紅魔館に拾われた少年はゆっくり暮らしたい   作:ユキノス

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こんにちは、豹牙です。
萃夢想4人目、妖夢はどう挑むんでしょうか。
あとここに書く事が無くなってきたので、下手したらここのフリートーク的なのが無くなるかもしれません。
ではどうぞ。


あんまりない

「……はぁー…ああ言った手前どうしよう…」

皆が宴会で楽しんでいる中、私は途方に暮れていた。話は数分前に遡り―――

 

―*―*―*―*―*―*―*

 

「あ、そうそう。異変の主犯だけど――」

「大丈夫です!どんな妖怪だろうと(ほふ)ってみせます!」

「いや屠っちゃ駄目だろ。妖夢の実力を疑ってる訳じゃないけど、俺が言いたいのは強さじゃなく―――」

 

―*―*―*―*―*―*―*

 

その先は聞けなかった……いや、聞こうとしていなかった。唯一聞こえたのは、「場所」という単語だけ、しかも思い出したのは今なのだ。……うう、我ながら恥ずかしい…

「…ほんとにどうしよう……きゃっ」

どん、と誰かにぶつかった。謝ろうと相手の顔を見上げ――

「…美鈴さん!」

「ああ、妖夢さんでしたか。大丈夫ですか?」

「は、はい。私は大丈夫ですが…」

そこで、私に電流が走った。

春雪異変の宴会で、美鈴さんは霊夜君に武術体術を教えていると言っていた。能力は《気を使う》との事だったので、霊夜君に知らせたのも美鈴さんに違いない。

そこまで考えた私は、美鈴さんをじっと見詰めていた。

「……? 何か付いてます?」

「…あの、美鈴さん」

「は、はい…何でしょう」

「今起きている異変の犯人と、戦いましたか?」

すると美鈴さんは首を傾げたけど、こくりと頷いた。

「ど、どこでですか!?」

「え!?あの…境内の端っこ辺りで声を掛けてみてください。多分出てくると思いますが…大きな声だと流石にまずいみたいです」

途端、顔が果てしなく嬉しそうにしていると自分でも分かるぐらいに嬉しく思った。

美鈴さんにお礼を言って、ダッシュで境内の端へ向かい、そして―――

「…妖怪、姿を現しなさい!」

大きくはないが小さくもない声で呼び掛けた。するとみるみる内に霧が凝集し、人の形を作った。捻れた角、手足と髪に着けた鎖と分銅、腰の瓢箪、そして小柄だが圧倒的な妖力。――間違いなく、こいつだ。

「いやぁ、赤髪も人気者だねえ。お前さんみたいなのがゴロゴロ居るよ」

「魂魄妖夢です。貴女は?」

「ぷっくっ、ははははは!良いねその目!私は伊吹萃香ってんだ。……始めるかい?」

「ええ、始めましょう」

既に意識からは、雑音や景色が消え去っている。私はゆっくりとニ刀を抜き、構えた。

「妖怪が鍛えた楼観剣に、斬れぬものなどあんまりない!」

「その《あんまり》にゃあ鬼が入るってもんよ!」

鋭く踏み込み、拳を突き出してきた萃香に対し、私がした事はただ1つ。それは――()()()()()()()()()()事だ。一見ただの臆病者に見えるかもしれないが、『敵を知り己を知れば百戦危うからず』とある様に、情報収集は大切なのだ。

―――……そこっ!

「っく……!」

ガキィン!という硬質な音と共に、楼観剣と鎖が衝突した。拮抗状態に移った為硬直した萃香の脇腹辺りに、白楼剣を突き込むと。

「なっ…!」

「ふっ……!」

白楼剣が掴まれ、ぴくりとも動かなくなった。正確には動くのだが、無理に動かすと折れてしまいそうな程に力強い。

―――どうする?…いや、決まっている。

「っ、はぁぁぁぁぁっ!」

「うぉっと!?」

楼観剣に体重を乗せ、ギリギリと刃が軋むと同時に、萃香の左腕の鎖に罅が入った。白楼剣は逆に引っ張り、萃香の右手から血が滴り落ちる。

「っ…!加減してる、とは言え…鬼と渡り合える奴なんざそう居ないよ、魂魄妖夢」

「くっ、あぁぁぁっ!」

白楼剣を引き抜くと、同時に大きく後退。接地してすぐに踏み込んで―――刀を振るった。

「シッ!」

「おっと!?いやー今のは危なかった…あ!?弾幕!?」

「………っ」

―――外した!

作戦としては、後退させた萃香を、半霊の弾幕で撃ち落とす、という代物だった。今まで半霊を使わなかったのはこのためだが、外した今となっては言い訳に過ぎない。

「――人符『現世斬』!」

「無駄だぁっ!」

萃香はなんと、()()()()()()()()()()()()()

「なっ…!?」

向かってくる弾幕を正確に叩き落とす様は、正に理不尽と言わざるを得ない。

「そらそらそらそらぁぁ!」

「っ………!」

弾幕を叩き落としながらじりじりと近付いてくる萃香に、私は一瞬だけ呆然としてしまい――それが、私の敗因となった。

「ふんっ!」

「う゛えほっ!?」

鳩尾に尋常でない衝撃が走り、思わず刀を取り落としてしまった。更にそのまま吹っ飛び、何本もの木々を巻き込んで、博麗神社から落ち――る直前で受け止められた。

「よっ、と。いやー、やり過ぎちまったみたいだね。大丈夫かい?」

「げほっ、げほっ……うう、胃が振られたみたいで気持ち悪いです…」

「ごめんごめん。美鈴やら霊夜みたいに頑丈かと思ってたけど…お前さん、よく見りゃ半人半霊だね。それに、()()()()()()()()

うっ、と呻き声が漏れた。実際、祖父と実戦、もしくは試合形式の稽古をした事は無い。更に、冥界は魂が居ても人が居ないので、相手も居ない。祖父に教えてもらったのは型だけで、後は我流でしか無いのだ。

「まあ、戦い慣れしてなかったとしても、良い太刀筋だと思うよ。少なくとも、私が見てきた奴の中では相当に良かったね。…ただまっすぐ過ぎるかな?」

「はい…ご指導ありがとうございます………」

私はまだまだ未熟者だ。だからこそ、更なる修練を重ねていかなくてはならないと、改めて実感した。




実はこれ、途中まで《萃香のパーフェクト(?)戦闘指導室》ってタイトルで書いてました。でも前回あんなタイトルにしてた為こっちに。
てな訳で、4人目終了……で、5人目になります。最後の6人目は勿論あの人ですが、5人目は誰でしょう?
ではまた次回。
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