「すっ……げぇ…………」
色とりどりで華やかで……真昼なのに花火を見てる気分だ。美鈴さんや親父さんもするんだろうか。どういう弾幕を扱うんだろうか……
「な、何これ!? 眩しいと思ったら、なんか凄いの始まってる!」
「お、出たのか。お前も見てけよ、ここじゃこういうのが流行ってるらしいぜ」
「おや、弾幕ごっこ中でしたか。零くんが弾幕ごっこなんて珍しいですねぇ」
チーパオ……だっけ。鷺宮と美鈴さんが出てきたが、ちょっと今目を離したくない。あの下に何も履いてないと分かってても……いや、アレは!? 紐だ! 紐が見えたぞ今!
「……分かりやすく二度見しないでよ馬鹿! 変態!」
「わ、悪い。……えーとアレだ、零がこれやってるのそんなに珍しいんスか?」
ガッツリ空いたスリットから紐が見えたら男は皆見るものだ。誓ってそういうものなんだ。ともかく話題を逸らしておかねば、硬い石畳に背負い投げされかねない。
「あんまり見ないですね。私も零くんも
「な、なるほど……にしても綺麗なモンだなぁ」
「あの女の人誰? さっきは居なかったけど……」
「射命丸文さんですね。妖怪の山の鴉天狗です」
「よ、妖怪の山? って……どこ?」
「ここらしい。俺らが居るこの神社は、今山の上に建ってるって訳だ」
「へえー! あ、隣いい?」
弾幕ごっこは縁側の方で行われていた。突っ立ったまま見るのも疲れるので丁度良かっ……うお、何も着けてないとこんな揺れんだな……
「……後でね」
「な、何が?」
「背・負・い・投・げ♪」
「すんませんでした勘弁してください」
「ダメ。…とりあえず、今はこっちが見たい」
しかし、ずっと舌戦を仕掛けながら弾幕の隙間を縫って縦横無尽に飛び回るの凄いな……後ろから来てるやつとかどうやって察知してんだアレ。あと文さんちょこちょこ写真撮ってんの何故。
「……あ、ぶつかっ──」
「だークソッ! ヤケだ! ──火符『アグニシャイン』!」
「は? ──あっぶな!? ちょっと! なんでソレ使ってるんですか!?」
「るっせぇバーカ! さっきから隙あらばパシャパシャ撮りやがってよ! 眩しいんだよ!」
あ、気付いてはいたんだ。んでそれヤケで出しても良い奴なんだ。……いやシンプル火球来たけど、これ殺傷力あるやつじゃないの?
「……これ俺ら大丈夫なん?」
「い、一応大丈夫……な筈です。最悪私が守ります」
「それはありがたいんだけど……見てるだけで熱い……」
弾幕自体はこっちに来ないものの、いくつもの火球から放たれる熱がジリジリと肌を灼いてくる。あいつ暑くないんか? と言うか……
「なんというか、活き活きしてる?」
「それ思った。やっぱ存分に暴れられて嬉しいんだろーな…」
「まあ……そうですね。『下手に使ったら騒ぎになるから』って必要以上に使わないようにしてましたし……」
「……アレで? アレで本気じゃなかったの?」
脳裏に体育の授業で無双する零の姿がいくつもフラッシュバック……いや言う程無双してなかったかもしれない。どちらかと言うと、力加減に難儀していた印象が強い。スパイクでボールをブチ割った時なんか、ゴリ先ですらポカンとしていたのをよく覚えている。
「こう言っちゃなんだけど、目立つ個性盛り沢山なんだし今更感あるよな……」
「転校生で、いつも眼帯着けてて、めちゃくちゃ身体能力高くて、サラサラロングヘアーな女顔の男の子で………」
「そのどれか1つだけでも十分目立つだろ。正直な話、他のクラスの奴から『紹介してくれ』だの『スカウトさせて』だの腐る程言われたぞ」
「…アンタが言われたの? 本人じゃなくて?」
「本人追っかけたとこで捕まんないから……」
「あぁ……」
なんて話していたら、いつの間にか煌びやかな弾幕は止んだ代わりに、零が文さんにダル絡みされながらぽてぽてと歩いてきた。
***
「あー、負けた負けた……でも久々にスッキリした、ありがとな」
「もー、今回だけですよ? 次溜まったら彼女さんに頼んでくださいね♡」
「お前さぁ……そういう誤解招くような言い方どうにかなんねぇかなぁ」
「はいはい、善処しまーす。……ま、『お帰り』くらいは言っておいてあげますよ。貴方の帰りを心待ちにしてた人の為にも、早く顔見せに行きなさいな」
「……急に優しいじゃん。明日は雨かな」
「なにをぅ? 嬉しいくせに〜このこの〜」
「ばっ……おいワシャワシャすんな! お前そんなんだから椛に嫌な顔されんだぞ!?」
……うーん、どっちもどっちで素直じゃないな……あ? さっき彼女っつった?
彼女。つまり恋人。否定しなかったってことは……いやでも、まあ……居る、あーそうか居るかぁ……そっかぁ…
「……ちなみにどんな人?」
「今名前出たモミジさん?」
「いや、椛は……友人って言うには関わり無いか……まとにかく違う。──いいだろそこまで言わなくても! 散れ散れ!」
「いやぁ〜? 是非とも聞かせてほしいねぇ」
「ゲッ……帰ってきたのか」
運の悪いことに、天魔の所へ挨拶に行っていた早苗と2柱、そして生存報告も兼ねて同行していた父さんが帰ってきた。畜生、こうなったら──
「まあまあ零くん、落ち着きなさいな。第一、私から逃げられると思ってるんですか?」
「そうだったお前居るんだった………」
もし仮に幻想郷最速の女から逃げ切れたとしても、今度はあること無いこと吹聴されると思うともうダメだ。コイツが情報を握った上でこの場に居る時点で詰みだ。
「……分かったよ話すよ。とりあえず文は目と耳潰して口塞いでから聞いてな」
「酷い!」
「だってお前話盛るだろ!」
「面白い記事の方が売れるじゃないですか!」
「……ちなみにどれくらい盛るの?」
「幽々……いや分からんか、えーとそうだな……漫画とかで大食いのキャラが食ってる量くらい……」
「相当だな!? それこそ盛ってねぇ!?」
「いや、案外そうでもない。この人はそれくらいなら平気で捏造する」
「おや、日向じゃないですか。……ああ、そういえば親子だと言ってましたね」
……このしっちゃかめっちゃかな状況ですら逃げられないのか。早く会いに行きたいんだけどなぁ…………
麻見と香織ですが、実は幻想郷入りさせるかどうか最後まで悩みました。あんまオリキャラ入れるのも良くないかなぁ…とも思ったんですが、果たしてどちらが良いものか。
……なんにせよ、しばらく更新止まると思います。毎度毎度、お待たせしてしまって申し訳ありません。