ではどうぞ。
「くろまく~」
「…は?」
なんだこの人。ルーミアみたいな感じかな?だとしたら相手はしやすいんだが。
「…黒幕?」
「ええ、私はこの異変の黒幕、レティ・ホワイトロックよ。私に勝てたら、この異変を終わらせてあげる」
認めた。咲夜、居たぞ黒幕。主犯は頑張って探してくれ。
「俺は新月霊夜。冬は好きな方だ」
「あら本当!?わぁ、嬉しい!」
「…でもさ、他の季節が無いと、人里の人間が困る訳だ」
「…?」
「そうなると、少しずつ人間は減ってくだろう」
「う…」
「分かったか?人間が減るという事は、妖怪の力が無くなっていく。そして人間も減る…最悪、共倒れも有り得るって事を忘れないでくれ」
「………流石に相容れない、か…じゃあどちらが正しいか決めましょ?」
「ああ。こっちは…5枚で」
「じゃあ私は…4枚ね」
紅霧異変の時のスペルカードは2枚しか無かったが、あれからパチェやフランと一緒に考え、3枚増えた。後は油断しなければ、勝てなくはない。因みに、美鈴からは体術を教わっている。
「うふ、それじゃあ…凍符『リンガリングコールド』!」
「おわっと!?」
小さくて数の多い弾幕と、大きくて数の少ない弾幕が混ざり合って襲い掛かる。厄介なのは大きい方で、最小限の動きで抜けると目の前に小さい弾幕があった。ってあっぶね!
「よっ…え!?」
後ろから!?そこからは撃ってなかった筈…
「どっから撃ったんだ…?」
「さあ、どこかしらね?」
「…いや教えてもらえるとも思ってないさ。流石にそこは自分で見付けるよ」
「頑張ってね~」
慎重に避けながら弾幕を注視し、観察する。よく見ると、大きい弾幕の陰から迫っているのが分かる。そこさえ分かれば後は簡単―とは行かない。
(やっべ、数が増えてきた…今の時点で結構擦ってるのに…!)
「あらあらぁ、もう終わりかしら?」
「っ…!」
思わず魔力が漏れ、パチェから貰った球体から弾幕が撃ち出された。…え、多くね?普通に俺が撃つより多いぞ。
「え…?ちょ―」
急な反撃(少々不本意ではあるが)にレティが反応する前に、球体が撃ち出した弾幕が当たった。勝った方としては相当に複雑だ―が、落ちていくレティを見て、そんな思いも氷解した。
レティの下に回り込み、お姫様抱っこの様に受け止める。途端、チルノ以上の冷たさに思わず驚愕する。
「よっ…冷たっ!」
「きゃっ…あら、ありがとう♪」
「ど、どういたしまして…」
ずっと触れていると凍傷になってしまいそうだが、幸い自分で浮かんでくれたので一安心。両手をポケットに入れて暖めつつ、冬を終わらせてくれと言ってみる。すると―いきなり頭を下げられた。
「え、いや…あの」
「ごめんなさいね~、私この異変の黒幕でも犯人でもないのよ~」
「…えっ」
なんじゃそりゃああ、と内心で叫びつつ、「ありがとう」と言われてキス―勿論頬にだ―された。心臓が止まるかと思った。
「頑張ってね~」と手を振ってくるレティに手を振り返して別れつつ、適当にふらふらと飛び回ってみる。ただ絶対におすすめしない。吹雪の中、方向も適当にあちこち行くと当然迷う。―つまり何が言いたいのかと言うと、迷った。
「…うわぁ、どうしよ……」
「あっ、居た居た!止まりなさい、そこの人間!」
「へ?…あ、俺か」
「人間ってキミしか居ないじゃないのさ…あれ、キミって確か紅魔館の…」
「知ってるのか?」
「うん、藍しゃまがよく「橙、この子は何者にも屈しないからよく見ておく様に」って言ってるからね。新月霊夜でしょ?」
「なんか照れるな…お前は橙、で良いのか?」
「あれっ、私名乗ったっけ?」
「いやさっき「橙、この人は~」って言ってたろ」
「あ、そっか」
あははーと無邪気に笑う橙―見た所化け猫だ―に、実は幾つか聞いてみたい事がある。
「なあ、橙」
「うん?」
「ここどこだ?それと、なんで俺を探していたみたいな言い方だったんだ?」
そう、橙はさっき「居た居た」と言った。となれば、探していたのだろう。だが、ここがどこかというのは「知っててほしい」という願望でしかない。
「あー、ここはマヨヒガって言ってね。その名の通り、迷った人しか入れないんだ。これは特殊な結界が張ってあるからで、キミが入ってきたのを感知したの。それで私は探してたんだ」
「…なるほど。じゃあ最後に1つ…いや2つ良いか?」
「?」
こてん、と首を傾げる橙に、質問と欲望をぶつけてみる。
「出口があったら案内してほしい。で、これは俺の個人的な事なんだが…撫でさせてくれ」
「ふにゃっ!?」
「はは、冗談。さ、案内してくれ」
「~~~~…わ、分かった…」
可愛いなこの猫。藍って人(多分妖怪)も幸せだろうなぁ…
霊夜てめぇそこ代われや(願望)
てな訳で、はい。レティさんごめんなさい。さて皆さん、遅れましたが…ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!…ふぅ、スッキリ。
ではまた次回。