は5月11日に」

「そう。なら、着いて来なさい」

「は、はいっ」

 

まだ緊張で上手く動かない身体で着いて行くと、そこには一面にユキノシタだけが咲いている花畑があった。

風見幽香……幽香さんはそこで、一輪のユキノシタを摘み取り、我が子を愛でるように佇んでいた。……いや、実際我が子のようなものなんだろう。

 

「…綺麗、ですね。とても」

「そうでしょうとも。花は自然に咲く姿こそ美しいのだから。それと、すぐに花瓶に入れること。でないと萎れる時間が早まるから」

 

それから数秒、超早口で保存方法を説明された後、俺ともこ姉はお礼を言って『太陽の畑』を去った。このタイミングで烏天狗でも来たら、皮でも剥いでやろうかと言わんばかりの眼差しを背中に受けながら。




という感じでした。
大変な時期ですが、皆さんも頑張りましょう。
閲覧ありがとうございました。
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