今回はタイトル通り、麻見視点のお話です。
ども。ダチにサプライズ仕掛けようとして、何やかんやあってダチの故郷にまで来ちゃった男。萩原麻見です。流石に守谷神社に寝泊まりは俺が殺されかねないので、零の親父さんの家に泊めてもらってます。
幻想郷に来て1週間、事故とはいえ来ちゃったなりに幻想郷ライフを楽しもうと思った訳ですよ。両親も長期出張だし、見えないモンが見えるってことで学校じゃはみ出し者寄りだったし。
ただスポーン地点がクッソ高い山の上の方だったが故に高山病になりかけたりもしたし、天魔さんトコにご挨拶いった時にはあまりにもヤの字っぽいクソデカ屋敷で危うくチビりかけた。
……白狼天狗って、鴉天狗の部下なんだよな? なんで零の親父さんあんな堂々としてられんだ? 俺なんて陸上部時代、部長相手にだってビビってたのに。
えーとどこまで話したっけ。あそうそう、楽しもうって話だった。天魔さんが口利きしてくれたんで、俺たち全員(渋々ながらとはいえ)天狗の方々には良くしてもらってる。
他には玄武の沢って所には河童がいて、色んな機械を見せてもらった。香織と親父さんは魅力がよくわかってなかったっぽいが、早苗がああいうの好きとは思わなかったな。零も興味深そうにしてたし、落ち着いたら一緒にそういう話もしたいな。
あと山姥がいるらしいんだが、天狗はお互い干渉しない約束なんだとか。……気をつけるけど、たまたま会ったら食われたりしない?
それから、幻想郷の地図を貰った。俺、香織、早苗、それから守谷神社に置いとく用に4部。鴉天狗が新聞を刷っているそうで、本格的な印刷所まであった時は舌を巻いたね。
俺らにとってThe・天狗とも言える鼻高天狗はここにいらしたが……目が死んでいたので、話しかけるのはやめておいた。
人里にも行こうと思ったが、その場合零が一緒に来れないということで断念。零が世話になったって『先生』にも挨拶したいし、いつか──皆で行けるようになったら、その時行こうと思う。早苗は守谷神社の布教の為にもいずれ行く必要があるだろうが、俺は現状行く予定無いかな。
零と美鈴さんの暮らしてる《紅魔館》……いや遠いな、地図の縮尺からして……前半山道なこと考えるとホントに遠いな!? 早苗が守谷の二柱に飛び方教わってたけど、やっぱ飛べるって偉大なんだな。俺や香織みたいな一般人も飛べたりするんだろうか? 親父さんに聞いてみよ。
で、えー……晴れてる時には守谷神社からでも見えるくらい広大なヒマワリ畑、《太陽の畑》。真っ直ぐ進んでる筈なのに迷うという《迷いの竹林》。魔力を持たない者には有毒な瘴気が漂う《魔法の森》。外からの漂流物が流れるという《無縁塚》。この世とあの世を繋ぐ《三途の川》。そして、幻想郷の調停者が住まうという《博麗神社》……。
妖怪の山以外の主要な場所だけでも結構あるな。なんかいくつかガチめにヤバそうなのあるけど。
「何見てるの? ──あ、貰ったヤツ?」
「ん? おお香織か。山の上から見てるだけじゃ、どんな場所なのか分かりづらくてさ。こうして地図見て、地理の把握とかしときたくてよ」
「ふーん……私地図読むの苦手なんだよね。ハギーはどこが気になってるの?」
「そーだなー……待てハギーって俺?」
「アンタ以外に誰がいんのよ」
……そういやそうだ。親父さん今仕事だし。
香織に地図の読み方を教えつつ、改めてこの世界はこう……全体的に強い女性が多いんだな、と痛感する。バキバキに腹筋割れてたりしててイイネ! 先週会った鴉天狗の……文さん? 辺りは筋肉ついてる訳ではなさそうだが、零曰く「妖怪は見た目より力強いぞ」とのことだったので、変に煽るのも良くなさそう──ってかよく考えたら零も文さんにゴリゴリのタメ口利いてたな? すげーなこの親子……。
「あ、こことかどう? 太陽の畑」
「あー、俺も気になってたんだよな。少なくとも他よりは殺意高くなさそうだし」
「ね! 今度零クンに連れてってもらおーよ」
「そだな。紅魔館にも行ってみたいし……あー、俺らも飛べたりしねーかなー」
「ホントにねー……そういえばサナちゃん、浮けるようになってたよ」
「マジか。神様の手助けアリとはいえすげーなあいつ」
「どんどん凄くなってくよね。いや元から凄かったんだけどね?」
「はは、後方腕組古参オタクみたいなこと言ってら」
「は?」
「サーセン」
藪蛇だった。いやそんなにキレることかこれ? そんなでもなくない?
「あー……っと。そういや、零の妹さんの話なんだけど」
「妹!? 妹いたの!? えー見てみたーい絶対可愛い! ね、ね、今どこ!?」
「それが分かんねーから、今探してんだと。……なんつーか、災難ばっかだよな風萩家」
「一家バラバラでお母さんと妹さんは行方不明、お父さんは別世界、零クンも人間から迫害と濡れ衣と片目を……よくわたし達と友達になってくれたよね?」
それは本当にそう。仮に早苗が目的だったとしても、俺たちと仲良くする理由は無かった筈だ。
──いや、事実香織のことはしばらく煙たがっていたし、俺に関しちゃ正体知ったのが関わる切っ掛けだったな……あれ? もしかして俺が踏み入ってきただけ?
……俺友達少なかったし、あいつにとっても好都合だったろ! 多分!
しかし、妹さんは一体どこに……?