今回は妖々夢までのお茶濁しです、ハイ。いやね、紅魔郷本編が8月12日、EXが9月(日にちは不明)辺りだったんですよ。でも妖々夢本編は5月。飛ばすにしては長過ぎる…じゃあちっとは普通に進めるか。という訳なのです。はい、意味不明。
ではどうぞ。
「…えーと、こっちか…」
妖怪の山も紅葉で綺麗に染まり、季節はすっかり秋。読書でもしてようかと思った矢先、パチェからの依頼で魔理沙から魔導書を
因みに今は、魔法の森をてくてく歩いている。こういう時、魔力があって良かったと心底思う。魔力の無い連中が入ったら、充満している障気は害でしかない。魔力があれば別だが。
「…やっぱジメジメしてるからかキノコが多いなー…確かに外敵は居ないが住む気には到底なれねえや…」
「げ、霊夜…!?何でここに居るんだ!?」
家に着く前に会えた。さて、後はチェックメイトまで終わらすだけだ。
「お前から魔導書を返してもらいたいからだ。借りたいなら許可を取ってからにしろ、とも言われてる」
「はっ、あんだけ沢山ある内の数冊ぐらい良いだろ?」
「それは店でも言えるか?」
「…?」
「お前が言ってるのは、『こんなに沢山商品があるんだ、1個ぐらい良いだろ?』っつってるのと同じだ、って事だよ分かったか本泥棒」
「…言えないぜ……あぁもう分かったよ!返せば良いんだろ返せば!」
「きっちり
「ああ!その代わり運ぶの手伝えよ!?」
「…はぁ…はいはい手伝うよ……」
しっかりと見張りながら暫く歩き、魔理沙の家に着き――思わず眉を潜めた。外見は洋風、見た目も綺麗なのだが、窓から見える内装はあまりにも汚い。
「…おい、掃除はしてるんだろうな?」
「あ、あー…研究に没頭してると色々忘れちまうからなぁ…」
「うわ、マジかよ…不潔にも程があるだろ…」
そう言って魔理沙が開けたドアに入ろう―として入れない。足の踏み場も無い、とはこの事を言うのだろう。
「…どうやら、掃除もしなきゃいけないっぽいな」
「やってくれるのか!?助かるぜ!」
「いや手伝えよ。お前の家だろ」
「アーアーナニモキコエナイゼー」
「はぁ…今回は魔導書が目的だからまた今度な。咲夜と来るわ」
「おぉ…咲夜も来るのか」
「来れたらな。許可取ってないし」
「おいおい…」
「ほら、魔導書取り出して持ってくぞ」
「へいよ」
と言うと、ゴミの山―少なくともそうにしか見えない―に飛び込んでドッタンバッタンと音を立てながら魔導書を探している上、ぽいぽいと地面に放る魔理沙にはもう呆れるしか無い。魔導書は大事な物だし、内容は唯一無二なのだ。後で説教だな。
「よっ…と。これで最後か?」
「…こう言っちゃ何だが、盗むにしても数ぐらい覚えとけ。ひい、ふう、みい、よお………」
盗まれた魔導書は、計12冊。いや多いって。この野郎、盗られ始めたのが1ヶ月半前なんだぞ。どんだけだよ。
「…12冊全部ある。ったく、お前って奴は…」
「は、ははは…」
「2冊は持てよ?10冊は持てるし」
「え、ほんとか!?」
一応嘘ではない。片手に5冊ずつ持って飛んだ事もある。風の無い環境で、だが。
「…ま、頑張るか」
「そんじゃ行くぜ!」
帽子の中に魔導書をしまい、箒に跨がってかなりの速度で飛び立つ魔理沙に本日何度目かの溜め息を吐いてから、5冊ずつ持ってゆっくりと飛び立つ。急いては事を仕損じる、何事も落ち着けば答えは出る。まず魔法で風を纒い、風(こちらは自然に吹いている物)を寄せ付けない事で、実質風の無い環境を作り出す事が出来るのだ。
「さーて行きますかー、もう魔理沙は着いてるだろうけど」
そのまま本を落とさない様にゆっくりと飛び、紅魔館へ戻る。周りからみたら、天狗の真似事をしていると思われるだろう。だがこれは、文の飛び方を真似しているので強ち間違いではない。文は空気抵抗を無くして速く飛ぶが、俺は風を止ませて飛びやすくする為にこれをしている事が違うのだが。
―*―*―*―*―*―*―*
「よっと」
着地前に魔法を解かないとそこだけ土が抉れる上に飛び散ってしまうので、きちんと解除してから図書館へ(外に繋がる扉もある)入…あ、ドアノブが引けない…。
はてどうしたものかと2秒程考え、素直に美鈴を呼んでくる事にする。確かこの時間は庭の手入れをしていた筈…
「あ、居た居た。美鈴ー、ちょっといいか?」
「はい?…あれ、その手に持ってるのは…」
「魔導書だ。半分持ってくれるか?」
「え、何故また…」
「ドアノブが引けないだろ」
「パチュリー様かこあちゃんを呼べば早かった様な…まあ、手伝いますよ」
「さんきゅ、美鈴」
「お安いご用です」
手入れされた庭園を見ながら、美鈴と談笑して―大抵が手合わせの事だった―、改めて図書館へ入る。
「ただいまー…ってあれ、魔理沙とパチェは?」
「あ、お帰りなさい…お2人ならそこですよ」
と言って本棚の裏を指差すこあ。そこ、って確か…
「…ん?あ、ソファか」
「はい、ソファです」
よく出来ました、と撫でてくるのは今となっては何ともむず痒いが、美鈴に礼を言ってから、こあと手分けして魔導書を戻す作業に取り掛かる。
「えー、と…Eの棚Eの棚…あああったあった。次は…げ、Yまで行くのか…これは後回しっと」
魔理沙の「なあパチェ、ここってこっちの方が燃費が…」
という声と、パチェの「あら、よく気付いたわね魔理沙。そう、この術式は…」という声をBGMに本を片付けていき、あと1冊――と、その時、何者かに抱きつかれ、耳元で囁かれた。
「…霊夜♪」
「~~~~~!?」
「えへへー、びっくりした?」
「び、びっくりした…フランだったのか…どうしたんだ?」
「んーん、暇だっただけ。お姉様は『私はお仕事してるから、霊夜に遊んでもらいなさい』って言ってたし」
「…あんにゃろう……」
何故名指しなんだ、パチェ…は魔理沙と魔法談義してるし、こあ…は本の整理してるし、美鈴…はなんか文の相手してたし、咲夜…は皆のおやつ作りをしている。…あ、確かに俺以外忙しいわ。かと言って何かする事も無いし…
「…あ」
「?」
「鬼ごっこやろうぜ、鬼ごっこ。紅魔館の皆に、魔理沙に、後は…
「うんっ!楽しみに待ってるね!」
「良い子だ。俺に任せとけ」
屈託無く笑うフランは―俺には(見た目)幼女を愛でる趣味は無いが―、母性(いや父性か?)を擽られる可愛さがある。
…さて、楽しい(かは分からない)交渉タイムの始まりだ。
―*―*―*―*―*―*―*
結果から言うと、喘息持ちであるパチェは不参加(だが審判はやるらしい。主に、反則のある無しや終了の合図をするんだとか)。ちびっこ3人衆は湖周辺に居なかったので、無理に探す事は無いかと今回は断念。と言う訳で、鬼ごっこをやるメンバーは俺、レミィ、フラン、美鈴、咲夜、こあ、魔理沙の7人だ。
「それじゃ、改めてルールの説明ね。範囲は紅魔館の中だけ、庭に出るのは無し。制限時間は夜明けまで、時間が来たらそれぞれに持たせた魔石に伝えるから無くさない様に。鬼が変わっても知らせは無いから、そこも注意して。それと、飛ぶのと能力の使用は禁止。質問は…無いわね。それじゃ、じゃんけんで鬼を決めて」
流石に7人だとあいこが多発するので、4ー3に分かれて負け越した人同士がまたじゃんけんして負けた人が鬼、という行動は分かりやすいのに説明するとなると物凄く長々と言わなければならない行程を終え、鬼は咲夜。…うわ、速そう。
「1、2、3……」
咲夜が数え始めると同時に、一斉に逃げ出す。外にさえ出なければどこに行っても良いので、なるべく広い所に行くのが得策か。ああ因みにだが、今回の鬼ごっこはフランとの親睦会、という名目だ。だからこそレミィも許可した訳だが。
「…さてさて、どこに逃げようかねぇ…」
―*―*―*―*―*―*―*
鬼ごっこが始まってからおよそ…えー、分からん。パチェに聞いてみるか。
(パチェ、始まってからどれぐらい経った?)
(大体2時間ね。あと2時間よ)
(了解。やっぱ声出さないでもいいのは嬉しいな)
(ふふ、ありがとう)
因みに、相手の場所を聞いたらどうなるのか聞いてみた所、パチェに召還された触手によって何も考えられなくなるまで●されるらしい(俺の場合は女性に変えてからするんだとか)。ルール違反も同様。「冗談よ」とは言っていたが、目が笑っていなかった。
「…ってあれ、美鈴って能力無意識に発動してんのかな…」
まあいいや、と自己完結して、そっと覗き込むと―誰も居ない。内心で安堵しつつ、足音を立てずに歩いて中へ入る―直前で飛び退いた。直後、扉の脇から魔理沙の華奢な手が伸びてくる。
「あー畜生、勘づかれたか…なんで気付けたんだよ…」
「呼吸音さ。よく聞けば分かるもんだぜ?」
「…マジか」
美鈴との手合わせの賜物だろうか、気で察知してくる美鈴のカウンター―をカウンターで返す為に色々考え、色々試した結果、聴覚で察知するという随分な能力が備わった。完璧に、とはいかないが、3割程は返せるまでにはなった。…それがまさか、鬼ごっこで役に立つとは。
「じゃ、あばよ」
「あっ、待てこの!」
「待てと言われて待つか普通」
「待たないな。…ってあれ、見失った…」
赤い髪だと、頭が出ていてもあまり目立たない―ただし後ろ向きで、尚且つ紅魔館限定―ので、観葉植物の鉢植えに隠れていてもバレない。今更だが、服装は前を開けた黒のジャケットに簡素な白のシャツ、グレーのカーペンターだ。昔は濃紺の和服だった。
話を戻そう。魔理沙が横切るので、それと鉢植えを挟んで反対に動けばなんとかいける筈。ちょっとずつ…ちょっとずつ…
「んー…居ないなぁ…くっそー、目立つ筈なんだけどなぁ…」
…やっぱやめよ。よそ見した所で…今だ!
「あっ、そんなとこに居たのか!待てー!」
誰か居ないか、誰か…出来ればレミィがいいんだが…
「っとと、悪い美鈴」
「え?わぁっ!?」
「待てぇぇ!」
「霊夜君嵌めましたね!?」
「悪かったって!それに美鈴が居たのは偶然だ!」
「な、ならいいんですが…」
とりあえずどこに逃げよう…えーとえーと…
「…こっちだ!」
「えっ…確かこっちは…」
「後でいくらでも謝るから!」
行き先は―美鈴の自室。美鈴とクローゼットの中に入り、内側から扉を閉める。
「せ、狭いです…」
「…ごめん、我慢してくれ」
「そんな事言っても…ひゃうっ」
…美鈴の胸が、今はかなり邪魔だと思う。美鈴より若干背の低い俺の顎辺りが断続的に柔らかい感触でだな……いや今は関係無いか。
(…ごめん!)
出ようとしたその時、魔理沙の声が近くから聞こえた。
「部屋の中に居る…まずい」
「ど、どうしむぐっ」
「…暫く静かに」
耳を扉に付けてよく聞いていると、魔理沙の足音が遠くなっていき―部屋を出た。
「…ふぅー…ごめんな美鈴」
「い、いえ…こちらこそ、すいません…」
顔を赤くして目を逸らしている美鈴は中々見ない。俺が文なら撮ってるね。
「…自分からやるのは平気なのにやられるのは恥ずかしいんだな」
「ふぇ!?な、ななな何言って…」
「前に咲夜が話してたんだよ。『この前美鈴が、お風呂で胸を揉んできた』って」
「あ、あれは女性同士だから大丈夫だったんです…霊夜君男の子でしょう…?」
「…あー、ね」
まあそれは分からんでもない。男同士で肩を組むのは気軽に出来ても、男女で肩を組むのは抵抗があるのと同じだ。
「…んんっ。いつまでもここに居る訳にもいかないだろ。これから別行動だ」
「え?あ、はいっ」
「じゃな。お詫びは…また考える」
「はい、楽しみにしてます」
にこっと笑う美鈴に笑みを返してから、部屋を出る。直後にフランが駆け寄ってきたので、多少警戒して―すぐに解いた。何故って?そりゃああんた…魔理沙に追われてるからだよ。ってあ、逃げなきゃだ。
「また逃げるのかよ…!」
「ごめん霊夜ー!」
つか鬼は変わってないんだな。飛ぶのは速かったが…走るのは案外苦手みたいだな。
「くそっ…霊夜は霊夜でちょこまかと!」
「ちょこまか逃げて何が悪いんだよ!?鬼ごっこだぞこれ!」
「知るかそんなもん!」
「よし逃げるぞフラン!」
「うんっ!」
―*―*―*―*―*―*―*
それから数十分が経ち、結局鬼はこあで終了した。制限時間ギリギリで、出会い頭にやられたんだとか。
因みに本来の目的であるフランとの親睦会だが、フランは「皆と仲良くなれたと思う!」と大満足の様子だ。つまりは大成功。良かった良かった。ルールを破った人は居なかった。まぁそりゃそうだ。
珍しく書くのに時間掛かりました。大体3日かな?
今回はやりたい事リスト第3回、『紅魔館メンバー+魔理沙で鬼ごっこ』でした。繋ぎとして書いたにしては過去最長の5000文字オーバーってなんか複雑です(笑)。
ではまた次回。